不動産購入時には、物件価格以外にもさまざまな諸費用がかかります。購入時だけでなく、購入後にもお金が必要です。不動産業者に支払う仲介手数料の他、税金やローンに関わる費用などもあります。
物件価格以外にかかる諸費用はたくさんあるので、購入時から購入後まで、必要なお金の全体像を把握しておくことが大切。事前に諸費用について確認してから、不動産を購入しましょう。
不動産購入時にかかる主な費用
不動産購入時には、物件価格以外にもさまざまな費用が必要です。どのようなお金が必要かを確認しておきましょう。
頭金
不動産の購入代金の一部である頭金を、現金で支払う必要があります。目安は、購入代金の2割程度です。ただ、最近は頭金0円でも住宅ローンを組めることがあります。
頭金なしで住宅ローンを組むと、その分ローンの借り入れが増えることになるので、毎月の返済額の負担はその分大きくなります。頭金を支払っておいたほうが、毎月の負担は減って楽になります。
申込証拠金
購入したい物件が見つかったら、申込証拠金を支払います。契約する前に購入意思があることを証明するために、不動産業者などに支払うお金のことを申込証拠金といいます。
申込証拠金の目安は2万円〜10万円程度。契約が成立せずに申し込みを撤回する場合は、その代金は返金されます。契約が成立した場合は、支払った申込証拠金がそのまま手付金の一部になります。
中古物件などで仲介業者が間に入る物件の多くは、申込証拠金を必要としません。一部の新築でも、申込証拠金を必要としない物件があります。
手付金
売買契約の際に、売主に購入代金の一部となる手付金を支払います。契約前に申込証拠金を支払っている場合は、そのお金を手付金とすることも可能です。
目安は購入代金の5%〜10%。手付金は売主と買主の合意により決まるため、手付金の金額はさらに多くなる可能性もあります。手付金が少なくても多くても、最終的には購入代金の一部になるので同じです。
家具購入や引越し代金など
その他にも費用はかかります。例えば、新居に必要な家具を購入する費用や、引越し代金など。また、引っ越すまでの間に仮住まいをする場合はその期間の費用も必要です。
その他にかかる諸費用は、新築マンションを購入するときに支払う修繕積立基金、一戸建て購入時に支払う可能性がある水道負担金、印紙税、仲介手数料、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、登記費用など。ちなみに、仲介業者を介さず、売主から直接購入する場合は、購入にかかる諸費用が少し安くなります。
・頭金の目安は2割
・手付金の目安は5〜10%
・引越し代金等も必要
不動産業者に支払う仲介手数料について
不動産は、買っても売っても仲介料がかかります。仲介手数料についての詳細を把握しておきましょう。
不動産業者に払う仲介手数料とは
仲介手数料とは、売却を依頼する不動産業者に対して支払うものです。不動産業者は売却を成功させるために、チラシを作成して配ったり、購入検討者の物件見学に立ち会ったりして、売却活動をしているので、その売却活動の成功報酬として支払います。
手数料に含まれているのは、通常の仲介業務で発生する費用です。売主の依頼により通常では行わない業務をした場合にかかった費用は、別途請求されます。
売買契約が成立して初めて発生する
仲介手数料は、売買契約が成立して初めて発生する費用です。あくまでに成功報酬なので、時間と手間をかけて売却活動をしたとしても、原則として売買契約が成立しなければ仲介手数料の支払いはありません。
手数料の支払い条件は、協議して決定します。一般的には、契約時に仲介手数料の50%分の金額を支払い、不動産の引き渡し完了時に、残りの50%を支払うことが多いです。
上限は法律で定められている
仲介手数料の上限は、法律で定められています。
売買価格税込額 | 不動産仲介手数料の上限 |
売買価格税込が400万円以下の場合 | 18万円+消費税 |
売買価格税込が400万円超の場合 | 物件価格の3%+60,000円+消費税 |
2018年1月1日より仲介手数料の料率が改正
2018年1月1日より仲介手数料の料率が改正され「物件売買価格が400万円以下の場合、最大18万円受け取る」ことができるように変更されました。以前までの仲介手数料の上限は、「売買価格税込が200万円以下の場合は、物件価格の5%+消費税」、「売買価格税込が200万円超〜400万円以下の場合は、物件価格の4%+20,000円+消費税」でした。
これまでは、300万円の物件の場合、仲介手数料は「4%(12万円)+20,000円=14万円」と算出していました。しかし仲介手数料の料率が改正されたことで、最大18万円となったのです。ただし、これらの数字はあくまでも仲介手数料の上限額なので、必ずこの金額を支払うということではありません。
