「相続した土地を売る場合、どんな税金がかかるの?」「節税できないな…」
土地を相続する場合、相続開始から3年以内に売却すると特例控除が利用できるため、税負担をおさえることもできます。
本記事では、相続した土地の売却にかかる税金の種類や、相続から3年以内の売却で使える特例控除と節税対策について解説しています。
土地売却ではどんな税金を支払うの?特例控除やシミュレーションを解説
相続した土地の売却にはどんな税金がかかる?
相続した土地を売却する場合、自分で購入した土地を売却するケースと比べて、多くの種類の税金がかかります。
以下は、相続した土地の売却にかかる税金の種類になっています。
▼相続した土地の売却にかかる税金の種類
種類 | 概要 | 相場 |
---|---|---|
登録免許税 | 相続による土地の名義人の変更をする登記 | 土地の固定資産税評価額 × 0.4% |
土地に設定された抵当権を抹消する登記 | 土地1筆にあたり1,000円 | |
印紙税 | 土地の売買契約で発生する税金 | 1万~5万(売却代金に応じて異なる) |
所得税 | 売却益に対してかかる税金 |
|
住民税 |
| |
復興特別所得税 | 平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得にかかる税金 | 所得税の2.1%相当額 |
消費税 | 譲渡費用(仲介手数料や測量費等)にかかる税金 | 譲渡費用の10%相当額 |
登録免許税
土地売却における登録免許税は、相続登記・抵当権の抹消登記の際などに必要です。
種類 | 概要 | 計算式 |
---|---|---|
相続登記 | 相続による土地の名義人の変更をする登記 | 土地の固定資産税評価額 × 0.4% |
抵当権抹消登記 | 金融機関が土地を担保にするために設定した権利(抵当権)を抹消する手続き | 土地1つにつき1,000円 |
相続登記とは、土地の名義を被相続人から相続人(売主)へ変更するための登記です。
相続した土地は名義が被相続人のままになっているケースが多いので、名義変更が必要かは確認してください。
相続登記にかかる登録免許税は『固定資産税評価額×0.4%』で金額が決まります。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地の相続登記にかかる登録免許税は「1,000万×0.4%」で4万円になります。
抵当権抹消登記は、相続した土地に抵当権が設定されている場合のみ必要になります。
住宅ローンを完済している土地でも、抵当権抹消登記がなされていないと、土地の抵当権は消えません。抵当権の設定されている土地は原則売却不可なので、売却するためには抵当権抹消登記が行われているかを確認して実施しましょう。
印紙税
印紙税とは、売買契約手続きにかかる税金のことです。具体的には、売買契約書や領収書を作成する際に課せられます。
印紙税は契約書1通ごとに課税され、収入印紙を売買契約書に張り付けて納税します。
印紙税の金額は、契約金額(土地の売却価格)に応じて異なります。
なお、平成26年4月1日~令和6年3月31日の売買契約では、軽減税率が適用されます(右端の欄をご参照)
契約金額(土地の売却価格) | 本来の税率の税額 | 軽減税率の税額 |
---|---|---|
10万円を超え 50万以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
(参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」より、一部抜粋して作成)
所得税・住民税・復興特別所得税
土地の売却で「利益(譲渡所得)」が出た場合には、「譲渡所得税」と「住民税」が課税されます。 いずれも、支払うタイミングは土地売却の翌年です。所得税・住民税を合わせた税率は、所有期間が5年を超えるときは約20%、5年以下なら約40%です。
所得税・住民税・復興特別所得税の決まり方はやや複雑なので、以降の章で解説しています。
相続した土地の売却で出た利益にかかる税金
土地売却で出た利益(=譲渡所得)には譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)がかかります。
譲渡所得に税率をかけると譲渡所得税が決まる
譲渡所得税は譲渡所得と税率によって決まり、譲渡所得は売却代金と費用、税率は土地の所有期間に応じて決まります。
譲渡所得税
= 譲渡所得 × 税率
譲渡所得
= 売却代金 ー 費用(譲渡費用 + 取得費)
譲渡費用 |
---|
土地を売るために使用した
|
取得費 |
---|
土地を購入するために使用した
|
具体的には、5年を超えている場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」とされ、所得税と住民税で税率は以下のようになります。
譲渡所得の種類 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 (所有期間5年以下の場合) | 30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 (所有期間5年超の場合) | 15.315% | 5% | 20.315% |
