マンションを相続したらまず何する?手続きや税金をわかりやすく解説

住まいの終活に対する意識調査」によると、55歳以上の人のうち、家族に不動産を相続する予定の人は約5割にのぼるとのことです。

しかし相続する側にとっては、マンションを相続する際に様々な手続き税金が発生します。

中には、ある期間までに手続きをしないと延滞税を取られるものも。

この記事では、直近行うべき手続き支払う税金の額についてわかりやすく解説しています。

本記事を読んで、滞りなく必要な手続きを行いましょう

監修者:阿部 栄一郎
監修阿部 栄一郎
早稲田大学、千葉大学法科大学院卒業、平成19年弁護士登録(東京弁護士会)。離婚事件等に強みを持つ弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所において、リーダー弁護士を務める。中でも、不動産や賃貸契約に関する案件を多く扱い、不動産分野のコラム執筆やセミナー講師の経験を多数持つ。【保有資格】弁護士【URL】弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所

マンション相続の流れと手続き

この章では、マンション相続後の流れと直近行うべき手続きを見ていきましょう。

マンションを相続した後、行うべきことは下記の3つです。

  1. 関係各所への連絡(マンションを相続してから1カ月以内
  2. 相続税を申告する(亡くなってから10カ月以内
  3. マンションの相続登記を行う(なるべく早く

特に、関係各所への連絡や相続税の申告はお金が絡むことが多いため、早めに行うようにしましょう。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

Step1.関係各所への連絡

マンションを相続したらまずは、下記の3つの機関にマンションを相続したことを連絡しましょう。

  • マンションの管理組合
  • 電気・ガス・水道などのライフライン
  • 亡くなった方がローンを借りている金融機関

連絡が先延ばしになると、ローン電気代・ガス代など余計な出費が増える可能性があります。

もし滞納があった場合は、相続税の控除の対象となることもあるので、行政手続きを進める前に確認しましょう。

マンションの管理組合

例えローンを払い終わっていても、月々の管理費の支払いがあるマンションがほとんどです。

そのため、管理費を支払う名義人支払い口座の変更が必要です。

マンションの管理組合に、マンションを相続した旨を連絡しましょう。

なお、管理費の引き落とし口座の変更が完了するまで2カ月ほどかかります。

それまでは振込用紙での振り込みとなることが多いです。忘れずに支払うようにしましょう。

亡くなった方に滞納があればこの段階で把握して!

もし亡くなった方にマンションの管理費などの滞納があれば、相続した人に支払い義務(=負債の相続)が発生します。負債の相続相続税の控除の対象です。そのため、相続税を申告する前に滞納の有無を把握しましょう。

ライフラインの名義と支払い口座の変更

故人が支払っていたライフラインの名義変更と支払い口座の変更も必要です。

解約を行う場合、早めに申し込みをしないと余計な料金を支払うことになるため、早めに手続きすることをおすすめします。

名義変更や引き落とし口座の変更が必要なもの
  • 電気
  • ガス
  • 水道
  • 固定電話
  • インターネット
すまリス
「固定電話」など、自分が使っていないものは忘れがちだから注意!

他にも、亡くなった方が定期的に料金を支払っているものがなかったか、領収書や通帳を確認するようにしましょう。

金融機関への連絡

相続したマンションにローンが残っていても、ほとんどの場合で支払いの必要はありません

金融機関の住宅ローンを組む際、「団体信用生命保険」への加入を義務付けらるケースが多いからです。

住宅ローンの名義人が亡くなった場合、この保険が下りて残債が返済されます。

金融機関に住宅ローンの名義人が亡くなったことを連絡し、指示に従って手続きを行いましょう。

Step2.相続税を納付する

相続税が発生する場合、税務署に対して被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内相続税の申告が必要です。

