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財産分与を有利に進めよう|不動産が原因のトラブルを防ぐためには

  • 更新日:2024年2月26日
財産分与を有利に進めよう|不動産が原因のトラブルを防ぐためには

財産分与とは、婚姻中に蓄積された財産を離婚時に分割して清算する方法です。しかし、離婚時には、離婚原因でのトラブルが多いだけでなく、財産分与についてもその方法を巡ってトラブルが多いのが現状です。

そのため、財産分与についての知識を事前に身につけておき、未然にトラブルを防ぐことが大切です。ここでは、財産分与するにあたって対象の財産が家の場合について解説していきます。

1. 財産分与の種類を知ろう

財産分与は、離婚時に当事者同士で速やかに話し合うことが必要だと言えます。また、財産分与については、請求する権利を持つことに加えて、請求できる期限が設けられています。

1.1 財産分与とは

結婚時には、誰もが離婚時のことなど想像することはなく、財産分与についても無縁だと考えていることでしょう。しかし、様々なことが原因で離婚になるケースがあり、日本においても離婚率は上昇傾向にあるのが現状です。
財産分与は、婚姻中に夫婦二人が築いてきた財産を分けることで、方法や内容について離婚時に速やかに話し合うことが求められます。離婚時には、財産分与の請求期間が決まっていることに加え、財産分与の方法や配分が原因で財産分与自体が更なるトラブルに発展するリスクを有しています。
さらに、専業主婦や専業主夫の場合は、財産分与が離婚後の生活に及ぼす影響が大きいため、離婚を検討し始めた頃から財産分与についての知識を身につけておくことが大切です。

1.2 財産分与の方法は主に3種類

財産分与の方法は、婚姻中に夫婦二人が築いてきた財産を折半するのが一般的です。しかし、離婚原因や今後の生活状況などを考慮して、財産分与の方法は以下のような3つの方法に分かれています。

清算的財産分与

清算的財産分与は、婚姻中に夫婦二人が築いてきた財産を個々に分ける方法のことを言います。清算的財産には、預貯金や貴金属、家や土地などの不動産があり、基本的には婚姻中に夫婦で築いた財産全てが財産分与の対象となります。
なお、夫婦のどちらかが専業主婦や専業主夫の場合、実際に外で働くことで給与を得ていないため、夫婦それぞれに平等に分割される財産分与の対象にはならないと考えがちです。しかし、外で働くこと以外にも家事や子育ても家庭を築くという面で貢献していると見なされるため、財産分与を受ける権利はあります。

扶養的財産分与

扶養的財産分与は、夫婦のどちらかが専業主婦や専業主夫の場合や健康上の問題を抱えている場合、離婚後の生活が困窮する可能性があるため、経済的な援助をすることを目的として財産分与する方法のことを言います。
この財産分与の方法は、清算的財産分与で貴金属や不動産などを分割する方法とは異なり、今後の生活に必要な資金を援助するのが一般的です。

慰謝料的財産分与

離婚に至ってしまう原因は人それぞれですが、どちらか一方の過失によって離婚が生じて慰謝料が請求されるケースがあります。しかし、原則としては、慰謝料が発生する場合と財産分与は全く異なるものと考えられているため、財産分与の際に慰謝料相当分を同時に支払う方法を慰謝料的財産分与と言います。
なお、慰謝料的財産分与を行うにあたって、慰謝料の根拠となる証拠の提示が求められるため、事前に準備しておくことが必要です。

1.3 未払いの婚姻費用を清算

婚姻費用とは、夫婦として婚姻関係となった時から生活を共にするために必要な費用のことを言い、お互いが婚姻費用を負担することが義務になっています。しかし、離婚を検討してから実際に離婚に至るまでには、同居を解消して別居を選択する場合があります。
このような状況下では、別居中の生活費が未払いのケースがあり、財産分与と同時に未払いの婚姻費用を清算する場合があります。

・財産を分割する目的
・財産分与の方法は3種類
・未払いの婚姻費用

2. 財産分与に関する話し合い

離婚で財産分与する場合、対象となる全ての財産を確認することからスタートします。また、財産分与をスムーズに進めるためには、夫婦がしっかりと協議することが大切です。

2.1 夫婦二人で話し合うことが原則

財産分与の協議は、夫婦二人で話し合って進めていくのが原則ですが、中には話し合いがまとまらない場合もあります。このような場合は、弁護士に依頼して話しを進め、状況によっては離婚手続きだけを先に行うケースもあります。
また、財産分与について話し合いをした後は、財産分与の方法などを書面にして残しておくことを忘れないようにしましょう。書面の内容には、話し合われた財産分与の方法や支払い方法などをわかりやすく記載しておくことが大切です。

