土地を売りに出してから、なかなか買い手からの反応がないと、不安になってしまいますよね。
土地を売却した人の、過半数が売り出してから6ヶ月以内に売却を完了させています。
土地の売却にはタイミングも関わりますが、5ヶ月くらい経っても買い手が現れない場合には、売却について見直す必要がありそうです。
この記事で、土地が売れない「理由」を明らかにし、「対策」をして、売却を成功させましょう!

- 監修吉崎 誠二
- 社団住宅法人・不動産総合研究所 理事長。㈱船井総合研究所上席コンサルタント、(株)ディーサイン、不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行う。【保有資格】宅地建物取引主任士【URL】不動産エコノミスト 吉崎誠二
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土地が5ヶ月以上売れない時は売却活動を見直そう
土地の売却は、マンションの売却に比べると、長引きやすい傾向にあります。
以下は株式会社Speeeが、全国の土地を売却した方にアンケートをした結果をまとめたグラフです。
売却に1年以上かかっている方も3割近くいますが、過半数の方が6ヶ月未満で売却を終えています。
土地を売却する事情もそれぞれですが、「土地を高く売る」ことよりも「確実に売る」ことを重視するなら、6ヶ月を売却期間の目安に考えてよいでしょう。
また、不動産会社と専属媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいる場合、3ヶ月ごとに更新をします。
そして、契約期間中の解約は、基本的にできません。
土地を売り出してから5ヶ月を過ぎると、不動産会社との契約の2回目の更新が間近になるため、この時期に売却活動の見直しをすることをオススメします。
売却活動を見直す時は、まず「自分の土地が売れない理由」を調べてみましょう。
土地が売れない5つの理由と対策8選
土地が売れない時の対策は、ただ闇雲に行えばいいものではありません。
土地がなかなか売れない時の主な理由は以下の通りです。
この章では売れない理由ごとに、「土地を売れるようにする対策」を解説していきます。
(1)土地の売り出し価格が高すぎる
土地を売り出してから、問い合わせがなかったり、少なかったりする場合、相場に比べて売り出し価格が高すぎる可能性があります。
- 現在売り出し中の近隣の土地に比べて、自分の土地の価格が高すぎないか
(SUUMO、HOME’S、at homeなど不動産ポータルサイトでチェック) - 近隣の売買が成約した土地の価格に比べて、自分の土地の価格が高すぎないか
(土地総合情報システムの「不動産取引価格情報検索」でチェック)
対策:売り出し価格を下げる
土地の実際の成約価格の平均は、売り出し価格の平均と比べて90~95%程度になっています。
買主からの値下げ交渉の末に90~95%の価格になっていると考えるなら、現在の売り出し価格が成約した周辺地域の土地の価格よりも5~10%以上高い場合は、強気な売り出し方になっているといえそうです。
▼小刻みな値下げはNG
いざ土地の価格を値下げしようという時には、短期間で小刻みに価格を下げるのはNGです。
少額の値下げは、買い手側に与える印象が弱く、効果的ではありません。
また値下げを繰り返すと、不動産サイトを頻繁にチェックしている人には、「売れ残っている土地だ」「待っていればどんどん値下げしそうだな」というイメージを持たれてしまいます。
▼ただし大きい位の数字が変わる値下げは効果的
近頃は不動産ポータルサイトを自分でチェックする買い手も増えているため、たとえば「3,000万円から2,980万円」といった値下げは効果的です。
大きい位の数字が変わる値下げは、「安くなった」という印象を与えやすいからです。
(2)不動産会社がしっかり販売活動してくれていない
契約している不動産会社の販売活動が足りていないことも、土地が売れない理由の1つとして考えられます。
- 自分の土地がきちんと広告に掲載されているか
(チラシや不動産ポータルサイトをチェック) - 「活動報告」をきちんと行ってくれているか、毎回同じような内容になっていないか
(特に問い合わせ数、見学申し込み数、見学の結果をチェック) - 活動報告に対するこちらの質問に、担当者が誠実に応対してくれているかどうか
- 【専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合】
- 「レインズ」に土地の情報がきちんと登録されているか(未登録であれば違法)
- 買い手からの申し込みが来ていない時に『公開中』の状態になっているか。なっていない場合は囲い込みの可能性あり
