被相続人が死亡したその日から、相続が発生します。そのため、親族は遺族の死を悼む暇もなく、葬儀の準備や手続きに追われることになります。
また、相続の際には、多くの書類が必要になります。以下はマンションを相続する際に必要な書類の例になります。必要書類は相続方法によって異なります。
【マンションの相続に必要な書類の例】
必要な書類 | 入手方法 |
---|---|
登記申請書 | 申請者が作成(法務局のサイトでダウンロード可) |
相続に関する不動産の登記事項証明書 | 法務局 |
被相続人の住民票(本籍地が記載されているもの) | 市区町村役所 |
被相続人の出征から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村役所 |
法定相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村役所 |
法定相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村役所 |
不動産を取得する相続人の住民票 | 市区町村役所 |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役所 |
遺産分割協議書 | 申請者が作成 |
相続関係説明図 | 申請者が作成 |
(以上は遺産分割協議の場合に必要な書類になります)
記事内ではマンションを相続する手続きの流れや必要書類について詳しく解説します。また、マンションの評価額の求め方や相続税の計算方法についても説明します。
さらには、相続したマンションをどうするか、実際にマンションを相続する際の注意点についても解説します。
マンションを相続する手続きと流れ
1章ではマンションを相続する際の手続きと流れについて詳しく説明していきます。
マンションを相続した後、行うべきことは下記の6つです。
以下では、ステップごとにマンション相続に必要な手続きを簡単に解説しているので、参考にしてみてください。
Step1.遺言書の確認
遺言書には、筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。遺言書を見つけたら、その場で開けずに家庭裁判所で手続きを行ったうえで開封しましょう。
法的効力に関して、この3種類であればどの遺言書でも法的効力を持たせることが可能です。しかし、正しい方式で作成していないものは無効になります。
また、遺言書には時効がありません。そのため、相続の手続きが終わって遺産を分け合った後に遺言書が見つかった場合、遺言書の内容に沿って再度相続をしなければなりません。
余計な手間がかかることに加え、トラブルリスクを高めてしまうので、遺産分割協議を行う前に遺言書は必ず確認しておきましょう。
Step2.相続人の確定
遺言書がない場合は、被相続人の残した遺産は、相続人全員のものになります。一部の相続人だけで相続財産をもらうことはできません。
相続人になるのは、配偶者と血族で、法定相続人と呼ばれます。配偶者はどんな場合でも必ず相続人になりますが、血族については次のような順位が設けられており、先順位の人がいない場合にのみ相続人になります。
第1順位 | 直系卑属(子ども、孫など) |
---|---|
第2順位 | 直系尊属(親、祖父母など) |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
妻子(夫)のいない独身の方が亡くなった場合、財産を引き継ぐ法定相続人は父母または兄弟姉妹になります。 ただし全員で遺産分割するわけではありません。原則として父母や祖父母などの直系尊属が相続人となり、直系尊属がいない場合のみ兄弟姉妹が相続人になります(法定相続分の相続)。
遺言書があれば誰が何を相続するのか書いてありますが、遺言書がない場合は残された人たちでどのように相続するのか話し合わなくてはなりません。
Step3.相続遺産の確定
次に相続財産の価格を調べます。相続財産の価値を確認する方法としては、下記の3つがあります。
- 課税明細書確認する
- 登記簿謄本を取得する
- 不動産鑑定士に依頼する
被相続人の借金はマイナスの相続財産になり、相続人が返済義務を引き継がなくてはなりません。
借金の負担割合は法定相続分に応じるので、配偶者と子供2人が1,000万円の借金を引き継ぐ場合、配偶者500万円、子供はそれぞれ250万円を負担することになります。