売買価格税込額 | 改正前の不動産仲介手数料の上限 | 改正後の上限 |
売買価格税込が200万円以下の場合 | 物件価格の5%+消費税 | 18万円 |
売買価格税込が200万円超〜400万円以下の場合 | 物件価格の4%+20,000円+消費税 | 18万円 |
計算式にある「3%+6万円」の「6万円」について
400万円を超える物件の仲介手数料の上限価格は、「3%+60,000円+消費税」で計算します。この「60,000円」の意味は、200万円以下の5%に対する2%分の金額の4万円と、200万円超〜400万円以下の1%分の2万円を足したものです。
1,000万円の物件を購入した場合、「3%+60,000円+消費税」の速算法により、「1,000万円×3%(30万円)+60,000円+消費税=36万円+消費税」と算出。手数料の上限は「200万円以下の場合は、5%+消費税」、「200万円超〜400万円以下の場合は、4%+20,000円+消費税」、「400万円超の場合は、3%+60,000円+消費税」と段階的に決められているので、それぞれの段階に分けて計算すると、以下のようになります。
1,000万円を段階に分ける | 段階別の仲介手数料の計算 |
200万円以下の部分 | 200万円×5%=10万円+消費税 |
200万円超?400万円以下の部分 | 200万×4%=8万円+消費税 |
400万超の残りの部分 | 600万×3%=18万円+消費税 |
仲介手数料の総額 | 10万円+8万円+18万=36万円+消費税 |
ただ1,000万円に3%を掛けても30万円なので、60,000円足りません。これは、「200万円以下の部分」と「200万円超?400万円以下の部分」が考慮されていないからです。そのため、400万超の物件の仲介手数料を計算する際には、3%で計算した額に60,000円を足す必要があります。
・売却活動の成功報酬
・売買契約成立で支払う
・仲介手数料の料率が改正
不動産売却時の仲介手数料は値引ける!交渉のコツやデメリットまで解説

仲介手数料以外に費用が発生することもある
場合よっては、仲介手数料以外に別途費用を請求されることもあります。どのようなケースで別途費用が発生するのかを見ていきましょう。
依頼者の依頼に基づいて発生した費用
不動産業者は、通常の仲介業務の範囲内で売却活動をしたのであれば、依頼者に仲介手数料とは別に費用を請求することはできません。しかし、依頼者の希望により、通常の売却活動では行わないような広告宣伝などをした場合は、別途費用が発生します。
ただ、一般的な広告費用や購入検討者への案内にかかる費用は、仲介手数料内に含まれているものです。別途費用の請求があった場合は、金額と内訳をよく確認しましょう。
「3つの条件」が満たされている場合のみ別途請求される
仲介手数料以外に別途費用が請求されるのは、「3つの条件」のすべてが満たされている場合のみです。3つの条件とは、「依頼者の依頼に基づいて発生した費用」「通常の仲介業務では発生しない費用」「実費」。このすべての条件が満たされている場合のみに限定していることがポイントです。
・依頼者の希望によるもの
・通常の仲介業務外である
・実費である

不動産購入後にかかる費用について
不動産購入後にも費用がかかります。どのような費用がかかるのかを確認していきましょう。
マンションを購入した場合
税金は、マンションも一戸建ても関係なく支払い義務がありますが、マンション特有の費用としては、管理費と修繕積立金があります。それぞれかかる費用は、マンションごとに異なるので、事前に確認しておきましょう。
管理費
マンションの規模や管理形態により、費用は異なります。管理費の用途は、保険料、共用部分の清掃や点検にかかる費用、サービス関連の運営費用、管理会社への報酬などです。
豪華な設備があるマンションや、豊富なサービスを提供しているマンションは、管理費が高くなります。例えば、高級感のあるラウンジ、キッズルーム、警備員やコンシェルジュが常駐しているなど。費用を負担する戸数が少ないマンションも、管理費が高めに設定されていることが多いです。
修繕積立金
大規模な修繕工事をするときのための資金として積み立てられるものです。それぞれのマンションで計画的に長期修繕計画が行われています。
マンションの住人が少ない、駐車場の契約台数が少ないなど、さまざまな理由で修繕積立金が不足している場合は注意が必要です。修繕積立金の不足がかさむと、修繕の直前になってから一時金として高額な費用を徴収されることもあります。
一戸建てを購入する場合
一戸建ての場合は、水道負担金、住居の維持や管理にかかる費用、ローン契約にかかる費用、税金などの費用が必要です。
