住宅ローンを残したままにしたい|財産分与の取り決めポイント

離婚における「財産分与」は、2人の共有財産を民法768条の取り決めに従い、2年以内にお互いが納得した形で分け合うというものです。特に大きな財産となる「住宅」はトラブルの原因になることが多く、特に住宅ローンが残っているままの住宅の場合、様々な可能性を考える必要があります。
しかし中には「子供が成長するまで住み慣れた家にいさせてあげたい」「自分の財産として家を取得したい」など、人によって理由は様々ですが、そのまま家に住み続けたいと考える人もいるでしょう。そこで、この記事では住宅ローンがあっても家に住めるのか、住める場合に住宅ローンを残したまま財産分与をするための流れ、取り決めたいポイントや注意点を解説します。

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1.離婚しても住宅ローンを残したまま家に住めるのか

住宅ローンを残したまま家に住めるかどうかは、離婚相手との交渉に加えて「今後の人生計画として家をどう扱うべきか」で大きく変わってきます。

1.1 住宅ローンを払い続けられるか検討することが必要

住宅ローンが残っている家に住むこと自体は可能です。しかし家を維持するのであれば、住宅ローンを返済し続けることは必須です。たとえば家のローンが残っていた場合、2通りの財産分与が考えられます。

住宅ローン残高家の現在の価値残ったローン残高財産分与の方法(例)
2,000万円2,500万円0万円家を売却してローン返済後、500万円を2人で分ける
2,000万円1,500万円-500万円残ったローン500万円を2人で分け、それぞれ返済する

このように、離婚した場合そのまま住宅ローンが消えることはありません。そのため夫婦それぞれが、住宅ローンを支払いながら生活ができるのか、お互いに冷静な目で検討することが重要です。
まず別居すると、これまで2人で負担し合ってきた生活費は2倍になります。住宅に残る場合、妻側が実家に帰ることで生活費の問題を解決したとしても、もともと家族で暮らすことを前提に購入した家の生活費は、一人暮らしの電気代や水道代よりはるかに高くなります。
児童扶養手当や様々な制度を活用しても、月に何万円にもなる住宅ローンをカバーできるほどにはなりません。したがって、確実な支払い計画を建てられるような状態であって初めて家に住み続けるという選択肢が出てくるのです。

1.2 住み続けること自体がデメリットになる場合もある

例え住宅ローンに関する問題をクリアできても、今度は長期的に検討して住むこと自体のリスクも考えなくてはなりません。デメリットとして、次のようなことが挙げられます。

  • 収入が減った時に対応できない
  • 子供のための今後の学費が貯めにくくなる
  • 家の価値自体が下がり続けてしまい最終的に価値がなくなる

もし住宅ローンを支払えるのがやっとであれば、万が一ケガや病気で動けなくなった時に、住宅ローンを支払うこと自体がリスクになります。また住宅ローンがたとえ払えたとしても、長期的な目で見ると生活費や学費を切り詰めることになっては大変です。
また最終的に家を売ることを検討していても、新築を重視する傾向にある日本では、中古住宅の価値は毎年下がり続けます。買い手も多い都市部ならまだしも、人気の低い土地に建てた家では住宅に対する資産価値はほとんど期待できません。住宅を所持すること自体が、負債を抱えるに等しい場合もあるのです。

1.3 銀行という第三者が絡む住宅ローン

住宅ローンの問題が難しいのは、元夫婦という2人以外にも、銀行という第三者が絡むため権利関係が難しくなってしまうのが1つの理由です。基本的に住宅ローンは、ローンを借りている人自体がその家に住まなくなった場合や、所有権自体を譲渡した場合に、そのこと自体を銀行に伝えるよう取り決められていることが多くあります。
またそれに伴い、銀行側は住宅ローンの一括返済を求めることができると契約上は決められていることがほとんどです。契約違反とみなされると、例えば即時全額一括返済や財産の差し押さえなど、ペナルティを課されることも考えなくてはなりません。
このように離婚後、住宅ローンが残った家に住み続けるということ自体、あらゆる側面や契約、法的な側面から検討することが必要なのです。
{
・住宅ローンは消えない
・住むリスク
・第三者が絡む
}

