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農地転用できない土地をどうする?活用方法を紹介

農地に住宅を建てたり、耕作をやめて太陽光発電を設置したりする場合には農地転用の許可を受ける必要があります。しかし、農地の場所や条件などによっては、農地転用が認められない場合もあります。

農地転用が認められないけれども、自分では農地として活用しきれない土地の場合には、どうしたらいいのでしょうか。この記事では、農地転用できない場合の理由と、活用法などについて詳しく解説します

監修吉崎 誠二
社団住宅法人・不動産総合研究所 理事長。㈱船井総合研究所上席コンサルタント、(株)ディーサイン、不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行う。【保有資格】宅地建物取引主任士【URL】不動産エコノミスト 吉崎誠二

農地転用ができない土地とは

農地転用したくても、農地転用できない場合には主に3つの理由があります。農地転用できない3つの理由について詳しく見ていきましょう。

転用が許可されない区分の農地

農地転用できない理由は、土地の用途区分が農地に限定されている場合があるためです。農業は国民の食料をまかなうためにとても重要な産業です。そのために、農作物を得るための農地は勝手に開発できないように、各市町村が定めた農業振興地域整備計画により、土地の使用方法が厳格に指定されています。

農地は次の表のような区分に分かれていて、土地の区分によっては農地からの転用が一切認められない場合があります

区分詳細農地転用の可否
農用地区域内農地農業振興地域整備計画によって農用地区域に指定されている土地原則不可
甲種農地市街化調整区域内の農地として良好な条件を備えている土地原則不可
(条件次第で許可されることも)
第1種農地農地として良好な条件を備えている土地原則不可
(条件次第で許可されることも)
第2種農地農地だが市街地として発展が見込める土地条件付きで可
第3種農地市街化区域内もしくは市街化が進んでいる区域にある農地原則可

土地の区分が農用地区域内農地の場合には農地転用は不可能です。また、甲種農地と第1種農地も条件次第となっているのでかなり難しいと考えていいでしょう。

農地転用が許可される例外

しかし、甲種農地と第1種農地は「条件次第」ということになっていて、まったく建物の建設などが不可能だというわけではありません。甲種農地と第1種農地で農地転用して建設が許可される可能性のある施設は次のとおりです。

  • 農業用施設等(植物工場・農畜産物処理加工施設・直売所等)
  • 農業の振興に役立つ施設(農業体験施設・農業従事者向けの研修用施設・農産物の加工や流通のための施設など)
  • 市街地に建設することが難しい施設(老人保健施設・精神病院・火薬庫・ゴミ処理場など)
  • 研究調査のために必要な施設
  • 公益性の高い事業に使われる施設(人命に関わる施設・非常災害時に役立つ施設など)

農畜産業に関連した施設や、公益性の高い施設などは許可される可能性があります。

農地転用のための一般基準を満たしてない

農地の中でも農地転用が許可されやすい第2種農地や第3種農地、甲種農地や第1種農地で農地転用が許可される可能性のある施設の建設でも、農地転用が認められないことがあります。許可されるはずの農地転用が認められない場合とは、一般基準を満たしていない場合です

農地転用の一般基準とは、農地転用後の事業が確実に行われるのか、周辺農地が影響を受けることはないのか、という2点を次の観点から判断されます。

農地転用後の事業の確実性について

  • 資金と信用があること
  • 権利者の同意が得られていること
  • 農地転用後の事業を速やかに行い目的を遂行できること
  • 農地転用する土地の面積が転用の目的にとって妥当であること
  • 宅地造成のみを目的としたものではないこと

周辺農地への影響について

  • 土砂の流出や崩壊などの災害を発生させないこと
  • 農業用排水施設の機能に支障を及ぼさないこと
  • 周辺農地の営農に支障を及ぼさないこと

これらの基準を満たさない場合には、区分の条件はクリアしていても、農地転用は認められません。

農地転用手続きに不備

農地区分の条件や一般基準を満たしていても、農地転用の申請が許可されないこともあります。すべての条件を満たしているのに農地転用の許可が下りない理由には、周辺農地の所有者からの同意が取れない場合などがありますが、最も多いのが農地転用の手続きの不備です。