申告や納付が遅れた場合、延滞税を取られます。

そのため、必ず期限までに申告を行いましょう。

すまリス
ただし、相続税の納入が必要ない人もいるよ!その場合、申告は不要

相続税申告書を作成・提出する

相続したマンションに相続税がかかる場合、申告が必要です。

まずは相続税申告書を作成し、税務署に提出しましょう。

不慣れな場合は税理士などに相談することがおすすめですが、自分で申告を行うことも可能です。

国税庁のホームページから「相続税申告書」をダウンロードし、「相続税の申告のしかた」を参考に記入しましょう。

相続税を納める

申告ができたら、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内に相続税を納めます。

相続税について、役所から納付書が届くことはありません

そのため、税務署などで納付書を受け取り、記入しましょう。

相続税納付書

※税理士法人チェスターより

納付書を記入したら、以下の方法のいずれかで相続税を納付します。

  • 銀行や郵便局の窓口で振り込む
  • クレジットカードで支払う(※納税額が1000万円以下の場合)
  • コンビニエンスストアで支払う(※納税額が30万円以下の場合)
  • 税務署の窓口で直接支払う
すまリス
クレジットカード払いで納税する場合、納付書は不要だよ!

Step3.マンションの相続登記を行う

相続分が確定したら、最後にマンションの「相続登記」を行います。

相続登記とは、法務局に相続した不動産の名義変更を申請することです。

相続登記には期限がありませんが、マンションの相続が決まったら早めに登記をしましょう。

また、相続登記の際には「登録免許税」の納付も必要です。

書類の準備や登記申請書の記入など複雑な手順が多いため、はじめて相続を行う人は司法書士や行政書士に相談して進めると安心です。

とはいえ、自分で手続きを行うこともできます。詳しく見ていきましょう。

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登記申請書を記入する

まずは、法務局のホームページから登記申請書をダウンロードします。

相続登記申請書

記載例を見ながら、相続人の名前住所相続する物件の概要などを記入しましょう。

すまリス
登記申請は相続人全員の共同提出となるよ!代表者1名が提出しよう!

登記申請書は、いくつかの書類を添付した上で提出する必要があります。

次の章で詳しく見ていきましょう。

必要書類を揃える

相続登記を行うには、必要書類を集めて法務局に提出します。

必要書類は、例えば以下のようなものです。
  • 亡くなった方(=被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の死亡時の住民票の除票
  • 相続する人(=相続人)全員の戸籍謄本と住民票
  • 相続人全員分の印鑑証明
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書または遺言

中には、発行に時間がかかる書類もあります。

一人で難しい場合は司法書士に依頼することも検討してみてください。

登記申請を行う

書類が整ったら、不動産の所在地を管轄とする法務局に対して登記申請を行います。

  • 窓口で申請する
  • 書類書留で郵送する
  • オンライン申請する

マンション相続の税金

マンションを相続すると、相続額によっては税金の申告と手続きが必要なことを学びました。

この章では、マンションを相続する際にかかる税金と税率を見ていきます。

マンションの相続には、2種類の税金がかかります。

  • 登録免許税
  • 相続税

登録免許税

登録免許税は、登記内容の変更をする際にかかる税金です。

マンションなどの不動産の相続の場合、不動産の相続登記(不動産の名義変更)を行う必要があるので、登録免許税がかかります。

相続登記にかかる登録免許税は、以下の計算式で算出します。なお、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間は、免税措置がとられていますので、活用してみると良いと思います。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%

相続税

法定相続分通りに財産を相続した場合、相続税の金額は以下の計算式で求められます。

相続税額 =(相続財産の時価評価額−控除額)÷法定相続分× 税率
すまリス
マンションの相続額っていくらとして計算すればいいの?

マンションの価値は「評価額」をもとに算出します。評価額については次の章で詳しく解説します。

控除が使える場合もある

マンションを相続した場合、控除が使える場合があります。

控除を使うことで、相続税を支払わなくて良かったり、支払う税額を少なくすることもできます。

よく使われる控除は以下の2つです。

  • 基礎控除
  • 登録免許税

基礎控除

相続を行う人の基本的に全員が基礎控除を受けられます。

基礎控除額より相続額が高い場合は、相続額から控除分を差し引くことができます。

相続税の基礎控除は以下の計算式で算出します。

相続税の基礎控除額 = 3000万円 +( 600万円 ×相続人の数)

ただし、この場合の相続額はすべての相続の合算であることに注意してください。

マンションの他にも、預貯金や株式を含めた金額として計算しましょう。

基礎控除額より相続税の総額が低いなら、相続税はかからない

相続財産の合計額が相続税の基礎控除額内であれば、相続税は発生せず申告も不要です。

例えば妻と子供2人の3人が相続人である場合、いくらまでなら相続税がかからないのでしょうか?

