マンションを相続放棄することは可能なのか?流れから注意点まで徹底解説

所有者不明の土地の増加が今問題になっています。国土交通省の調査では不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合が20%にもなっています。この問題を解決するために2018年、所有者が分からない土地の利用や活用を促す特別措置法が参院本会議で成立しました。

人口減少が進む日本では、相続時に登記されない物件、相続されない物件が増えています。引継ぎ手の住まいが遠方だったり、資産価値が低いなどの理由で放置されています。そして最近は相続放棄されるケースも増加しています。こうした所有者がわからない物件は、分譲マンションでも増加し、相続未登記や相続放棄が増えています。

2016年から17年にかけて国土交通省が管理組合を対象に行った調査では「連絡先不通または所有者不明」物件があるマンションは全体の13.6%との結果が出ています。

この記事では、主に以下について解説いたします。

  • マンションを相続放棄することは可能なのか
  • マンションを相続するか放棄するかの判断基準
  • マンションを相続放棄するための手順・注意点

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マンションは相続放棄できるのか?

一言でいえば、できます。

しかし、マンションの相続放棄は法律的なルールや手続きが複雑で、思っている以上に色々なステップを踏む必要があり厄介です。不要なマンションは相続を放棄してしまえばいい、と安易に考えがちですがそうもいきません。

マンションのみを相続放棄することはできない

また、マンションのみを相続放棄することはできません。

マンションを相続放棄をする場合は、マンションのみならず、すべての遺産を相続放棄する必要があります。つまり、基本的に遺産はすべて相続するかすべて相続放棄するかの二択になります。

マンションを相続放棄を検討する流れ

マンションの相続放棄は正しい手順を追って行う必要があります。大まかな手続きの流れとしては、以下のようになります。

  1. ほかの相続人の調査・確定
  2. 被相続人の資産や負債の調査
  3. 相続方法の選択

ほかの相続人の調査・確定

資産・負債に関わらず相続が発生したら、誰が相続人かを確定させる必要があります。民法で定められた相続人を「法定相続人」と呼び、その範囲が決まっています。被相続人(亡くなった人)の配偶者は常に相続人とされ、配偶者以外の人は順位が決まっています。

相続の順位相続人の範囲相続人の範囲
常に相続人 配偶者?
第1順位 子供・子供が死亡している時は、その子供の子供や孫が相続人となります。
・子供と孫が両方存在する場合は、子供が優先されます
第2順位 直系尊属(父母や祖父母など)・父母も祖父母も存在する時は、父母が優先されます。
・第2順位の人は、第1順位の人がいない場合相続人になります。
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹・兄弟姉妹が死亡しているときは、その人の子供が相続人になります。
・第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

相続放棄をした人は初めから相続人でなかったとされます。

相続人の確定には被相続人の戸籍を取り寄せ、法定相続人にあたる人を確認する必要があります。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要なため、仮に「子供は1人」と思っていたら、実は昔結婚前に子供がいた場合、後で判明した子供以外で行った遺産分割協議は無効です。

また、配偶者や子供が相続放棄を行う場合、第2順位、第3順位の人に相続が引き継がれます。第2順位、第3順位の人が亡くなっている場合は、代襲相続と呼ばれるその子供に引き継がれますので、事前に親族の関係を確認しておくことが必要です。

被相続人の資産や負債の調査

続いて、被相続人の資産や負債の調査について解説します。ここでの資産や負債とは、具体的に以下のようなものを指します。

資産負債
預貯金ローン
株式抵当
不動産連帯保証等の借金や保証債務

親の資産や負債を調査することは、要するに財産や借金などの現状を調査して一覧表を作ることです。相続財産の調査は、故人の遺品整理から着手することが基本。通常は大切な書類をなどを保管している書棚や金庫から調べます。プラスの資産は、預金通帳や不動産の登記簿などを参照すれば、比較的簡単に把握できます。一方で借金や保証人などの場合は、郵便物、金銭の借入契約書、ローン支払明細書などの遺品や書類を調べて、慎重に内容を確認する必要があります。亡き親の財産や負債を精査した結果、負債額が財産額を超えたときにどのような相続方法を選択するかが重要になります。