農地転用の申請のためには多くの書類の提出が必要で、自分だけでやろうとすると不備が出てしまうこともあります。農地転用の申請はどのような流れで行い、どのような書類の用意が必要なのか、おおよその流れを理解するために見ておきましょう。

農地転用の申請の流れは次のとおりです。

土地が30アール以下の場合

  1. 各市町村に設置されている農業委員会へ申請書を提出
  2. 委員会は意見を付けて知事または市町村長へ申請を送付
  3. 知事もしくは市町村長から許可が下りると申請者へ通知

土地が30アールを超える場合

  1. 各市町村に設置されている農業委員会へ申請書を提出
  2. 委員会は都道府県農業委員会ネットワーク機構に意見聴取
  3. 委員会は機構の意見を踏まえて、意見を付けて知事または市町村長へ申請を送付
  4. 知事もしくは市町村長は必要に応じて地方農政局長と協議
  5. 知事もしくは市町村長から許可が下りると申請者へ通知

土地が4ヘクタールを超える場合

  1. 各市町村に設置されている農業委員会へ申請書を提出
  2. 委員会は都道府県農業委員会ネットワーク機構に意見聴取
  3. 委員会は機構の意見を踏まえて、意見を付けて行政担当部門へ申請を送付
  4. 担当行政部門から農政局へ協議を求める
  5. 農政局の回答により許可が下りると申請者へ通知

土地の規模が大きくなると農林水産大臣管轄の農政局との協議が必要となります。

農地転用を申請するための書類は次のとおりです。

  • 土地の登記事項証明書
  • 申請者が法人である場合には定款の写し
  • 土地の地番を示す図面
  • 申請する土地の位置と付近の状況がわかる図面
  • 農地転用後に建設する施設の面積と位置がわかる図面
  • 農地転用の事業を遂行できる資力と信用があることを証明する書面
  • 申請者と土地の所有者が異なる場合には所有者の同意書
  • 耕作者が別にいる場合には耕作者の同意書
  • 転用後の事業に他の法令などの許認可を受けている場合には許認可を証明する書面
  • 土地改良区域内の土地の場合には土地改良区の意見書
  • 転用後の事業で取水と排水に関して漁業関係者と水利権者などから同意を得ている場合には同意を証明するための書類
  • その他申請の参考となる書類

上記の書類で必要なものに一つでも不備がある場合には、申請は許可されません。

農地転用できない土地を活用する4つの方法

自分では農業を続けられないのに、農地転用して他の用途で土地を活用できない場合には、農地転用せずに土地を活用する方法を見つけたほうがいいでしょう。自分で農業をしなくても、農地転用せずに土地を活用できる4つの方法について解説します。

近隣の農家に農地の貸し出し

自分では耕作できない土地の活用法としておすすめなのが、近隣地域で農業を続けている農家や農業法人へ土地を貸し出すという方法です。農業を続けている人や農業法人の中には、農地の規模を広げて収益を拡大したいと考えている場合も多く、他の農家で耕作できなくなった土地を積極的に借りたいというところもあります。

地域によっては農地集積バンクなどの、農地を貸したい人と借りたい人をマッチングさせるサービスを行政やNPOが運営している場合もあります。そのようなサービスを利用すると、農地の借手の伝手がなくても、借手を見つけやすいでしょう。

農地を農地として貸し出す場合には、農地としての用途はそのままなので農地転用の必要はありません。ただし、農地の貸し出しには農業委員会か都道府県知事の許可が必要になるので注意しましょう。

農業委員会に農地の貸し出しの申請を行い許可が下りたら、借手と賃料や貸出期間の取り決めなどを行い、賃貸契約を結べば契約が成立します。

体験農園の経営

自分で農地を経営することが可能であれば、体験農園を経営することで、従来の農業に付加価値をつけることができます。体験農園とは、農地の所有者である農家が地域住民などの入園者から料金をもらって農作業を教えて、農業体験をしてもらうための農園です。

農家は入園者に農作業や栽培のための知識を教えながら実際に農園で作物の植え付けやお世話、収穫を体験してもらいます。入園者側としては、初心者でもプロの指導のもとで農作業をすることによって、都会のスーパーなどでは手に入りにくい新鮮な野菜を自分の手で収穫する体験ができます。