※所得税に関しては平成25年から24年間(令和19年)まで、復興特別所得税が加算されます。復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興財源に充てるため、2013年1月1日~2037年12月31日まで、通常の所得税に上乗せして徴収される特別税で、税率は2.1%です。
取得費が不明なら「概算取得費」を使う
相続した土地の場合、被相続人がいくらで土地を購入したのかがわからない(=取得費がわかる資料が残っていない)ケースが多いです。
取得費が不明の場合は、『概算取得費』(売却代金×5%)で計算します。
例えば、売却代金が3,000万円なら、概算取得費は「3,000万×5%=150万」となります。
所有期間は被相続人から引き継ぐ
所有期間は被相続人から引き継ぐことができます。
例えば、被相続人が20年所有していた土地を相続から1年後に売却する場合、所有期間は21年とみなされ、長期譲渡所得の税率が適用されます。
なお、所有期間は「土地取得日から売却年の1月1日までの年数」です。
例えば、被相続人が2014年10月1日に取得した土地を相続人が2023年2月1日に売却した場合、所有期間は「2014年10月1日~2023年2月1日」で4年4カ月となります。
相続した土地の売却にかかる税金の計算例
本章では、相続した土地の売却にかかる税金の計算例を2つのケースにわけて解説します。
取得費不明の土地を相続して売却する場合
取得費不明の土地を相続して売却する場合は、『概算取得費』で計算します。
- 親(被相続人)の所有期間:20年
- 子供(相続人)の所有期間:1年
- 売却価格:3,000万円
- 譲渡費用:300万円
- 取得費:不明
上のケースの場合、概算取得費は『3,000万×5%=150万』になります。
概算取得費を適用すると、所得税と住民税の計算式は以下のとおりです。
所得税
=(売却価格ー譲渡費用ー取得費)×税率
=(3,000万ー300万ー150万)×0.15315
=2,550万×0.15315
=約390万円
住民税
=(売却価格ー売却費用ー取得費用)×税率
=(3,000万ー300万ー150万)×0.05
=2,550万×0.05
=約127.5万
取得費が3,000万の土地を相続して売却する場合
取得費が3,000万の土地を相続して売却する場合は、『概算取得費』で計算します。
- 親(被相続人)の所有期間:3年
- 子供(相続人)の所有期間:2年
- 売却価格:4,000万円
- 譲渡費用:300万円
- 取得費:3,000万円
親と子供で合計所有期間が5年なので、短期譲渡所得の税率を適用して計算します。
所得税
=(売却価格ー譲渡費用ー取得費)×税率
=(4,000万ー300万ー3,000万)× 0.3063
= 700万× 0.3063
=約214万円
住民税
=(売却価格ー売却費用ー取得費)×税率
=(4,000万ー300万ー3,000万)× 0.09
=700万× 0.09
=約63万円
相続開始から3年以内に土地を売却すると使える控除
前章で解説したとおり、相続開始から3年以内に売却すると、控除によって支払額を抑えることができます。
代表的な控除として、次の2つがあります。
▼相続開始から3年以内に土地を売却することで使える控除
種類 | 適用期日 | 控除額 |
---|---|---|
取得費加算の特例 | 相続開始から3年10カ月以内 | 相続税額の一部 |
相続空き家の3,000万円特例控除 | 相続開始から3年以内 | 最大3,000万円 |
※両者は併用不可となっています
相続税の納税者なら「取得費加算の特例」
「取得費加算の特例」とは、譲渡所得を計算する際の取得費に、土地にかかった相続税を加算することができる特例です。
▼特例を受けるための条件(一部)
- 相続や遺贈によって財産を取得した者であること
- その財産を取得した者に相続税が課税されていること
- 相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)から3年を経過する日までに売却すること
ポイントは、相続税の納税者でなければ利用ができないということです。
相続税は約8%程度のひとしか納税義務がありません。つまり、ほとんどの人は取得費加算の特例を利用できないこととなっています。また、利用するには「相続税の申告期限から3年を経過する日まで(=相続開始から3年10か月以内)に売却」する必要があります。
相続税の申告期限は相続開始(被相続人が死去した日)から10か月以内です。つまり、特例を利用するためには「相続開始から3年10か月以内」に土地を売却することになります。
▼取得費加算の特例を適用したときの譲渡所得の計算式
=売却価格-取得費-譲渡費用-取得費に加算する相続税額
また、取得費に加算する相続税額は、以下の計算式で求めます。
=売却した土地の相続税課税価格 / 相続税全体の課税価格 × 納めた相続税額
No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 をご覧ください。
相続空き家を取り壊した場合は「3,000万円特例控除」
