「住まいの終活に対する意識調査」によると、55歳以上の人のうち、家族に不動産を相続する予定の人は約5割にのぼるとのことです。
しかし相続する側にとっては、マンションを相続する際に様々な手続きや税金が発生します。
中には、ある期間までに手続きをしないと延滞税を取られるものも。
この記事では、直近行うべき手続きや支払う税金の額についてわかりやすく解説しています。
本記事を読んで、滞りなく必要な手続きを行いましょう。

- 監修阿部 栄一郎
- 早稲田大学、千葉大学法科大学院卒業、平成19年弁護士登録(東京弁護士会)。離婚事件等に強みを持つ弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所において、リーダー弁護士を務める。中でも、不動産や賃貸契約に関する案件を多く扱い、不動産分野のコラム執筆やセミナー講師の経験を多数持つ。【保有資格】弁護士【URL】弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
マンション相続で必要な手続き
この章では、マンション相続後の流れと直近行うべき手続きを見ていきましょう。
マンションを相続した後、行うべきことは上記の5つです。
以下では、ステップごとにマンション相続に必要な手続きを簡単に解説しているので、参考にしてみてください。(※詳しいマンションの相続手続きの方法はこちらで紹介しています)
- 遺言書の確認
- 相続人・相続遺産の確定
- 遺産分割協議を行う
- 相続税の申告・納付をする
- マンションの相続登記を行う
Step1.遺言書の確認
遺言書を見つけたら、その場で開けずに家庭裁判所で手続きを行ったうえで開封しましょう。
また、遺言書には時効がありません。
そのため、相続の手続きが終わって遺産を分け合った後に遺言書が見つかった場合、遺言書の内容に沿って再度相続をしなければなりません。
余計な手間がかかることに加え、トラブルリスクを高めてしまうので、遺産分割協議を行う前に遺言書は必ず確認しておきましょう。
Step2.相続人・相続遺産の確定
遺言書の確認と同時に、どのような財産が遺されているのかを確認します。
プラスの財産とマイナスの財産全て調べつ必要があり、財産の見落としがあると、遺産分割が最初からになり、手間がかかってしまいます。
そして、遺された財産を相続する人はだれなのか、相続人を決めていきます。
相続人の確定は、亡くなった人の出生から死亡するまでの戸籍謄本を取り相続人を確定します。
法務局で亡くなった方の住民票などを提出すれば、相続情報を一覧図で証明できる制度ができたので、戸籍謄本を持ち歩かずに、1枚で証明することが可能になりました。
また相続人が複数人いる場合、遺産分割の方法が何種類かあります。マンションを含む相続財産を分割する場合は、下記の遺産分割方法で行います。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有分割
上記の分割方法の特徴を確認して、自分の状況にあった遺産分割方法を選びましょう。
相続するマンションに住む場合は「現物分割」、「代償分割」で相続したマンションに誰も住まない場合は、「換価分割」することをおすすめします。
現物分割
現物取引は、1つのマンションを1人が相続して、その他財産を他の相続人で分ける遺産分割方法です。
1つの物をそのまま形を変えずに相続人が取得できることが特徴です。
4種類の遺産分割方法の中で、最もシンプルで簡単な手続きと言えます。
ですが、相続財産が1つのマンションしかない場合にはこの方法は使えず、不動産以外の相続財産の価値が不動産の価値に満たない場合には、誰がマンションを相続するかでトラブルになる可能性があります。
代償分割
代償分割は、1人の相続人がマンションをすべて相続して、残りの相続人には相続分に値する金額を渡す遺産分割方法です。
代償分割では、相続人に現金の用意が必要となり、価値によっては高額になる可能性があります。
たとえ高額になったとしても、権利相当分の精算金を支払わなければ、トラブルのもとになってしまうので、資金がなければ、自己資金で売却する必要があります。
売却した場合、売却益に所得税が課税されるので、代償分割を行う場合、資金面が潤沢でない限りおすすめできません。
換価分割
換価分割は、相続財産のマンションを売却して売却益を相続人間で分ける遺産分割方法です。
「マンションを相続しても活用しない」、「他の分割方法が難しい」場合はこの手法が取られます。
マンションを手放すことになりますが、現金を平等に分配できるので、トラブルになりにくい遺産分割方法と言えます。
ですが、マンションを売却するので、売却益には譲渡所得税が課せられるので注意が必要です。
換価分割でマンションを売却する場合、査定が必要になってきます。
すまいステップなら、「累計100件以上の不動産売買仲介の実績あり」「市場相場よりも高値での不動産売却の実績あり」などの条件を満たした優良不動産会社のみを厳選してご紹介することができます。



一括査定であなたの家の適正価格が分かる
オンライン対応





共有分割
共有分割は、相続するマンションを共有名義にして相続する遺産分割方法です。
簡単な方法に見える共有分割ですが、マンションを売却する際や賃貸に出す場合は、名義人全員の同意が必要になるので、トラブルになりやすい遺産分割方法と言えます。
