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マンションを相続放棄することは可能なのか?流れから注意点まで徹底解説

  • 更新日:2024年2月29日
マンションを相続放棄することは可能なのか?流れから注意点まで徹底解説

「マンションを相続する予定だけど放棄できるの?」

「相続放棄するとどんなデメリットがあるの?」

これからマンションを相続する予定の方は、このような疑問を抱えているのではないでしょうか。

結論、マンションは相続放棄できます。

しかし、相続放棄は法律や専門のルールなどが絡むため、一般の方には難しい取引です。

この記事では、そんな方に向けて「相続放棄の方法」「相続放棄のデメリット」などを詳しく解説します。

マンション相続でお悩みの方は、ぜひ参考にご覧ください。

マンションを相続するデメリット

マンションの相続には以下のデメリットがあります。

マンションを相続するデメリット
  • 使用していなくても固定資産税や管理費がかかる
  • 定期的な修繕が必要となる
  • 管理組合の役員や理事が回ってくる場合がある

使用していなくても固定資産税や管理費がかかる

不動産を所有していると、使用していなくても「固定資産税」や管理費などがかかります。

これらは毎月支払わなければならないため、経済的な負担となります。

なお、マンションの場合のみ管理費もかかるため、戸建てよりも支払う税金が多いのもデメリットです。

修繕積立金を毎月支払う必要がある

マンションは一般的に10年に一回のペースで大規模修繕を行います。

修繕費用はマンション所有者から集めているため、相続した場合は毎月修繕積立金として支払わなければなりません。

固定資産税や管理費と同様に毎月の負担となるのを理解しておきましょう。

管理組合の役員や理事が回ってくる場合がある

相続してマンション所有者になると、管理組合の役員や理事が回ってくる場合があります。

役割として、ほかの組合員と共同でマンション管理を行います。

また、所有者のなかから選ばれた理事で構成される「理事会」にも参加する場合もあります。

相続して住んでいないのであれば、回ってくる可能性は低いですがゼロではありませんので理解しておきましょう。

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マンションは相続放棄できるのか?

一言でいえば、できます。

しかし、マンションの相続放棄は法律的なルールや手続きが複雑で、思っている以上に色々なステップを踏む必要があり厄介です。

不要なマンションは相続を放棄してしまえばいい、と安易に考えがちですがそうもいきません。

マンションのみを相続放棄することはできない

また、マンションのみを相続放棄することはできません。

マンションを相続放棄をする場合は、マンションのみならず、すべての遺産を相続放棄する必要があります。

つまり、基本的に遺産はすべて相続するかすべて相続放棄するかの二択になります。

マンションの相続放棄を検討する際の注意点

マンションを相続するか放棄するか判断する際の注意点を解説します。

特に、相続放棄をしようとする場合は「法定単純承認」とみなされないように注意深く行動することが大切です。

  • マンションの権利関係の把握
  • 法定単純承認には要注意
  • 遺品の整理は慎重に
  • 専門家に代行を依頼する方がスムーズ
  • 生命保険と医療保険に注意

マンションの権利関係の把握

マンションをはじめとした不動産については、登記簿の中に権利関係が記載されているため、調査が容易です。

固定資産税納税通知書を入手し、その記載内容から建物の所在地や固定資産税評価額などの基本的な情報を仕入れた上で、最新の登記簿を入手します。

最新の登記簿は、マンション所在地を管轄する法務局に請求すれば取得できます。

登記簿には、表題部、甲区、乙区といった3種類の記載欄があり、それぞれの意味をしっかり理解した上で確認しましょう。

  • 表題部:土地、建物の所在地や家屋番号等の表示
  • 甲区:所有権に関する権利関係の内容や変動履歴の表示
  • 乙区:所有権以外の権利(抵当権、敷地権等)の内容や変動履歴の表示