3,000万円特例控除は、譲渡所得から最大3,000万円分を控除できる特例です。
▼特例を受けるための条件(一部)
- 被相続人の居住の用に供されていた家屋や土地であること
- 相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日に属する年の12月31日までに売却すること
- 相続から売却までのあいだに、事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと
- 区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
- 建物を取り壊している場合、相続から取り壊しまでのあいだに、事業の用、貸付の用または居住の用に供されていないこと
注意したいのは、昭和56年5月31日以前に建築された建物に限定されることと、相続から売却まで、居住用に利用されていない土地であるということです。
新しい建物が建っていた土地や、一度でも住んだりしてしまうと、特例はうけられないため気をつけましょう。
▼3,000万円特別控除を適用したときの譲渡所得の計算式
=売却価格-取得費-譲渡費用-3,000万円(特別控除)
No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 をご覧ください。
相続した土地売却でいつでも使える節税対策
相続開始から3年以内に使える特例控除の要件に該当しなくても、節税することは可能です。
本章では、相続開始からの期間に関係なく、いつでも使える節税対策を解説しています。
▼相続した土地売却でいつでも使える節税対策
- 取得費がわかる資料を取り揃える
- 譲渡費用を漏れなく計上する
- ふるさと納税を利用する
取得費用がわかる資料を取り揃える
取得費用がわかる資料を用意しましょう。
概算取得費で計算する方法もありますが、概算取得費で計算すると譲渡所得が大きくなってしまいます。よって、取得費用がわかる資料をみつけることが節税には有効です。
購入時の売買契約書が紛失している場合は、代わりに以下の方法で資料を取り揃えましょう。
【取得費用の参考になる資料の取得方法】
- 分譲地の場合、当時の販売ディベロッパーから購入当時の売買契約書の写しをもらう
- 当時仲介してくれた不動産会社や売主から購入当時の売買契約書の写しをもらう
- 通帳の出金履歴から購入額を推測する
- 住宅ローンの金銭消費貸借契約書から購入額を推測する
- 抵当権設定額から購入額を推測する
- 一般財団法人日本不動産研究所が公表している市街地価格指数から土地の取得費を算定する
また、購入時の売買契約書以外を取得費とする場合には、事前に必ず税務署に相談するようにしてください。
また、取得時の費用が判明している場合、一部の費用について取得費用に加えることができます。
費用によって取得費用を若干大きくすることができますので、節税に繋がります。
取得費用に加えることができる費用は以下のような項目です。
【取得費用の参考となる資料の例】
- 相続の際の不動産の登記費用(売却のために行った名義変更費用)
- 取得時の仲介手数料
- 取得時の売買契約書に貼付けした印紙代
- 取得時の登録免許税
- 取得時に司法書士へ支払った手数料
- 取得時の不動産取得税
- 取得に際して支払った立退料・移転料
- 取得のための測量費
- 取得のための建物の取り壊し費用
- 購入時の整地、埋立て、地盛りの費用、下水道、擁壁の設置費用
該当するものがある場合には、ぜひ活用してください。
譲渡費用を漏れなく計上する
譲渡費用を漏れなく計上することも節税対策となります。
計上できるものは、以下のような項目です。
【譲渡費用に計上できる費用】
- 売却時の仲介手数料
- 売買契約書の印紙代
- 売却のために広告した場合の広告料
- 売却のために測量した測量費
- 売却のために鑑定をした場合の鑑定料
- 売却のために借家人を立退かせるために支払った立ち退き料
- 買主の登記費用を負担した場合はその負担額
- 土地を売るために、その土地の上の建物を取り壊した場合、建物の取得費と取り壊し費用
- すでに売買契約を締結していたが、さらに有利な条件で他に売却するため、その契約を解除した場合の違約金
- 売却のために行った建物の補修費
- 買主との交渉のために要した交通費、通信費等
- 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
土地売却の費用はいくら?手数料や税金など仕訳や計算方法を紹介
ただし、以下は加えることができないため注意してください。
【売却費用(譲渡費用)として認められない支出】
- 抵当権抹消費用
- 遺産分割のために要した支出
- 移転先家屋の購入費、修繕費、移転費用等
- 譲渡資産の維持管理費等
- 引越代
ふるさと納税を利用する
譲渡所得では所得税と住民税が発生しますので、ふるさと納税を利用することで節税を行う方法もあります。
ふるさと納税とは、自治体へ寄附をすることで、原則として寄附金額から2,000円を引いた金額が翌年の住民税から控除および所得税から還付される制度です。
ふるさと納税は節税だけでなく、寄付した自治体から返礼品がもらえるという点が最大のメリットです。