2.2 財産分与請求調停

夫婦二人での話し合いが難しい場合は、家庭裁判所に出向いて離婚調停を申し立てることができます。この時に財産分与についての話し合いも進めたい場合は、家庭裁判所に出向いて財産分与請求調停を申し立てることで、離婚と同時進行での話し合いができます。
なお、財産分与を巡ってトラブルになった場合は、財産分与請求調停を申し立てることで裁判所からの審判を仰ぎ、これ以上のトラブルを未然に防ぐことができます。

2.3 離婚裁判

夫婦二人での話し合いが決裂し、家庭裁判所に出向いて離婚調停や財産分与請求調停を申し立てた上での審判に納得できない場合は、離婚裁判へと発展します。離婚裁判では、離婚に至ることになった原因の根拠を示した資料を提出しなければなりません。
また、裁判で提出された証拠を基にして財産分与が決定されるため、証拠となる材料を事前に準備しておく必要があります。

・夫婦二人での話し合い
・財産分与請求調停
・最終的には離婚裁判

3. 財産分与の対象が家の場合

離婚時に財産分与の対象となるものは、預貯金や貴金属、家や土地などの不動産がありますが、中には対象とならないものもあります。また、家や土地などの不動産は分割しにくいため、財産分与においてトラブルに発展しやすいと言われています。

3.1 財産分与の対象となるもの

財産分与の対象は、婚姻中に夫婦で築いていきた財産となっています。この財産とは、預貯金などの現金や貴金属だけでなく、家や土地などの不動産や車などが挙げられます。このうち、夫婦のどちらか一方の名義となっているものは実質的共有財産、夫婦二人による共同名義となっているものについては共有財産と呼ばれています。
具体的には、預貯金などの現金、不動産、貴金属、家具、年金、退職金などが挙げられます。

3.2 財産分与の対象外となるもの

財産分与の対象は、婚姻中に夫婦二人で共同で築いた財産となっていますが、中には対象外となるものもあり、このような財産は特有財産と呼ばれています。特有財産には、独身時代の預貯金やマンションだけでなく、婚姻関係を結んだ後に相続した財産があります。
また、日常的に身につけている洋服やアクセサリー、バッグなども財産分与の対象外となっています。

3.3 マイナスになってしまう財産

婚姻中に夫婦で築いた財産の中には、住宅ローンなどのマイナスとなってしまう財産があり、財産分与の対象となります。ただし、夫婦のどちらかが個人的に借金をしていた場合は、財産分与の対象とはみなされず、婚姻中の共同生活の中で発生した負債だけが対象となります。
なお、住宅ローンの残債がある場合の財産分与の方法は、次の章で詳しく解説していきます。

3.4 家を財産分与する場合

家や土地などの不動産を財産分与する場合は、預貯金のように分割しにくいため、トラブルに発展しやすいと言われていますが、夫婦のどちらかが住み続けるか売却するかのどちらかで財産分与することができます。ただし、住宅ローンの残債を事前に確認しておくことが必要です。
財産分与の対象となる家に夫婦のどちらかが住み続ける場合は、家の名義や住宅ローンの債務者の変更について話し合う必要があります。なお、住宅ローンの債務者を妻に変更する場合は、金融機関の承諾を得る必要があるので注意が必要です。
これらの手続きの上、家の評価額や住宅ローンの残債を考慮した金額を財産分与することになります。次に、住宅ローンの残債を考慮した上で家を売却する場合は、住宅ローンを完済することを前提として売りに出すようにしましょう。家の売却が完了すると、売却金額を財産分与します。

・共有財産
・特有財産
・分割しにくい

【離婚】住宅ローンどうなるの?誰に支払い義務がある?