マンションの評価額については、以下の記事で詳しく解説しています。

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相続方法の選択

マンションの相続の方法には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3種類があります。

相続方法概要
単純承認被相続人の権利義務をすべて承継する
限定承認相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ
相続開始を知った時から3ヵ月以内
家庭裁判所に対する申述が必要
相続放棄権利や義務を一切受け継がない
初めから相続人ではなくなる
相続開始を知った時から3ヵ月以内
家庭裁判所に対する申述が必要

単純承認

単純承認」は一般的な相続を行う方法で、資産・負債のすべてを相続します。

資産が明らかに多い場合や、負債があっても引き受ける覚悟があれば単純承認が最善の選択です。単純承認は特に申告の必要がなく、決められた期間内に相続放棄、限定承認をしなければ単純承認をしたとみなされます。

負債より資産が大きければ単純承認

ほかの相続人の調査、被相続人の資産や負債の調査を終え、負債より資産が明らかに大きければ単純承認をしましょう。

単純承認をするにしても、特に何かをする必要はありませんので安心してください。

限定承認

限定承認」はプラスの財産もあるが、借金もあるような場合に用いられます。相続財産から債権者に弁済をし、財産が残った場合は相続相続を受け取ることができます。

負債のほうが多い場合、不足分についての返済義務はありません。ただし、限定承認は手続きが非常に煩雑で専門家に依頼する必要があるため、相続放棄に比べ費用がかかります。

限定承認は専門家に判断を依頼する

限定承認は選択できる範囲が限られているため、被相続人の債務があると安易に限定承認を選択しがちです。

プラスの資産が多い場合には単純承認、負債が大きすぎる場合には相続放棄の方が面倒が少ないため、本当に限定承認を選択するのが相続人全員のためになるかは慎重に判断することが大切です。限定承認が適しているかどうかは、弁護士や税理士などの専門家に判断してもらうと安心です。

相続放棄

相続放棄」の場合、初めから相続人でなかったとされます。特定の財産のみを相続したいという選択はできません。相続人の身分を一切放棄すると理解してください。

明らかに負債が大きい場合や相続争いに巻き込まれたくない場合には、相続を放棄することを検討しましょう。

資産より負債が大きければ相続放棄

資産より負債が大きければ相続放棄をしましょう。

相続放棄をするにしても、そのための手続きに多大な時間がかかるため、資産が負債より大きく上回っている場合がおすすめです。

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マンションの相続放棄を検討する際の注意点

マンションを相続するか放棄するか判断する際の注意点を解説します。

特に、相続放棄をしようとする場合は「法定単純承認」とみなされないように注意深く行動することが大切です。

  • マンションの権利関係の把握
  • 法定単純承認には要注意
  • 遺品の整理は慎重に
  • 専門家に代行を依頼する方がスムーズ
  • 生命保険と医療保険に注意

マンションの権利関係の把握

マンションをはじめとした不動産については、登記簿の中に権利関係が記載されているため、調査が容易です。

固定資産税納税通知書を入手し、その記載内容から建物の所在地や固定資産税評価額などの基本的な情報を仕入れた上で、最新の登記簿を入手します。最新の登記簿は、マンション所在地を管轄する法務局に請求すれば取得できます。登記簿を入手したら内容の確認を行います。

登記簿を確認しよう

登記簿には、表題部、甲区、乙区といった3種類の記載欄があり、それぞれの意味をしっかり理解した上で確認しましょう。

  • 表題部:土地、建物の所在地や家屋番号等の表示
  • 甲区:所有権に関する権利関係の内容や変動履歴の表示
  • 乙区:所有権以外の権利(抵当権、敷地権等)の内容や変動履歴の表示

マンションの権利関係を把握するには、甲区と乙区の両方を確認、精査する必要があります。

マンションを購入する際には、ローンを組むことが多いですが、その場合にはローン会社の抵当権が乙区に記載されています。登記簿の記載内容の見落としや間違った理解をしていると、誤った判断をしかねません。心配な場合は、不動産の法律関係に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