Step3.遺産分割協議を行う
相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。この遺産分割協議で被相続人の財産をどのように相続するかを話し合って決めるのです。
また、遺言書がない場合は遺産分割協議書が必ず必要なので、早めに作成することをおすすめします。
遺産分割協議書には、相続人全員の同意が必要になります。
直接会うことが難しい場合は、郵送で書類のやり取りをして、全員分の署名や印鑑を集めましょう。
Step4.相続税の申告・納付をする
相続税が発生する場合、税務署に対して被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内に相続税の申告が必要です。
申告や納付が遅れた場合、延滞税を取られます。
そのため、必ず期限までに申告を行いましょう。
相続税申告書を作成・提出する
相続したマンションに相続税がかかる場合、申告が必要です。
まずは相続税申告書を作成し、税務署に提出しましょう。
不慣れな場合は税理士などに相談することがおすすめですが、自分で申告を行うことも可能です。
自分で申告する場合は、国税庁のホームページから「相続税申告書」をダウンロードし、「相続税の申告のしかた」を参考に記入しましょう。
相続税を納める
申告ができたら、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内に相続税を納めます。
相続税について、役所から納付書が届くことはありません。
そのため、税務署などで納付書を受け取り、記入しましょう。
※税理士法人チェスターより
納付書を記入したら、以下の方法のいずれかで相続税を納付します。
- 銀行や郵便局の窓口で振り込む
- クレジットカードで支払う(※納税額が1000万円以下の場合)
- コンビニエンスストアで支払う(※納税額が30万円以下の場合)
- 税務署の窓口で直接支払う
Step5.マンションの相続登記を行う
相続分が確定したら、最後にマンションの「相続登記」を行います。
相続登記とは、法務局に相続したマンションの名義変更を申請することです。
以下の画像が、マンションの相続登記の流れになります。
相続登記には期限がありませんが、マンションの相続が決まったら早めに登記をしましょう。
また、相続登記の際には「登録免許税」の納付も必要です。
相続登記は自分で行える
相続登記は自分で行うことが可能です。
ですが、書類の準備や登記申請書の記入など複雑な手順が多く、申請書の記載に間違いがあると書類の再度取得や申請書の書き直しなどが起きてしまいます。
法務局の窓口で誤りがあった場合、その場で対応できることが多いですが、オンラインや郵送での相続登記の場合は、手続きが難しくなることもあります。
はじめて相続を行う人は司法書士や行政書士に相談して進めると安心です。
相続登記をしないと罰金が発生する
2024年を目処に相続登記の義務化が施行されます。マンションの相続登記をしないとどうなるのでしょうか。
これまでのように、「相続登記は義務ではない」と考え方が通用しなくなります。
相続で所有権を知ってから、3年以内に所有移転登記を行わない場合、10万円以下の過料が科せられます。
自分が相続すると決まったら、早めに相続登記を行いましょう。
必要書類を取り揃える
相続の手続きには、書類が多く必要になってきます。
死亡が確認したら、早めに準備を行わないと、トラブルになるリスクが高くなります。
必要書類の多くは、法務局や市区町村の役所で入手ができます。
必要な書類は、相続の状況によって異なることがあるので、相続に詳しい行政書士や税理士に相談するとスムーズに相続の手続きができます。
相続登記に関する主な書類
必要な書類 | 入手方法 |
---|---|
登記申請書 | 法務局(ダウンロード可能) |
相続に関する不動産の登記事項証明書 | 法務局 |
被相続人の住民票(本籍地が記載されているもの) | 市区町村役所 |
被相続人の出征から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村役所 |
相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村役所 |
相続する不動産を取得する相続人の住民票 | 市区町村役所 |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役所 |
遺言または遺産分割協議書 | 申請者が作成 |
相続関係説明図 | 申請者が作成 |
マンション相続に困ったら専門家に相談しよう
マンション相続で困ったら、以下の専門家に相談すると良いでしょう。
弁護士
裁判所の手続きを代理人として依頼できるのは、弁護士のみです。
「複数人の相続人がいて話がまとまらない」、「相続人がわからない」などのトラブルが生じた時、弁護士の相談も検討してみましょう。
税理士
税務申告の代理人に慣れるのは、税理士のみです。相続する中で問題は「相続税の申告」ではないでしょうか。
どのように相続すると、相続税が高くなってしまうのか、逆に相続税の節税方法などアドバイスがもらえます。
相続税の申告手続きの依頼をしたいのであれば、税理士に依頼をしましょう。
司法書士
司法書士は、不動産の相続登記や金融資産の継承手続きの代理を行ってくれます。