ふるさと納税には税金を控除できる「ふるさと納税控除上限額」が存在します。
控除条件額は所得が高くなるほど増えるため、譲渡所得が発生した年はふるさと納税控除上限額も増えることになります。
ふるさと納税控除上限額が増えれば、少ない自己負担で高額な返礼品をもらえるメリットが出てくるため、普段ではできないような自治体へも寄付できるようになります。
平成21年・22年に取得した土地を売却したなら1,000万円控除
平成21年に取得した土地(及び権利)を平成27年以降に譲渡した場合、または平成22年に取得した土地(及び権利)を平成28年以降に譲渡した場合、得られる譲渡益に対して最大1,000万円の控除を受けることができます。
また、その譲渡益の金額が1,000万円に満たない場合には、その譲渡所得の金額が控除額になります。
ただし、親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係にある人、または特殊な関係の法人など特殊な間柄にある人から取得した土地・相続や贈与された土地に対しての控除は適応されません。
控除を受けられる要件は以下の通りです。
- 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地等を取得していること
- 平成21年に取得した土地等は平成27年以降に譲渡すること、また、平成22年に取得した土地等は平成28年以降に譲渡すること
- 親子や夫婦など特別な間柄にある者から取得した土地等ではないこと
- 特別な間柄には、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれる
- 相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済および所有権移転外リース取引により取得した土地等ではないこと
- 譲渡した土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど他の譲渡所得の特例の適用を受けないこと
No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
低未利用土地を売却したなら100万円控除
令和2年7月1日から令和4年12月21日までの間に個人が都市計画区域内にある低未利用土地等を売却した場合、譲渡所得から最大100万円を控除することができます。
また、譲渡所得の金額が100万円に満たない場合には、譲渡所得がゼロになるため非課税となります。
居住や事業、その他の用途に利用されていない土地(及び権利)、利用されていても周辺地域の同じ用途の土地に比べて利用の程度が著しく劣っている土地(及び権利)のこと
たとえば空き地、空き家・空き店舗、耕作放棄地、管理を放棄された森林など
控除を受けられる要件は以下の通りです。
- 令和2年7月1日から令和4年12月21日までの間における都市計画区域内にある土地の売却であること
- 売った年の1月1日において所有期間が5年を超えること
- 売却相手が親子や夫婦など特別な関係にある人でないこと(法人も含む)
- 土地にある建物なども含めた売却価格が500万円以下であること
- 売却後に土地の利用がされること
No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除 をご覧ください。
分筆された土地である場合、一筆であった土地から分筆された他の土地が前年・前々年にこの特例の適用を受けている場合は適用を受けることができません。
また、これ以外の土地収用に関する控除(後の節で紹介します)や課税の繰り延べなど、他の譲渡所得に関する課税の特例との併用はできません。
なお、土地売却で受けられる控除については、次の記事でより詳しく解説しています。
相続から売却後に納税するまでの流れ
相続開始:遺言書の有無を確認する
被相続人が亡くなり、相続が開始したら、まずは遺言書の有無を確かめましょう。
- 遺言書がある場合⇒基本的に遺言書に従って遺産分割する
- 遺言書がない場合⇒法定相続人で遺産分割協議をする
遺言書には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があります。
このうち「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」の場合は、開封する前に家庭裁判所で検認してもらう必要があります。
「公正証書遺言」の場合は、原本が公証役場に保管されているため、検認は不要です。
また、公正証書遺言は公証役場に原本が保管されており、お近くの公証役場のネット検索で保管先の公証役場を探せます。
遺言が遺されていることがわかったら、手続きをして正本・謄本の再発行の請求ができます。
相続する財産と相続人を確認する
次に、相続する全ての財産と相続人を確認しましょう。
財産には、不動産や預貯金、有価証券、保険金のような「プラスの財産」だけでなく、借金やローン残債、被相続人の葬儀費用といった「マイナスの財産」も合わせて相続します。
被相続人が財産目録を遺していない場合、所有している不動産を確認するには、市区町村で「名寄帳」の交付を申請するのがおすすめです。