水道負担金
新たに水道を利用する際には、水道負担金が必要になる場合があります。自治体によって水道負担金が必要かどうかと金額も異なるので、自治体に確認しましょう。
住居の維持や管理にかかる費用
年数が経つと修繕リフォームが必要になります。マンションの修繕積立金のような定期的な支払いはありませんが、年数が経てば老朽化は避けられません。水回りの修繕は200万円〜300万円程度、外壁や屋根の修繕は100万円〜200万円程度が目安です。10年〜15年の周期で修繕リフォームが必要とされているので、そのときのために日頃から備えておきましょう。リフォームローンを取り扱っている金融機関もあります。
ローン契約にかかる費用
ローンを契約する際には、印紙税、ローン借り入れ費用(事務手数料、ローン保証料、団体信用生命保険特約料、火災保険料など)。ローンの毎月の返済額が必要です。どのようなプランのローンを組むかと、利用する金融機関により、必要になる費用の内容や金額は異なります。
税金
必ずかかる税金は、固定資産税と都市計画税です。固定資産税は、新築住宅は5年間の軽減措置があります。4月〜5月頃に納税通知書が届くので確認しましょう。納税方法は、一括納税と4回の分割納税から選ぶことができます。
・管理費と修繕積立金
・修繕費用と税金
・ローンに関する費用
不動産購入で支払う税金について
不動産購入で支払いが必要な税金がいろいろあります。それぞれの税金について1つずつ見ていきましょう。
不動産取得税
不動産取得税は毎年の支払うものではなく、不動産を取得した際に一度だけ支払います。家を新築、増築、改築した場合や、土地や家屋を購入、交換、贈与で取得した場合は課税対象。相続で土地や家屋を取得した場合は非課税です。不動産取得後6カ月〜1年半の間に届く「納税通知書」を使用し、金融機関で納税をします。
不動産取得税=固定資産税評価額×4% |
固定資産税・都市計画税
固定資産税は、毎年1月の不動産所有者に対してかかる税金です。1年分の一括納税か、3カ月ごとの4回の分割納税かを選択できます。基本的には「固定資産税評価額×1.4%」で算出。ただし特例があるので、納税通知書を確認し、不明な点があれば各市町村に確認しましょう。
固定資産税=固定資産税評価額×1.4% |
都市計画税は、毎月1月1日の時点で、都市計画区域内の土地及び建物所有者に対してかかる税金です。1年分を固定資産税と合わせて納付します。基本的には「固定資産税評価額×0.3%(市町村により0.3%より低い場合もある)」で標準税額を算出。こちらも特例があるので、納税通知書を確認し、不明な点があれば各市町村に確認しましょう。
都市計画税=固定資産税評価額×0.3%(市町村により0.3%より低い場合もある) |
消費税
不動産の売買には消費税がかかります。また、仲介する不動産会社に支払う仲介手数料や、建築請負工事代金等にも消費税が必要です。
ただし、土地の売買には消費税がかかりません。個人間で住宅を売買する場合も、非課税です。消費税は、2019年10月に10%に引き上げられる予定になっています。建物にかかる消費税は、引き渡し時点の税率です。
印紙税
売買契約書や請負工事の契約書、住宅ローンの金銭消費賃貸契約書などの契約書や領収書の発行にかかる税金です。金額により課税額は異なります。印紙税は、文書を作成した人に課税されるものです。契約書や領収書に課税額の印紙を貼って押印をします。
登録免許税
登録免許税は、不動産の購入や住宅の建築で登記をするときにかかる税金です。所有権に関する登記の場合は、「固定資産税評価額×所定の税率」で計算し、抵当権設定に関する登記の場合は、「債権額(住宅ローンの借入額)×所定の税率」で計算します。軽減措置が適用されるケースもあるので、国税庁や法務局のホームページで詳細を確認しましょう。
所有権に関する登記の場合の登録免許税=固定資産税評価額×所定の税率 |
抵当権設定に関する登記の場合の登録免許税=債権額(住宅ローンの借入額)×所定の税率 |
・不動産取得税
・固定資産税・都市計画税
・消費税や印紙税など
ローン契約に関わる費用
ローン契約に関わる費用もいろいろあります。
事務手数料
住宅ローンを組むときには、事務手数料を支払います。金額は金融機関やローンの借入金額により異なるので、各金融機関に確認が必要です。相場は、融資額の1〜2%または約3万円〜8万円が目安。金利だけでなく事務手数料も金融機関により異なるので、よく調べてからローンの契約をしましょう。
ローン保証料
ローンを組むときに保障人をたてないのであれば、ローン保証料が必要です。ただし、フラット35の場合は保証料はいりません。金利に上乗せして年0.2%程度を支払っていく方法と、一括で支払う方法のどちらかを選択できます。余裕があるなら、一括で支払ったほうが得です。