法定単純承認には要注意

相続放棄には相続人や被相続人の財産や負債の調査が必要ですし、家族間での協議も必要でしょう。相続の手続きは、相続の開始があったことを知った時から3カ月の熟慮期間内に相続の方法「単純承認」「限定承認」「相続放棄」を決定しなければいけません。

決定しない状態で3カ月を経過すると、「単純承認」したものとみなされます

決断できない場合は熟慮期間を延長しよう

相続開始から3カ月以内にすべての調査や判断が難しい場合は、家庭裁判所に申し立てることで「熟慮期間の伸長」ができます。

遺品の整理は慎重に

法定単純承認とされる理由に、3カ月の熟慮期間内に相続方法が決定しなかったケースのほかに相続財産の全部又は一部の処分があります。被相続人の財産を処分すると、単純承認したとみなされ相続放棄が認められなくなります。相続財産の処分といっても、売却、家屋や家財の処分、形見分けなどのいろいろなケースがあります。

葬儀のために被相続人の預貯金を引き出した場合は、法定単純承認とは認められませんが、マンションを賃貸にしていてその賃料の振込先を相続人の口座に変更した場合は、法定単純承認とみなされます。

高価な遺品は特に注意しよう

高価な宝石や着物など財産的な価値があるものを形見分けとして持ち帰ると、相続財産を分割取得したとみなされる可能性があります。

価値の低いものや社会常識の範囲内の金額である場合は考慮されるでしょう。しかし、具体的な金額は決まっておらず、事前に専門家に相談したほうが賢明といえます。

専門家に代行を依頼する方がスムーズ

調査や書類の準備、提出などにも費用は掛かります。また、仕事や家庭を持ちながら3ヵ月の限られた熟慮期間に調査を行うのは大変です。

先述したとおり熟慮期間は延長できますが、ただでさえ身内を失って気落ちするタイミングですから気力も体力も消耗します。専門家に代行を依頼した方が確実かつスムーズに手続きが進められます。

マンションの相続放棄にかかる費用

マンションの相続放棄にかかる費用の目安は以下の通りです。

費用項目目安
相続放棄の申述書に添付する印紙代800円
被相続人の戸籍謄本450円(被相続人の配偶者が申請する場合は不要)
被相続人の除籍謄本・改製原戸籍謄本750円
被相続人の住民票300円(市町村によって異なる)
申述人の戸籍謄本450円
郵便切手500円
行政書士報酬5,000円程度
司法書士報酬30,000円程度
弁護士報酬50,000円程度

生命保険と医療保険に注意

被相続人が生命保険に加入していると死亡保険金が支払われます。この保険金は受取人が誰に指定されているかで異なります。受取人が相続人や被相続人以外の場合は、相続財産に含まれないため受け取ることが可能です。

ただし、受取人が被相続人に指定されている場合は、死亡保険金は遺産となり、受けとってしまうと相続放棄ができなくなる場合があります。医療保険には入院給付金や傷害医療保険がありますが、多くの場合、受取人は被相続人となっています。医療保険の給付金を受けとることで、法定単純承認とみなされる可能性が高くなります。

その他の注意点

安易に相続放棄を行うとかえって相続手続きを面倒にしてしまう場合があります。

母親にすべてを相続させたいケース

父親が亡くなり、年老いた母親に残されたマンションと預貯金を今後の生活のためにすべてを相続させたいと、すでに成人した子供たちが相続放棄をした場合、非常に相続の手続きが複雑になってしまいます。

法定相続人第1順位の子どもが相続放棄したことで相続人の身分がなくなるため、第2順位の祖父・祖母が相続人になります。祖父・祖母ともすでに亡くなっている場合は、第3順位の父の兄弟・姉妹が相続人です。父の兄弟姉妹が亡くなっている場合は、代襲相続としてその子供たちが相続人になってしまいます。

