住んでいる家に不便さを感じている、親の住んでいるマンションが古くなり、設備を新しくしたい、新築マンションではなく中古マンションを購入し、自分の好みに改装をしたいなど、いろいろな場面やシチュエーションで、リフォームやリノベーションという選択肢があがります。
しかし、全面リフォームとなると、どのくらい費用がかかるのかよくわからないという方も多いと思います。リフォームの計画を進める前に、どのくらい費用がかかるのかを知っておくことで、準備をスムーズに進めることができます。今回は、費用について詳しく解説します。
マンションを損せずに売るための10のコツ【流れや相場・費用を分かりやすく解説】
中古マンションをリフォームするメリット
最近では、中古マンションのリフォームをして、長く住むことは珍しいことではなくなりました。すでに所有しているマンションをリフォームするにしても、これから中古マンションを購入することを考えていても、リフォームすることで、どんなメリットが得られるのかを見ていきましょう。
愛着ある建物を壊すことなく住み続けられる
マンションをリフォームすることで、何十年も家族と一緒に過ごし、思い出がたくさん詰まっているその場所を離れずに、快適な居住空間を得られるというメリットがあります。リフォームをすることで、そこにとどまり続けるという選択肢が生まれます。
自分の子供たちに譲るときにも、リフォームすれば新たなニーズを満たす家に変わります。以前は、家族それぞれが個人の部屋が欲しいと考えて、間取りを細かくしていました。
しかし、子ども世帯は家族全員が一緒に過ごすリビングを大きく取り、寝室は最小限で良いと考えている場合もあります。そういったケースでも、ロケーションはそのままに、希望の間取りで新しい家を準備することができるのがリフォームです。
また、立地やその場所が気に入っていることや、そこからの景色が良いと思っても、自分の使い勝手の良い間取ではなかったり、家族が必要とする部屋数が足りなかったり、バリアフリーでなかったりする場合もあります。そういった問題を、リフォームを行うことで解決できることが少なくありません。
工期が短い
全面リフォームを行う場合、家やマンションの土台となる部分を、はじめから作り直すわけではありません。そのため、新築の家を建てたりするよりも、短期間の工期でリフォームを行うことができます。
全面リフォームでも、大抵の場合約2カ月ほどで完了します。工期が短くなるということは、人件費なども削減され、当然リフォーム費用の負担も軽減されることになります。また、工期が短いことで生活のパターンをあまり変化させることなく、きれいになった家に住めることは、新築するよりもメリットを感じるのではないでしょうか。
費用が建て替えよりも低く抑えられる
諸費用を含めたリフォーム費用は、一般的に建て替えよりも安く抑えることができます。マンションの場合は、戸建てのリフォームよりも小規模で済むことが多いので、費用負担が少なくて済みます。
ある程度、決まった間取の部屋を購入する新築マンションと違い、希望通りの間取りで、自身が用意できる資金に合わせて、リフォームの内容を選択することもできます。
リフォームの時に注意したい点もある
リフォームを際に覚えておくべきことは、マンションなどの場合、構造上どうしても変更ができない間取りや、抜くことのできない壁などがあることです。柱や変更できない設備などもあるので、それらを除いたうえで、可能な範囲でのリフォームが前提になります。
また、水回りの移動などはリフォームができたとしても、配管からやり直す必要があります。マンションによっては、施工できない部分があったり、リフォームが可能でも、費用がかさんだりすることを覚えておきましょう。
マンション売却前にリフォームは基本不要!築古でも売れる理由と高く売るコツを解説
・工期が短い
・費用が建て替えより低額
スケルトンリフォームが適しているのはどんなケース?
