「注文住宅で失敗したくない!」
決して安くはないコストをかけて注文住宅を手に入れたのはいいけれど理想通りとは言えず、目につくのはむしろトラブルばかり。
そうしたミスマッチは、実際の家づくりにおいても決してめずらしくはありません。
理想を思いきり詰め込んだはずの注文住宅がなぜ、結果的に失敗に終わってしまうのでしょうか。
注文住宅で損をしないためのポイントについて具体的に解説していきます。
注文住宅で失敗する原因とは?
注文住宅で失敗してしまうのには、どのような原因があるのでしょうか?
「失敗した」と感じやすいケースを、以下の3つの項目に分けて解説します。
- 間取りに関する失敗
- 収納に関する失敗
- 設備に関する失敗
間取りに関する失敗
間取りに関する失敗には、以下のようなものがあります。
- 子供が増えて部屋が足りなくなった
- 通路が狭くて通りにくい、家具が置きにくい
- キッチンと脱衣所が離れていて家事がしにくい
間取りで失敗したと感じることには、主に家事動線や生活動線に関することが多いです。
収納に関する失敗
収納に関する失敗には、以下のようなものがあります。
- 玄関の収納が足りない
- 季節物を収納する場所がない
- 子供の成長に伴って収納が足りなくなった
- 収納を重視し過ぎて家具・家電を置くスペースがなくなった
季節物や冠婚葬祭など、日常使いしない物の収納スペースは意外と見落としがちで、失敗に繋がりやすい部分です。
小さい子供がいる場合も、成長するにつれて物が増えていくことを想定して、広めに収納スペースを確保しておくとよいでしょう。
反対に、収納にこだわり過ぎて「家具や家電を置くスペースが少ない」といった失敗もあります。
特にキッチンは、収納も大切ですが家電を置くカウンターの設置も検討するとよいでしょう。
設備に関する失敗
最後に、以下の設備に関する失敗を紹介します。
- コンセントの位置
- エアコンの位置・向き
- 大きな窓
- 床暖房
コンセントやエアコンなどの設備は、あまり深く考えずに付けると「家具で隠れて使いにくい」「冷暖房が効きにくい」など、意外とストレスになりやすいです。
また、大きな窓は解放感や十分な明るさを取り入れらるメリットがありますが、「掃除が大変」「夏は暑くて冬は寒い」など、住んでみて初めて分かることもあります。
細かい部分でも気を抜かずにしっかり計画しましょう。
注文住宅の明暗を分けるポイント
家づくりは長期的なスパンで慎重に進められるべきプロセスであり、「充分な資金を投じれば必ず成功する」というわけではありません。
初心者の方はついついポジティブな情報にばかり目をむけてしまいがちですが、注文住宅のデザインにあたっては最初の段階でネガティブなポイントにも注目し、家づくりにおいて「やってはいけないこと」、「やっておくべきこと」をあらかじめ把握しておきましょう。
事前のリサーチ力
家づくりについて充分な予備知識をもたない初心者の方は、「注文住宅を持ちたい!」と考えた時、まずどのようなプロセスからはじめるでしょうか。
最初に不動産業者、あるいはハウスメーカーにコンタクトを取り、理想のデザインについて担当者に希望を伝え、具体的な施工については専門家に一任する。恐らくは、このようなところがオーソドックスなパターンではないかと思われます。
しかしながら、本当の意味で後悔のない注文住宅をデザインするうえではこれだけでは不充分だと言わざるを得ません。
注文住宅を理想通りにデザインするためのポイント。それは、情報収集力です。具体的には地価や路線価、周辺の立地などの情報をデータとしてリサーチすることがポイントで、情報収集の積み重ねによって「どのエリアにどのような注文住宅を建てるべきか」ということがより明確に見えやすくなります。
情報収集のツールとしてはウェブサイトが有効で、不動産業者やハウスメーカーのウェブページはもちろんのこと、政府や国土省が定期的に発表している地価や路線価をこまめにチェックすることで理想と現実の折り合いをつけやすくなります。
トータルコストをシミュレーション
家づくりにおいて何よりも重要なのがコストシミュレーションです。注文住宅のデザインでは家の購入費用そのものだけでなく、不動産業者への手数料など、細かいコストがいろいろと上乗せされます。
注文住宅のデザインにおいて、追加コストの発生は極力さけなくてはなりません。事前に完成図をはっきりとイメージしないまま実際の施工に入ると、建材の不足やデザインの変更など、工事期間中にさまざまなトラブルが発生してしまい、結果的にトータルコストが当初のシミュレーションを大きく上まわってしまいます。
現場での急なプラン変更は作業スタッフを混乱させてしまいますし、信頼関係が揺らぐ原因にもなりますので、トータルコストを含め、住まいの完成図は依頼前にきちんとイメージしておきましょう。事前に考慮すべきコスト要因は以下の通りです。
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不動産業者との相性
初心者の方は意外と気づきにくいかもしれませんが、不動産業者にもそれぞれに個性や得意分野があり、すべての業者が均一なサービスを提供しているとはかぎりません。
たとえば、都市部の不動産業者はいわゆるデザイナーズマンションに特化した住宅が多かったり、反対にオーソドックスなデザインの住宅を得意にしている業者が増えていたりと、業者ごとの違いをチェックするだけでも注文住宅のトレンドが把握できますので、焦って注文を出す前にまずは業者ごとの違いを体系的に把握することからはじめましょう。
注文住宅のデザインにあたってはまず、不動産業者ごとの適性を見きわめることが重要で、相性の合う業者をピックアップすることが理想の住まいを手に入れるための近道となります。
夫婦で意見を統一しておく
