不動産を売却する人のため減価償却に関する基礎知識について徹底解説

不動産や高額な設備など、使用年数に応じて経年劣化が進んでいくタイプの資産を帳簿上で処理する場合、想定される価値の低下を年数で割り、「減価償却費」というコストとして計上する必要があります。
不動産売却においては減価償却の知識が必要となり、処理のルールや具体的な算出方法などを把握しておくことで売却後の手続きをスムーズに進めることができます。不動産取引における減価償却の基本ルールと計算方法について具体的に見ていきましょう。

不動産の減価償却とは

企業会計などでは、1年間のうちに生じた取引を資産と負債に分け、帳簿に記録していく必要があります。不動産物件や大がかりな施設設備など、極端に高額な資産の購入費用をそのまま負債として計上してしまうとその年度の損失額だけが増え、損益バランスが大きくくずれてしまいます。
また、毎年の経費を継続的に増やしていくことによって一定の節税効果を期待することができ、減価償却を適切に行うことで企業内のコストを大幅にスリム化することができます。不動産における減価償却の仕組みとルールについて把握していきましょう。

減価償却の意味

減価償却の本来の意味は、「経年劣化によって価値が継続的に低下していく資産について、その購入費用を段階的に経費にしていく」ということです。たとえば、1000万円の不動産の購入費用をその年度だけで処理しようとすると、帳簿上損失ばかりが極端に大きくなってしまいますが、1000万円の価値が年間100万円ずつ下落していくと仮定して毎年100万円ずつ費用として、計上することにより損益のバランスをキープすることができます。
また、企業会計において減価償却は有効な節税テクニックとして知られており、いくつかの節税パターンが考案されています。
不動産にはその種類ごとに「法定耐用年数」が定められており、もともとの購入費用を法定耐用年数で割ったものが毎年の減価償却費として見なされ、費用の一部として毎年帳簿に記載することが認められています。
具体的な数字をあてはめてシミュレーションしてみましょう。土地1000万円、建物600万円の条件で築12年の木造物件を購入した場合、木造建築の法定耐用年数は22年なので、残りの12年間で毎年60万円分の価値が失われていく、と考えることができます。
この60万円が減価償却費であり、物件を購入した時点から毎年60万円ずつ費用として計上することで帳簿上の利益を少なくし、トータルの課税額を軽減するという狙いがあります。
なお、減価償却が認められるのは使用年数に応じて価値が下がっていく種類の施設や設備であり、土地などの年数が経ってもそれだけでは価値が減少しない資産についてはたとえ購入費用が高額であっても減価償却を行うことはできません。

減価償却のパターン

減価償却の効果は、全体の所得よりも必要経費が上まわっているほど高まります。所得が大きいほどそれに比例して課税額も上がっていきますから、所得を必要経費によって相殺することで課税対象を減らすことができ、効果的な節税につながります。
不動産物件の減価償却費は、(減価償却費=建物購入代金×0.9×償却率×経過年数)という計算式によって導き出すことが可能になります。
たとえば、木造の自宅マンションを築10年の時点で売却するパターンを考えましょう。法律上の規定によると、木造建築の法定耐用年数は22年ですから、この場合の残存耐用年数は(22-10×0.8)で、16年ということになります。残存耐用年数には1年ごとに償却率が対応しており、物件の購入価格、残存耐用年数、取得費、償却率をあてはめることによって実際の減価償却費を算出することができます。
物件ごとの法定耐用年数は、木造および合成樹脂22年、木造モルタル20年、鉄骨鉄筋コンクリート47年というルールになっていますので、売却前にあらかじめ把握しておきましょう。

詳しくは業者に相談

不動産物件の減価償却については複雑なルールが定められており、個人にとってはいささかわかりにくいかもしれません。
不動産売却による減価償却に関しては不動産業者に相談することで疑問点を解消することができますので、初心者の方はまず不動産業者にアドバイスをもとめましょう
{
・減価償却で節税可能
・まずは耐用年数を算出
・疑問点は業者に相談
}