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4. 住宅ローンの残債がある場合の財産分与について

家を財産分与する際に住宅ローンの残債があると、支払い方法を巡ってトラブルに発展しやすいのが現状です。ここでは、住宅ローンの残債がある場合の財産分与について解説していきます。

4.1 家を財産分与する方法を話し合う

離婚によって家を財産分与する場合、先ずは夫婦二人で財産分与の方法について話し合う必要があります。その内容は、主に家の活用方法や住宅ローンの支払い方法で、家の活用方法によっては、家に住み続ける方が代わりとなる金額をどちらかに支払うことになります。

下記の画像は「離婚後の不動産をどうしてるのか」をすまいステップでアンケートをした集計結果です。

財産分与

アンケートの集計結果は「住み続けている」が5割以上を占めていました。

「住み続ける」理由としては、「子供の生活環境を変えたくない」といった環境を理由に挙げる人が多かったです。
「売却」理由として、「しっかり財産分与したい」や「新生活の移行」などの理由を挙げる傾向にありました。

4.2 夫婦のどちらかが家に住み続ける場合

夫婦のどちらかが家に住み続ける場合、場合によっては家の名義や住宅ローンの債務者の変更が必要になります。また、夫婦のどちらかが住宅ローンを支払い続ける場合は、支払いが滞るというリスクを回避するために公正証書を作成しておくことをお勧めします。
家の名義と住宅ローンの債務者が夫の場合は、住宅ローンの代わりとして家賃という形で妻が夫に支払うケースがほとんどです。次に、家の名義と住宅ローンの債務者を妻に変更する場合は、住宅ローンを借り入れている金融機関に承諾を得る必要があるので注意が必要です。
この場合は、家の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた金額が財産分与の対象となります。

4.3 家を売却して現金化する場合

家や土地などの不動産は、相続や財産分与の際に平等に分割しにくいことがデメリットだと言えます。そのため、売却して現金化することで平等に分割し、今後のトラブルを未然に防ぐことができます。
家を売却して財産分与する場合、住宅ローンの残債を確認しておく必要があります。その理由は、家を売却しても住宅ローンが残る「オーバーローン」になった場合、残債の支払いを巡ってトラブルに発展しやすいことが挙げられます。
そのため、オーバーローンになった場合は、住宅ローンの残債の支払い方法について十分に話し合う必要があると言えます。また、家を売却することで住宅ローンを完済し、現金が残る場合は、残った金額が財産分与の対象となります。

・財産分与の方法を協議
・名義変更などの手続き
・売却して現金化する

5. 財産分与に設けられている請求期限とは

離婚時の財産分与には、期限が設けられているので注意が必要です。ここでは、離婚時の財産分与の請求期限について解説していきます。

5.1 期限は2年以内

離婚時の財産分与については、2年以内に行うことが法律で定められています。そのため、離婚してから2年を経過すると財産分与を請求する権利が失われるので注意が必要です。
ただし、婚姻中の別居期間は含まれていないため、離婚が正式に成立して以降2年以内が期限となっています。

5.2 除斥期間

日本の法律では、権利を取得した人が速やかに行使することを目的として、除斥期間を設けています。離婚時の財産分与を請求できる2年以内という期間は、除斥期間に該当し、期間を延長したり消滅させたりすることはできないことになっています。
ただし、除斥期間の2年を経過しても財産分与を請求できるケースもありますが、相手が快く財産分与に応じてくれることが前提であるため、離婚後の相手とも関係性が重要になってきます。

5.3 離婚後2年を過ぎてから財産分与を請求する場合

場合によっては、離婚時の財産分与に除斥期間が設けられていることを知らずに期限となる2年間を経過してしまったというケースもあるかもしれません。
しかし、財産分与の除斥期間は2年以内ということが法律で定められており、相手次第では請求することが不可能となってしまうのが現状です。
また、除斥期間を過ぎてから相手に財産分与を請求する場合、脅迫や恐喝などの罪に問われるリスクもあるので注意が必要です。

・期限は2年以内
・法律上の除斥期間
・罪に問われるリスク

6. 財産分与について理解してトラブルを未然に防ごう

結婚は、人生における重要なイベントの1つで、今後の人生を共にするパートナーを得ることができます。しかし、どのような事情で離婚というマイナスなイベントが起こるかわからず、離婚を検討し始めた時点で財産分与についての知識を身につけておくことが大切です。
また、財産分与を請求する場合、排斥期間が設けられていることもあるため、財産分与について早めに話し合う必要があります。しかし、離婚に関しては感情的になりやすいため、スムーズに話し合いが進まない可能性もあります。
そのため、夫婦二人での話し合いが難しいと判断した時点で、弁護士に依頼したり、財産分与請求調停を申し立てることで、未然にトラブルを防ぐことができると言えるでしょう。

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