「マンションを売りたいけど、税金はいくらくらいかかるの?」
マンションの売却がはじめての方の多くが、このような疑問をいだきます。
マンションを売却すると、「譲渡所得税(所得税・住民税)」「登録免許税」「印紙税」の3つの税金がかかります。
税金の種類 | 概要 | 金額 |
---|---|---|
譲渡所得税(所得税・住民税) | マンション売却で得た利益にかかる税金 | (売却価格 ー 取得費用 - 譲渡費用 - 特別控除額 ) × 税率(20%~39%) |
登録免許税 | マンションの抵当権抹消にかかる税金 | 一律2,000円 |
印紙税 | 売買契約の締結にかかる税金 | 2,000円~2万円 |
上記をもとに、3,000万円でマンションを売却する(※)と、以下のような税金がかかります。
【3000万円のマンションを売却した場合の税金】
税金の総額 72万3025円
- 譲渡所得税 71万1025円
- 印紙税 1万円
- 登録免許税 2,000円
※築20年、居住期間9年、購入価格2,500万円、譲渡費用150万円として計算。特例や控除は適用しない。
また、マンション売却にかかる税金を節約する「控除の特例」についても紹介しています。
マンション売却の税金①:譲渡所得税
譲渡所得税とは、マンション売却で得られた利益(=譲渡所得)にかかる、所得税と住民税の総称です。
- 所得税
…個人の所得にかかる税金。 - 住民税
…地方税の一つ。個人の所得にかかる。
譲渡所得税の税率は、所有期間によって変わります。所有期間が5年超の場合(長期所有)は20.315%の税率、5年以下の場合(短期所有)は39.63%です。
項目 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下の場合 ※ | 30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超の場合 ※ | 15.315% | 5% | 20.315% |
※所有期間は、売却した年の1月1日時点を判断基準とする。
所有期間が5年に満たない間に売ると譲渡所得税の税率が約2倍になるので、注意しましょう。
譲渡所得税がかからないケース
譲渡所得税は利益にかかる税金であるため、利益(=譲渡所得)が出なかった場合には支払う必要はありません。
この場合の「利益(譲渡所得)」とは、マンションの売却代金から売却にかかった費用とマンションの購入費用の一部を差し引いた金額です。
例えば、8000万円で買った土地を1億円で売却したとします。売却にかかった仲介手数料の300万円を差し引いた、1700万円の利益が「譲渡所得」です。
例えば、以下のようなケースでは譲渡所得が発生しないため譲渡所得税はかかりません。
譲渡所得税がかからないケース
- マンションの購入価格よりマンションの売却価格が大きく下がる
- 特例・控除を使うことで譲渡所得税の支払いが免除される
つまり、マンションが購入当初よりかなり値上がりしているような場合以外では譲渡所得税はかかりません。
マンション売却で譲渡所得が発生するかは、次の章で紹介する方法で計算します。
マンション売却の譲渡所得の計算方法
譲渡所得は、以下の式で求められます。
=マンションの売却価格 – 取得費- 譲渡費用
売却時の費用が「譲渡費用」
譲渡費用とは物件を売るためにかかった費用のことで、次のような費用が含まれます。
譲渡費用に含まれる費用
- 売主が負担した分の印紙税
- 物件を売るためにかかった仲介手数料
購入時の費用が「取得費」
取得費用とは、譲渡したマンションの購入代金や購入手数料にその後の設備費と改良費等を加えた金額を言います。
取得費用に含まれる主な費用
- 売却する物件の購入代金
- 購入時にかかった仲介手数料や税金(登録免許税等)
- 増改築費用
また、マンションのように期間の経過とともに価値が減少する資産は、償却費用相当額を差し引いて取得費を計算します。
マンションの取得費は「減価償却」分を差し引く
建物の償却率は以下の表のとおりです。
建築方式 | 居住用マンション | 事業用マンション | ||
---|---|---|---|---|
耐用年数 | 償却率 | 耐用年数 | 償却率 | |
木造 | 33年 | 0.031 | 22年 | 0.046 |
軽量鉄骨 | 40年 | 0.025 | 27年 | 0.038 |
鉄筋コンクリート | 70年 | 0.015 | 47年 | 0.022 |