体験農園では、市民農園とは違い農業の主体は農地の所有者なので、農地法による利用券設定などの許認可の必要がありません。また、所有者が直接管理するために、市民農園などで問題となっている管理放棄やマナー不足によるトラブルも起こりにくいというメリットがあります。

1年を通して植え付けから収穫まで体験してもらうタイプの体験農園では、年間の入園料を5万円前後に設定することができます。(地域により値段は異なります)
多くの体験者がこの価格でも十分に満足していて、ビジネスモデルとしても注目されています。

市民農園の経営

体験農園には多くのメリットがありますが、所有者が入園者への農業指導や普段のお世話をしなければいけません。農地転用を検討している方の多くが、自分では耕作できなくなった土地の活用法を考えている点を踏まえると、体験農園を始められる所有者は少ないでしょう。

自分では耕作できない土地の活用法としては市民農園の経営もおすすめです。体験農園ほど高額な利用料は得られないものの、家庭菜園をやりたい人のニーズがあれば毎年一定の賃料が入ってきます。

市民農園を開設する場合には、耕作者が変更するので特定農地貸付法で権利関係の手続きが必要となります。

農業を継続しながら太陽光発電

農業を続けながら、土地の活用によってより収益を得たいと考えるのであれば、営農型太陽光発電もおすすめです。営農型太陽光発電とは、農地に高い支柱を立てて、農地の上に太陽光発電の設備を設置して、太陽光パネルの下で農業を行うものです。

農業による収益と、太陽光発電による売電による収益を両取りできる方法です。農地への太陽光の当たり具合が気になりますが、太陽光パネルの間に隙間を十分に開けることで、十分に太陽光を当てることができます。

太陽光発電のみの場合には農地転用が必須ですが、営農型太陽光発電は農地転用せずに太陽光パネルの設置が可能です。大型の作業機械が必要な場合でも、支柱の高さを十分に高くすることで問題なく機械を利用できます。

石油価格の高騰などエネルギー価格の上昇が続けば、農業にかかる燃料代や光熱費が高くなり、農家の経営を圧迫することになります。太陽光パネルの設置で電気の自家発電による電気代の節約や余剰電力の売電での収益によって、農家の経営安定化も図れます。

農地転用できない土地は売却も検討

自分で耕作を続けたり、他の農家に貸し出したりすることができないのに、農地転用して土地を活用することもできない場合には、土地を売却することも検討した方がいいでしょう。活用できない農地をそのまま耕作放棄地として所有し続けることのデメリットと、売却することのメリット、売却するにはどうしたらいいのかについて解説します。

活用しない農地を所有し続けるデメリット

何らかの形で農地として活用することができない土地を耕作放棄地として所有し続けることのデメリットは次のとおりです。

  • 固定資産税を支払い続ける
  • 農地としての価値が下がる
  • 周辺農地への悪影響
  • 農地としての再生が難しくなる

現在、耕作されている農地に対しては従来の固定資産税評価額の税率に対して、限界収益修正率が適用されています。現在、農業で得られる収益性が固定資産税評価額よりも低くなっていることから、従来の固定資産税の税率に対して0.55の限界収益修正率をかけることで、農地に対して固定資産税の優遇措置をとっています。
(※税制度は変更の可能性があります。必ず最新の情報を入手してください。)

しかし、この優遇措置は耕作放棄地まで適用されるわけではありません。耕作しないで収益を全く得られない土地を所有し続けることで、耕作している場合よりも高額な固定資産税の支払いが必要となるのです。

また、農地を放置すると雑草が生い茂り、鳥獣被害やゴミの不法投棄が発生しやすくなります。また、害虫や雑草が周辺の農地に悪い影響を与えることもあります。また、一度荒れてしまった農地を再び農地として復活させるのはかなり困難なことです。

