不動産の売却を検討している場合、まずは売却を依頼する不動産会社の選別からスタートするでしょう。全国にはたくさんの不動産会社があるため、どのような企業を選択すればよいか迷ってしまう人も多いはずです。
大手と呼ばれる企業の方がなんとなく安心感がありますが、地域に根付いた企業のほうが情報力があるような気もするという人もいるでしょう。
そこでこの記事では、大手不動産会社を選ぶべきかどうかについて解説します。大手企業と中小企業との比較についても行いますので参考にしてください。
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大手不動産会社で売却するメリット
まずは、大手不動産会社に売却を依頼する場合のメリットについて解説します。大手企業と中小企業の選択で迷っている場合は、まずメリットについて理解しましょう。検討材料のひとつとして利用してください。
顧客の幅が広い
大手不動産会社は、顧客の数が多い点が特徴です。取り扱ってきた物件数も多く、顧客層の幅も広いため豊富な顧客情報量を有しています。売却方法についても、取り扱い実績が多いことからさまざまな選択肢を提案してもらえる点はメリットといえるでしょう。
できるだけ早くよい条件で売却したい場合には、大手不動産会社を選択するのもひとつの方法です。
広告費をかけられる
資金力の強さは、大手ならではの大きなメリットです。資金力があれば大々的な広告を出すことも可能になります。ネットやラジオ、場合によってはテレビなどの媒体を利用して広告を打ち出すことも可能です。
多くの人に物件情報を提供することができるため、幅広い層からの購買希望者を募ることができるでしょう。購入希望者が多い方がよい条件で売れる可能性が高くなるため、売り主にとってはメリットが大きいといえます。
サービスやオプションが豊富
大手不動産会社は、従業員数も多く、多くのサービスやオプションを提供してもらえる可能性が高い点がメリットです。
売却の際にしておきたいハウスクリーニングも、プロに依頼することができるサービスもあります。最近では、ハウスクリーニングや設備補修、瑕疵(かし)担保保険、インスペクションなどを無料で行ってくれる企業も増えつつあります。
以下に簡単に無料サービスの内容をまとめておきます。
無料サービス | 内容 |
ハウスクリーニング | プロの清掃会社が自宅を掃除してくれる |
ホームステージング | 家をモデルルームのように演出してくれる |
荷物の一時預かり | 内覧の際に邪魔になる荷物を一時的に預かってくれる |
設備補修保証 | 売却後に設備の不具合などが見つかった時の補修と保証 |
内装補修 | 床の傷や壁紙などの補修をしてくれる |
インスペクション | 専門家による建物の目視検査をしてくれる |
瑕疵担保保険の付与 | 売却後に欠陥が見つかった場合の補修に関する保険を付与してくれる |
本来であれば自己負担で行わなければならない手続きや作業を、ひとつでも無料で行ってもらえるのは嬉しいサービスです。
トレンドを把握している
大手不動産会社ならではの情報力を使って、市場の動向を常に把握している点もメリットといえるでしょう。市場のトレンドを把握していると、売却活動もスムーズに展開できます。特に若い人は大手に依頼する傾向が強いため、購入希望者の情報が大手に集まりやすい傾向にあります。
買い手情報を多く持っているということは、売却力があるということです。売り主にとっては、少しでも早くよい条件で売れたほうがよいため、トレンドを把握している大手不動産会社に依頼するとメリットが大きいといえるでしょう。
組織力がある
大手不動産会社は従業員数が多く、営業スタッフの教育もしっかりと行われているケースがほとんどです。売却活動を行う上で、営業スタッフとのやり取りはとても大切なものになってきます。
営業スタッフが頼りなければ、こちらも不安になります。しっかりと教育された頼れるスタッフに出会える可能性が高いのが大手に依頼するメリットといえるでしょう。
もし担当者が不在の場合でも、ほかのスタッフが迅速に対応してくれる点もメリットのひとつです。
大手ならではの安心感
大手不動産会社は、広告やCMで普段から認知されている度合いが高い企業です。そのため、安心感を持てるという点もメリットといえるでしょう。
買い手側も大手思考が強い人が多いため、買い手情報も自然と集まります。大手独自のブランド力が、買い手にとっても売り手にとっても安心感を与える点はメリットになります。