また、マイナスの相続財産がプラスの相続財産を上回る場合、相続放棄をすることで、借金の返済義務はなくなります。相続放棄の手続きは、相続が発生してから3か月以内の手続きが必要です。
ですが、相続放棄をする場合、マイナスの相続財産だけでなくプラスの相続財産も相続できなくなる点には注意が必要です。
Step4.遺産分割協議を行う
相続財産のうち、どの財産を誰がもらうかは、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決める必要があります。遺産分割協議では遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には、相続人全員の同意が必要になります。一部の相続人が参加していない遺産分割協議は無効になってしまいます。
直接会うことが難しい場合は、郵送で書類のやり取りをして、全員分の署名や印鑑を集めましょう。連絡先がわからない相続人がいても、何らかの手段で連絡をとって、本人の意思を確認しなければなりません。
また相続人が複数人いる場合、いくつかの分割方法で相続分を決定します。マンションを含む相続財産を分割する場合は、下記の遺産分割方法で行います。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有分割
上記の分割方法の特徴を確認して、自分の状況にあった遺産分割方法を選びましょう。
相続するマンションに住む場合は「現物分割」、「代償分割」で相続したマンションに誰も住まない場合は、「換価分割」することをおすすめします。
現物分割
現物取引は、1つのマンションを1人が相続して、その他財産を他の相続人で分ける遺産分割方法です。1つの物をそのまま形を変えずに相続人が取得できることが特徴です。
4種類の遺産分割方法の中で、最もシンプルで簡単な手続きと言えます。
ですが、相続財産が1つのマンションしかない場合にはこの方法は使えず、不動産以外の相続財産の価値が不動産の価値に満たない場合には、誰がマンションを相続するかでトラブルになる可能性があります。
代償分割
代償分割は、1人の相続人がマンションをすべて相続して、残りの相続人には相続分に値する金額を渡す遺産分割方法です。
代償分割では、相続人に現金の用意が必要となり、価値によっては高額になる可能性があります。たとえ高額になったとしても、権利相当分の精算金を支払わなければ、トラブルのもとになってしまうので、資金がなければ、自己資金で売却する必要があります。
売却した場合、売却益に所得税が課税されるので、代償分割を行う場合、資金面が潤沢でない限りおすすめできません。
換価分割
換価分割は、相続財産のマンションを売却して売却益を相続人間で分ける遺産分割方法です。「マンションを相続しても活用しない」、「他の分割方法が難しい」場合はこの手法が取られます。
マンションを手放すことになりますが、現金を平等に分配できるので、トラブルになりにくい遺産分割方法と言えます。
ですが、マンションを売却するので、売却益には譲渡所得税が課せられるので注意が必要です。換価分割でマンションを売却する場合、査定が必要になってきます。すまいステップなら、「累計100件以上の不動産売買仲介の実績あり」「市場相場よりも高値での不動産売却の実績あり」などの条件を満たした優良不動産会社のみを厳選してご紹介することができます。



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共有分割
共有分割は、相続するマンションを共有名義にして相続する遺産分割方法です。
簡単な方法に見える共有分割ですが、マンションを売却する際や賃貸に出す場合は、名義人全員の同意が必要になるので、トラブルになりやすい遺産分割方法と言えます。
Step5.マンションの相続登記を行う
相続人が決定し、遺産分割協議で相続分が確定したら、マンションの「相続登記」を行います。相続登記とは、法務局に相続したマンションの名義変更を申請することです。
以下の画像が、マンションの相続登記の流れになります。
相続登記は2024年4月から義務化が決まっています。相続登記で必要な書類や登記申請書の書き方については2章で詳しく説明しています。また、相続登記の際には「登録免許税」の納付も必要です。
登録免許税は、登記内容の変更をする際にかかる税金です。相続登記にかかる登録免許税は、以下の計算式で算出します。
マンションなどの不動産の相続の場合、不動産の相続登記(不動産の名義変更)を行う必要があるので、登録免許税がかかります。
