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民泊はなぜ儲からないのか|収益率が下がったら売却を考えよう

  • 更新日:2021年12月3日
民泊はなぜ儲からないのか|収益率が下がったら売却を考えよう

民泊新法が施行され、これまでよりも民泊を始めるハードルが高くなったと感じる人は多いのではないでしょうか。民泊を運営している人は、外国人とのコミュニケーションが目的の人や投資目的の人など、それぞれ目的が違うと思います。
投資目的の場合には、今回の民泊新法の施行で利益を上げることができなくなり撤退する人も出てくるでしょう。ここでは、民泊の運営の注意点や売却するときのポイントなどを見て、民泊投資をするかどうかの参考にして頂けたらと思います。

空き住宅を使った民泊で儲けたい|まずは正しい知識をつけよう

1. 日本の民泊と増える訪日外国人

2020年のオリンピックに向け、ますます増える訪日外国人。2018年に施行された民泊新法では、不足する宿泊施設を解消する目的も含まれていましたが、民泊の届け出数はあまり伸びていません。

1.1 近年の訪日外国人数

2018年7月に日本政府観光局が発表した2018年上半期の訪日外国人数は、1,589万9,000人となり6年連続で記録を更新しています。増え続ける訪日外国人に対し、日本の宿泊施設の不足を少しでも解消しようと、2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されました。
これで、合法で住宅での宿泊施設の営業ができるようになり、全国に50,000件を超す民泊施設が届出を行うことで、オリンピックに向けての宿泊施設不足を少しでも補う形になると思われていました。
しかし、実際、民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されても、届出件数は伸びず、今まで民泊を行っていた事業者の多くが撤退または、ヤミのまま営業を続けていると思われます。

1.2 民泊新法(住宅宿泊事業法)とは

2018年6月に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)は、2020年のオリンピックでの宿泊施設不足を補うことや、健全な民泊を促進するために施行されました。住宅宿泊事業者は届出・登録義務が発生し、家主不在型の民泊を運営する場合には、その運営業務を宿泊事業管理者に委託しなければならなくなりました
そして、一番の足かせとなっているのが、営業日数の規制です。年間の営業日数を180日までと決められているので、民泊の形態によっては利益をだすことが難しくなることが予測されます。

1.3 これまでの民泊

日本では、2014年にAirbnbの日本法人が設立されました。そこから、日本でのAirbnbが知られるようになり、その安さから人気を集め、2015年には民泊ブームが起こります。民泊の人気は2016年まで続きピークを迎えます。
その後、民泊新法が2017年に民泊新法(住宅宿泊事業法)が公布され、2018年には民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されて届け出が必要となりました。今までグレーゾーンで運営していたとみられる多くの個人事業者は、180日の日数制限や自治体独自の規制のため、採算が合わないと判断し撤退しているとみられます。
また、Airbnbは届け出をしていない民泊の掲載を中止したことから、届出をしないで集客することが難しくなり経営を断念している事業主も多くいるとみられています。しかし、民泊はホテルなどよりも安く宿泊できることや、チングシステムがあり簡単に宿泊先を見つけることができるので、外国人観光客には根強い人気があります

・観光客は増え続けている
・民泊は安くて人気
・個人事業主の撤退多数

2. なぜ、民泊は儲からないのか

民泊は民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行により、180日の規制や罰則の強化から利益が見込めず撤退する事業主も多いと考えられています。

2.1 180日営業ルールが義務付けられた

2018年6月に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)では、民泊の年間営業日数を180日までと制限しています。これにより、通年で営業していた民泊オーナーは利益を半分に削られることになります。また、自治体によっては、この180日の規制に加えて、さらに独自の規制を制定している地域もあります。
例えば、兵庫県では地域を指定して細かく営業期間を規制していたり、軽井沢でも、5月の大型連休や7月から9月にかけての夏休み期間の営業はできません。また、住居専用地域では、家主同居型を除き、平日月曜日から金曜日は営業ができません。
このように、自治体によっては細かく規制があり、180日だけでは利益を出すことが難しくなっていると思われます。

2.2 旅館業法改正による罰則の強化

2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されるとともに、旅館業法も改正されました。この改正により、民泊の無許可での営業の罰則金が大幅に引き上げられました。それまでは、3万円だった罰則金が上限が100万円となり懲役も併せて課せられることができるようになりました
また、無許可で運営されている民泊に対して、立ち入り検査をすることもできるようになりました。今までは、無許可で営業されている民泊への立ち入り検査ができなかったため、ヤミの民泊を増大させる原因となっていました。
しかし、今回の改正により立ち入り検査が可能になりました。そして、この立ち入り検査を拒否したり、妨げたり、虚偽の報告を行うと50万円以下の罰金が科せられます。この旅館業法改正は無許可での民泊営業の大きな抑止力となっているとみられます。

2.3 初期投資の回収に時間がかかる

民泊を始めるには、まず、宿泊施設となる部屋や家が必要になります。自身が所有している空き家を使うのであれば費用はかかりませんが、新たに物件を購入したり、賃貸したりするのであれば契約料や敷金、礼金がかかります。
また、室内の環境も整えなければならないため、家電製品や家具、リネン類、トイレットペーパーやシャンプーなどの消耗品を揃えなければなりません。そして、通信設備を整える必要もあります。これらの準備をしていくと、数十万円から100万円以上の費用が発生することになります。
しかし、民泊の宿泊費はほかのビジネスホテルなどよりも安く設定されることが多いため、この初期費用を回収するのにも時間がかかります