上記のようなデメリットが多いので、自分で耕作できずに活用しきれない農地は、早めに農地として活用できる人へ売却してしまったほうがいいでしょう。

売却で得た資金で資産運用が可能

自分では活用することが難しい農地を売却することのメリットは、自分で活用しきれない土地を現金化することで、どのような形でも資産運用ができるという点です。資産運用の方法には、リスクの少ない貯蓄や債権投資から、リスクがあってもある程度のリターンを望める株式や外貨投資、リスクもリターンも中間程度の投資信託などがあります。

活用しきれない土地を売却により現金化することで、資産運用の選択肢を広げることができます。太陽光発電などの土地活用に興味があるのなら、売却した資金で他の土地を購入して活用することも可能です。

ただ所有し続けて固定資産税が発生するばかりの耕作放棄地を所有し続けるのであれば、売却して運用の幅を広げる方が将来の備えとしてもおすすめです。

実績のある不動産業者に依頼して農地のまま売却

とはいっても、自分が所有している農地をどのように売却したらいいのか全くわからないという方もいるでしょう。農地の売却は農地を扱っている不動産会社を見つけて仲介を依頼することをおすすめします。不動産会社は全国どこにでも街中にたくさんありますが、全ての会社が農地を扱っているわけではありません。農地の売買を扱っている不動産会社を見つけることが大切です。

不動産会社をどのように探したらいいのかわからない、という場合には一括査定サイトのすまいステップに一度査定を依頼してみるといいでしょう。すまいステップには全国各地の大手企業から地域密着の中小企業まで、サイトが厳選した100社以上の不動産会社が登録されています。

土地の種類や住所を登録すると、その土地の売却を扱える不動産会社最大4社から査定結果が送られてきます。査定依頼された土地が農地の場合には、農地を扱っている不動産会社からのみ返事が来るので、不動産会社を簡単に見つけることができます。ぜひ不動産会社探しにお困りであれば、すまいステップに査定依頼をしてみましょう。

【Q&A】農地転用できない土地

土地の農地転用や農地転用できない場合について、多くの方から寄せられる2つの質問についてお答えします。

農地転用の可否審査にかかる期間はどれだけか

農地転用の申請を出してから可否の返事が来るまでの期間はどのくらいかかるのか、という質問です。

農地転用についての審査は市町村ごとに審査を行なう日程が決まっているので、審査を申請したからといってすぐに随時審査してもらえるわけではありません。各市町村長で毎月の申請の締切日が決まっているので、その日程に合わせて申請します。

申請後、農業委員会で審査が行われますが、市町村によっては毎月委員会が開催されるところもあれば、隔月開催の場合もあります。少なくとも、1ヶ月半から2ヶ月以上はかかるので、日程に余裕を持って申請しましょう。詳しくは、最寄りの農業委員会へお問い合わせください。

無断で転用すると罰則はあるのか

農地転用の許可を受けずに無断で施設の建設などを行ってしまった場合には、罰則はあるのでしょうか。許可を受けずに無断で農地転用すると、工事の中止や原状回復の命令、3年以下の懲役または300万円以下(法人には1億円以下)の罰金が科せられることがあります

ただし、無断で農地を転用した事例を見るとわかっていた上であえて農地転用を強行した場合ばかりではありません。

農地転用についての知識が乏しく無断で転用してしまった場合や、親から受け継いだ住宅が本来建物を建ててはいけない場所に建っていたという場合なども少なくありません。

このような場合にまで原状回復を命じることはしないで、無断転用した者に対して行政処分を行った上で追認する場合もあります。ただし、追認してもらうためには始末書の提出が必要となります。また、知らなかったと主張しても、追認が認められずに原状回復命令が出ることもあります。農地を他の用途に使いたいときには、農地転用についてよく調べてから行なうようにしましょう。

土地が農地転用できなくても活用することはあきらめない

農地転用の許可が下りずに農地転用できなくても、農地のまま活用したり、農地として売却する道もあります。耕作放棄地にして所有し続けていると、住宅ほど高額ではないものの毎年固定資産税の経済的な負担が続くことになります。

農地転用できないからといって活用を諦めるのではなく、農地を借りたいという人を探してみたり、自分ができる範囲内で活用する方法はないか、活用法を探ってみましょう。借主も見つからず、自分で活用することも難しいということであれば、すまいステップで売却を手伝ってもらえる不動産会社を探してみることをおすすめします。

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