Step6.相続税の申告・納付をする
相続したマンションに相続税がかかる場合、申告が必要です。まずは相続税申告書を作成し、税務署に提出しましょう。相続税がいくらになるかは3章以降で説明しています。
相続税が発生する場合、税務署に対して被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内に相続税の申告が必要です。申告や納付が遅れた場合、延滞税を取られます。
不慣れな場合は税理士などに相談することがおすすめですが、自分で申告を行うことも可能です。
自分で申告する場合は、国税庁のホームページから「相続税申告書」をダウンロードし、「相続税の申告のしかた」を参考に記入しましょう。
申告ができたら、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内に相続税を納めます。相続税について、役所から納付書が届くことはありません。
そのため、税務署などで納付書を受け取り、記入しましょう。
※税理士法人チェスターより
納付書を記入したら、以下の方法のいずれかで相続税を納付します。
- 銀行や郵便局の窓口で振り込む
- クレジットカードで支払う(※納税額が1000万円以下の場合)
- コンビニエンスストアで支払う(※納税額が30万円以下の場合)
- 税務署の窓口で直接支払う
マンションの相続に必要な書類
マンションを相続する際には、多くの書類が必要です。2章では相続に必要な書類について詳しく説明します。
状況別!マンションの相続に必要な書類リスト
まずは、状況別に必要な書類を表にまとめています。
【遺言書がある場合】
遺言書がある場合は、以下の書類が必要になります。
必要な書類 | 入手方法 |
---|---|
登記申請書 | 申請者が作成(法務局のサイトでダウンロード可) |
相続に関する不動産の登記事項証明 | 法務局 |
被相続人の住民票(本籍地が記載されているもの) | 市区町村役所 |
被相続人の出征から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村役所 |
不動産を取得する相続人の戸籍謄本 | 市区町村役所 |
不動産を取得する相続人の住民票 | 市区町村役所 |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役所 |
遺言書 | 被相続人が作成 |
相続関係説明図 | 申請者が作成 |
【法定相続分の相続の場合】
法定相続分の相続の場合、他2つの状況と比べて、必要書類は少なくなります。
必要な書類 | 入手方法 |
---|---|
登記申請書 | 申請者が作成(法務局のサイトでダウンロード可) |
相続に関する不動産の登記事項証明 | 法務局 |
被相続人の住民票(本籍地が記載されているもの) | 市区町村役所 |
被相続人の出征から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村役所 |
法定相続人の戸籍謄本 | 市区町村役所 |
法定相続人の住民票 | 市区町村役所 |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役所 |
相続関係説明図 | 申請者が作成 |
【遺産分割協議の場合】
遺産分割協議を行ったうえで相続する場合、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書等が必要になります。
必要な書類 | 入手方法 |
---|---|
登記申請書 | 申請者が作成(法務局のサイトでダウンロード可) |
相続に関する不動産の登記事項証明書 | 法務局 |
被相続人の住民票(本籍地が記載されているもの) | 市区町村役所 |
被相続人の出征から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村役所 |
法定相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村役所 |
法定相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村役所 |
不動産を取得する相続人の住民票 | 市区町村役所 |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役所 |
