相続は、人生で何度も行うものではありません。
多くの人は十分な知識がないまま突然相続の手続きに追われることとなり、知らない間に損をしています。
特に相続財産に不動産が含まれる場合は、遺産分割の方法が複雑であるために、損をするだけでなく親族とトラブルになってしまうことも。
この記事では、スムーズな不動産の相続を行えるよう、相続の必要手続き・費用・不動産相続時の遺産分割方法などを解説します。
相続した不動産を売却する予定の場合は、以下の記事も参考になります。
不動産相続の手続き
まずは、不動産相続を行う際の全体的な手続きの流れを解説していきます。
遺言書がある場合、遺言書の内容に沿って相続の手続きを進めましょう。
自筆遺言書・秘密証書遺言を見つけたら、その場で開けずに家庭裁判所で所定の手続きを行った上で開封しましょう。
また、遺言書には時効がありません。
そのため、相続手続きが終わって遺産を分け合った後でも、遺言書が見つかったら内容に沿って相続をやり直さなければいけません。
この章では以下の手続きを解説しています。
- 相続人・相続財産の確定
- 遺産分割協議で分け方を決める
①相続人・相続財産の確定
相続人は、遺言書がある場合には、基本的に遺言書に係れている人が相続人になります。
遺言書が見つからなかった場合は、誰が相続人なのかを調べるために、相続人の確認と相続財産の確認が必要です。
不動産を相続できる人
法定相続人は、基本的に戸籍で確認が可能で、法定相続人には、相続の優先順位があります。
相続人については、配偶者がいる場合には必ず相続人となり、その他の相続人は、多くのケースで、子供⇒親⇒兄弟の順番に相続人となると考えていただいた方が良いでしょう。
法定相続人が既に故人であるケースでは、その子供などの直系卑属が、亡くなった法定相続人の代わりに相続することが可能です。
これを「代襲相続」と呼び、法定相続人の代わりに相続権を得る人を「代襲相続人」と呼びます。
相続人の確認は、法務局で亡くなった方の戸籍や相続人の住民票を提出すると、相続情報一覧図で証明してもらう制度で確認できます。
相続の対象となる財産
相続財産には、不動産以外のものも含めて計算する必要があり、一般的には預貯金と不動産が大きな相続財産に当たります。
プラスの財産だけあれば良いのですが、中には借金や住宅ローンなどのマイナス財産も存在します。
プラス財産、マイナス財産、葬式の費用を差し引いた金額に対して相続税が発生します。
財産を相続する人が決まったら、遺産分割の対象となる財産を確認します。
【財産分与の対象となる遺産】
- 不動産
- 預金・貯金・現金
- 株式などの有価証券
- 生命保険
- 金・宝石・美術品など
相続放棄
相続放棄とは、プラスの財産である「資産」とマイナスの財産である「負債」の両方を相続しないことです。
負債の返済は免除されますが、同時に不動産以外を含めた含めたすべての資産を相続することができません。
例えば、100万円のローン残債のあるアパートと1000万円の預金を相続したとします。
この場合、相続放棄をするとアパートだけでなく、1000万円の預金の相続権を失うことになります。
限定承認
限定承認とは、相続した資産の範囲内で負債分を相続するという方法です。
100万円のローン残債のあるアパートと1000万円の預金を相続した場合、預金の100万円分をアパートの返済に充てることで、現金900万円とアパートを相続するという方法です。
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②遺産分割協議で分け方を決める
遺言書がある場合は、遺言書の内容に沿って相続の手続きを進めましょう。
遺言書がない場合は、相続人がどのくらい遺産を分けていくのかを決める「遺産分割協議」が必要になってきます。
以下では遺産分割協議書についてやトラブルになりそうな時の解決策を紹介しています。
具体的な遺産分割方法は「不動産相続の遺産分割方法」にて詳しく解説しています。
遺産分割協議書を作成する
遺言書がない場合、遺産分割協議書が必ず必要になるので、早めに作成しましょう。
以下が、遺産分割協議書の見本になります。
※森橋司法書士事務所より、遺産分割協議書のサンプル
遺産分割協議書は書式に指定はありませんが、自分で作成することが難しい場合は税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。
トラブルになりそうなら専門家に相談しよう
不動産の相続手続きは、特別な資格などがなくても自分で行うことができます。
ただし、煩雑な手続きや公的な書類の作成などを行わなければならず、忙しい人にとっては面倒なことも多いでしょう。
はじめて手続きを行う場合は専門家に依頼することもおすすめです。
専門家 | 相談できる内容 |
---|---|
弁護士 | 遺産分割分割などで揉め事が発生した場合の調停 |
司法書士 | 不動産の相続登記の依頼 |
税理士 | 遺産分割協議書・相続税申告書の作成 |