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不動産の減価償却の活用方法

不動産物件の減価償却を上手に活用することによって事業所得や売却益を減らすことができ、企業にとっても個人にとっても効果的な節税につながります。節税効果をより高めるための減価償却のパターンについて具体的にお伝えしていきます。

建物価格の割合を高くする

減価償却が効果的な節税につながるのは、(事業所得ー建物価格=課税対象額)という計算式のうち、建物価格の比重を大きくすると結果的に課税額がおさえられるためです。
したがって、もともとの購入金額が高い不動産物件を選ぶことで事業所得から差し引かれる部分が大きくなり、トータルの課税負担を最小限におさえることができます。
また、会社員でありながら副業として不動産投資を行っている場合、不動産の減価償却費を給与所得と合算して計上することで(損益通算)帳簿上の赤字を増やすことができます。赤字の分については所得税がかかりませんから、減価償却費の割合が大きくなるほど課税負担額が低くなることになります。
また、毎年の所得税については確定申告によって記録する必要があり、不動産投資が副業である場合は会社員であっても個人で確定申告を行う必要がありますので申告期限などに注意しましょう。

耐用年数が短い不動産

耐用年数が短い不動産物件を選ぶこともまた、減価償却費によるかしこい節税につながります。たとえば、木造モルタル物件(耐用年数20年)を築16年の時点で800万円のコストで取得したと仮定すると、4年間で800万円、つまり1年間で200万円を減価償却費として計上することができます。
すなわち、減価償却の節税テクニックだけで考えれば、経過年数が大きく耐用年数との差がちいさい物件を数年おきに購入していったほうが必要経費の比重を増やすことができ、事業所得に課せられる分の課税額を軽減することができます。
これらの節税テクニックはプロとして不動産投資を行ううえでも、また個人で節税を行ううえでも基本中の基本となりますので、具体的な計算式についてもきちんと把握しておきましょう。
{
・経費を減らせば節税になる
・耐用年数に注意
・個人でも確定申告を
}

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減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法としては、定額法と定率法があります。それぞれに計算式が異なるため、不動産などの資産を所有するにあたってはあらかじめ把握しておく必要があります。不動産の減価償却においてはどちらの方式が適用されるのでしょうか。減価償却の具体的なルールについて御紹介していきましょう。

定額法

定額法による減価償却では、償却率にかかわらず毎年一定の額を費用として計上することになります。定額法による減価償却の計算式は(建物購入代金×0.9×償却率×経過年数)となっており、物件の経過年数が大きいほどトータルの減価償却費も大きくなるため、結果として課税額を軽減することにつながります。
定額法では毎年の減価償却費が一定になるため、長いスパンで経費をコントロールすることができ、より長期的に節税が行えるというメリットがあります。

定率法

減価償却費を毎年一定にする定額法に対し、毎年同じ比率で減価償却費を算出する方式が定率法です。
定率法による減価償却費の算出式は(前期末の帳簿価額×耐用年数に応じて定められた定率法の償却率)となっており、帳簿価格は物件を取得した年度のみ取得価格に置き換わります。
定率法と定額法のいちばんの違いは、基準が取得価格か帳簿価格か、という点であり、取得価格をベースにしている定額法のほうが減価償却費の算出がしやすいと言われています。
定率法では帳簿価格が年々減っていくため、初年度の減価償却費が最も高く、それ以降は逓減的に減価償却費がちいさくなっていくという特徴があります。節税という面では「減価償却費をなるべく大きくする」というポイントがあるため、定額法と比較すると節税効果がやや薄くなるという側面があります。

現在は定額法のみ

かつては定率法による減価償却費も主流ではありましたが、平成28年度の法改正以降は新築の不動産に関しては定額法しか認められなくなり、定率法による減価償却は行えなくなりました。
ただ、法改正よりも以前に登記が完了した不動産物件については定額法と定率法の併用が認められていますし、不動産物件以外では定率法が主流になっている領域もありますので、一般的な知識として定額法と定率法の双方を把握しておいたほうが会計テクニックの幅が広がります。