この場合は、相続放棄をするよりも「配偶者にすべての財産を相続させる」と記載した遺産分割協議書に母と子どもで署名捺印するほうが望ましいといえます。

負債がある場合

被相続人に多額の負債があり、配偶者と第1順位の子供が相続放棄をした場合、先の例と同じように第2順位、第3順位、その子供たちが相続人になってしまいます。親族の関係を事前に把握し、法定相続人全員で相続放棄をしないと多額の負債から逃れることができず、大きな迷惑をかけてしまいます。

相続放棄は「自分が相続人であることを知った日から3カ月以内」となっていますので、あまり早い段階で知らせることで期限切れになってしまう可能性もあり、事前に計画を立てて行う必要があります。

相続放棄したマンションはどうなるか

亡くなった親の財産や負債を精査した結果として、相続放棄することを決断した後はどうなるか。ほかの相続人が相続した場合とすべての相続人が相続放棄した場合では、その後の流れは変化していきます。

相続放棄をした人は被相続人が抱えていた財産や負債との一切の関係が遮断されて、無関係の立場になります。亡き親の債権者から返済を求められることもありません。しかし、相続放棄をしても相続人には遺産の管理責任が課せられるため、遺産の中にマンションなどの不動産がある場合には注意が必要です。

ほかの相続人が相続した場合

相続放棄の手続きは、各相続人が単独で行うことができます。複数の相続人がいる場合には、ある人は相続放棄したが別の人は単純承認した、ということが起こり得ます。すなわち、自分は相続放棄をし、自分以外の相続人の誰かが単純承認を選択すれば、その人に被相続人に財産と負債はすべて承継されます。

したがって、相続放棄する人は、ほかの相続人にも被相続人の財産と債務の内容を知らせて、自らは相続放棄をした旨を伝えるべきでしょう。そうでないと、ほかの相続人が突然に被相続人の負債を引き継いでしまいかねません。

一方、限定承認については、すべての相続人が一致して手続きする必要があり、単独では行えません。一般的に相続放棄するということは、被相続人の負債が財産より多いため、といった理由がほとんどでしょう。

そのような場合には、すべての相続人が相続放棄を選択することになります。

すべての相続人が相続放棄した場合

すべての相続人が相続放棄したら、親のマンションはどうなるのか。

このようなケースについては、民法(第6章、951条以降)では「相続人の不存在」といった状況を想定し、その取扱いを定めています。しかし、判明している限りの相続人が相続放棄をすると、被相続人の遺産が宙に浮いてしまいます。その遺産を放置しておくと、国や利害関係者にとって困ることになるため、その後始末をする必要があります。そこで「相続人の不存在」といった定めが置かれています。

相続人不明の財産は法人に

それでは、この宙に浮いた遺産はどうなってしまうのか。

法律(民法951条)は「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」とあります。そのまま解釈すると、被相続人の財産が法人となる、ということになります。法人と聞くと会社などをイメージする方も多いと思いますが、法的にはそれ自身が独立した権利義務の主体として社会の中に存在することを意味します。すなわち、相続された亡き親のマンションは、その相続財産法人名義の財産の一部を構成します。

相続財産管理人を選任する

法人が法律上の「権利義務を行使できる主体」であるとはいえ、勝手に動き出すわけではありません。そこで、法人の意思を実現するために、会社であれば取締役を選任します。それと同じように、相続財産法人においても、その法人の意思を実現するために相続財産管理人を選任することができます。

会社であれば、事業運営の方針などは取締役が決めていきます。それと同じように、相続財産の処分方針などは、この選任された相続財産管理人が定めて実行していきます。なお、相続財産管理人を選任するには、遺産の利害関係者又は検察官からの請求が必要です。

相続財産管理人専任の手続き

相続財産管理人が選任された後の手続きの流れは以下の通りです。

  1. 家庭裁判所による相続財産管理人が選任されたことの公告
  2. 相続債権者や受遺者に対する清算手続きの公告および清算
  3. さらに相続人を探すための捜索の公告
  4. 特別縁故者に対する相続財産の付与
  5. 以上の手続きを経ても残余の財産があるときは国庫に帰属

以上の通り、相続人が現れないときは、清算の結果残った財産は特別縁故者に分与されるか、国庫に帰属します。なお、マンションのような不動産については、通常はそのままで国庫に帰属させるのではなく、相続財産管理人が売却などをして現金で納めます。