対策①:不動産会社との契約形態を見直す
不動産会社との契約(媒介契約)の形態は、3種類あります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社への依頼 | ○ | × | × |
売主も買主を探せる | ○ | ○ | × |
不動産会社からの活動報告 | 義務はなし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 | なし | 契約から7営業日以内 | 契約から5営業日以内 |
契約期間 | 定めなし (通常3ヶ月) | 3ヶ月 | 3ヶ月 |
▼専任媒介契約や専属専任媒介契約に変更する
現在、不動産会社との契約の形態が「一般媒介」で、『活動報告をもっと密にしてほしい』『もっと力を入れて営業をかけてほしい』といった不満がある場合は、「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」への変更を検討してみましょう。
不動産会社は他社で成約してしまうと報酬が得られないので、「一般媒介契約」の物件よりも「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」の物件の対応が優先されやすい傾向にあります。
▼一般媒介契約に変更する
逆に、不動産ポータルサイトへの登録や広告を増やして、少しでも多くの人の目に触れるようにしたいという場合には、「一般媒介契約」を検討してみましょう。
不動産ポータルサイトの登録には費用がかかるため、使い慣れているサイトのみに物件を登録する不動産会社は多いです。
複数社と契約することで、多くのサイトへの登録を狙います。
対策②:契約している不動産会社を変える
思い切って、契約している不動産会社自体を変えるのも1つの方法です。
担当者の活動ぶりに不満がある場合や、囲い込みが疑われる場合はもちろん、担当者との相性が合わないと感じる場合も、契約の変更を考えてよいでしょう。
また、不動産会社はたくさんありますが、マンションの売却に強い会社、土地の売却に強い会社など、それぞれ強みが異なります。
土地の売却に強い会社や、自分の土地のある地域の売却に強い会社に任せられれば、売却の成功がぐっと近づきます。
自分に合った『強み』のある不動産会社を手早く探したい時には、不動産一括査定サイトを利用してみましょう。
不動産一括査定サイトを利用すると、希望の条件に合う不動産会社に、査定依頼を通じてコンタクトを取れます。
またインターネット上で申し込めるので、不動産会社に1軒1軒訪問する労力や時間を節約できます。



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(3)土地の状態が明らかになっていない
問い合わせがあっても成約にまで至らないことが重なる場合、買い手が「土地の見えない部分の現状」について不安を抱いている可能性があります。
買主が、特に気にかけるポイントは以下です。
- 隣地の所有者とトラブルになる可能性がないか
- 境界線が明確になっているか
- 越境物がないか
- 問題なく土地に建物を建てられるかどうか
- 地盤の強度
- 地質の状況
- 土壌汚染や地中埋設物の有無
- 液状化のリスク など
近隣でも土地が売りに出されている場合には、以上のポイントで問題がないことが明らかになっている土地の方が売れやすくなります。
対策①:土地の境界を明確にする
土地の確定測量が済んでいるか、また隣地の所有者と越境に関する合意を書面で交わしているか、改めて確認しましょう。
▼確定測量をする
もしも、まだ測量を実施していない場合や、確定測量図を紛失している場合には、「確定測量」を実施しましょう。
確定測量は、土地家屋調査士という専門家に依頼して行います。
隣地の所有者(土地が公道など官有地と接している場合は行政)の立ち会いのもと、現場で土地の境界線を確認します。
問題がなければ、土地家屋調査士が確定測量図を作成します。
また合わせて、境界確認書に隣地の所有者全員が署名・押印します。
▼「越境の覚書」を交わす
「越境」とは、屋根やブロック塀、草木など、土地の境界を越えてはみ出しているものがある状態です。
自分の土地から隣地に対して越境物がある場合は撤去します。
隣地から土地に越境物がある場合は、撤去してもらえないか交渉してみましょう。
現時点で越境の解消が難しい場合は、隣地の所有者と「越境の覚書」を交わします。
越境が起きている状態への合意を表す書面です。
越境の覚書を交わす際には、土地を売却した場合は次の所有者に内容を引き継ぐことや、隣地の建物の取り壊し時など、将来的に越境物を撤去してもらうことを約束しておきましょう。
対策②:地中に関する調査をする
