民泊は、土地活用の手段として話題を集めています。
始めてみたいけど「民泊って儲からないの?」と疑問を持つ方はいるのではないでしょうか。
民泊新法が施行され、これまでよりも民泊を始めるハードルが高くなったと感じる方も中にはいるでしょう。
実際に、民泊で儲けるのは難しいとされており、撤退する事業者も増えています。
ここでは、民泊経営のポイントや失敗しないための対策を解説します。
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民泊が儲からないと言われるのはなぜ?
民泊は儲からないと言われているのは、以下のような理由が挙げられます。
- 180日営業ルールが義務付けられた
- 旅館業法改正による罰則の強化された
- 初期投資の回収に時間がかかる
- 代行料金の高さがネックになる
民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されたことによるものが大半を占めていると言えます。
それぞれ解説します。
180日営業ルールが義務付けられた
2018年6月に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)では、民泊の年間営業日数を180日までと制限しています。
これにより、通年で営業していた民泊オーナーは利益を半分に削られることになります。
また、自治体によっては、この180日の規制に加えて、さらに独自の規制を制定している地域もあります。
例えば、兵庫県では地域を指定して細かく営業期間を規制していたり、軽井沢でも、5月の大型連休や7月から9月にかけての夏休み期間は営業できません。
また、住居専用地域では、家主同居型を除いて平日月曜日から金曜日は営業ができません。
このように、自治体によっては細かく規制があり、180日だけでは利益を出すことが難しくなっていると思われます。
旅館業法改正による罰則の強化された
2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されるとともに旅館業法も改正されました。
この改正により、民泊の無許可での営業の罰則金が大幅に引き上げられました。
それまで3万円だった罰則金は、上限が100万円となり、懲役も併せて課せられることができるようになりました。
また、無許可で運営されている民泊に対して、立ち入り検査をすることもできるようになりました。
今までは、無許可で営業されている民泊への立ち入り検査ができなかったため、ヤミの民泊を増大させる原因となっていました。
しかし、今回の改正で立ち入り検査が可能になり、この立ち入り検査を拒否したり妨げたり、虚偽の報告を行うと50万円以下の罰金が科せられます。
この旅館業法改正は、無許可での民泊営業の大きな抑止力となっているとみられます。
初期投資の回収に時間がかかる
民泊を始めるにはまず、宿泊施設となる部屋や家が必要です。
自身が所有している空き家を使うのであれば費用はかかりませんが、新たに物件を購入したり、賃貸したりするのであれば契約料や敷金、礼金がかかります。
また、室内の環境も整えなければならないため、家電製品や家具、リネン類、トイレットペーパーやシャンプーなどの消耗品を揃えなければなりません。
さらには通信設備を整える必要もあり、数十万円から100万円以上の費用が発生します。
しかし、民泊の宿泊費は他のビジネスホテルなどよりも安く設定されることが多いため、この初期費用を回収するのにも時間がかかります。
代行料金の高さがネックになる
民泊を運営する時、時間がある人は自身が宿泊事業管理者となって管理を自分で行うことができます。
そうすると、代行料金の支払いを無くすことができます。
しかし、本業が別にあって投資目的で民泊を運営している場合、管理に時間を費やすことができず、管理会社に運営を委託することになります。
この委託料金が売上の約20%となるため、物件の価格によっては利益を出すことが難しくなります。
民泊は利便性の良い場所を選んで始められることが多く、価格もそれなりの物件を使用することになり、180日の制限も加わってますます利益を上げることが難しくなっています。
日本の民泊と増える訪日外国人
2020年のオリンピックに向け、ますます増える訪日外国人。
2018年に施行された民泊新法では、不足する宿泊施設を解消する目的も含まれていましたが、民泊の届け出数はあまり伸びていません。
近年の訪日外国人数
2018年7月に日本政府観光局が発表した2018年上半期の訪日外国人数は、1,589万9,000人となり6年連続で記録を更新しています。
増え続ける訪日外国人に対し、日本の宿泊施設の不足を少しでも解消しようと、2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されました。
これで、合法で住宅での宿泊施設の営業ができるようになり、全国に50,000件を超す民泊施設が届出を行うことで、オリンピックに向けての宿泊施設不足を少しでも補う形になると思われていました。
しかし、実際、民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されても届出件数は伸びず、今まで民泊を行っていた事業者の多くが撤退または、ヤミのまま営業を続けていると思われます。