マンションを購入する際には、ローンを組むことが多いですが、その場合にはローン会社の抵当権が乙区に記載されています。

登記簿の記載内容の見落としや間違った理解をしていると、誤った判断をしかねません。

心配な場合は、不動産の法律関係に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

法定単純承認には要注意

相続放棄には相続人や被相続人の財産や負債の調査が必要ですし、家族間での協議も必要でしょう。

相続の手続きは、相続の開始があったことを知った時から3カ月の熟慮期間内に相続の方法「単純承認」「限定承認」「相続放棄」を決定しなければいけません。

決定しない状態で3カ月を経過すると、「単純承認」したものとみなされます

3カ月以内にすべての調査や判断が難しい場合は、家庭裁判所に申し立てることで「熟慮期間の伸長」ができます。

遺品の整理は慎重に

法定単純承認とされる理由に、3カ月の熟慮期間内に相続方法が決定しなかったケースのほかに相続財産の全部又は一部の処分があります。

被相続人の財産を処分すると、単純承認したとみなされ相続放棄が認められなくなります

処分とみなされる行為

  • 売却
  • 家屋や家財の処分
  • 形見分け

高価な宝石や着物など財産的な価値があるものを形見分けとして持ち帰ると、相続財産を分割取得したとみなされる可能性があります。

価値の低いものや社会常識の範囲内の金額である場合は考慮されるでしょう。

専門家に代行を依頼する方がスムーズ

調査や書類の準備、提出などにも費用は掛かります。

また、仕事や家庭を持ちながら3ヵ月の限られた熟慮期間に調査を行うのは大変です。

その際は、専門家に代行を依頼した方が確実かつスムーズに手続きが進められます。

なお、マンションの相続放棄にかかる費用の目安は以下の通りです。

費用項目目安
相続放棄の申述書に添付する印紙代800円
被相続人の戸籍謄本450円(被相続人の配偶者が申請する場合は不要)
被相続人の除籍謄本・改製原戸籍謄本750円
被相続人の住民票300円(市町村によって異なる)
申述人の戸籍謄本450円
郵便切手500円
行政書士報酬5,000円程度
司法書士報酬30,000円程度
弁護士報酬50,000円程度

生命保険と医療保険に注意

被相続人が生命保険に加入していると死亡保険金が支払われます。

この保険金は受取人が誰に指定されているかで異なります。

受取人が相続人や被相続人以外の場合は、相続財産に含まれないため受け取ることが可能です。

ただし、受取人が被相続人に指定されている場合は、死亡保険金は遺産となり、受けとってしまうと相続放棄ができなくなる場合があります。

医療保険には入院給付金や傷害医療保険がありますが、多くの場合、受取人は被相続人となっています。

医療保険の給付金を受けとることで、法定単純承認とみなされる可能性が高くなります。

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相続放棄したマンションはどうなるか

亡くなった親の財産や負債を精査した結果として、相続放棄することを決断した後はどうなるか。

ほかの相続人が相続した場合とすべての相続人が相続放棄した場合では、その後の流れは変化していきます。

相続放棄をした人は被相続人が抱えていた財産や負債との一切の関係が遮断されて、無関係の立場になります。

亡き親の債権者から返済を求められることもありません。

しかし、相続放棄をしても相続人には遺産の管理責任が課せられるため、遺産の中にマンションなどの不動産がある場合には注意が必要です。

ほかの相続人が相続した場合

相続放棄の手続きは、各相続人が単独で行うことができます。

複数の相続人がいる場合には、ある人は相続放棄したが別の人は単純承認した、ということが起こり得ます。

すなわち、自分は相続放棄をし、自分以外の相続人の誰かが単純承認を選択すれば、その人に被相続人に財産と負債はすべて承継されます。

したがって、相続放棄する人は、ほかの相続人にも被相続人の財産と債務の内容を知らせて、自らは相続放棄をした旨を伝えるべきでしょう。

そうでないと、ほかの相続人が突然に被相続人の負債を引き継いでしまいかねません。

一方、限定承認については、すべての相続人が一致して手続きする必要があり、単独では行えません。

一般的に相続放棄するということは、被相続人の負債が財産より多いため、といった理由がほとんどでしょう。

そのような場合には、すべての相続人が相続放棄を選択することになります。

すべての相続人が相続放棄した場合

すべての相続人が相続放棄したら、親のマンションはどうなるのか。

このようなケースについては、民法(第6章、951条以降)では「相続人の不存在」といった状況を想定し、その取扱いを定めています。

しかし、判明している限りの相続人が相続放棄をすると、被相続人の遺産が宙に浮いてしまいます。

その遺産を放置しておくと、国や利害関係者にとって困ることになるため、その後始末をする必要があります。

そこで「相続人の不存在」といった定めが置かれています。

相続人不明の財産は法人に

それでは、この宙に浮いた遺産はどうなってしまうのか。

法律(民法951条)は「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする」とあります。

そのまま解釈すると、被相続人の財産が法人となる、ということになります。

法人と聞くと会社などをイメージする方も多いと思いますが、法的にはそれ自身が独立した権利義務の主体として社会の中に存在することを意味します。

すなわち、相続された亡き親のマンションは、その相続財産法人名義の財産の一部を構成します。

相続財産管理人を選任する

法人が法律上の「権利義務を行使できる主体」であるとはいえ、勝手に動き出すわけではありません。

そこで、法人の意思を実現するために、会社であれば取締役を選任します。

それと同じように、相続財産法人においても、その法人の意思を実現するために相続財産管理人を選任することができます。

会社であれば、事業運営の方針などは取締役が決めていきます。

それと同じように、相続財産の処分方針などは、この選任された相続財産管理人が定めて実行していきます。

なお、相続財産管理人を選任するには、遺産の利害関係者又は検察官からの請求が必要です。

相続財産管理人専任の手続き

相続財産管理人が選任された後の手続きの流れは以下の通りです。

  1. 家庭裁判所による相続財産管理人が選任されたことの公告
  2. 相続債権者や受遺者に対する清算手続きの公告および清算
  3. さらに相続人を探すための捜索の公告
  4. 特別縁故者に対する相続財産の付与
  5. 以上の手続きを経ても残余の財産があるときは国庫に帰属