相続したマンションや株式、預金通帳などの資産の手続きがわからない時は、司法書士に依頼すると良いでしょう。
行政書士
行政書士は、役所の諸手続きや遺産分割協議書の作成などの相談や代わりに対応してくれます。
書類関係の業務は行政書士に依頼すると、スムーズに事が運びやすくなるでしょう。
マンション相続でかかる税金
マンションを相続すると、相続額によっては税金の申告と手続きが必要なことを学びました。
この章では、マンションを相続する際にかかる税金と税率を見ていきます。
マンションの相続には、2種類の税金がかかります。
- 登録免許税
- 相続税
登録免許税
登録免許税は、登記内容の変更をする際にかかる税金です。
マンションなどの不動産の相続の場合、不動産の相続登記(不動産の名義変更)を行う必要があるので、登録免許税がかかります。
相続登記にかかる登録免許税は、以下の計算式で算出します。なお、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間は、免税措置がとられていますので、活用してみると良いと思います。
相続税
法定相続分通りに財産を相続した場合、相続税の金額は以下の計算式で求められます。
マンションの価値は「評価額」をもとに算出します。評価額については次の章で詳しく解説します。
控除が使える場合もある
マンションを相続した場合、控除が使える場合があります。
控除を使うことで、相続税を支払わなくて良かったり、支払う税額を少なくすることもできます。
よく使われる控除は以下の2つです。
- 基礎控除
- 登録免許税
基礎控除
相続を行う人の基本的に全員が基礎控除を受けられます。
基礎控除額より相続額が高い場合は、相続額から控除分を差し引くことができます。
相続税の基礎控除は以下の計算式で算出します。
ただし、この場合の相続額はすべての相続の合算であることに注意してください。
マンションの他にも、預貯金や株式を含めた金額として計算しましょう。
基礎控除額より相続税の総額が低いなら、相続税はかからない
相続財産の合計額が相続税の基礎控除額内であれば、相続税は発生せず申告も不要です。
例えば妻と子供2人の3人が相続人である場合、いくらまでなら相続税がかからないのでしょうか?
基礎控除額
=3000万円+(600万円×3人)
=3000万円+1800万円
=4800万円
配偶者控除
配偶者が相続した財産のうち、課税対象の財産が1億6000万円までは相続税が課税されません。
たとえ1億6000万円を超えたとしても、配偶者が相続した財産が法定相続分までであれば、配偶者控除によって相続税がかかりません。
マンションを相続した場合の相続税の試算
モデルケースとして、以下の場合のマンションの相続額を試算してみましょう。
- 遺産は総額6000万円
- 相続人は、妻と子供2人
- 法定相続分通りに相続する
1.基礎控除額を計算する
遺産総額から控除額を差し引きます。
相続人は3人なので、控除額は以下の式で求められます。
=3000万円+(600万円×3人)
=3000万円+1800万円
=4800万円
2.課税対象の遺産額を求める
遺産総額から控除額を差し引き、課税対象となる遺産額を求めます。
=6000万円 – 4800万円
=1200万円
相続税は、1200万円に対して課税されます。
3.それぞれの相続人の課税対象となる遺産額を計算する
相続割合が法定相続分なので、1200万円に相続割合をかけ、各相続人の課税対象となる遺産額を計算します。
妻の財産
=1200万円 × 0.5
=600万円
子供の財産
=1200万円 × 0.25
=300万円
4.それぞれの相続人の相続税額を算出する
それぞれに相続税率をかけ、相続税額を算出します。
妻の場合
配偶者控除によって相続税は無料です。
子供の場合
子供の課税対象財産額は300万円、相続税率は10%です。
=300万円 × 10%
=30万円
子供は30万円を相続税として納税する必要があります。
マンションの相続税はいくらかかる?相続税評価額の計算方法を解説
相続したマンションの評価額の求め方
ここまで、相続したマンションの相続税の算出方法を見てきました。
マンションは現金と異なり、「評価額」として見積もった価値に基づいて相続額が決定されます。
評価額とは、相続税をはじめとした税金の計算などに用いられる、不動産の価値を評価する金額のことです。
マンションの評価額は以下のように求めます。
=建物部分の評価額 + 土地部分の評価額
それぞれの評価額の求め方を詳しく見ていきましょう。
建物部分の評価額の求め方
建物部分の評価額は、「固定資産税評価額」を確認します。
固定資産税評価額は、毎年4月ごろに送られてくる「課税明細書」に記載されています。
土地部分の評価額の求め方
評価額にはいくつか種類がありますが、分譲マンションを相続した場合は評価額として「相続税路線価」を用います。
1.相続税路線価を確認する
相続税路線価は、国税庁のホームページで確認できます。
エリアを絞り込んでいくと、下の図のように道路と数字が記載されているはずです。
調べたい物件が面している道路が、1平方メートルあたりの路線価を1000円単位で表しています。
☆マークに位置する物件の1平方メートルあたりの価格は24万円です。
2.路線価を元に評価額を算出する