2.住宅ローンが残ったまま財産分与するまでの流れ

では住宅ローンが残ったまま、実際に離婚し財産分与するのであれば、どのような流れを踏むのか見てみましょう。

2.1 登記事項証明書と住宅の査定依頼は必須

まず、状況を把握し、権利関係をはっきりさせましょう。住宅ローンが残っている状況として、2つのことが考えられます。

  • 住宅ローン残高より家の価値が上回っている
  • 住宅ローン残高より家の価値が下回っている

しかし住宅ローン残高より本当に家の売却額が高いかは、家を実際に査定してみないと分かりません。そのため家や土地の所有者の正確な情報が分かる「登記事項証明書(登記簿謄本、全部事項証明書)」を取得したうえで、家の売却額を知らなくてはなりません。
さらに住宅ローン契約書において、ローンを返済する人が誰なのか、また連帯保証人は居るのかなど、住宅ローンに関わる権利も明確にしましょう。どのくらいローンが残っているか、償還表などを活用して明確にすることも欠かせません。

売却額を知る場合は複数査定と訪問査定をしてもらう

この時、面倒でも不動産会社はその土地に詳しい会社や大手を含め、少なくとも3社に依頼しましょう。複数社に依頼した方が査定額の相場が分かりやすくなり、また会社によってはこの土地の家が欲しい顧客がいた場合、確実に手に入れるために売却額が高くなる傾向にあります。
またより正確な額を出した方が、お互いに売却額にも納得しやすくなります。ここが良い、と決まった不動産会社があれば、実際に家を訪れてもらい詳しく査定する訪問査定を活用しましょう。家が高く売れれば、住宅ローンを返済する可能性も高まります。

2.2 話し合いをしてどうすべきか決める

売却するか、住み続けるか、夫婦で話し合います。住宅ローンを残している場合、住宅ローン名義をもつ方が住宅に住みながらローンの支払い義務を遂行するなら、銀行側も納得してくれます。その場合は、住宅から出る方が保証人から外れる手続きをすることが大切です。
また家の価値が高ければ、最初に説明したように家を売却したうえで住宅ローンを完済し、その残りを財産分与することも可能です。財産分与は基本的に、残るのは物よりもお金の方が、後々まで影響を残さずに済みます。

マイナスの財産も分けなくてはならない

住宅ローンが住宅の売却額を上回っていたとしたら、家自体はマイナスの財産として判断されます。そうしたローンが売却額を上回った住宅を「オーバーローン住宅」と呼びます。
銀行側としても「確実に返済されないなら差し押さえたい」と考えることが多いため、売却させてもらえるように交渉が必要になります。この場合、裁判所であったとしても、銀行の権利に対して影響のある決定をするわけにはいきませんから、実際に銀行側と弁護士などと協力して相談しなくてはなりません。

2.3 必要な書類や費用

実際に住宅ローン返済の方法や残高の確認を済ませ、どのように財産分与を行うかが固まったら離婚そのものについて協議し、離婚協議書を作成します。

協議離婚の場合

離婚について合意した時点で離婚協議書を作り、公正証書という法的な拘束力や証拠力をもつ書類にすることで、話し合いで離婚における様々な取り決めができます。公正証書を作る過程で2週間ほど時間がかかりますが、万が一離婚協議書の内容を守らなかった場合、相手に対して裁判を起こさずに強制執行を行えます。必要な書類は以下の通りです。

  • 離婚協議書
  • 戸籍謄本(夫婦お互いのもの)
  • 身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証など)
  • 印鑑証明書/実印(夫婦それぞれ用意する)
  • 財産分与に関わる財産を示す書類や不動産の登記簿謄本、年金手帳など

これらの書類をまとめて、夫婦のどちらか一方が公証人がいる公証役場に向かい、面談を行います。事前に電話やメールを送るとスムーズです。公正証書にする場合の手数料については、受け取る、もしくは支払う必要のある金銭的な負担(目的の価額)に応じて変わります。

目的の価額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下1,1000円

上記は一例で、額が高くなるほどに手数料も上がると覚えておきましょう。また夫婦の話し合いでの解決が難しい場合は、離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立てることで、離婚に関する話を調停委員が間に入って進められるため、話がスムーズに進みやすくなります。

離婚後であれば財産分与請求調停

離婚してしまった後も、2年間は財産分与調停を申し立てることができ、財産分与について話し合うことが可能です。また話し合いでは決定できなかった場合、裁判官(審判官)がどのような財産分与が妥当か決定してもらうこともできます。