単身世帯と家族世帯では、家づくりにおいて重視すべきポイントが変わってきます。単身世帯であれば基本的に自分だけの理想を最優先させられますが、配偶者や子どもがいる場合はそれぞれの理想や都合を考慮する必要があり、施工に入った段階で意見が激しく衝突することもめずらしくはありません。
夫婦間で意見が分かれやすいエリアとしては、リビングなどの共有スペースが挙げられます。男性はシックな色が好みなのに女性のほうがファンシーなイメージにしたい、など、リビングは双方のこだわりがぶつかりやすいところですので、最終的にはどちらか一方が妥協して終わる、という結果になりかねません。
意見の衝突は家づくりにおいてネガティブな要素にしかなりませんので、業者に依頼を出す前の段階で夫婦の意見をきちんと統一しておき、家族全員が納得できる注文住宅のデザインをめざしましょう。
理想を追求しすぎない
憧れのマイホームとなると、誰でも長年の理想を最大限に詰め込みたくなるものです。もちろん、注文住宅はそれぞれの理想を最大減にかなえるための空間ではありますが、予算や物理的な制約がある以上一定の限界があることは否定できません。
本当の意味で信頼できる不動産業者であれば、依頼主のプランに対してその都度建設的な修正案を出してくれるはずですので、業者選びにあたってはコミュニケーション能力についても入念にチェックしましょう。
・見積もりは正確に
・業者との相性もチェック
・現実とのバランスも重視
家族全員のニーズを汲み取る注文住宅
家族で暮らす注文住宅のデザインでは、家族ひとりひとりのニーズを汲み取りつつ、予算や空間の制約とバランスの取れた施工プランを組み立てる必要があります。家族全員にとって暮らしやすい注文住宅をつくるためのポイントについて見ていきましょう。
個室スペースの確保
新婚時代から注文住宅を購入する場合は特に、将来家族が増えた時のことを見据え、個室スペースをあらかじめ確保しておくことが重要です。
まずは子ども部屋をいくつ、どの程度の広さで確保するのか。子どもが巣立ったあとのことまで考えてできるかぎり具体的にシミュレーションしておくことで、いざ家族が増えてスペースが必要になった場合でもあわてずに対処することができます。
また、子どもの問題だけでなく、年老いた両親とどのように向き合っていくか。あるいは、自分たちが年老いた場合にこの住宅でどのように暮らしていくか、という問題についても具体的にイメージしておく必要があり、決して場当たり的ではなく、ライフステージの早い段階から家族で共通認識をもっておくことがひとつのポイントになります。
共有スペースをベースに考える
住まいはただの空間ではなく、家族全員がコミュニケーションを深めるためのプライベートスペースです。
家族が増えれば当然、個室スペースの確保も重要になりますが、住まいの基本は共有スペースであり、リビングやダイニングなどの共有スペースをベースに考えることでそれ以外のデザインが自然と具体化し、コンセプトが統一された暮らしやすい住宅に仕上がっていきます。
リビングを明るくして家族全員が集まりやすくする、全員で食事がしたくなるような開放的なダイニングをデザインするなど、大まかな骨組みをシミュレーションするだけでも完成図はかなり違ってきますので、ベースの部分については徹底的にこだわりましょう。
子供部屋は柔軟性をもたせる
家族世帯の注文住宅で重要な位置を占める子ども部屋。子ども部屋の役割は成長段階によっても変わってきます。
たとえば、子どもが小学生のうちはあくまでも「夫婦の時間を確保するためのもの」だったりしますが、中学生以上になると子ども自身にもプライベート意識が芽生えはじめるため、自立を促す個室空間としての意味が大きくなってきます。
また、子どもが増えた時にもストレスを与えないように、あとになって簡単にスペースが拡張できるタイプの子ども部屋にすることも大切なポイントです。
注文住宅の実践例をチェック
これから注文住宅を手に入れようと考えている方がまずやるべきことは、綿密な情報収集です。成功例、失敗例を含め、あらゆるパターンの家づくりを把握しておくことで、先行事例から学ぶべき点や反面教師にすべき点を具体的にイメージすることができ、実際の依頼においても不動産業者との交渉のポイントなどがわかりやすく整理されます。
事例を幅広くチェックすることも重要ですが、これからデザインする予定の住宅に近いシチュエーションを重点的にチェックすることにより参考情報を効率よくストックすることができますし、家づくりへのポジティブなイメージを明確化することにもつながります。
トラブル時は弁護士に相談
一生に何度とないマイホームゲットのチャンス。しかし残念なことに、不動産業者との相性が悪かったり、実際に暮らしてみてあとから重大な欠陥が見つかったりと、注文住宅をめぐるトラブルはあとを絶ちません。
手抜き工事による欠陥はもちろん違法行為ですので、施工が完了したあとでも不具合が見つかった時点でただちに弁護士など法律の専門家に相談し、追加の補修工事や慰謝料の請求など必要な法的措置を講じることが大切です。
トラブル時の相談窓口としては弁護士のほかに、自治体が主催する各種セミナーやカウンセリングなどがありますので、業者に相談する前からそれらの窓口を活用し、注文住宅についての疑問点や不明点をきちんと解消しておきましょう。
・トラブル時は弁護士に相談
・施工前から窓口をチェック
・各種セミナーも有効
注文住宅でも不動産業者との相性が大切
注文住宅のデザインにおいては、不動産会社との相性がポイントになります。
どのような住宅に暮らしたいのか、そのためにはどのような条件が必要なのかを専門家と一緒にシミュレーションし、家族ひとりひとりのニーズを汲み取ったうえで裏層の注文住宅のイメージを具体化させていきましょう。