遺産分割協議で売却することが決まったら、まず不動産の査定を行いましょう。そこでおすすめするのが「すまいステップ」の不動産一括査定です。
すまいステップは不動産会社を厳選し優良会社のみが加盟しているので、安心して査定を依頼できます。また優良な不動産会社の査定なので、より高値で売却できる可能性もあるので、ぜひ査定を依頼してみてはどうでしょうか。
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不動産相続にかかる税金
不動産を相続する際には、「相続税」と「登録免許税」の2種類の税金がかかります。
- 相続税
相続にかかる税金。相続する金額によってはかからない場合もある - 登録免許税
不動産の登記を変更する際に、必ずかかる税金
それぞれ見ていきましょう。
相続税はかからないケースも
基礎控除や配偶者控除を使うと、相続税がかからないケースも多いです。
相続税がかからない場合は、相続税の申告は不要です。
基礎控除
相続税は、相続財産の額が相続税の基礎控除額内であれば発生しないというルールがあります。
相続税の基礎控除は、以下の計算で求めることができます。
そして、法定相続分に応じる取得金額が1000万円以下の10%が下限、法定相続分に応じる取得金額6億円超の55%が上限となっています。
これによって算出される相続税の合計額が相続税の総額となります。
配偶者控除
相続人が亡くなった方の配偶者の場合、相続額が1億6000万円までは相続税がかかりません。
もし相続額が1億6000万円を超える場合でも、法定相続割合相当分までは相続税が控除されます。
相続税早見表
もし相続税がかかる場合、相続税は相続する財産の総額によって税率が変動する仕組みとなっています。
以下に相続財産額・相続人数別の相続税早見表を掲載します。
相続額/相続人 | 配偶者+子供1人 | 配偶者+子供2人 | 配偶者+子供3人 |
---|---|---|---|
4000万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
5000万円 | 40万円 | 10万円 | 0円 |
6000万円 | 90万円 | 60万円 | 30万円 |
7000万円 | 160万円 | 113万円 | 80万円 |
8000万円 | 235万円 | 175万円 | 138万円 |
9000万円 | 310万円 | 240万円 | 200万円 |
1億円 | 385万円 | 315万円 | 263万円 |
※相続人が配偶者と子供のみのケースを想定
※法定相続人が法定相続割合で相続し、基礎控除および配偶者控除のみ適用したものとして算出
おおよその金額を知り、相続税として用意すべき金額を頭に入れておきましょう。
相続税はだれが払うの?
相続税は、遺産を相続した人全員が、相続分の税額をそれぞれが払う必要があります。
相続税が控除を利用して0円になった場合は、その人は相続税を払う必要がなくなります。
また、遺産の税額が基礎控除額を下回っている場合、誰も相続税を払う必要はありません。
登録免許税
不動産の相続の際には「所有権移転登記(相続登記)」と呼ばれる登記簿上の手続きが必要です。
この手続きを行う際に、「登録免許税」という税金が課せられます。
相続登記における登録免許税は、以下のような計算で算出します。
費用総額シミュレーターで売却にかかる費用を算出してみよう
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
相続税の評価方法
相続税の申告が必要であるかどうかを判断する上で、不動産の相続税評価額を計算が必要になってきます。
この章は、不動産の相続税の評価方法について解説しています。
- 土地の評価方法
- 建物の相続税評価額の計算方法(戸建て・マンション)
土地の相続税評価額の計算方法
土地の相続税評価額の計算方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があり、土地区分によって計算方法が異なってきます。
以下では、2種類の計算方法について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
路線価方式
路線価方式は、主に市街地の土地を評価する時に用いる計算方法です。国税庁が毎年1月1日に路線価を設定して、7月上旬に発表しています。(路線価図・評価倍率表)
倍率方式
倍率方式は、人口の少ない地方や畑、山林を対象に評価する計算方法です。
路線価方式と比べて、固定資産税評価額に決められた倍率を掛けるだけで計算できるので、簡単に評価方法を知ることが可能です。
- セットバックがある土地(狭い道路に面して、建て替え時に道路に転用すべき部分がある土地)
- 都市計画道路の予定地
- 広大地(その地域の標準的な土地に比べて面積が大きい土地で一定の条件を満たすもの)
土地の固定資産税評価額から売値を計算する方法!実際の売却価格はいくら?