遺言書がない場合や、遺言書の記載に漏れていた財産があった場合は、法定相続人で遺産分割協議をして財産を分け合います。
分け方を決めるために、まずは「誰が法定相続人か」を確認しましょう。
民法で定められている、遺産の相続人になれる人のこと。被相続人との関係に基づいて、優先順位が決まっている。
被相続人の配偶者は、必ず相続人になります。
更に、第一順位の人がいれば第一順位の人が、第一順位の相続人がいなければ第二順位の人が、第二順位の人もいなければ第三順位の人が、相続人となります。
また、相続人にあたる順位の人が先に亡くなっている場合は、直系卑属(子の場合は孫)が「代襲相続」をして、相続人となります。
遺産分割協議:財産の分け方を決める
相続する財産と相続人を把握できたら、遺産分割をします。
遺言書がない場合には、法定相続人全員で遺産分割協議を行います。
また遺言書と異なる遺産分割をしたい場合や、遺言書に記載のない財産を分ける場合も、遺産分割協議をします。
遺産分割協議は、必ずしも全員が同じ場に集まって話し合う必要はありません。
遠方の相続人がいる場合は、電話やLINE、Zoomなどのインターネット通話を活用して話し合いをしましょう。
ただし、遺産分割協議で決定する内容には、法定相続人全員の合意が必要です。
遺産分割の方法や相続する割合は、法定相続人の間で合意があれば、自由に決められます。
なお、遺産分割の方法には4つの種類があります。
遺産分割の方法 | 概要 |
---|---|
現物分割 | 相続人が個別の遺産(不動産、証券、預貯金など)をそれぞれ相続する |
代償分割 | そのままでは分割できない遺産(不動産、預貯金、車など)を一部の相続人が相続し、他の人には相続分の金銭を代償として支払う |
換価分割 | そのままでは分割できない遺産(不動産、車など)を売却した代金を、相続人で分割する |
共有分割 | 遺産を共有名義にしたり、権利を等分して相続する |
相続登記:土地を名義変更する
遺産分割協議によって、不動産を相続する人が決まったら、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続きをします。これを「相続登記」といいます。
不動産を換価分割する場合は代表者の名義に、共有名義で相続してから売却する場合は共有する人全員の名義に変更します。
手続きは自分でも行えますが、用意しなければならない書類が多いため、司法書士への依頼がおすすめです。
相続登記には、準備から法務局での手続きの完了までに数週間から長くて2ヶ月ほど時間がかかります。
不動産を売却する場合、名義変更が完了していないと買主との契約を行えないため、気をつけましょう。
相続した不動産の名義変更については、更に詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
相続した不動産の売却前には名義変更が必要!しないリスクと手続きを解説
相続税を申告・納税する
相続する財産の総額が、基礎控除額を超える場合には、相続税の申告と納税が必要です。
相続財産の総額が基礎控除額内であれば、申告は不要です。
- ▼相続税の基礎控除額の詳細はここをクリック
なお、配偶者控除やその他の特例を利用して基礎控除内に収まる場合は、申告が必要です。
相続税の申告と納税の期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。
不動産も相続税の課税対象となりますが、計算をするためには「相続税評価額」を求める必要があります。
不動産の相続税評価額は、建物は固定資産税評価額を参照します。
土地の相続税評価額は「相続税路線価」を用いて算出します。
相続税評価額とは?計算対象とその方法、節税のポイントや注意点を解説
土地を売却する
相続した土地を、以下の方法のいずれかで売却します。
- 知人や親族に売却する(個人売買)
- 不動産会社に「仲介」を依頼して売却する
- 不動産会社に「買取」を依頼して売却する
不動産会社に依頼して売却する場合は、まず「土地査定」を受けることになります。
不動産がいくらで売れそうか、実際の状態を見ながら、売却予想額の見積もりをしてもらいます。
不動産査定は名義変更が完了する前でも受けられます。
スムーズな売却を目指したい場合は、早めに査定依頼をしておきましょう。
査定依頼は最大4社までになるので、「たくさん連絡が来て困る…」といった心配もなく利用できます。
確定申告・納税する
売却後に利益または損失が出た場合は確定申告を行います。
サラリーマンでも、確定申告をしなければなりません。
申告は、売却をした日の翌年2月16日から、3月15日までに行います。
また、売却益(譲渡所得)が出た場合には、譲渡所得税(所得税と住民税)が課税されます。
納税時期は、所得税が確定申告と同期間の3月、住民税は6月となっています。(口座振替で所得税を納付する場合、4月下旬に引き落としされます。)
その際、売却にかかった費用の領収書が必要になるので必ず全て保管しておきましょう。
相続した土地を売却したいならすまいステップ
相続した土地の売却をご検討中の方は、一括査定サイトの「すまいステップ」がおススメです。
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