あなたは「スケルトンリフォーム」という言葉を聞いたことがありますか。スケルトンとは骨格を表す言葉で、それにリフォームという語を付けています。家の骨格、つまり骨組みだけの構造躯体に、部屋全体を裸にしてから、間取や、内装、設備などを、すべて新しくするリフォームを指します。
「リノベーション」と呼ばれる、今ある状態に新たな機能や新しい価値を加えるような、リフォームの中の一つと考えることができます。スケルトンリフォームが適しているのは、どのような場合なのかを解説します。
築年数が経過している場合
マンションが完成してから時間が経過していると、当然設備も古くなります。そういった、普段は目に触れない部分も含めて新しくしたい場合には、スケルトンリフォームを選択できるでしょう。
建物自体は年数が経っていても、部屋の中を新しくすることで、さらに長い期間、快適に住むことが可能になります。
中古マンションを購入して新たに自分好みにしたい場合
マンションを安く購入し、元の間取りや配置にかかわらず、自分の好みの家を作りたいという人には、スケルトンリフォームがおすすめします。工事の規模は、一部分のリフォームと比べると大きくなりますが、新築のマンションを購入するよりは、低額で新しい家にすることができます。
金額も、約500万~600万円ほどで行うことができるので、複数の個所のリフォームを部分的に繰り返すよりは、一度にリフォームしたほうが費用を抑えられます。
・築年数が経過してる場合
・自分好みにして住む場合
全面リフォームをする際にかかる費用
全面リフォームしたいと思うものの、やはりどのくらいの費用がかかるかがわからなければ、一歩を踏み出せないと感じるのではないでしょうか。ここからは、リフォームの価格を見てみましょう。
一般的な全面リフォームの費用
一番気なる箇所としてあげられるのが、キッチンや浴室、トイレや洗面所といった水廻りです。それらの設備を入れ替え、複数の部屋の壁を取り払い、一つの大きな部屋にするといった一般的なフルリフォームで、400万円前後かかります。
マンションをスケルトンリフォームするにしても、300万~600万円の価格帯でリフォームを行う人が多いようです。中心価格帯は500万円前後で、戸建て住宅と比べると、マンションのほうが規模が小さく済むので、部屋の広さなどにかかわりなく、この価格帯が一番多いケースです。
費用がかさむ部分はどこ?
リフォームの際に、部屋の間取りを変え、再度間仕切り壁や建具を設置する費用は、部屋の広さなどにはあまり関係なく、一定の金額で収まります。しかし、インテリアにこだわっている場合や、内装に使用する建材や壁紙、建具の数や設備機器のグレードの価格によって、全体の費用の差が出てきます。
例えば、輸入した特定のシステムキッチンを使いたいという希望や、設置する家具などにこだわりが強い場合、代替えで他の物を選ぶことはないため、その分価格が高くなります。全面リフォームの予算を立てる場合には、施工の費用は大差なくても、自分のこだわりたいポイントがどこかによって、価格が変わってくるので、慎重に検討してください。
・500万円前後が一番多い
・設備機器の価格で差が出る
リフォームの費用以外の出費も計画に含めよう
リフォームの費用を見積もるだけで、すべての費用の計算ができるわけではありません。全面リフォームを行う際に見落としがちな、必要な他の出費もあります。どのようなものがあるのか、確認していきます。
工事期間中の仮住まいの費用
全面リフォーム中は、1カ月ほどですが他の場所に住む必要があります。短期で借りることのできる、マンスリーマンションや短期間賃貸OKの物件を利用する、ホテル住まいをするなど方法はいくつかあります。
ただし、セカンドハウスがない限り、その期間の部屋代や家賃が発生します。場合によっては、支払った敷金礼金はほとんど戻らないこともあるため、仮住まいの費用も計算に入れておきましょう。
ガス管などの設備費用
設備設置とは別に、ガス工事費としてガス会社に支払いが生じます。ガス工事を行うためには、専門的な知識が必要なこともあるので、リフォーム業者が行わずに、ガス会社に施工してもらうことが多いためです。
ガス工事費は、リフォーム費用に含まれていないことが多いので、別途用意する費用と考えておくと良いでしょう。
家具などを新調する費用
