消費者は、物やサービスを購入する時に消費税を支払います。
しかし、消費税は間接税なので、代金を支払ったお店(事業者)に納税義務があります。
それでは、不動産売却をして買主から代金を受け取った売主には、消費税の納税義務があるのでしょうか。
この記事では、不動産売却において消費税が課税される対象や、消費税が非課税となるケース、課税されるケースについて、解説しています。
消費税が課税される対象とは
結論から言うと、個人が不動産を売却して得た代金については、消費税が非課税となることがほとんどです。
日本国内で行われる取引が消費税の課税対象となるかどうかは、以下の3つの要件を満たすかどうかで決まります。
消費税の課税対象の要件
- 「事業者」が事業として行う取引
- 対価を得て行う取引
- 物やサービスの売買・貸付・提供
参考:国税庁「No.6105 課税の対象」(2022年10月31日閲覧)
「事業者」とは、課税事業者を指します。
②~④については、事業者側が納税義務を負うため、売主が消費税を納める必要はありません。
個人の不動産売却でかかる消費税
この章では、課税事業者ではない個人の売主が不動産売却をする時、どんな場面で消費税がかかるのかを解説しています。
個人の不動産売却の代金は非課税
個人が不動産を売却して得た代金については、消費税は非課税です。
居住用財産には、自宅やセカンドハウス、別荘が該当します。
個人の不動産売却で消費税がかかるのは「仲介手数料」など
個人の不動産売却で消費税の課税対象となるのは「仲介手数料」や「司法書士への報酬」、「ローンに関する手数料」です。
ただし、これらにかかる消費税を納付する義務は、不動産会社や司法書士、金融機関が負うため、売主が消費税の申告や納付をする必要はありません。
不動産会社に買主を見つけてもらって不動産を売却した場合、「仲介手数料」という名目で不動産会社へ報酬を支払います。
なお、仲介手数料の金額は売却価格に応じて決まりますが、宅建業法によって不動産会社が請求できる上限額が決まっています。
仲介手数料の上限額の計算方法は以下の通りです。
売却価格 | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下の場合 | 売却価格×5%+消費税 |
200万円~400万円の場合 | 売却価格×4%+2万円+消費税 |
400万円以上の場合 | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
多くの不動産会社で、上限額を仲介手数料として設定しているため、上記の計算式によって、おおよその金額がわかります。
法人・個人事業者の不動産売却でかかる消費税
法人や個人事業者が不動産売却する場合は、いくつかの場面で消費税がかかります。
この章では、法人・事業者に向けての不動産売却でかかる消費税について解説しています。
「建物」の売却に消費税が課税される
売却する不動産の「建物部分」の売却代金について消費税が課税されます。
例えば、売却価格3,000万円のうち、建物部分の価格が1,200万円の戸建てを売却した場合で考えていきましょう。
建物価格1,200万円に対して10%の消費税がかかるので、消費税は120万円となります。
つまり、売却価格3,000万円の戸建てを売却する時、税込み価格は3,120万円となります。
なお、土地の代金に消費税は課税されません。
また、課税事業者であっても居住用不動産の売却については、消費税が非課税です。
自宅や別荘、セカンドハウスを売る場合には、消費税がかかりません。
仲介手数料には消費税がかかる
「個人の不動産売却でかかる消費税」でも解説していますが、不動産会社の仲介で売買取引が成立した際に、不動産会社に支払う仲介手数料には、消費税がかかります。
ただし、納付する義務は不動産会社が負うため、売主が消費税を申告・納付する必要はありません。
「土地」の売却は非課税
土地の売買や貸付は、消費税が非課税の取引と決められています。
そのため、土地のみを売却する場合は、消費税がかかりません。
建物つきの土地を売却する場合は、建物部分のみの代金に消費税が課税されます。
参考:国税庁「No.6201 非課税となる取引」(2022年10月31日閲覧)
前々年の課税売上が1,000万円を超えていなければ免税される
個人事業主や法人が行う売買では、消費税は原則課税対象となります。
(※個人の居住用財産の売買を除く)
ただし、ここでは『課税事業者』と『免税事業者』のいずれかであるかが重要です。