  • 調停の申し立て書と写しを各1通
  • 離婚時の夫婦の戸籍謄本
  • 財産目録(ある時点における所有財産をすべて網羅した一覧表)
  • 夫婦のお互いの財産に関する書類

夫婦のお互いの財産に関する書類というのは、個人単位で言えば給与明細や預金通帳のコピー、より大きな財産で言えば固定資産税評価額証明書が必要です。家の場合は登記事項証明書もそろえましょう。
書類がそろったら、住所の管轄に当たる家庭裁判所へ申し立てます。手数料は収入印紙代として1,200円、また郵送用の郵便切手が裁判所に応じておよそ800円かかります。収入印紙は郵便局やコンビニなどで購入できるため、あらかじめ用意しておきましょう。

2.4 不動産の名義変更が必要になることも

財産分与において、不動産の場合は手続きがさらに必要になるケースもあります。たとえば妻と子供が今後も住宅に住み続け、養育費などを負担しない代わりに夫が住宅ローンを返済し、家は妻の持ち物とすると調停の結果決まった場合には、名義変更はとても重要です。
もし家の名義が夫であれば、妻へ名義変更を行わない場合、登記上の家の所有者は夫のままになってしまいます。この場合「住宅ローンの返済後に名義変更を行うこと」に対して同意をもらうなど、名義変更のための対策が必要になります。
{
・家の価値を知る
・夫婦で条件を決める
・必要に応じて調停
}

3.オーバーローン住宅の判断は状況に応じて様々

そもそも売却が困難なオーバーローン住宅は、対応は状況に応じて様々です。

3.1 様々な判断ができるオーバーローン住宅

オーバーローン住宅は、任意売却という方法をとることで売却自体は可能ですが、これには銀行側との交渉が必要です。しかし反面、必ずしも売ること自体が正解とは限りません。たとえば家が急に変わること自体、子供にとって良い影響にならない可能性を考えてしまう人も多いためです。
この判断はその人個人の価値観や、お互いの事情、どちらが親権を持つのかなど、様々な要素からしっかりと考える必要があります。そこに弁護士や裁判官など、第三者が正解を出すのはとても難しいことです。

ローンが残っても離婚協議次第で住んでいる人もいる

現実的に考えれば「住む人」「ローンを支払う人」「家と土地の所有者」この3つは一致していた方が確実ですが、そうもいかないことが良くあります。実際、離婚しても夫婦で家を共有財産としていたり、夫が所有してローンを支払うが妻と子供が続けて暮らすという離婚協議で決着がついたりする場合もあります。

3.2 連帯保証人等になっている場合は売却を要検討

どちらか一方が連帯保証人になっている場合は、たとえオーバーローン住宅で銀行と交渉が必要であったとしても、売却してできるだけ早期に住宅ローンを返済することを考えた方が良いでしょう。何故なら夫婦関係が離婚で解消されたとしても、連帯保証人や連帯債務者の解除は銀行側の判断が必要だからです。
銀行側としては、離婚は住宅ローン返済において不安定な要素となり、返済が難しくなるかもしれないと考えます。しかしこうなると、債務者が返済しなかった場合は、連帯保証人が返済しなくてはなりません。
今後離婚協議などにおいて、どちらか一方に返済の責任がないことにするとしても、代わりの保証人になってくれる人を見つけるのは難しく、できれば売却した方がお互いに負担が少なくなるのです。
{
・対応に正解はない
・重要視することによる
・連帯保証人等は要注意
}

4.今後の生活のためにも選択肢を広く持とう

実際に離婚を行うと、状況によっては財産分与の話し合いのタイミングさえ持てない可能性は多々あります。内容が内容だけに、誰にも相談できず2年間が過ぎてしまえば、財産分与はできなくなってしまい、得られたはずの財産まで失うことになります。
弁護士の無料相談など、頼れる箇所はたくさんあります。今後の生活のためにも選択肢はできるだけ広く持てた方が堅実です。住宅ローンは返済すべきものですが、状況としてそれが難しく、返済するために生活を削り続けなくてはならないのなら、たとえ苦労して手に入れた自宅でも手放すことも検討しましょう。

離婚の財産分与の家について気になる方は「離婚で家を財産分与するには?財産分与の種類や流れを解説」も参考になります。


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