減価償却費の計算のポイント

減価償却費を正しく計算し、効果的な節税につなげるためには、パターン別の算出方法について具体的に把握しておく必要があります。耐用年数や償却率を加味したうえでの減価償却費の算出方法についてあらためて理解しておきましょう。

耐用年数を計算

これまでも具体的に見てきたように、減価償却費は物件の耐用年数によって大きく左右されます。物件の耐用年数の計算方法にはいくつかのパターンがありますので、それぞれのケースごとに算出式を整理しておくことが必要になります。
第一のポイントになるのは、(物件の耐用年数と経過年数とのバランス)です。つまり、物件の築年数が法的な耐用年数を超えているか否かによってトータルの減価償却費が変わり、節税効果にも影響が出てきます。
物件の築年数(経過年数)が耐用年数を上まわっている場合、減価償却費は(中古資産の経過期間×0.2)という算出式によって導き出すことができます。
一方、経過年数が耐用年数を超えていない場合は(新品の場合の耐用年数−中古資産の経過期間+中古資産の経過期間×0.2)という計算式になり、算出方法がやや複雑になります。
実用的な節税ポイントとしては(築年数が長く、耐用年数が短い不動産物件を優先的に購入しておく)ことが重要であり、耐用年数が短いほど年間あたりの減価償却費が高くなるため、その分だけ課税対象となる事業所得を少なくおさえることができます。

償却率の確認

不動産物件の減価償却費を行ううえで見落としてはならないのが償却率です。償却率は国税局が物件の状態によって設定した固有の数値であり、定期的に改定される仕組みになっています。
物件ごとの償却率については国税局のウェブサイトに対応表が掲載されていますので、不動産物件を売却する前にあらかじめ詳しい償却率について把握しておきましょう。

減価償却費については不動産を売却する前に考えておく

不動産取引においてはついつい査定価格や仲介手数料にばかり意識が向きがちですが、不動産物件を長期的なスパンで所有するにあたっては減価償却の知識が必須になります。

不動産の価格設定には無料一括査定のすまいステップがおすすめ

不動産取引においては相場に合った売却価格を設定することが重要です。不動産の査定および売却価格の設定については基本的に不動産業者に一任することになるため、無料での一括査定を可能にしているすまいステップをぜひとも活用し、後悔のない不動産売買を実現しましょう。


減価償却を節税に役立てるその他の方法

減価償却費を単純に増やして課税額を軽減する以外にも、いくつかの方法を組み合わせることによってトータルの課税負担を大きく減らすことができます。実際の企業会計で役に立つ節税テクニックについて詳しくお伝えしていきます。

損益通算を利用した節税

節税の基本は、毎年の赤字を極力大きくしつつ、黒字部分が少なくなるように調整を行うことです。損益通算を利用することによってその年度に応じて生じた黒字と赤字を相殺し、所得部分を少なくすることによって課税範囲をちいさくすることができます。
不動産物件についても損益通算が適用されますが、ただし生活上必要と見なされない物件、すなわち別荘や空き家については損益通算を利用することができませんので、まずは詳細な適用条件について確認しておきましょう。

減価償却を活用することで税の負担を減らす

減価償却の基本的な仕組みについて理解を深めることができたでしょうか。かしこい節税の第一歩は経費の比率を合法的に増やすことであり、そのためには減価償却というテクニックによってトータルの課税範囲をできるかぎり最小化することがポイントとなります。

不動産売却の不動産業者探しはすまいステップが便利

不動産取引においては相場に合った売却価格を設定することが重要です。不動産の査定および売却価格の設定については基本的に不動産業者に一任することになるため、無料での一括査定を可能にしているすまいステップをぜひとも活用し、後悔のない不動産売買を実現しましょう。

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これだけ査定額に差が出ると、複数の不動産会社に査定を依頼することが、不動産を高く売るために必須だと言えるでしょう。

少しでも不動産売却を検討しているなら、一括査定サイトで自分の不動産がいくらで売れるか調べてみましょう。

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