遺産分割協議書 | 申請者が作成 |
相続関係説明図 | 申請者が作成 |
参考:法務局 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等
登記申請書
登記申請書とは、不動産の名義変更(相続登記)の際に提出する書類です。提出先は法務局になります。
登記申請書は自分で作成します。法務局のホームページで申請書の様式や記載例が公開されているので、登記内容に応じた申請書をダウンロードして利用するようにしましょう。
相続に関する不動産の登記事項証明書
登記事項証明書(登記簿謄本)とは、登記簿に記載されている、不動産の名義人などが分かる正式な書類です。
相続登記の際に提出する、登記申請書や遺産分割協議書には正確な不動産の表示をしなければならず、そのために登記事項証明書の取得は必須になります。
登記事項証明書は、法務局の窓口へ交付申請書を持参するか、郵送でも申請をすることができるようになっています。現在では、登記事項証明書の情報はインターネットで取得することもできます。
被相続人の住民票
相続登記の際、被相続人の住民票を法務局に提出します。
被相続人と同じ世帯に住んでいた場合、すぐに取得できます。被相続人が一人暮らしだった場合など、世帯が異なる際は相続人であることが分かる書類(戸籍関係)を提示することで取得が可能です。
被相続人の住所地を管轄する役所等で取得できます。
被相続人の出征から死亡までの戸籍謄本
また、被相続人の戸籍謄本も法務局に提出します。
戸籍謄本に載っている直系の血族(祖父・祖母・父・母・子・孫など)および配偶者には交付が可能です。
戸籍が異なる直系血族以外の親族(兄弟姉妹など)が申請する場合は、直系血族の方の委任状の提出が必要になります。
戸籍謄本は、被相続人の本籍地の市区町村役場でのみ取得可能です。 本籍地の市区町村役場が遠い場合は、郵送などで請求も可能です。
相続人全員の印鑑証明書
相続手続きの際、以下3つの場合には印鑑登録証明書を添付する必要があります。
- 遺産分割協議書を作成する場合
- 金融機関で手続きを行う場合
- 相続税を申告する場合
印鑑証明書は、住所地を管轄する役所で取得することができます。市区町村によっては、コンビニで取得することも可能です。
相続する不動産を取得する相続人の住民票
相続人が決定した場合、不動産を相続する本人の住民票を法務局に提出します。
住民票は、住所地を管轄する役所で取得することができます。市区町村によっては、コンビニで取得することも可能です。
固定資産税評価証明書
固定資産評価証明書とは、土地や建物など、固定資産税の課税対象となる資産について、その評価額を証明する書類です。
固定資産評価証明書は、相続登記の際、添付書類として法務局に提出することがあります。また、相続税申告の際も添付が求められる場合があります。
固定資産評価証明書は、不動産が所在する市町村役場の窓口で取得できます。マイナンバーカードがあればコンビニで取得できる自治体もあります。
遺言書または遺産分割協議書
遺産分割協議書とは、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類です。相続登記の際、遺言書、または遺産分割協議書を法務局へ提出します。
遺産分割協議書の書式は決まっていません。ただし、相続人全員が署名し、実印を押印する必要があります。また、印鑑証明書も添付し、相続人全員が同じ物を1通ずつ所持します。
相続関係説明図
相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係が一覧になってまとまっている表です。「家系図」のようなものです。
相続登記の際、登記申請書やその他必要書類と共に法務局に提出します。



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マンションの評価額の求め方
相続が発生した場合、相続する財産に応じて相続税が課せられます。マンションなどの不動産も相続税の課税対象財産になります。
マンションなどの不動産の場合、現金とは異なり、「評価額」として見積もった価値に基づいて相続額が決定されます。
この章では、マンションの評価額の求め方について詳しく説明します。
マンションの評価額は以下のように求めます。
それぞれの評価額の求め方を詳しく見ていきましょう。
建物部分の評価額の求め方
建物部分の評価額は、「固定資産税評価額」を確認します。