建物の評価方法
建物の評価額は、市町村で決まっている固定資産税評価額を用いて計算します。
ただし、建設中・賃貸出だしている建物は相続税評価額の計算方法が異なってきます。
以下では、建物の評価方法について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
マンションの場合
相続した不動産がマンションの場合、「専有部分」と「敷地権」に分けて相続税評価額を計算してきます。
マンションの相続税評価額の計算方法 | |
---|---|
専有部分 | 固定資産税評価額の同額 |
敷地権 | マンションの敷地全体の評価額×持分割合 |
敷地権の計算方法では、土地の相続税評価額で説明した路線価方式・倍率方式のどちらかを用いて計算する必要があります。
持分割合は、登記事項証明書に記載されているので確認しておきましょう。
マンションの相続税はいくらかかる?相続税評価額の計算方法を解説
不動産相続の遺産分割方法
被相続人が遺言を残さずに亡くなった場合、相続人全員と話し合い、遺産を具体的に分配していくこと
不動産を含む相続財産を分割する場合には、下記の4つの遺産分割方法が考えられます。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有分割
それぞれの特徴を確認し、ご自身の状況にあった遺産分割方法を選びましょう。
相続する不動産に誰かが住み続けるのであれば「現物分割」か「代償分割」、誰も不動産に住まないのであれば「換価分割」がおすすめです。
現物分割
現物分割の典型例は、一つの不動産を一人が相続し、その他の財産を他の相続人で分ける遺産分割方法です。一つの物をそのまま形を変えずに相続人が取得するという遺産分割方法です。
もっともシンプルで手続きの簡単な方法といえるでしょう。
ただし、相続財産が一つの不動産しかない場合にはこの方法は使えないほか、不動産以外の相続財産の価値が不動産の価値に満たない場合には、誰が不動産を相続するかで揉める可能性があります。
代償分割
代償分割の典型例は、一人の相続人が不動産をすべて相続し、残りの相続人には相続分に相当する金銭を渡す遺産分割方法です。
例えば、不動産4000万円・預貯金2000万円の相続財産を代償分割で1/2ずつ分ける場合、不動産を相続した人は預貯金を相続した人に1000万円を渡します。
これにより、両者の取り分はいずれも3000万円となり、1/2ずつの分割が完了します。
注意点としては、不動産の相続人に現金の用意が必要となることが挙げられます。
また、代償分割をする際の不動産の時価評価は、相続税における時価評価と異なり、実際の時価額が原則となります。
なお、代償分割を行う際には、遺産分割協議書にその旨を記載しましょう。記載がない場合、代償金の受け渡しに贈与税が課せられることがあります。
換価分割
換価分割の典型例は、相続財産である不動産を売却し、その売却で得た利益を相続人間で分ける遺産分割方法です。
不動産を相続しても誰も活用できない場合や、代償分割・現物分割が難しい場合にこの手段が取られます。
不動産を手放すことにはなりますが、現金を平等に分配できるので、もっとも揉め事の起こりにくい遺産分割方法といえるでしょう。
換価分割の際には、相続した売却代金によって(売却によって利益が生じた場合)は、相続人に「譲渡所得税」が課せられることを忘れないようにしてください。
なお、換価分割も代償分割と同じく、遺産分割協議書に「換価分割であること」や仮に、相続人の1人が単独で相続登記をするときなどは、「単独での相続登記が手続き上のものであること」を明記しましょう。
換価分割で不動産を売却する際には、まずは不動産の査定を受ける必要があります。
すまいステップなら、「累計100件以上の不動産売買仲介の実績あり」「市場相場よりも高値での不動産売却の実績あり」などの条件を満たした優良不動産会社のみを厳選してご紹介することができます。
共有分割
共有分割とは、一つの不動産を共有名義にして相続する遺産分割方法です。
一見簡単な方法に見えますが、相続した不動産を売却する際や賃貸に出す場合に名義人全員の同意が必要になるので、トラブルにつながりやすい方法です。そのため、共有分割はできるだけ避けるのが無難です。
マンションを相続する手続きと流れ!必要書類や相続税の計算方法を解説
不動産相続の注意点
上記では不動産相続の流れや遺産の分け方、税金を解説してきました。