基礎控除額
=3000万円+(600万円×3人)
=3000万円+1800万円
=4800万円

すまリス
相続額が4800万円までなら相続税がかからないんだね!

配偶者控除

配偶者が相続した財産のうち、課税対象の財産が1億6000万円までは相続税が課税されません

たとえ1億6000万円を超えたとしても、配偶者が相続した財産が法定相続分までであれば、配偶者控除によって相続税がかかりません。

すまリス
配偶者は、相続税がかからないケースが多いみたい!

マンションを相続した場合の相続税の試算

モデルケースとして、以下の場合のマンションの相続額を試算してみましょう。

  • 遺産は総額6000万円
  • 相続人は、妻と子供2人
  • 法定相続分通りに相続する

1.基礎控除額を計算する

遺産総額から控除額を差し引きます。

相続人は3人なので、控除額は以下の式で求められます。

基礎控除額
3000万円+(600万円×3人)
=3000万円+1800万円
=4800万円

2.課税対象の遺産額を求める

遺産総額から控除額を差し引き、課税対象となる遺産額を求めます。

遺産相続額基礎控除額
6000万円4800万円
=1200万円

相続税は、1200万円に対して課税されます。

3.それぞれの相続人の課税対象となる遺産額を計算する

相続割合が法定相続分なので、1200万円に相続割合をかけ、各相続人の課税対象となる遺産額を計算します。

妻の財産
課税対象額× 法定相続分
=1200万円 × 0.5
600万円
子供の財産
課税対象額× 法定相続分
=1200万円 × 0.25
300万円

4.それぞれの相続人の相続税額を算出する

それぞれに相続税率をかけ、相続税額を算出します。

妻の場合

配偶者控除によって相続税は無料です。

子供の場合

子供の課税対象財産額は300万円、相続税率は10%です。

子供の課税対象財産額 × 相続税率
=300万円 × 10%
30万円

子供は30万円を相続税として納税する必要があります。

マンションの評価額の求め方

ここまで、マンションの相続税の算出方法を見てきました。

マンションは現金と異なり、「評価額」として見積もった価値に基づいて相続額が決定されます。

評価額とは、相続税をはじめとした税金の計算などに用いられる、不動産の価値を評価する金額のことです。

マンションの評価額は以下のように求めます。

マンションの評価額
=建物部分の評価額土地部分の評価額
すまリス
建物部分と土地部分の評価額を別々に求めて合算するんだね!

それぞれの評価額の求め方を詳しく見ていきましょう。

建物部分の評価額の求め方

建物部分の評価額は、「固定資産税評価額」を確認します。

固定資産税評価額は、毎年4月ごろに送られてくる「課税明細書」に記載されています。

課税明細書

すまリス
上記の場合は、82万円1100円がマンションの建物部分の評価額になるんだね!

土地部分の評価額の求め方

評価額にはいくつか種類がありますが、分譲マンションを相続した場合は評価額として「相続税路線価」を用います。

1.相続税路線価を確認する

相続税路線価は、国税庁のホームページで確認できます。

エリアを絞り込んでいくと、下の図のように道路と数字が記載されているはずです。

路線価の見方

調べたい物件が面している道路が、1平方メートルあたりの路線価を1000円単位で表しています。

☆マークに位置する物件の1平方メートルあたりの価格は24万円です。

2.路線価を元に評価額を算出する

路線価にマンションの面積と持分割合をかけて評価額を算出します。

持分割合とは、マンションの所有権を表す割合です。売買契約書などで確認できます。

持分割合

例えば、路線価格24万円、マンションの全体面積が5000平方メートルの物件を、持分割合1000分の1で所有しているとします。

分譲マンションでの土地の価値
=路線価× 全体(㎡)× 持分割合
=24万円 ×5000平方メートル×0.001
=120万円
すまリス
120万円をマンションの土地部分の評価額とするんだね!