大手不動産会社で売却するデメリット
大手不動産会社に売却を依頼するには、たくさんのメリットがあることを解説しました。とはいえ、大手だからといって手放しで安心できるかというとそうではありません。
ブランド力や売却力に優れているのは確かですが、いくつかのデメリットもある点は理解しておきましょう。
囲い込みに合う可能性がある
不動産会社による囲い込みとは、売却を請け負っている不動産会社が、ほかの不動産会社から買い主の情報を提供されても勝手に断ってしまうことを指します。
不動産売却では、仲介を依頼していない不動産会社が買い主を見つけても問題はありません。ただ、売り主と買い主で不動産会社が異なる場合、仲介手数料が片方からしかもらえないという問題が、不動産会社側に起こります。
本来であれば、売り手と買い手の両方から仲介手数料がもらえるところ、片方からになってしまえば企業は損をすることになります。売り手と買い手の両方をひとつの不動産会社が見つけることを両手仲介と呼びます。
この両手仲介を達成するために囲い込みを行う企業も少なくありません。特に、大手不動産会社はノルマが厳しいことが多いため、両手仲介を達成したいという気持ちから囲い込みを行うケースもあるということは理解しておきましょう。
顧客対応がドライと感じることも
大手不動産会社は、取り扱っている案件が大量である点が特徴です。そのため、1人のスタッフが何件もの売却案件を担当していることも少なくありません。
すると、個々の対応に対してあまり時間をかけることができないケースも出てきます。そういった際に、中小企業のスタッフに比べて対応がドライに感じてしまうこともあるでしょう。もう少し聞きたいことがあるのに、なんとなく聞きにくい雰囲気を感じてしまう点などはデメリットといえます。
地元の詳細なデータがあまりない
大手不動産会社は、全国規模で店舗を展開しているケースがほとんどです。そのため、広範囲の情報に関しては情報力を発揮できます。ただ、地域に根付いた詳細な情報については弱いことが多いという点がデメリットといえます。
条件がよい方に力を入れやすい
都市部に支店を構えることが多い大手不動産会社には、金額の大きい物件を取り扱うことが多くあります。顧客数が多数におよぶため、不動産会社にとって条件がよい案件を優先する傾向があります。
地方の価格が低い物件などについては、仲介手数料が少ないという点から優先度が低くなる可能性があることはデメリットといえるでしょう。
中小の不動産会社で売却するメリット
では、中小企業に売却を依頼するメリットはどこにあるのでしょうか。大手ほど知名度があるわけではなく、広告力もさほどないかもしれませんが、中小には中小のよさがあります。ここでは、中小不動産会社のメリットについて解説します。
地元情報に精通している
中小企業は、地域密着型の企業が多くあります。地域での売却実績が豊富な点がメリットです。地域にしかわからない情報や独自のルールが手に入りやすいため、地元で売却活動を展開したい人にとってはメリットが多いでしょう。
大手よりも柔軟性が高い
従業員が多く、サービス内容が充実している大手不動産会社ですが、サービスが一辺倒になりやすいというデメリットがあります。それに対して中小企業は、従業員数は少ないかもしれませんが、1人のスタッフが抱える案件が少なく、ひとつひとつの売却活動に対して柔軟に対応してくれる可能性が高いです。
こちらが気になっている点についても、親身になって相談に乗ってくれるケースも多いのが中小企業の特徴といえるでしょう。
片手仲介の可能性が高い
大手不動産会社では、囲い込みが行われる可能性がデメリットであると解説しました。中小不動産会社の場合は顧客数が大手よりも少ないため、囲い込みが行われる可能性が少ない点はメリットです。
親身になって対応してくれる
地元での評判が大きな影響を与える中小企業では、地元での信頼をもっとも重要視します。そのため、顧客に対してとても親身になって対応してくれる企業が多くあります。
駅近で社長自らが営業に回るような不動産会社も多く、やる気を感じられる企業も多いでしょう。信頼できて安心感のあるスタッフがいる不動産会社を選びたいなら、中小企業を選択するのもひとつです。
中小の不動産会社で売却するデメリット
信頼を第一に考える中小不動産会社ですが、利用するにはデメリットもあります。店舗によって対応が異なることが多い中小不動産会社ですが、利用する前にデメリットについてもしっかり理解しておきましょう。