民泊新法(住宅宿泊事業法)とは
2018年6月に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)は、2020年のオリンピックでの宿泊施設不足を補うことや、健全な民泊を促進するために施行されました。
住宅宿泊事業者は届出・登録義務が発生し、家主不在型の民泊を運営する場合には、その運営業務を宿泊事業管理者に委託しなければならなくなりました。
そして、一番の足かせとなっているのが「営業日数の規制」です。
年間の営業日数を180日までと決められているので、民泊の形態によっては利益を出すことが難しくなると予測されます。
(画像引用:国土交通省|民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?」)
これまでの民泊
日本では、2014年にAirbnbの日本法人が設立されました。
そこから日本でもAirbnbが知られるようになり、その安さから人気を集めました。
2015年には民泊ブームが起こり、民泊の人気は2016年まで続きピークを迎えます。
その後、2017年に民泊新法(住宅宿泊事業法)が公布、2018年に施行されて届け出が必要となりました。
今までグレーゾーンで運営していたとみられる多くの個人事業者は、180日の日数制限や自治体独自の規制のため、採算が合わないと判断し撤退しているとみられます。
また、Airbnbは届け出をしていない民泊の掲載を中止したことから、届け出をしないで集客することが難しくなり、経営を断念している事業主も多くいるとみられています。
しかし、民泊はホテルなどよりも安く宿泊できることや、マッチングシステムがあり簡単に宿泊先を見つけることができるので、外国人観光客には根強い人気があります。
民泊で儲けるためのポイント
民泊で儲けることは難しいです。
しかし、少しでも多くの利益を出したりマイナスを出さないために、以下の4つのポイントを解説します。
- 所有物件を利用する
- 他の民泊施設と差別化する
- 自分自身で全て行う
- 立地のよい空き家をリノベーションする
所有物件を利用する
民泊の運営には、もともと所有している自分の物件があれば利用するとよいでしょう。
所有物件を利用すれば物件の賃料や敷金・礼金などがかからないので、初期投資も最小限に抑えられ、他の設備に投資することもできます。
所有物件が人気のエリアで立地条件も良ければ、民泊運営にとっては好都合です。
他の民泊施設と差別化する
特に人気のエリアでは、他の民泊施設との差別化が重要です。
他の民泊施設とは異なるサービスの提供や、複数人で宿泊できる部屋を用意するなど、独自の強みがあるとよいでしょう。
家族連れが多いのかカップルが多いのかなど分析し、客層に合わせたニーズを取り込んでみることもおすすめです。
自分自身で全て行う
予約管理や受付対応、清掃や管理までをすべて自分で行えば、人件費や諸経費を大幅に削ることができます。
国外からの利用者も増えているので、英語や中国語などの外国語対応もできるとより理想的です。
また、民泊新法では、自分で管理できない場合や民泊施設に自分が居住しない場合は、管理会社への委託が必須です。
運営者本人が自分で管理できれば委託料を削れるので、その分利益が増えるでしょう。
立地のよい空き家をリノベーションする
自分で所有している物件がなければ、できるだけ立地の良い場所にある空き家を利用しましょう。
古い空き家なら、見た目の印象を良くするためにリノベーションすることをおすすめします。
民泊で失敗しないための対策
民泊ではあまり儲けられないとしても、できるだけ失敗しないように対策したいですよね。
民泊で失敗しないための対策として、以下の3つを押さえておきましょう。
- ターゲットやニーズを絞り込む
- 民泊仲介サイトを使う
- 損害に備えておく
ターゲットやニーズを絞り込む
民泊を始める前に、まずはターゲットを絞り、どんなニーズがあるのかもしっかり把握しておきましょう。
観光地から近い場所は強いニーズがあり、利用者が多い傾向です。
しかし、人気のエリアでの民泊は競合も多いです。
民泊施設同士で価格競争が起きたり、なかなか利用してもらえないなどの問題もあるので注意しましょう。
民泊仲介サイトを使う
民泊を運営するなら民泊仲介サイトの利用を検討しましょう。
民泊仲介サイトに登録すると、ネットで簡単に予約できるようになるので、国内・国外からの利用者が増える可能性が高まります。
民泊仲介サイトの「Airbnb(エアービーアンドビー)」は、国内・国外問わず利用者が多く、様々な条件で検索できて写真も多く掲載されています。
世界中から集客できる点は大きなメリットですが、登録には利用料金がかかります。
民泊の運営状況や資金計画をしっかり立ててから利用しましょう。
損害に備えておく
民泊の運営には、様々な損害や事故が生じるリスクがあります。
盗難や物が壊れた、他の利用者に損害が出てしまうなどのリスクは十分に考えられます。
もしものことに備えて、民泊専用の保険に加入することをおすすめします。
民泊の始め方や必要な資格
では、実際に民泊を始めるにはどのような手続きが必要なのでしょうか?