固定資産税評価額は、毎年4月ごろに送られてくる「課税明細書」に記載されています。
土地部分の評価額の求め方
評価額にはいくつか種類がありますが、分譲マンションを相続した場合は評価額として「相続税路線価」を用います。
1.相続税路線価を確認する
相続税路線価は、国税庁のホームページで確認できます。
エリアを絞り込んでいくと、下の図のように道路と数字が記載されているはずです。
調べたい物件が面している道路が、1平方メートルあたりの路線価を1000円単位で表しています。
☆マークに位置する物件の1平方メートルあたりの価格は24万円です。
2.路線価を元に評価額を算出する
路線価にマンションの面積と持分割合をかけて評価額を算出します。
持分割合とは、マンションの所有権を表す割合です。売買契約書などで確認できます。
例えば、路線価格24万円、マンションの全体面積が5000平方メートルの物件を、持分割合1000分の1で所有しているとします。
=路線価× 全体(㎡)× 持分割合
=24万円 ×5000平方メートル×0.001
=120万円
3.小規模宅地の特例を活用する
小規模宅地の特例とは、330平方メートル以下の土地の評価額を減額できるものです。
亡くなった方が住んでいたマンションの場合は80%、賃貸マンションとして誰かに貸していた場合は50%、土地の評価額が減額されます。
例えば、亡くなった方が住んでいたマンションの評価額が120万円の場合、小規模宅地の特例を使うと評価額を以下のように減額できます。
=24万円



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マンション評価額とは?計算方法や調べ方を解説!6種類の評価額は用途で使い分けよう
相続税の計算方法
次に相続税の計算方法についてです。相続税は被相続人から譲り受けるすべての財産が課税対象となります。
法定相続分通りに財産を相続した場合、相続税の金額は以下の計算式で求められます。
基礎控除
相続を行う人の基本的に全員が基礎控除を受けられます。基礎控除額より相続額が高い場合は、相続額から控除分を差し引くことができます。
相続税の基礎控除は以下の計算式で算出します。
ただし、この場合の相続額はすべての相続の合算であることに注意してください。マンションの他にも、預貯金や株式を含めた金額として計算しましょう。
基礎控除額より相続税の総額が低いなら、相続税はかからない
相続財産の合計額が相続税の基礎控除額内であれば、相続税は発生せず申告も不要です。
例えば妻と子供2人の3人が相続人である場合、いくらまでなら相続税がかからないのでしょうか?
基礎控除額
=3000万円+(600万円×3人)
=3000万円+1800万円
=4800万円
配偶者控除
配偶者が相続した財産のうち、課税対象の財産が1億6000万円までは相続税が課税されません。
たとえ1億6000万円を超えたとしても、配偶者が相続した財産が法定相続分までであれば、配偶者控除によって相続税がかかりません。
相続税をシミュレーションしてみよう!
モデルケースとして、以下の場合のマンションの相続額を試算してみましょう。
- 遺産は総額6000万円
- 相続人は、妻と子供2人
- 法定相続分通りに相続する
1.基礎控除額を計算する
遺産総額から控除額を差し引きます。
相続人は3人なので、控除額は以下の式で求められます。
=3000万円+(600万円×3人)
=3000万円+1800万円
=4800万円
2.課税対象の遺産額を求める
遺産総額から控除額を差し引き、課税対象となる遺産額を求めます。
=6000万円 – 4800万円
=1200万円
相続税は、1200万円に対して課税されます。
3.それぞれの相続人の課税対象となる遺産額を計算する
相続割合が法定相続分なので、1200万円に相続割合をかけ、各相続人の課税対象となる遺産額を計算します。
妻の財産
=1200万円 × 0.5
=600万円
子供の財産
=1200万円 × 0.25
=300万円
4.それぞれの相続人の相続税額を算出する
それぞれに相続税率をかけ、相続税額を算出します。
妻の場合
配偶者控除によって相続税は無料です。
子供の場合
子供の課税対象財産額は300万円、相続税率は10%です。
=300万円 × 10%
=30万円
子供は30万円を相続税として納税する必要があります。
マンションの相続税はいくらかかる?相続税評価額の計算方法を解説
相続したマンションはどうすればいい?