相続放棄した後も管理責任は残る

相続放棄をした後も、すべての責任がなくなった訳ではありません。

民法940条に「相続の放棄をした者による管理」といった条文があります。その条文の趣旨は「相続を放棄した者は、もはや相続人の地位にはないのであるが、相続財産管理人が選任されるまでは、事故の財産を扱うのと同じ注意を払って遺産の管理を続けなければならない」です。

相続放棄をした者は相続人の立場ではなく、相続財産法人から遺産の管理を委任された受任者の立場になります。これは、相続放棄した者の意思に関係なく、法律がそのように定めているため、いわば「法定管理受任者」といったものになります。どの程度の管理責任が求められるかは一概に言えませんが、少なくとも当該管理組合との連絡、部屋の定期的な点検などは必要になるでしょう。

また、相続管理人はいつ誰が選任の請求がなされるか不明のため、管理責任から免れる時期は明確に決まっておりません。以上の通り、親のマンションの相続を放棄しても、その管理責任が発生するため、そこまでを見据えて相続方法の選択を検討すべきでしょう。

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相続放棄されたマンションの管理組合の困惑

相続放棄されたマンションを抱える管理組合は、その問題を解決するのが非常に困難になっています。

今後同様のケースが増加することが予想されています。相続放棄をしても相続人には管理義務から逃れることはできないため、管理組合が直面する問題を知っておきましょう。

区分所有者のいない部屋が存在することは想定外

分譲マンションは、区分所有法により定められた区分所有権の集合体です。マンションの管理は区分所有者全員で行う前提で成立しています。マンションの部屋が区分所有者のいない状況は想定外といえます。相続放棄されたマンションは故人名義の相続財産法人の一部となり、相続財産管理人が選任されるまで管理組合には何もできません。毎月入金されるべき管理費や修繕積立金などが徴収できない状態が続きます。本来部屋の持ち主に支払い義務のある管理費などが未回収となり、管理組合会計が悪化します。

抵当権が設定されている場合

相続放棄されたマンションに抵当権が設定されている場合、債権者が抵当権を実行するため、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求する可能性が考えられます。

管理組合は、相続財産管理人を選任されるのを待って滞納された管理費等の請求を行います。ただし、被相続人の遺産が負債額のほうが大きい場合は、管理費等の清算は非常に難しくなります。抵当権等の実行で競落が成り立った場合は、管理組合は競落人に対し、管理費等を請求できます。区分所有法で滞納分の支払い義務が発生すると定められています。

管理組合からの相続財産管理人の申し立て

管理組合自身が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てることも可能です。

ただし、相続財産管理人の申し立てには、予納金と呼ばれる相続管財人の経費や報酬に充てる費用を事前に支払う必要があります遺産で支払いが十分に出来る場合には予納金は戻りますが、不足した場合は予納金から支払われるため返金されません。予納金については安ければ20万円程度の場合もありますが、100万円くらいになることも多く、管理費等の消滅時効の完成が近いような特別な事情がある場合でないと、費用の負担が大きいといえます。

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まとめ

相続放棄が発生する分譲マンションは、築年数が浅い場合は売却価格よりもローン残高が多くオーバーローンが生じるため放棄が起こりえます。

そして、築年数の経った古いマンションの場合、よほど立地条件が良い場所でないと売却が難しくなります。古いマンションほど修繕積立金が高額なケースが多く、賃貸などの収益が見込めない場合はマイナスの財産になってしまいます。連絡先や所有者が不明の物件があるマンションは、築40年以上が29%、築30年以上40年未満が24%と、古いマンションでの発生率が高くなっています。2015年5月に「空家法」施行されたように、区分所有者のいないマンションや限界マンションに対しての法整備もやがて進んでいくことが予想できます。築年数の経過した古いマンションを相続することは負の資産を所有することになりかねず、相続放棄も増えていくでしょう。

相続が予想できる古いマンションは、早い段階で手放しておいたほうが後々面倒にならないでしょう。一度マンションの価値を確認して売却を考えることも、重要といえます。

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