以上の通り、相続人が現れないときは、清算の結果残った財産は特別縁故者に分与されるか、国庫に帰属します。

なお、マンションのような不動産については、通常はそのままで国庫に帰属させるのではなく、相続財産管理人が売却などをして現金で納めます。

相続放棄した後も管理責任は残る

相続放棄をした後も、すべての責任がなくなった訳ではありません。

民法940条に「相続の放棄をした者による管理」といった条文があります。

その条文の趣旨は「相続を放棄した者は、もはや相続人の地位にはないのであるが、相続財産管理人が選任されるまでは、事故の財産を扱うのと同じ注意を払って遺産の管理を続けなければならない」です。

相続放棄をした者は相続人の立場ではなく、相続財産法人から遺産の管理を委任された受任者の立場になります。

これは、相続放棄した者の意思に関係なく、法律がそのように定めているため、いわば「法定管理受任者」といったものになります。

どの程度の管理責任が求められるかは一概に言えませんが、少なくとも当該管理組合との連絡、部屋の定期的な点検などは必要になるでしょう。

また、相続管理人はいつ誰が選任の請求がなされるか不明のため、管理責任から免れる時期は明確に決まっておりません。

以上の通り、親のマンションの相続を放棄しても、その管理責任が発生するため、そこまでを見据えて相続方法の選択を検討すべきでしょう。

マンションを相続放棄することは可能なのか?流れから注意点まで徹底解説

マンションを相続放棄した際の管理義務を免れる方法

相続放棄をしても管理義務を負うということをお伝えしましたが、管理義務を免れる方法はあります。

方法としては、「家庭裁判所に相続財産管理人選任の申し立て」⇒「選任された相続財産管理人に管理を引き継ぐ」の流れで行います。

【相続財産管理人とは?】
相続人の存在が不透明のときに相続財産を管理するため、家庭裁判所によって選ばれた人
ただし、相続財産の管理に要する経費が、相続財産だけで不足している場合は、申立人が予納金として支払わなければなりません。
また、予納金は返金されないため、これらの負担がかかることを理解したうえで申し立てするかどうか決めましょう。

相続放棄されたマンションの管理組合の困惑

相続放棄されたマンションを抱える管理組合は、その問題を解決するのが非常に困難になっています。

今後同様のケースが増加することが予想されています。

相続放棄をしても相続人には管理義務から逃れることはできないため、管理組合が直面する問題を知っておきましょう。

区分所有者のいない部屋が存在することは想定外

分譲マンションは、区分所有法により定められた区分所有権の集合体です。

マンションの管理は区分所有者全員で行う前提で成立しています。

マンションの部屋が区分所有者のいない状況は想定外といえます。

相続放棄されたマンションは故人名義の相続財産法人の一部となり、相続財産管理人が選任されるまで管理組合には何もできません。

毎月入金されるべき管理費や修繕積立金などが徴収できない状態が続きます

本来部屋の持ち主に支払い義務のある管理費などが未回収となり、管理組合会計が悪化します。

抵当権が設定されている場合

相続放棄されたマンションに抵当権が設定されている場合、債権者が抵当権を実行するため、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求する可能性が考えられます。

管理組合は、相続財産管理人を選任されるのを待って滞納された管理費等の請求を行います。

ただし、被相続人の遺産が負債額のほうが大きい場合は、管理費等の清算は非常に難しくなります

抵当権等の実行で競落が成り立った場合は、管理組合は競落人に対し、管理費等を請求できます。

区分所有法で滞納分の支払い義務が発生すると定められています。

管理組合からの相続財産管理人の申し立て

管理組合自身が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てることも可能です。

ただし、相続財産管理人の申し立てには、予納金と呼ばれる相続管財人の経費や報酬に充てる費用を事前に支払う必要があります遺産で支払いが十分に出来る場合には予納金は戻りますが、不足した場合は予納金から支払われるため返金されません。

予納金については安ければ20万円程度の場合もありますが、100万円くらいになることも多く、管理費等の消滅時効の完成が近いような特別な事情がある場合でないと、費用の負担が大きいといえます。

まとめ

相続放棄が発生する分譲マンションは、築年数が浅い場合は売却価格よりもローン残高が多くオーバーローンが生じるため放棄が起こりえます。

そして、築年数の経った古いマンションの場合、よほど立地条件が良い場所でないと売却が難しくなります。

古いマンションほど修繕積立金が高額なケースが多く、賃貸などの収益が見込めない場合はマイナスの財産になってしまいます。

連絡先や所有者が不明の物件があるマンションは、築40年以上が29%、築30年以上40年未満が24%と、古いマンションでの発生率が高くなっています。

2015年5月に「空家法」施行されたように、区分所有者のいないマンションや限界マンションに対しての法整備もやがて進んでいくことが予想できます。

築年数の経過した古いマンションを相続することは負の資産を所有することになりかねず、相続放棄も増えていくでしょう。

相続が予想できる古いマンションは、早い段階で手放しておいたほうが後々面倒にならないでしょう。

一度マンションの価値を確認して売却を考えることも、重要といえます。

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