マンションを相続して終わりというわけではなく、相続したマンションをどうすれば良いのかを考えなくてはいけません。空き家状態になるとそれだけで、維持管理費がかかり、税金もかかってしまいます。
この章では相続したマンションをどうすればいいのかを解説しています。
- 相続したマンションに住む
- 相続したマンションを売る
- 相続したマンションを貸す
- 相続したマンションの放置はしてはいけない
相続したマンションに住む
相続するマンションに「現在住んでいる」や「手放したくない」場合は、そのまま住むことをおすすめします。
そのまま住む場合は、相続登記をするだけと、最も簡単な方法です。
相続登記をすれば、固定資産税などの請求も相続人に届くので、通常の生活を送ることが可能です。
ですが、現在住んでいる家と相続するマンションが別の場合、住み替えが必要になるので、手間がかかってしまいます。
相続したマンションを売る
すでに持ち家がある場合、相続したマンションの維持が難しい場合は、売却することがおすすめです。
売却をすれば、維持管理のコストなどがかからず、売却益を見込むこともできます。
もし相続したマンションの築年数が40年を超えている場合、早期的に売却をおすすめです。
マンションの多くは耐用年数が47年と言われており、この年数を過ぎると建物の価値は0になってしまいます。
まず売却活動を始める前に、査定を行いましょう。査定を行い、相続したマンションの市場価格を知る必要があります。
相続したマンションを査定する際には、不動産一括査定の「すまいステップ」がおすすめです。
すまいステップでは、複数社の査定額を比較できるので、高く売却してくれる不動産会社を探すことができます。



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関連記事:マンション売却で失敗しないための注意点
相続したマンションを貸す
相続したマンションに「いずれは住みたい」や「住む予定はないけど手放したくない」という方は、相続したマンションを貸すことがおすすめです。
賃貸にすると家賃収入が得られるので、固定資産税や維持管理費を支払うことが可能です。
ですが、空き家状態が続いた場合、固定資産税や維持管理費は自分で支払うことになるので、コストがかかってしまいます。
また、借主の使用状況によっては、室内が汚れや傷みが出てしまい、価値を下げてしまう可能性もあるので、そのようなリスクも考慮して賃貸に出しましょう。
相続したマンションの放置はしてはいけない
相続したマンションでしてはいけないことは、「放置」です。
マンションを所持しているだけで、固定資産税や管理費、維持費がかかってしまいます。
また空き家状態にしておくと、喚起することも少なくなってしまい、湿気で壁などの劣化が早まって、価値としても下げてしまう、デメリットもあります。
相続登記は自分で行える?マンションの相続に困った際の相談先
相続登記は自分で行うことが可能です。
ですが、書類の準備や登記申請書の記入など複雑な手順が多く、申請書の記載に間違いがあると書類の再度取得や申請書の書き直しなどが起きてしまいます。
そのため、初めて相続を行う人は司法書士や行政書士に相談することをお勧めします。以下では、マンションの相続で困った際の相談先について紹介します。
司法書士
司法書士は、不動産の相続登記や金融資産の継承手続きの代理を行ってくれます。
相続したマンションや株式、預金通帳などの資産の手続きがわからない時は、司法書士に依頼すると良いでしょう。
行政書士
行政書士は、役所の諸手続きや遺産分割協議書の作成などの相談や代わりに対応してくれます。
書類関係の業務は行政書士に依頼すると、スムーズに事が運びやすくなるでしょう。
弁護士
裁判所の手続きを代理人として依頼できるのは、弁護士のみです。
「複数人の相続人がいて話がまとまらない」、「相続人がわからない」などのトラブルが生じた時、弁護士の相談も検討してみましょう。
税理士
税務申告の代理人に慣れるのは、税理士のみです。相続する中で問題は「相続税の申告」ではないでしょうか。
どのように相続すると、相続税が高くなってしまうのか、逆に相続税の節税方法などアドバイスがもらえます。
相続税の申告手続きの依頼をしたいのであれば、税理士に依頼をしましょう。
マンション相続の注意点
最後にマンションを相続する際の注意点をまとめています。
相続税の申告や納税が遅れると延滞税を取られる
故人が亡くなってから10カ月以内に、相続税の申告と納税の両方を行わないと、延滞税が取られます。
期限までに申告を行わなかった場合
10カ月が過ぎても納税を行わなかった場合、税務署に言われる前に申告したか、言われるまで申告しなかったかで税率が異なります。
言われる前に申告した場合、税率は5%です。
例えば、相続額が1000万円の場合の延滞税は以下の通りです。
=相続額 × 5%
=1000万円 × 5%
=50万円
一方、税務署に言われてから納税される場合、税率は15~20%に跳ね上がります。
もし10カ月を過ぎてしまっても、税務署から通知が来る前に申告しましょう。
期限までに納税を行わなかった場合
期限までに納税を行わなかった場合、利率として相続額の3~10%が課税されます。
期間 | 利率金利 |
---|---|
期限から2カ月以内に納税した | 年3~4% ※銀行金利に応じて変動 |
期限から2カ月以上納税しなかった | 年9~10% ※銀行金利に応じて変動 |
少なくない額なので、必ず期限の前までに支払いを行いましょう。
もし難しい場合は、延納手続きを忘れずに行いましょう。
相続税が払えない場合は「延納」「物納」の手段を利用する
金銭的理由などから相続税を期間内に納められない場合には、「延納」「物納」などの手段を利用することができます。
延納とは?