課税事業者の場合は課税され、免税事業者の場合は免税されます。
課税事業者かどうかの判定基準は、個人事業主か法人で、以下のように異なります。
【個人事業主】課税事業者の判定
- 前々年の課税売り上げが1,000万円超の場合(基準期間)
又は
- その年の前年の1月~6月の売り上げが1,000万円を超え、給与支給額が1,000万円を超えた場合(特定期間)
【法人】課税事業者の判定
- 前々年の課税売り上げが1,000万円超の場合(基準期間)
又は
- 前期の期首から6ヶ月の売り上げが1,000万円を超え、給与支給額が1,000万円を超えた場合(特定期間)
参考:国税庁「No.650 納税義務の免除」(2022年10月31日)
不動産売却で発生した消費税の納税手続き
上記で記載した課税対象の条件に当てはまる場合には、消費税を納税する必要があります。
以下では、不動産売却で発生した消費税を納税するために必要な知識を見ていきましょう。
消費税の申告・納付方法
消費税の申告は、確定申告でもって行われます。
個人事業主は翌年3月末日までに、法人は課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内に税務署へ申告・納付するのが通例となっています。
なお、直前の課税期間の消費税の額が48万円超の場合、「中間申告」と「中間納付」が義務付けられています。
直前の課税期間の消費税額 | 中間申告の回数 | 納付金額 |
---|---|---|
48万円超400万円以下 | 年1回 | 直前の課税期間の消費税額の1/2 |
400万円超4,800万円以下 | 年3回 | 直前の課税期間の消費税額の1/4ずつ |
4,800万円超 | 年11回 | 直前の課税期間の消費税額の1/12ずつ |
不動産売却の場合ですと、課税対象者が直前の課税期間に480万円超の建物を売却した場合に、中間申告と中間納付が必要になります。
中間申告と中間納付を行わない場合は、加算税・延滞税などの税金が余計にかかってしまうことがあるので注意しましょう。
消費税の具体的な納付方法としては、以下のようなものがあります。
- 窓口での現金支払い
- 口座引き落とし
- インターネットバンキングによる納付
- クレジットカード決済
- コンビニでの納付
- e-Taxでのダイレクト納付
不動産売却で発生した消費税の仕訳方法
不動産売却で発生した消費税は、帳簿上では「仮受消費税」という勘定科目を使用します。
この時、売却した不動産が建物と土地に分かれている場合には、課税対象である建物部分のみを計上します。
ただし、不動産売却で売却益が生じている場合、その売却益の計上は「固定資産売却益」として土地と建物の両方を計上する必要があります。
不動産売却には税金がかかる!節税方法や支払い時期を分かりやすく解説!
不動産売却にかかる消費税を正しく理解することが大切
不動産の売却には、さまざまな諸費用がかかり、大きなお金が動きます。
収入から税金や費用を差し引いた結果、「思ったよりも手残りが少なかった……」という事態を避けるためにも、税金についても何がいくらぐらいかかるのか、あらかじめ把握し、見積もっておくことが重要です。
とはいえ、不動産売却に不慣れな方は、税金周りにも不安を感じる方が多いのではないでしょうか。
不動産売却の税金について、疑問や心配のある方は、不動産会社に売却のことだけでなく、税金についても相談してみましょう。
不動産会社は不動産売却に関する業務のプロフェッショナルですので、税務に関する知識も豊富に有しています。
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記事のおさらい
不動産を売却したら消費税はかかる?
個人が不動産を売却して得た代金については、消費税が非課税になることがほとんどです。
ただし、サラリーマンであっても家賃収入を得ているなどして、前々年の課税売上高が1,000万円を超えている場合は「課税事業者」扱いとなり、消費税の納税義務が発生します。
詳しく知りたい方は「消費税が課税される対象とは」をご覧ください。
個人が不動産を売却した時には、どんなお金に消費税がかかる?
課税事業者扱いではない個人が不動産を売却して得た代金には、消費税はかかりません。
不動産売却に関するお金で消費税がかかるのは、仲介手数料、司法書士への報酬、ローンに関する手数料です。ただし、これらの消費税は事業者側が納税義務を負うため、売主個人が納付手続きをする必要はありません。
詳しくは「個人の不動産売却でかかる消費税」をご覧ください。