離婚に伴い、家を売ろうと思った際、どのようにして家を売却すればいいのでしょうか。
離婚で家を売る際のポイント
- 離婚で家を売る際に残ったローンの返済義務は名義人にある
- 離婚で家を売却した際に得られるお金は、夫婦で分ける
- 離婚後に売却で得たお金を受け取る場合は税金がかからない
本記事では、家の売却に適したタイミングや、ローンやお金に関する問題について詳しく説明します。
離婚で家を売却するタイミング
家の売却は離婚する前に行うべきか、離婚後に行うべきなのか、最適なタイミングについて説明します。
連絡を取りたくない、安くていいなら離婚前
家の売却は3か月〜半年程度かかります。売却期間中は、何かと互いに連絡を取り合う必要が出てきます。
そのため、離婚後に相手と連絡を取りたくないのであれば、離婚する前の売却をおすすめします。
ただし、離婚前に家を売却する場合、少しでも早く離婚したい気持ちから、売り出し価格を低く設定することが多いです。
こういった場合、買手は早い段階で見つかりますが、売却価格は相場よりも安くなってしまいます。
連絡を取っても構わない、少しでも高く売却したいなら離婚後
離婚後も、相手と最低限の連絡をとっても構わないのであれば離婚後の売買がおすすめです。
特に売却を急ぐ必要がない場合、売却活動や購入希望者との交渉が十分に行えるため、希望に近い価格での売却が可能になります。
よって、少しでも高く家を売却したいのであれば離婚後の売却がおすすめです。
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離婚で家を売却する際のローンについて
離婚で家を売却する際、住宅ローンが残っている場合はどのような対応をすべきなのでしょうか。
そもそもローンが残ってるのに売却は可能?
結論から言いますと、住宅ローンが残っていても売却は可能です。
ですが、前提として売却代金でローンを完済する必要があります。ローンの完済が難しい場合は、自己で負担し完済するか、住み替えを検討する場合、住み替えローンを利用するのが一般的です。
ローンを完済できない場合はどうなる?
離婚で家を売却する際、売却代金で住宅ローンの完済が難しい(オーバーローン)の場合、残りのローンを返済する義務を負うのは、住宅ローン契約時の名義人です。
仮に、残ったローンを折半すると約束した場合であっても、事実上の支払い義務を負うのは契約時に名義人としてサインをした人になります。
離婚で家を売却した際のお金について
ここでは、離婚で家を売却した際に得られるお金について詳しく説明します。
売却で得たお金は誰のもの?
離婚に伴い、家の売却で得たお金は、財産分与の対象となり、夫婦で折半します。
財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することをいいます。そのため、結婚前に購入した家は財産分与の対象外になります。
例えば、夫名義で購入した家も、財産分与の対象となり、原則として2分の1ずつ分け合います。 ただし、住宅ローンが残っている場合、売却額からローンの残高を差し引いた残額が財産分与の対象になります。
離婚後に売却で得たお金に税金は発生する?
離婚後に売却で得たお金を分けた場合、贈与税は発生しません。つまり、離婚後に財産分与として売却代金の50%を渡す行為は非課税になります。
一方で、離婚前に家を売却して代金の50%を受け取った場合、贈与にあたり贈与税が発生します。
離婚で家を売却する3つの手段
離婚に伴い、家を売却する方法は主に以下の3つがあります。
仲介
家の売却で最も一般的な方法です。不動産会社に仲介を依頼し、買主を探してもらいます。
仲介の場合、もっとも高い価格での売却が可能になります。なお、売却価格は仲介する不動産会社の腕も問われるため売却に強い不動産会社に依頼するようにしましょう。
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買取
買取は個人に対して売買を行うのではなく、家の買い取りを専門としている業者に家を買い取ってもらいます。
そのため、なかなか買主が見つからない場合や、できるだけ早く家を手放したいといった人に向いています。
買取は最短1週間で売買契約ができ、1か月で残代金の決済までを完了できます。ただし、売却価格は、相場の6~8割程度になります。
リースバック
家を売却したいと考えているものの、「子供の転校は避けたい」など、様々な事情から今の家に住み続けたいという人も少なくありません。
こういった場合の売却方法として、リースバックがあります。リースバックとは、不動産会社やファイナンス会社が家を買い取り、売却後は業者と賃貸契約を交わし、毎月家賃を支払いながら住み続ける方法です。