資金が少ない
大手不動産会社に比べて資金力が弱いのが中小不動産会社です。そのため、大手ほど大々的な広告を打ち出すことはできません。広告については大手の方が料金が安く、中小の方が高くなる傾向があります。
そのため、中小不動産会社は広告が出しにくいというデメリットがあります。
顧客数が少ない
中小不動産会社は、大手と比較して顧客数が少ない点が特徴です。店舗数自体が少ないため、どうしても顧客数も少なくなります。顧客数が少ないという点から考えると、買い手の選択肢が狭まる点はデメリットといえるでしょう。
得意不得意がある
中小不動産会社は専門性の強い点がメリットではありますが、逆に専門外の分野もあるという点がデメリットになります。従業員の数が大手よりも少ないため、得意分野が限定されるということです。
機動力は高いですが、不得意分野となると専門性に欠けるため売却に時間がかかることもあります。中小不動産会社はそれぞれで得意分野が異なるため、自分が売却したい物件を得意とする不動産会社を見つけることがポイントとなります。
情報量が少ない
大手不動産会社は全国展開しているケースが多いため、情報量の多さでは中小不動産会社に比べて有利です。中小不動産会社は、地元の情報には強いというメリットはあります。ただ、そのほかの情報については収集する手段があまりないため、情報量が少ない点はデメリットといえるでしょう。
大手と中小どちらにするか選ぶポイント
ここまで、大手不動産会社と中小不動産会社のメリット・デメリットについて解説してきました。詳細を把握してみて、どちらを選択すればよいかある程度、目星がついた人もいるでしょう。ここでは、大手と中小のどちらにするか選ぶ際のポイントについて解説します。
人気エリアの物件を売却する人
都市部や人気の高いエリアにある物件を売却する予定の人は、大手不動産会社を選ぶことをおすすめします。全国展開しているケースが多い大手の場合、全国から人気エリアに引っ越したいと考えている人の情報を保有している確率が高いからです。
新興住宅地などの場合も、地元の人よりも遠方から引っ越してくる人の需要の方が高い可能性があります。幅広く広告を打ち出すことができる大手であれば、買い手の情報を多く集めることができるためおすすめです。
田舎の不動産を売却する人
郊外や田舎の物件を売却したいと考えている人は、中小不動産会社を選ぶことをおすすめします。また、築年数が経過している物件についても中小のほうがよいでしょう。
中小不動産会社は、地域の特性をしっかりと理解しているため地元の企業や投資家に物件を紹介してもらえる可能性が高くなります。
大手の場合は都市部の大型物件を優先し、地方の物件の優先順位が低くなる可能性が高くなります。そのため、地方の物件であれば中小不動産会社に依頼することをおすすめします。
不動産会社の選び方
不動産会社を選ぶ作業は、とても大変な作業です。大手不動産会社から中小不動産会社まで、全国には数多くの不動産会社が存在します。その中から契約を進めたい1社を絞り込むのは、手間がかかります。
自分が売却したい不動産の特徴や売却期限などを明確にした上で、その条件をしっかりと理解して売却活動をしてくれる不動産会社を見つけるためには、どうすればよいでしょうか。
時間がない、あまり手間をかけたくないという人には、一括査定サイトの利用がおすすめです。一括査定サイトなら、一度自分の希望の条件などを入力するだけで、全国の不動産会社の中から複数の会社に一斉に査定を依頼することが可能です。
すまいステップは、独自の基準で優良な不動産会社のみと提携しています。大手から中小まで幅広い不動産会社と提携しています。そのため、個々の条件に合わせた不動産会社を自動的に複数社まで絞り込んで査定を依頼することが可能です。
状況にあわせて不動産会社を選ぼう
不動産会社選びは、難しい作業です。大手不動産会社、中小不動産会社のどちらを選ぶかというところからスタートして、1社まで絞り込むにはそれなりの労力が必要となります。
大切なのは、売却したい不動産がどのような条件のものかをよく理解することです。どんなエリアにある物件で、築年数はどのくらいなのか、いつまでに売却したいのか、いくらくらいで売却したいのか、こうした条件を書き出してみましょう。
そして、自分の条件にあった不動産会社は、大手なのか中小なのかをしっかりと判断しましょう。