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マンション売却の税金②:登録免許税
住宅ローンを組んでいる物件を売却するときには、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する手続きが必要です。
このときにかかるのが抵当権抹消のための登録免許税です。
抵当権抹消のための登録免許税はマンション一室につき2,000円となり、手続き時に法務局で支払います。
この抵当権抹消の手続きは、だいたい5,000円から10,000円くらいで司法書士に依頼できるほか、自分で行うことも可能です。
なお、登録免許税はマンションの所有点移転登記にもかかりますが、こちらは買い主側が負担するのが通例なので計算に含める必要はありません。
マンション売却の税金③:印紙税
印紙税とは、経済的取引などに関連して作成される文章に課税される税金のことで、マンション売却の売買契約書を作成するためにかかります。
印紙税の税額は、マンションの売却価格によって変わります。
記載された契約金額 | 税額* |
---|---|
100万円を超え 500万円以下 | 1千円 |
500万円を超え 1,000万円以下 | 5千円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円を超え 1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下 | 16万円 |
※令和4年3月31日までの軽減税率が適応された価格
印紙税を納めないと印紙税の3倍の過怠税が課されるので注意しましょう。
マンション売却の税金シミュレーション
マンション売却の節税に役立つ控除
マンション売却でかかる税金は控除などの特例を使うことで節税できます。
この章では、マンション売却で使える3つの特例・控除を紹介します。
- 3,000万円特別控除
- 住宅ローン控除
- 所有期間10年超の軽減税率
3,000万円特別控除
3,000万円特別控除は、譲渡所得から3,000万円を差し引くことのできる特例です。
3000万円特別控除を使うことで、課税対象となる譲渡が減らせ最大で1,188万9,000円の節税ができます。
課税対象となる譲渡所得が減るため、譲渡所得税を安くすることができます。
例えば、7年所有したマンションを売却して3500万円の譲渡所得が出たとします。その場合、譲渡所得税は以下のように求められます。
=(譲渡所得-3,000万円)× 税率
= (3,500万円-3,000万円)× 20.315%
= 101万円
3,000万円万円特別控除を使うと譲渡所得税は約100万円です。
一方、3,000万円特別控除を使わないと譲渡所得税は700万円ほどになってしまうため600万以上の得ができることが分かります。
ただし、に紹介する「住宅ローン減税」とは併用ができないため、どちらが得か自分で判断できない時は税理士などに相談しましょう。
3000万円特別控除とは?適用条件・必要書類・申請方法を詳しく解説
住宅ローン控除
買い替えでマンションを売却する場合は、新居の購入で住宅ローン控除が使えます。
住宅ローン減税とは、その年の年末の住宅ローン残高に対して0.7%が住民税と所得税から控除される制度のことです。
購入する住宅が新築なのか中古なのか、また省エネ性能などかによって控除の対象になる借入金額が異なるので注意しましょう。
繰り返しになりますが、住宅ローン控除と3,000万円控除は併用できません。
どちらが得になるのか試算した上で使う控除を決めましょう。
住宅ローン控除を家を売却した年に受けるための条件を詳しく解説
所有期間10年超の軽減税率
自宅マンションの所有期間が10年を超えていれば、軽減税率が適用されより低い税率で譲渡所得を計算できます。
具体的には、譲渡所得の内6000万円以下の部分については、譲渡所得税の税率が14.21%になります。
この軽減税率は3,000万円特例控除と合わせて利用できます。
3,000万円特例控除について詳しく知りたい人はこちらの記事をご覧ください。
記事のおさらい
マンション売却で課せられる税金は何ですか?
マンション売却では①譲渡所得税②印紙税③登録免許税の三種類の税金が課せられます。詳しく知りたい方はマンション売却に課せられる税金3種をご覧ください。
マンション売却で使える節税方法はありますか?
マンション売却では条件によって、四つの特例を使うことが出来ます。詳しくは税金を節約する4つの特例をご覧ください。