この章では、不動産相続でトラブルを避けるための注意点をいくつか紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 相続税は漏れなく申告しよう
- 遺産分割でトラブルになるポイントと対策
- 各不動産の相続する際の注意点
相続税は漏れなく申告しよう
相続税の納付と申告を終えた後、納付した相続税が正しい金額かどうか、税務署が税務調査を行います。
税務調査の結果、申告漏れや不備が合った場合ペナルティとして、追徴課税や延滞税といった形で、追加で納税をしなければなりません。
相続税の納付と申告のタイミングで申告漏れや不備がないかどうか何回もチェックしましょう。
マンションの相続税はいくらかかる?相続税評価額の計算方法を解説
遺産分割協議で話がまとまらない場合
遺産分割の際に分割方法や不動産の評価方法でもめることがあります。「売却して現金で配りたい」や「相続して住みたい」など相続人間で意見の対立が生じやすいです。
遺産分割協議では期限が定められてなく、一度トラブルになると長期化する可能性があります。
それに加え、相続税の納税期間は10カ月以内なので、それまでに遺産を分けなければならなく、相続税の優遇制度も利用できなくなってしまいます。
遺産分割協議で話がまとまらない場合は、調停を申し立て、それでもまとまらない時は審判による裁判所で判断してもらうのが賢明です。
各不動産を相続する時の注意点
相続する時に、各不動産ごとに注意するところが異なります。
以下では、土地、戸建て、マンションを相続する際の注意点を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
戸建てを相続する時の注意点
相続人が別で家を所有して、戸建てを相続した時、居住予定がなければ空き家になる可能性があります。
空き家になった場合、特例空き家に指定される可能性があり、小規模住宅用地特例の対象外になってしまい、固定資産税が4倍ほど高くなってしまいます。
固定資産税は毎年支払わなければいけないので、空き家所持はかなりコストがかかります。
毎年払うことが難しければ、売却を検討すると良いでしょう。
【完全版】家を売るときの基礎知識!今すぐ実践できるコツまで紹介
マンションを相続する時の注意点
マンションを相続した時、相続人がよく活用するのはマンションを賃貸に出すことです。
しかし、新築マンションの供給があり、中古マンションは築年数が増すごとに借り手が見つからなくなってしまいます。
リフォームして賃貸に出すか、経営する予定が無ければ売却することも考えておく必要があります。
不動産会社と相談しながら、マンションの活用方法を検討してみましょう。
マンションを相続する手続きと流れ!必要書類や相続税の計算方法を解説
土地を相続する時の注意点
土地を相続する際には、分割して相続する時に注意が必要です。
土地の価格は変動するため、値上がりした時、不満に感じる人が出て、トラブルになる可能性があります。
遺産分割協議の際には、将来の価格変動も見越した相談をする必要があります。
また、相続税評価額が高い土地を相続した場合、相続税も高額になるのはもちろんです。
そのほかにも、毎年の固定資産税の負担も大きくなっていきます。
現在の収入や土地活用をして、固定資産税が負担にならないかなど、相続前に検討しておく必要があります。
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古家付き土地を売却する場合は解体して更地にすべき?そのまま売却した方がよい?
記事のおさらい
不動産相続の手続きは?
不動産相続の手続きは以下の通りです。
- 相続人・相続財産の確定
- 遺産分割協議で分け方を決める
詳しく知りたい方は不動産相続の手続きをご覧ください。
不動産相続にかかる税金は?
不動産相続にかかる税金は以下の通りです。
- 相続税
- 登録免許税
詳しくは不動産相続にかかる税金をご覧ください。
不動産相続の遺産分割方法は?
不動産相続の遺産分割方法は以下の通りです。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有分割
詳しく知りたい方は不動産相続の遺産分割方法をご覧下さい。
不動産相続の注意点は?
不動産相続の注意点は以下の通りです。
- 相続税は漏れなく申告しよう
- 遺産分割でトラブルになるポイントと対策
- 各不動産の相続する際の注意点
詳しくは不動産相続の注意点をご覧ください。