マンションを終の棲家にしようと考えて住宅ローンを組んで購入したが、家族構成や生活状況の変化により戸建て住宅への住み替えを検討する方も少なくありません。では、住み替えを考えた時にマンションの住宅ローンが残っている場合などどのように進めて行けば良いのでしょうか。
資金計画など住み替えで注意したいポイントをみていきましょう。
目次
1. マンションから戸建てに住み替えるメリットはある?
2. 住み替え時に確認しておきたい注意点
3. ローンが残っていても住み替えられる?
4. 居心地のいい暮らしにするために
1. マンションから戸建てに住み替えるメリットはある?
マンションを手放し、戸建て住宅に住み替える時には、住み替えなければならない事由があることが多いと思いますが、果たしてマンションに住み続けるより、快適な暮らしができるのでしょうか?また、費用面ではどうなのでしょうか。戸建てのメリットをいくつか挙げてみたので、一つずつ詳しく見ていきましょう。
1.1 自由設計ができ部屋数も増え住まいが広くなる
戸建てに住み替える際に注文住宅であれば、マンションのように決められた間取ではなく、自分たちの暮らしやすいように決めることができます。家族構成が変わったことで、住み替えをする場合、間取りを増減することができることも大きなメリットです。
また注文住宅ではなく、分譲などの建売住宅であっても、2階建てであったり駐車場が備わっていたりなど、マンションよりも住まいが広くなる可能性が高いと言えます。
1.2 高い維持費を支払わなくて済む
マンションを購入すると、月々の住宅ローンの返済以外にも、修繕積立費や管理費、駐車場代などの費用が発生します。中でも積立費は、築年数が経つほど上昇していくので、老後などに不安がある方も多いのではないでしょうか。
しかし戸建てでは、基本的に修繕積立費や管理費は発生しません。また、駐車場も自分の持つ敷地内にあることが多いので、別に費用がかかることがなくなります。
1.3 資産として子供に不動産を残すことが可能
マンションは、多くの住民が住んでいるので、将来的にどうなっていくのか不透明な部分があります。また、土地の持ち分があっても、家を新しく建てるほどの広さではないことが大半です。
しかし戸建てであれば、もし建物が古くなって取り壊すようになっても、土地を残すことができるので、将来的に子供に資産を残すことが可能になります。
1.4 ガーデニングや家庭菜園を行える
マンションでは、1階の限られた人でなければ庭を持つことができませんが、戸建てであれば自分の庭を持つことができます。
庭があれば、子供たちを遊ばせることができますし、ガーデニングや家庭菜園などの趣味を持つこともできます。また、規制が厳しくなかなか飼えないペットも、大きさや種類を問わずに飼えることも魅力です。
・土地を資産として残せる
・庭を持つことができる
2. 住み替え時に確認しておきたい注意点
マンションから住み替える時に、メリットがあればもちろんデメリットもあります。ここでは、戸建てに住むことで出てくるデメリットを紹介していきます。自分たちで、メリットとデメリットを把握し、どちらに住むのが損がないのかを確認しましょう。
2.1 自分で修繕積立貯金を行う必要がある
戸建ては、マンションのように修繕積立費がないといっても、自分で修繕のための費用を貯める必要があります。土地は劣化しませんが、建物は築年数ごとに劣化していきます。主に外壁や屋根の修復、畳の張り替えなどがあげられます。
細かく見ていくと、給湯器やガスコンロなどの設備や、キッチンや洗面台の水回りも、劣化により買い替えが必要になる場合があります。よく10年で100万円程度と言われますが、実際にはそれよりも多くかかることのほうが多いです。1回の修繕で100万円、200万円と大きな金額が発生することもあるので、しっかりと貯金して準備しておきましょう。
2.2 マンションよりも光熱費が増える場合がある
ライフスタイルや家族構成、利用している電力会社などでも変わるので、比較することは難しいのですが、一般的には戸建てのほうが、光熱費は高いといえます。その理由のひとつは建物の構造によるものです。
マンションは気密性・断熱性が高いので、冷・暖房費が抑えられます。ただ、これも気密性・断熱性の高い戸建てもありますし、古いマンションであれば、気密性・断熱性は低いと考えられます。したがって、絶対的な話ではありませんが、頭の隅に入れておきましょう。
2.3 防犯対策を自分達でしっかり行う必要がある
マンションであれば、オートロックがついていたり、マンションの至る箇所に防犯カメラがついていたりと、防犯対策をしっかりしていることが多いのではないでしょうか。一方戸建ては、初めから機能が備わっていることは少ないので自分達で防犯カメラをつけたりセキュリティーに気を遣わなければなりません。
また、住み替えを検討する時には、戸建てを購入する地域の空き巣の被害状況や、街灯の有無、人通りの多さを確認することも大切です。
2.4 周辺環境が大きく変わる可能性
マンションは都心部や駅に近いなど、交通の便の良い場所に建っていることが多いですが、戸建ては駅から離れた、静かな場所に建っていることが多いです。そうなると、今までの交通手段が変わったり、生活環境が変わる可能性が高くなります。
もし、今後の交通手段を車に変えるのであれば、周辺の土地や戸建ての相場を確認しましょう。車を5分走らせて県をまたいだだけで、1,000万円近く価格が下がるといったことも少なくありません。また、新興住宅や大型分譲地では、近隣との付き合いが密になる可能性があるので、適度な距離感を保つことも大切です。
・防犯対策を自分で行う
・生活環境の変化に注意
3. ローンが残っていても住み替えられる?