住宅ローン契約用の印紙税
住宅ローン契約用の印紙税も必要です。住宅ローン契約は金銭消費契約ともいいますが、このときにかかる印紙税は、売買契約のときにかかる印紙税よりも少し高くなります。
火災保険・地震保険
火災保険料は、構造により大きく差があります。保険は長期で加入したほうが安くなるので、余裕があれば長期の契約がおすすめです。2015年からは、最長加入期間は10年までになりました。地震保険は融資の要件に含まれていないことが多いです。申し込みをしたい場合は、金融機関に確認し、火災保険に追加して申し込みをしましょう。地震保険は国が関与している保険なので、どこで加入しても同じ保険金額です。
団体信用生命保険
団体信用生命保険は、生計者に万が一のことがあった場合に、ローンの残額を一括で返済できる保険です。一般的には加入が必須になっています。フラット35の場合は任意加入ですが、ほとんどの人が加入しているようです。
登録免許税(抵当権設定登記)と司法書士への費用
住宅ローンを利用して不動産を購入した場合、その不動産は担保となり、抵当権が設定されるのですが、その登記に必要なのが登録免許税です。登記の手続きを司法書士に依頼した場合は、司法書士に支払う費用も必要になります。
・事務手数料
・ローン保証料
・各保険料など
不動産を買い換える場合の費用について
買い換える場合の不動産の売却時にかかる費用を確認していきましょう。
ローンが残っている不動産を売るなら全額繰上返済をする
住宅ローンの返済が残っている不動産を売るなら、残高の全部を返済する全額繰上返済をしましょう。全額繰上返済をすれば、元金にかかる利息が減ります。
全額繰り上げ返済は、金融機関により手続きや手数料が異なるので、事前に確認しておくとよいです。残っているローンを全額繰上返済すると完済となるので、担保設定にしていた土地や建物の抵当権は終了になります。その際には借入者が抹消手続きをする必要があるので、忘れずに行いましょう。
手続きはネットでも出来る
全額繰り上げ返済の手続きは、インターネットで無料で行うことが可能です。まずはインターネットバンキングにログインして繰上返済シミュレーションをしてから行います。シミュレーションに納得できたら実際に手続きをする流れです。詳しくは、利用している金融機関で確認しましょう。
手数料は手続方法によって異なる
手数料は、手続きの方法により異なります。最も手数料が安くなる方法は、インターネットバンキングを利用して返済する方法です。
全額繰上返済の場合の一例を見てみると、インターネットバンキングを使用した返済方法は5,400円、窓口の専用パソコンを使用した返済方法は10,800円、窓口の書面を使用した返済方法は21,600円となっています。この金額はほんの一例なので、確実な手数料を知りたい場合は、各金融機関に確認しましょう。
抵当権抹消登記費用
ローンを完済し売却する場合は、不動産の諸流県は買主に移るので、担保設定になっている物件の抵当権を解除する必要があります。抵当権抹消登記の手続きは、司法書士に書類作成を依頼することが一般的。費用の相場は8,000円〜12,000円です。
不動産の売却のための不動産業者探しはすまいステップがおすすめ
不動産の売却には、さまざまな手続きやそれにかかる費用が発生します。そのため、実績があり信頼できる不動産業者に依頼しないと、手続きがスムーズにいかなかったり、無駄な費用を支払うことになっていたりする可能性もあるので注意が必要です。
不動産の売却のための不動産業者探しは、厳選された信頼できる不動産業者のみと取引できるすまいステップを利用するのがおすすめ。すまいステップは不動産業者の一括査定を無料で行えるサイトです。悪徳業者は排除し、優良な不動産業者が集まっています。
・全額繰上返済をする
・ネットで手続きできる
・すまいステップで業者探し
家の購入にはさまざまな費用が発生するので事前に確認しよう
家の購入にはさまざまな費用が発生します。払い忘れも無駄な出費も避けるため、事前に確認しておきましょう。
今住んでいる家を売却するための不動産業者探しはすまいステップが便利
今住んでいる家を売却するなら、信頼できる不動産業者を見つけることがなによりも重要です。売却にはさまざまな費用が発生します。それらの費用が適正価格なのか、手続きが滞りなく行えているかなどの不安を解消するためには、信頼できる不動産業者に任せることが1番です。
すまいステップは、全国の厳選された不動産業者が対応しています。最大4社の優良業者の無料一括査定ができる便利なサイトです。最短60秒で手続きができるほど簡単なので、手間もかかりません