見学ではわからない地中の部分について、調査によって「お墨つき」を得ることで、買い手の不安の解消を図る方法です。
▼地盤調査をする
地盤調査は、買主も建設工事を始める前に実施しますが、この時点で問題点が明らかになると、工事が延びてしまいます。
「地盤調査済みの土地」はその点において、安心して購入ができます。
一般的な宅地であれば、「スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)」がオススメです。
5万円前後で、地盤の強さをしっかり調査できるため、費用対効果が高いです。
売却する土地がマンションやビルを建設するような土地の場合は、「ボーリング調査」を受けましょう。
こちらは20万円から30万円程の費用がかかります。
なお、万が一「地盤の改良が必要」という結果が出た場合、売主側で地盤改良工事を実施するかどうかは、不動産会社と相談しましょう。
▼地歴調査をする
土壌汚染や地中埋設物の調査には期間と費用がかかるため、まずは地歴調査をしてみましょう。
土地の過去の使われ方を調べることで、土壌汚染や、地中に物が残っている可能性の有無を調べます。
古地図や過去の航空写真、登記簿(閉鎖事項証明書)を見ることで、自分でもある程度調べられます。
特に、近くに工場があったり、昔ガソリンスタンドやクリーニング店のような溶剤を扱う店舗に使われていたりした土地は、地中に化学物質が残留して、土壌汚染が起きている可能性があります。
業者に依頼する場合は、土壌汚染調査の専門業者に依頼をします。
(4)土地が広すぎる
住宅地の土地の場合、広すぎても売却が難しいことがあります。
都市部の住宅地では、敷地面積が40~80坪程度の土地が多いです。
面積が広すぎると、その分だけ土地の購入にかかる費用の総額が高くなります。
そうなると、住宅地に一般的な家を建てたい人には購入しづらくなってしまうのです。
対策:分筆して売却する
「分筆」とは、1つの土地を登記上2つの土地に分けることです。
周りの土地よりも広すぎる土地の場合、分筆によって利用しやすい大きさの土地にすると、買い手がつきやすくなります。
分筆の手続きは、「土地家屋調査士」に依頼します。不動産会社に相談して、紹介してもらうこともできます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
(5)狭小地や旗竿地など土地の条件がよくない
面積が20坪程度以下のいわゆる「狭小地」は売却が難航しやすいです。
建物の建築の制限が大きい他、家屋を建てる目的で購入する場合に住宅ローンを組みづらいからです。
また、旗竿地や袋地であることが原因で建物の建築ができない土地(再建築不可物件)は、売却が難しいです。
そのままでは建物が建築できないため、土地の利用の仕方が大きく制限されるからです。
三角形などの「不整形地」や、四角形でも細長すぎる土地も、建てる建物に工夫が必要なため、買い手がつきづらいです。
がけ地や傾斜地など、災害リスクが懸念される土地も、買い手から忌避されやすく、売却が難航しがちです。
対策①:借地や買い増しをする
隣地の一部を借地したり、交換したり、買い増したりすることで、土地の面積や形状の問題を解決する方法です。
再建築不可の土地の場合は、再建築ができるようになれば土地の価値は大きく向上します。
対策②:買取で売却する
「仲介」ではなく「買取」で売却するという方法です。
買取の場合、価格は安くなってしまいますが、不動産会社が買主になってくれるため、確実に売却が見込めます。
条件のよくない土地の場合は、買取をしてくれる不動産会社を見つけるのも難しいかもしれませんが、再建築不可の物件や、がけ地など、専門に買取をしている業者もあるため、相談してみましょう。
旗竿地の売却については、以下の記事もご参考にしてください。
※農地や市街化調整区域の土地の譲渡に関しては、以下の記事もご参考にしてください。
記事のおさらい
土地を売り出してからどれくらいで売れるのが一般的?
過半数の方が6ヶ月未満で売却を終えています。
1年以上かかる方も3割近くいます。
売り出してから5ヶ月経っても土地が売れず、不安に感じている方は、売れない理由の検討をオススメします。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
土地が売れない理由と対策は?
土地が売れない理由としては、主に3つの理由が挙げられます。
- 売り出し価格が高すぎる
- 不動産会社がしっかり販売活動してくれていない
- 土地の状態が明らかになっていない
- 土地が広すぎる
- 狭小地や旗竿地など土地の条件がよくない
詳しくは土地が売れない5つの理由と対策9選をご覧ください。
をご覧ください。