路線価にマンションの面積と持分割合をかけて評価額を算出します。
持分割合とは、マンションの所有権を表す割合です。売買契約書などで確認できます。
例えば、路線価格24万円、マンションの全体面積が5000平方メートルの物件を、持分割合1000分の1で所有しているとします。
=路線価× 全体(㎡)× 持分割合
=24万円 ×5000平方メートル×0.001
=120万円
3.小規模宅地の特例を活用する
小規模宅地の特例とは、330平方メートル以下の土地の評価額を減額できるものです。
亡くなった方が住んでいたマンションの場合は80%、賃貸マンションとして誰かに貸していた場合は50%、土地の評価額が減額されます。
例えば、亡くなった方が住んでいたマンションの評価額が120万円の場合、小規模宅地の特例を使うと評価額を以下のように減額できます。
=24万円



一括査定であなたの家の適正価格が分かる
オンライン対応





マンション評価額とは?計算方法や調べ方を解説!6種類の評価額は用途で使い分けよう
相続したマンションはどうすればいい?
マンションを相続して終わりというわけではなく、相続したマンションをどうすれば良いのかを考えなくてはいけません。
空き家状態になるとそれだけで、維持管理費がかかり、税金もかかってしまいます。
この章では相続したマンションをどうすればいいのかを解説しています。
- 相続したマンションに住む
- 相続したマンションを売る
- 相続したマンションを貸す
- 相続したマンションの放置はしてはいけない
相続したマンションに住む
相続するマンションに「現在住んでいる」や「手放したくない」場合は、そのまま住むことをおすすめします。
そのまま住む場合は、相続登記をするだけと、最も簡単な方法です。
相続登記をすれば、固定資産税などの請求も相続人に届くので、通常の生活を送ることが可能です。
ですが、現在住んでいる家と相続するマンションが別の場合、住み替えが必要になるので、手間がかかってしまいます。
相続したマンションを売る
すでに持ち家がある場合、相続したマンションの維持が難しい場合は、売却することがおすすめです。
売却をすれば、維持管理のコストなどがかからず、売却益を見込むこともできます。
もし相続したマンションの築年数が40年を超えている場合、早期的に売却をおすすめです。
マンションの多くは耐用年数が47年と言われており、この年数を過ぎると建物の価値は0になってしまいます。
まず売却活動を始める前に、査定を行いましょう。査定を行い、相続したマンションの市場価格を知る必要があります。
相続したマンションを査定する際には、不動産一括査定の「すまいステップ」がおすすめです。
すまいステップでは、複数社の査定額を比較できるので、高く売却してくれる不動産会社を探すことができます。



一括査定であなたの家の適正価格が分かる
オンライン対応





関連記事:マンション売却で失敗しないための注意点
相続したマンションを貸す
相続したマンションに「いずれは住みたい」や「住む予定はないけど手放したくない」という方は、相続したマンションを貸すことがおすすめです。
賃貸にすると家賃収入が得られるので、固定資産税や維持管理費を支払うことが可能です。
ですが、空き家状態が続いた場合、固定資産税や維持管理費は自分で支払うことになるので、コストがかかってしまいます。
また、借主の使用状況によっては、室内が汚れや傷みが出てしまい、価値を下げてしまう可能性もあるので、そのようなリスクも考慮して賃貸に出しましょう。
相続したマンションの放置はしてはいけない
相続したマンションでしてはいけないことは、「放置」です。
マンションを所持しているだけで、固定資産税や管理費、維持費がかかってしまいます。
また空き家状態にしておくと、喚起することも少なくなってしまい、湿気で壁などの劣化が早まって、価値としても下げてしまう、デメリットもあります。
マンション相続の注意点
相続税の申告や納税が遅れると延滞税を取られる
故人が亡くなってから10カ月以内に、相続税の申告と納税の両方を行わないと、延滞税が取られます。
必ず期限内に行うようにしましょう。
期限までに申告を行わなかった場合
10カ月が過ぎても納税を行わなかった場合、税務署に言われる前に申告したか、言われるまで申告しなかったかで税率が異なります。
言われる前に申告した場合、税率は5%です。
例えば、相続額が1000万円の場合の延滞税は以下の通りです。
=相続額 × 5%
=1000万円 × 5%
=50万円
一方、税務署に言われてから納税される場合、税率は15~20%に跳ね上がります。
もし10カ月を過ぎてしまっても、税務署から通知が来る前に申告しましょう。
期限までに納税を行わなかった場合
期限までに納税を行わなかった場合、利率として相続額の3~10%が課税されます。
期間 | 利率金利 |
---|---|
期限から2カ月以内に納税した | 年3~4% ※銀行金利に応じて変動 |
期限から2カ月以上納税しなかった | 年9~10% ※銀行金利に応じて変動 |
少なくない額なので、必ず期限の前までに支払いを行いましょう。
もし難しい場合は、延納手続きを忘れずに行いましょう。
相続税が払えない場合は「延納」「物納」の手段を利用する
金銭的理由などから相続税を期間内に納められない場合には、「延納」「物納」などの手段を利用することができます。
延納とは?