2.4 代行料金の高さがネックに

民泊を運営するとき、時間がある人は自身が宿泊事業管理者となり、管理を自分で行うことができます。そうすると、代行料金の支払いをなくすことができます。しかし、本業が別にあって投資目的で民泊を運営している場合、管理に時間を費やすことができず、管理会社に運営を委託することになります。
この委託料金が売上の約20%となるため、物件の価格によっては利益を出すことが難しくなります。民泊は利便性の良い場所を選んで始められることが多く、価格もそれなりの物件を使用することになり、180日の制限も加わりますます利益を上げることが難しくなっています。

・180日以内の営業
・初期投資がかかる
・代行料金が高い

3. 民泊を運営するときの注意点

民泊を運営するときには、届け出が必要です。また、その後のランニングコストも計算することも大切です。

3.1 届け出をしなければ営業できない

2018年の民泊新法(宿泊事業法)では、民泊の運営には届け出が必要になりました。届け出には、住宅の図面や登記事項証明書、転貸の場合は転貸承諾書、区分所有建物である場合には、規約の写しなどが必要になります。また、家主不在型で運営する場合には、委託を住宅宿泊管理業者に依頼する場合には、その住宅宿泊管理者の称号や名称を前もって調べておく必要があります。
上記の届け出の書類は主なものになりますが、ほかにも個人であるか法人であるかで必要な書類が多数あります。この添付する書類の多さや手続きの煩雑さも、民泊の届け出を控えている理由とも考えられています

3.2 意外にかかるランニングコスト

民泊の営業が始まると、利用客がある限り収入がありますが、多くのランニングコストが発生します。例えば、賃貸での運営の場合は、その賃料の支払いがあります。そして、水道代や光熱費、通信費、ガス代、消耗品代と毎月費用がかかります。また、サイトに掲載している場合には、掲載料の支払いもあります。
この中でも、賃料はかなり大きな割合を占めます。自身の空き家を活用するならば、この部分は年間の税金の支払い程度で収まりますが、賃料分と諸経費を稼ぐとなるとそれなりの稼働率が必要となります。そして、今まで通年営業でなら利益を出せていても、180日の営業制限のため稼働率を抑えると、利益を上げることができなくなったオーナーが民泊新法施工後撤退しているとみられています。

・無許可営業は違法
・手続きが煩雑
・ランニングコストがかかる

4. 利益がでなければ売却を考える

民泊新法が制定され、今までグレーゾーンで営業を続けて利益を上げていた事業主が、180日の営業制限を受けて、利益がでないと見限り売却する動きがあります。物件を売却するときに注意したいのが、投資目的の物件の場合、その利益率が高いものほど高く売却することができます。そのため、新法施工後では、稼働率が下がり、物件の価格も下がることが予測されます。早めの対策が損失を広げないためには必要です。
しかし、民泊物件の場合、再建築不可の土地であったり、狭小の土地であったりと問題の多い土地があるので売却することが難しい場合もあります。
もし、売却を考えているのであれば、あなたの物件をうまく売却できる不動産会社を見つけることが大切です。適切な不動産会社を見つけて、売却を依頼することでその後の損失を抑えることができます。180日の制限も加わり、今後の利益が見込まれないのであれば、売却を考えるのも1つの方法です。

5. 民泊を売却する際のポイント

民泊は収益率が高いほど高値で売却することができます。需要を見極めながら、タイミングを逃さないように売却しましょう。

5.1 付加価値を付けることで差別化を図る

民泊を売却するときには、付加価値があるかないかで大きく売却金額に影響します。民泊で重要なのは、観光客が利用することが多いので、利便性のよい、駅から近い物件が人気です。また、近くに有名な観光地がある、部屋が京都の町屋風であるなど外国人に人気があると、今後の収益にも影響するため高く売却することができます。
民泊を高値で売却するには、付加価値や時期が大切です。収益性が高いうちに売却することでより高値で売却することができます。収益性の悪い物件は、売却金額も低くなり建物の状態によっては、売却することも難しくなります。

5.2 売却するときには、複数の不動産会社に査定を依頼する

民泊を売却するときには、その民泊の収益率が高ければ今後の収益を見込めることから、高く売却することができます。できるだけ、自身の民泊の付加価値をアピールして高値で売却しましょう。物件を売却するときには、その物件の相場価格を知ることが大切です。不動産の一括査定を利用することで、物件の相場価格を知ることができます。
不動産会社の査定は1社だけに依頼して査定結果を見ても、それが適切な価格なのかは素人には判断が難しいでしょう。そのため、査定を依頼するときには、複数の不動産会社に依頼すると良いです。複数の不動産会社に査定を依頼することで、査定結果を比較・検討し適切な価格を知ることができます。
また、不動産会社を選ぶときにも、査定結果や査定の根拠などを確認することでより信頼のできる不動産会社を選ぶことができます。

5.3 居住用住居を民泊として利用していた場合には注意が必要

居住用の住居の一部を民泊として利用していた場合の売却には注意が必要です。民泊として利用していた部分がどれくらいを占めるのか、また、設備状況や利用状況を見ながら売却の際に特例が利用できるかどうかを判断します
居住用の家には売却のときに、3,000万円の特例控除などの税制の優遇措置が多くあります。しかし、家の一部を民泊として利用することで、この税制の優遇措置を受けることができないケースもあるので注意が必要です。

・付加価値があると高値
・複数社に査定を依頼
・売却のタイミングが大事

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