延納とは、相続税を分割払いできる制度のことです。
下記の条件を満たしていれば、最長20年間の延納ができます。
- 相続税額が10万円を超えること
- 金銭で納付することが困難な事由があり、かつ、納付困難な金銭の範囲であること
- 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること
- 延納申請書および担保提供関係書類を期限内に提出すること
なお、延納できるのは全額ではなく、納付困難な金額を上限としています。
また、利子税が追加でかかるので注意しましょう。
物納とは?
物納とは、延納しても現金を納付できないときに物で納める制度です。
ただしこの物は何でも良いわけではなく、下記のように品目と優先順位が定められています。
優先順位 | 品目 |
---|---|
第一位 | 不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場株式など |
第二位 | 非上場株式など |
第三位 | 家財・宝石・貴金属・書画・骨董など |
いずれの方法も税務署での資産をパスする必要があり、非常に煩雑な手続きになるので、最終手段として捉えましょう。
場合によっては銀行から借り入れを行ったほうが得をすることもあります。
相続税の納付は相続人全員が各自で行う
マンションを相続した場合、相続税の申告は相続人の共同で行います。つまり、代表者1人が申告する形です。
一方、相続税の納入は相続人全員が一人一人個別で行ってください。誰かが代表して相続税を納入した場合、贈与と見なされ贈与税が課税されてしまいます。
必ず相続人全員が自分の分を自分で納入するよう注意しましょう。
タワマン節税防止に関する新ルールの適用
マンションなどの不動産を相続する際、不動産の価値は実際に売買されている市場価格ではなく、国税庁が公表する「路線価」などをもとに決められています。
土地に対して部屋の数が多いタワーマンションは、一戸当たりに対して土地の持ち分が小さくなります。
よって、課税される価値が市場価格を大きく下回るため、節税効果が高いとされてきました。
ですが、国税庁は2024年1月以後の相続・贈与からタワーマンションの相続税に関する新たな計算ルールを適用しています。
ルールの改正後は、不動産の相続税評価に「評価乖離率」と「評価水準」という新たな指標が加えられ、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離率が1.67倍以上となる場合、相続税評価額が市場価格の60%になるように補正されるようになりました。
まとめ
マンション相続の手続きと税金について見てきました。
はじめてマンションを相続する場合、手続きの難しさにうんざりする方もいらっしゃるかと思います。
しかし、相続を受けたマンションは亡くなった方が残してくれた大切な財産です。
有効活用するためにも、しっかり手続きを行いましょう。
もし、相続したマンションの活用方法に困った際は信頼できる不動産会社のプロに相談することもおすすめです。
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マンションの売却も進めていきたい方は『マンション売却で失敗しないための注意点』をご覧ください。
#マンション売却 #マンション相続