リースバックは買い手が業者となるため、時間をかけずに素早く売却できるというメリットがあります。また、一時的に大金が手に入ります。もちろん、売却で得たお金は財産分与で折半されます。
離婚で家を売却する際の注意点
ここでは離婚に伴い、家を売却する際の注意点をまとめています。
共有名義の場合は全員の同意が必要
共有名義で家を所有している場合、売却時には名義人全員の同意が必要になります。したがって、共有名義の場合、個人の判断で勝手に売却することができません。
そのため、離婚後に家を売却しようと思った際、一方と連絡を取り同意をもらう必要があります。
「別れた相手と連絡を取りたくない」「連絡先が分からない」といった理由から売却をスムーズに行えなくなる可能性があるため、家の所有者が共有名義の場合、離婚する前に一度持ち家について話し合いましょう。
家の売却は離婚成立後2年以内に行う
家の売却は離婚成立2年以内に行うようにしましょう。
離婚成立から2年が経つと、財産分与の請求権が失効してしまいます。そのため離婚成立から2年以内の売却を見据えて、早めに対策をする必要があります。
前述のとおり、家の売却には半年ほどかかることがほとんどです。そのため、離婚が決まったらなるべく早く家をどうするかを話し合う必要があります。
財産分与は離婚後に行う
家の売却で得た現金を分ける場合は、離婚後にしましょう。
離婚前に財産を分けると「贈与」と見なされ、受け取ったほうに「贈与税」が課される場合があります。しかし、離婚後であれば「財産分与」となり贈与税の対象にはなりません。
離婚で家を売却する場合のトラブル事例
離婚時の家売却では様々なトラブルがあります。
トラブル事例①:離婚後に初めて知る。自分は連帯保証人だった!
離婚して10年以上過ぎ、再婚した夫との間に子供も生まれたS子さん。幸せな家庭の主婦となり、以前の結婚生活のことはすっかり忘れていた。
元夫がローンの返済ができなくなり、急に督促状が届きました。その時初めて夫の連帯保証人に入っていたことに気づいたのです。
引用:「どうなる?住宅ローン!離婚とお金」高橋愛子
離婚しても住宅ローンを完済できない限り、連帯保証人は解除できません。
ローン返済中に連帯保証人を解除するには、
- 借入先の金融機関の同意を得るか(保証債務免責)
- 保証人の同等以上の収入を得ている人に変更する
- 第三者がローンを一括返済する
以上が返済中に解除できる方法です。
返済中に解除するには、どれも難易度が高く、解除できないことの方が多いでしょう。
連帯保証人を確認する方法
連帯債務者の場合、法務局で登記簿謄本を発行すれば、債務者であることが確認できます。
連帯保証人を確認する場合は、民間の金融機関からの借り入れの際には、信用情報機関で自分の情報を照会すると、保証人なのか確認が可能です。
それ以外の賃金業者の保証人であれば、CIC(信用情報機関の1つ)で保証人なのかを確認できます。
トラブル事例②:財産分与で受けた家を賃貸に。収入を見込むも元夫がローンを滞納。
千葉県に一戸建てを購入したM子さん。3,500万円のフルローン、1/2ずつの共有名義で連帯債務としました。
夫の浮気が発覚し、離婚。完全に夫に非があるため、弁護士に相談して公正証書を作成しました。
元夫の家に住むことが耐えられなくなり、実家に引っ越して、千葉県の一戸建ては賃貸に出しました。
賃貸に出してすぐ、大手法人契約の社宅で決まり平穏な生活を送っていました。
そんな時に、元夫から「失業してローンが払えなくなり、3カ月滞納している。今後も払える見込みがない。」
公正証書があるから、約束は守られると思っていたM子さんでしたが、相手方に資産がなければ強制執行することができず、怒りと絶望感でいっぱいになってしまいました。
引用:「どうなる?住宅ローン!離婚とお金」高橋愛子
離婚により、家に住む必要がなくなり、賃貸に出す人は少なくありません。
ですが、住宅ローンを返済中であれば注意が必要です。
また、家の所有者と債務者が異なるとさらに厄介になります。
この場合では、元夫が事前に連絡をしてくれたので、対策を練ることができました。
しかし、これで連絡がなかったら、競売にかけられ、M子さんや居住者に多大な迷惑をかけることになります。
売却を考えるのであればまずは一括査定!
家の売却は一生に一度あるかないかの大きな出来事です。そのため、家の売却で失敗しないためにも、離婚が決まったら、まずは家をどうするか、早い段階から話し合いを進めておきましょう。
また、家の売却価格は不動産によっても異なります。初めから一社に絞るのではなく、複数の不動産会社に査定価格の見積もりを取ったうえでパートナーとなりゆる不動産会社を一社に絞ります。
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