家を新しくするタイミングで、家具や家電などを新調するという方も多いと思います。エアコンやカーテン、カーペット、リビングテーブル、各部屋の照明を新しくすることに加え、収納用品や、テレビ、冷蔵庫、洗濯機を買い替えるとなると、場合によっては100万円近い費用がかかると予想されます。
こういった家具や果然などは、どのくらいの予算で収めるかを、事前に考えておく必要がありそうです。
引越し費用
忘れがちなことですが、仮住まいに引越すときと、リフォーム済の家に戻るときの、2回分の引越し費用もかかります。引越しの規模にもよりますが、1回に10万円弱の費用がかかることを、計画に含めておくと良いでしょう。
引っ越しの費用以外に、リフォーム自体の費用も、解体後に判明する新たなリフォームが見つかり、見積もりしていた時よりも、費用が大幅に増えてしまう事もあります。当初の見積もりよりも、費用がかかる可能性もあると、予想しておくと良いでしょう。
・ガス工事の費用
・新しい家具などの費用
どうしたらリフォーム費用を節約できるか
リフォームは、建て替えや家を新築するよりも、費用面では安いとは言え、ある程度の金額が必要であることは明らかです。お金をいくらかけても良いという人は稀なので、限られた予算内でリフォームの金額を抑えたいと考えることは、当たり前です。では、リフォーム費用を節約するためには、どの部分で費用を節約できるか見ていきましょう。
自分で可能な限りリフォームを行う
リフォーム費用の節約と聞いて、すぐに思いつくことは「自分でできることをやってみる」ことでしょう。自分でリフォームすることで、職人さんにしてもらう部分の人件費を節約できます。
最近では、リフォームやDIYをする人が増えたため、さまざまな材料が売られています。生のりが塗ってあって、すぐに張ることが可能な壁紙や、人間にも自然にも優しい珪藻土、水性塗料、ウォールステッカーなど、初めての人でも手軽に壁をリフォームできるものがあります。
床材でも、フローリングやクッションフロア、クッション性の高いコルクマットや、簡単に張替えができるタイルカーペットなど、さまざまな種類の建材が揃っています。リフォームの材料を購入できる、お店やサイトも多数あるので、自分でできそうなことはチャレンジしてみてはいかがでしょう。部屋に対して愛着がわきますし、費用も節約できて一石二鳥です。
見積もりの段階で交渉する
リフォーム業者に提示された金額が、予定されていた金額よりも、高額だったということもあるかもしれません。その場合には、費用を抑えることのできる部分がないか、交渉してみることができます。
例えば、設備機器でグレードを下げて、自分が納得できるものが他にないか、当初は予定していなかったリフォーム箇所を、削ることはできないかなどを聞いてみることができます。また、初めに聞いた業者にすぐに決めてしまうのではなく、複数のリフォーム業者に見積もりを出してもらうことで、その中から自分の予算に合った業者を見つけることができるでしょう。
リフォーム補助制度や助成金制度を活用
市区町村によっては、省エネ、バリアフリー、耐震関連のリフォームを行うと、補助金や助成金を出してくれるところがあります。自分の住んでいる地域で、そのような制度があるか確認してみてください。制度が実施されていれば、費用の一部が助成されるのでぜひ活用しましょう。
注意すべき点は、補助金・助成金制度を利用するには、市区町村指定のリフォーム会社を利用することが、条件の場合もあります。したがって、利用前に指定業者の有無を、しっかりと確認しましょう。
・費用を抑える交渉をする
・補助金・助成制度の活用
リフォーム以外にも住み替えという選択肢もある
全面リフォームをしようと考えていても、場合によっては費用面を考慮して、住み替えをしたほうが良いと判断する場合もあるでしょう。今住んでいる場所から移って、生活環境を変えたい場合などはそうです。そのような場合、今住んでいるマンションを売却して、新たにマンションや家を購入する資金に、充てることができます。
住み替えか、リフォームをするか考える際に、今のマンションがどのくらいの価値があるかを把握したうえで、賢明な決定をしたいと思うに違いありません。最近は、マンションや不動産を査定できるサイトがあります。一度に複数の不動産業者に査定を依頼することができ、時間も節約できますし、比較検討できるので非常に便利です。