3.小規模宅地の特例を活用する

小規模宅地の特例とは、330平方メートル以下の土地の評価額を減額できるものです。

亡くなった方が住んでいたマンションの場合は80%賃貸マンションとして誰かに貸していた場合は50%、土地の評価額が減額されます。

例えば、亡くなった方が住んでいたマンションの評価額が120万円の場合、小規模宅地の特例を使うと評価額を以下のように減額できます。

120万円 ×20%
=24万円
すまリス
土地部分の評価額を24万円とみなせるのか!
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マンション相続の注意点

相続税の申告や納税が遅れると延滞税を取られる

故人が亡くなってから10カ月以内に、相続税の申告納税両方を行わないと、延滞税が取られます。

必ず期限内に行うようにしましょう。

期限までに申告を行わなかった場合

10カ月が過ぎても納税を行わなかった場合、税務署に言われる前に申告したか、言われるまで申告しなかったかで税率が異なります。

言われる前に申告した場合、税率は5%です。

例えば、相続額が1000万円の場合の延滞税は以下の通りです。

延滞税
相続額 × 5%
=1000万円 × 5%
=50万円

一方、税務署に言われてから納税される場合、税率は15~20%に跳ね上がります

もし10カ月を過ぎてしまっても、税務署から通知が来る前に申告しましょう。

期限までに納税を行わなかった場合

期限までに納税を行わなかった場合、利率として相続額の3~10%が課税されます。

期間利率金利
期限から2カ月以内に納税した年3~4%
※銀行金利に応じて変動
期限から2カ月以上納税しなかった年9~10%
※銀行金利に応じて変動

少なくない額なので、必ず期限の前までに支払いを行いましょう。

もし難しい場合は、延納手続きを忘れずに行いましょう。

相続税が払えない場合は「延納」「物納」の手段を利用する

金銭的理由などから相続税を期間内に納められない場合には、「延納」「物納」などの手段を利用することができます。

延納とは?

延納とは、相続税を分割払いできる制度のことです。

下記の条件を満たしていれば、最長20年間の延納ができます。

  • 相続税額が10万円を超えること
  • 金銭で納付することが困難な事由があり、かつ、納付困難な金銭の範囲であること
  • 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること
  • 延納申請書および担保提供関係書類を期限内に提出すること

なお、延納できるのは全額ではなく、納付困難な金額を上限としています。

また、利子税が追加でかかるので注意しましょう。

物納とは?

物納とは、延納しても現金を納付できないときに物で納める制度です。

ただしこの物は何でも良いわけではなく、下記のように品目と優先順位が定められています。

優先順位品目
第一位不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場株式など
第二位非上場株式など
第三位家財・宝石・貴金属・書画・骨董など

いずれの方法も税務署での資産をパスする必要があり、非常に煩雑な手続きになるので、最終手段として捉えましょう。

場合によっては銀行から借り入れを行ったほうが得をすることもあります。

相続税の納付は相続人全員が各自で行う

マンションを相続した場合、相続税の申告相続人の共同で行います。つまり、代表者1人が申告する形です。

一方、相続税の納入は相続人全員が一人一人個別で行ってください

誰かが代表して相続税を納入した場合、贈与と見なされ贈与税が課税されてしまいます。

必ず相続人全員が自分の分を自分で納入するよう注意しましょう。

まとめ

マンション相続の手続きと税金について見てきました。

はじめてマンションを相続する場合、手続きの難しさにうんざりする方もいらっしゃるかと思います。

しかし、相続を受けたマンションは亡くなった方が残してくれた大切な財産です。

有効活用するためにも、しっかり手続きを行いましょう。

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