マンションから戸建てへの住み替えを考えた時、マンションを購入した際に組んだ住宅ローンが、残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
住み替えをする時に、ローンが残っている場合でも、戸建てが購入できるのか気になりますよね。住宅ローンの返済や、住み替えの進め方などを踏まえた資金計画の考え方を、まとめたので見ていきましょう。
3.1 マンションのローン残債を確認する
住み替える時に、現時点で住んでいるマンションの住宅ローンが、どの程度残っているのか(残債)を確認しましょう。マンションの残債がなければ、マンションの売却代金を、そのまま戸建ての購入代金に充てることができます。
しかし、マンションの残債が残っている場合、ローンを完済したうえで売却することができるので、売却代金でローンが完済できるかを、不動産業者などの専門家に相談しましょう。
基本的には、ローンを完済しなければ売却はできませんが、地価の変動や環境の変化により、マンションの価値が想定していたよりも、下がっているといったことは少なくありません。そうなると、売却代金がマンションの残債より下回ってしまうこともあります。そんな時におすすめしたいのが『買い替えローン』です。
『買い替えローン』とは、『住み替えローン』とも呼ばれ、新たに購入する戸建てのローンに、ローン残債分を上乗せして組むことができるローンで、買い替えに必要な諸経費を含めることもできます。
ただし、審査があり、条件によっては利用できないこともあります。また、ローンを増やしたくないと考える場合は、自己資金を用意できるまで、時期を待つことをおすすめします。
3.2 マンションの価値を査定してもらう
マンションの売却価格を決めるために、どの程度の価値があるのか不動産業者に査定を依頼しましょう。ここで大切なことは、査定は一社に依頼するのではなく、複数の業者に依頼することです。複数の業者に依頼することで、査定額を比較することができ、比較していく中で、大体の売却できる価格を知ることができます。
また、実際にマンションの売却を依頼する時のために、各社の対応の速さや担当者の人柄などを、比較しておくことも大切です。不動産業者は大中にとらわれず、自分の意向を尊重してくれる業者を選びましょう。
3.3 毎月返済できる額を決める
住み替える時に、毎月住宅ローンに充てることができる金額は、いくらなのかを決めましょう。もし、子供がいる場合、教育費など成長に合わせて出ていくお金も、考慮することが大切です。住宅資金に使える額は、収入から入居費用、生活予備費、将来のための貯蓄を差し引いた額になります。
もし、住宅ローンを含めた月の支出が、収入を上回ってしまう場合、『住宅取得資金贈与の特例』を活用するという手があります。『住宅取得資金贈与の特例』とは、「子供ないし孫が、住宅を購入するための資金援助であれば700万円(認定長期優良住宅であれば1,200万円)まで贈与税が課されない」といった特例です。
通常、贈与税は1年間あたり110万円を超えると課されるので、魅力的な特例と言えます。ただし、0円だからといって、申告しなくてもよいということではないので、この特例を受けた場合でも必ず期限内に申告しましょう。もし漏れてしまうと、非課税にならなくなってしまうので注意しましょう。
3.4 返済期間を決める
住み替えで新たにローンを組む場合、返済期間も重要なポイントになります。住み替えをするということは、売却予定であるマンションのローンを組んだ時には、定年前には完済できる予定であったかもしれません。ただし、その時点より確実に年齢は上がっているので、長期ローンを組んでしまうと、定年後も返済を続けることになってしまいます。
また、年齢が上がるごとに審査は厳しくなっていくので、住み替えを考えているのであれば慎重に、かつ早急に動くことをおすすめします。
3.5 二重ローンにしないためには
住宅ローンを二重に組むのは自己資金や年収などの審査が厳しくなるので現実的には組めないことがほとんどです。ただ、審査が仮に十てしまった場合住宅ローンが二重になってしまうと、普段の生活費まで回らなくなってしまう可能性が高くなります。では、二重ローンを避けるためには、どのように住み替えたらよいのでしょうか。
住み替える前に売り出す
一つ目は住み替える前に、マンションを売りに出すということです。住み替える前に、マンションを売りに出して、無事に購入者が見つかったとしても、購入者の住宅ローンの審査などで1カ月近くかかってしまいます。
もし、住み替えてから売却に出すと、購入者が決まって審査が終わり、契約するまでの期間の住宅ローンは、自分たちで払わなければなりません。その期間を極力なくすために、住み替えの前に売出しましょう。もし、計画より早めに売却が決まった場合は、値段を少し下げたり、引き渡しまでの間の家賃を負担するなど、購入者に住み替えまで待ってもらいましょう。
また、住み替える前のマンションを内覧してもらう時は、荷物を極力減らす、部屋を片付けるなどして購入意欲が湧くようにしましょう。
すべてが完了するまで賃貸住宅に住み替える
家の売却時期と購入時期がずれてしまう場合、売却の手続きがすべて完了するまでは、賃貸住宅に住み替えるという手もあります。ただ、賃貸住宅を一時的に借りることも、契約金や引っ越し費用といった持ち出しが発生してしまいます。
その場合『つなぎ融資』を活用することもおすすめです。『つなぎ融資』とは、買い替えのタイミングで新しい家の購入が先になり、家の売却が間に合わない場合に使うことができます。『つなぎ融資』は、一時的なローンで家の売却代金で一括払いすることとなります。
・査定は複数の業者に依頼
・資金計画は綿密に立てる
4. 居心地のいい暮らしにするために
マンションから戸建てへの住み替えはメリットも多くありますがデメリットもあります。損をしない住み替えをするために、メリットとデメリットをひとつひとつ書き出してみるといいかもしれません。
また、住み替えで一番大切なのは、家族みんなが賛成して住み替えることです。もちろん、住宅ローンを組んでいる人の意見は大切ですが、家族が幸せでなければ住み替えてもまた、不満が出てきてしまい「違う物件に住み替え」といったことになり兼ねません。家族でよく話し合い納得した上で居心地のいい暮らしができる住み替えを検討していきましょう。