延納とは、相続税を分割払いできる制度のことです。
下記の条件を満たしていれば、最長20年間の延納ができます。
- 相続税額が10万円を超えること
- 金銭で納付することが困難な事由があり、かつ、納付困難な金銭の範囲であること
- 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること
- 延納申請書および担保提供関係書類を期限内に提出すること
なお、延納できるのは全額ではなく、納付困難な金額を上限としています。
また、利子税が追加でかかるので注意しましょう。
物納とは?
物納とは、延納しても現金を納付できないときに物で納める制度です。
ただしこの物は何でも良いわけではなく、下記のように品目と優先順位が定められています。
優先順位 | 品目 |
---|---|
第一位 | 不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場株式など |
第二位 | 非上場株式など |
第三位 | 家財・宝石・貴金属・書画・骨董など |
いずれの方法も税務署での資産をパスする必要があり、非常に煩雑な手続きになるので、最終手段として捉えましょう。
場合によっては銀行から借り入れを行ったほうが得をすることもあります。
相続税の納付は相続人全員が各自で行う
マンションを相続した場合、相続税の申告は相続人の共同で行います。つまり、代表者1人が申告する形です。
一方、相続税の納入は相続人全員が一人一人個別で行ってください。
誰かが代表して相続税を納入した場合、贈与と見なされ贈与税が課税されてしまいます。
必ず相続人全員が自分の分を自分で納入するよう注意しましょう。
まとめ
マンション相続の手続きと税金について見てきました。
はじめてマンションを相続する場合、手続きの難しさにうんざりする方もいらっしゃるかと思います。
しかし、相続を受けたマンションは亡くなった方が残してくれた大切な財産です。
有効活用するためにも、しっかり手続きを行いましょう。
もし、相続したマンションの活用方法に困った際は信頼できる不動産会社のプロに相談することもおすすめです。
すまいステップでは「宅地見物取引士の資格保有者」や「不動産仲介営業歴5年以上」など、相続や不動産に対する知識が豊富な担当者のみにマンション相続のお悩みを相談できます。
ぜひ、下記のバナーからお申込みください。
マンションの売却も進めていきたい方は『マンション売却で失敗しないための注意点』をご覧ください。
記事のおさらい
マンション相続で必要な手続きは?
マンション相続で必要な手続きは以下のものです。
- 遺言書の確認
- 相続人・相続遺産の確定
- 遺産分割協議を行う
- 相続税の申告・納付
- 相続登記を行う
詳しく知りたい方はマンション相続で必要な手続きをご覧ください。
マンション相続でかかる税金は?
マンション相続でかかる税金は以下のものです。
- 相続税
- 登録免許税
詳しくはマンション相続の税金をご覧ください。
相続したマンションの評価額の求め方は?
マンションは現金と異なり、「評価額」として見積もった価値に基づいて相続額が決定されます。評価額とは、相続税をはじめとした税金の計算などに用いられる、不動産の価値を評価する金額のことです。マンションの評価額は以下のように求めます。
- マンションの評価額=建物部分の評価額 + 土地部分の評価額
詳しく知りたい方は相続したマンションの評価額の求め方をご覧下さい。
相続したマンションはどうすればいい?
相続したマンションの活用方法は以下のものです。
- 相続したマンションに住む
- 相続したマンションを売る
- 相続したマンションを貸す
詳しくは相続したマンションはどうすればいい?をご覧ください。