民泊を始めるには、届け出をしたり自治体から許可を得る必要があります。
そもそも民泊には以下の3つの形態があり、選択した形態によって決められた手続きを行います。
民泊形態 | 手続き | 必要な資格 |
---|---|---|
旅館業法民泊(簡易宿所) | 旅館業法の許可を得る | 一級建築士 |
特区民泊 | 国家戦略特区法の認定を得る | 一級建築士 |
新法民泊 | 住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出をする | 住宅宿泊管理業者 |
どの民泊形態にするかによって関わる法律や届け出先が異なります。
もっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
民泊の始め方と運用開始に向けての準備|集客率アップ方法も紹介
民泊を始めるには|法律関連の基礎知識から成功のコツまで理解しよう
民泊の運営のために、家主には特別な資格は必要ではありません。
しかし、旅館業法や特区民泊には厳しい「建築基準法」が定められており、民泊を運営する上で建物が基準を満たしている必要があります。
これまで住宅だった建物を民泊に転用するには、住宅の改修・一級建築士が作成した住宅の図面の提出が必要となるからです。
また、民泊新法において、家主非居住型で民泊を運営するには、「住宅宿泊管理業者」という、民泊を管理する資格が必要です。
自分で資格を取って管理業を行うことも可能ですが、資格を持つ管理業者に依頼する人がほとんどです。
新法民泊は、オンラインで事業届の申請ができ、とりあえず民泊を始めたいという方にはおすすめですが、家主が常駐しない場合は管理業者への委託が必須です。
民泊で儲かる場所
民泊が儲からない原因は、民泊施設の立地も少なからず影響します。
以下のような場所を選ぶとよいでしょう。
- 観光客が多い
- 利便性がよい
観光客が多い
そもそも人通りが少なかったら利益は見込めないので、人が多く集まる場所なのかどうかはとても重要です。
特に国内・国外からも人気の観光地なのか、宿泊施設の需要はあるのかをしっかり見極めましょう。
人気の観光地であっても、日帰り客が多いという場合もあるので注意が必要です。
利便性がよい
都心や観光地までアクセスしやすく、交通の利便性がよい場所も民泊に向いていると言えます。
田舎での民泊なら、電車がないエリアや本数が少ないエリアもあるでしょう。
車でアクセスしやすいのか、駐車場があるのかという点も大きなポイントです。
民泊で儲けるにはしっかり対策しよう
民泊の需要は高まっている一方で、民泊新法の施行により、これまでよりも民泊で儲けることは難しくなりました。
180日に制限された運営日数の中で儲けるには、ポイントをしっかり押さえておくことがとても重要です。
他の民泊にはない独自のサービスや、できるだけ初期費用を抑えるなど、対策はいくつかあります。
民泊を始める前に必ず資金計画も立てておきましょう。
また、民泊を始めてみたけどどうしても儲からないという時は、土地や空き家を売却することも検討しましょう。
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