離婚をする場合様々な問題を解決していく必要があります。
例えば、親権であったり金銭的な問題であったり。
中でも難しいのが、「マイホームを今後どうするか」ではないでしょうか。
家を残す場合、子供の学校があるためそのまま妻と子供が家に住むケースが多いですね。
しかし、そこにはお互いにとっての大きなリスクが付きまといます。
後々のリスクを考慮すると、マンションは離婚時にきっちりと売却し現金化してしまう方がいいでしょう。
そこで今回は、離婚時にマンションを売却するべき理由の解説から、実際の売却方法までを記事にしました。
3章「離婚時にローンが残っている場合の売却方法」で解説いたします。
そもそも売却以外の選択肢は何がある?
売却がおすすめとは言え、売却以外の選択肢がなにかわかっていないことには比較しようがありませんよね。
下記の画像は「離婚後の不動産をどうしてるのか」をすまいステップでアンケートをした集計結果です。
引用:すまいステップでアンケートから集計
離婚後のマンションの活用方法を2つ紹介します。
- どちらか一方がそのまま住む
- 賃貸物件にし収入を得る
アンケートの集計結果は「住み続けている」が5割以上を占めていました。
「住み続ける」理由としては、「生活環境は変えたくない」といった住む環境を理由に挙げる人が多かったです。
この章では売却以外の選択肢について解説しています。
どちらか一方がそのまま住む
離婚時のマンションの行方として、売却か済み続けるかを検討される方は少なくありません。
子供がいるご家庭では遠くに引っ越してしまうことはなるべく避けたいと考えるでしょう。
その場にとどまり続けることができる点が最大のメリットでといえます。
賃貸物件にし収入を得る
せっかく購入したマンションを売却するのは「もったいない」と考える方も多いでしょう。
定期的な収入が入ってくるため、マンションを資産として持ち続けることができます。
一方で入居者が見つからないリスクもあります。
そうした際、離婚した2人で賃貸経営の方針を話し合うことが必要になるかもしれません。
売却しないリスクとトラブル事例
離婚後もそのマンションを残しておくことは大きなリスクになります。
マンション維持にお金がかかるのはもちろん、その後のトラブルの原因になりかねません。
以下では、売却しないとおこるリスクと実際に起こったトラブルの事例を紹介します。
売却の自由が利かなくなるリスクがある
不動産の売却には、名義人本人に売却の意思がないと売却することはできません。
もし名義人が遠方で来れない場合でも委任状を用意し名義人の売却許可を得なければいけないのです。
例えば、マンションが夫と妻の共有名義であるが、妻と子供が家に残り夫が出ていく場合。
もし妻側が「やっぱりマンションを売却したい」と思い立った時に夫と確実に連絡が取れる保証はありません。
連絡が取れなければもちろん売却することはできないのです。
トラブル事例:夫が失踪しローンの請求が来る
マンションを購入して2年後、夫は会社を辞めて、IT関連のベンチャー企業を立ち上げました。安定した生活が崩れるのではと不安を抱きましたが、夫の意思は固く、事業計画のきちんとしていたので、みんなで夫の新しい船出を応援しました。
(中略)
夫の事業は最初こそ利益も出ていましたが、会社員時代に比べると収入は激減。そのうちに事業が行き詰ってしまいます。
(中略)
そうこうしているうちに夫が失踪してしまったのです。
この事例では、失踪後夫との連絡が取れず思うように売却することができませんでした。結果的に競売となり夫の母親と妻が借金を背負う形になりました。
一方がローンを滞納した際に、その請求が来るのが配偶者であることはよくあります。
離婚時に売却を済ませ、不動産関係をしっかりと清算しておくことが最大のリスク回避となります。
名義人がローンを払わなくなるリスクがある
不動産の名義と違い、ローンの名義人は変更することが非常に難しくなっています。
ローンの名義が夫、連帯保証人が妻というケースが多くありますが、もし夫が支払いを辞めたらどうでしょう。
「自分が住むわけでもないのに払いたくない」
「収入が減りローンを払えていない」
「リストラに合い挙句の果てに自己破産」
理由はさまざまですが、名義人のローン滞納はしばしば起こります。
その場合連帯保証人に返済の命令が来るのです。
ローンの滞納は、名義人ではない人、ましてや離婚した夫婦ではそうそう気づくことができません。
金融機関からの返済命令が来た時には一括返済を強いられることもあります。
トラブル事例:10年後に元夫のローン滞納で督促状
離婚して10年以上が過ぎ、再婚した夫との間に子供も生まれたS子さん。幸せな家庭の主婦となり、以前の結婚生活のことはすっかり忘れていたころに、もっと夫がローンを返せなくなったことが原因で突然、督促状が届きました。その時初めて、自分が住宅ローンの連帯保証人であったことにかがついたのです。
離婚したからといって連帯保証人の責任は無効にできません。
離婚時の財産分与で家の名義を夫に替えたとしても連帯保証人が自動的に外れることはありません。
連帯保証人を解除するのは困難ですが、2つの方法があります。
- 別の連帯保証人(同意のうえ)を銀行に提案する
- ローンを別の金融機関に組み換える
1つ目の方法では、連帯保証人を解除する旨を詳しく説明したうえで、返済能力の高い代わりの人を見つけることができれば大いに可能性があります。
2つ目の方法では、現在のローンを払い終えることになるので必然的に連帯保証人は外れます。
財産分与でトラブルになりやすい
結婚後に購入したマンションは財産分与の対象になります。
財産分与は50%ずつ資産を分け合うのが一般的となりますが、マンションのままでは分配が非常に難しくなります。
財産分与の方法はおおきくわけて以下の2通りです。
- 不動産を売却し現金化したのち分与する
- 不動産を残し、不動産の価値に相当する半分の額を片方に現金で渡す。
売却しない場合の分与は、片方に不動産の価値の半分の額を現金をで渡すというものです。
離婚時に住宅ローンの残債がある場合は多く、どちらが残りのローンを払うかで揉めやすくなります。
一方売却して現金に換えてしまえば、公平に分け合うことができますね。
トラブル回避としても非常に有効な手段ですし、そちらの方がお互いの精神的なストレスも少ないでしょう。
トラブル事例:公正証書を残し財産分与したのに約束が守られず
夫が浮気し、浮気相手に子供ができたとのことで離婚しました。完全に夫に非があるため、弁護士に相談して公正証書を作成。内容は「子供が20歳になるまで養育費を1人2万円ずつ支払い、自宅の財産分与は妻に財産分与。
(中略)
そんな時、元夫から連絡がきたのです。
「失業して住宅ローンが払えなくなり、3ヶ月滞納している。今後も払える見込みがない。」
この事例では、公正証書といわれる強制力がある文書を残したうえで財産分与したのにも関わらず、夫が約束を守れなくなり返済義務が妻に移行しました。
財産分与の末、夫が支払う家に住み続けるのは非常に危険です、
公正証書といえど相手に資産がないのなら強制執行することはできないのです。
2人で冷静に話せるうちに早期的に売却を決断してしまう方がよいでしょう。
まずは自宅マンションの査定をしてみて、その値段を判断材料として離婚協議を進めていくことをおすすめします。
離婚時に所有するマンションの価値を知ることはこれからの話をスムーズに進めていくうえで非常に重要です
売却のきっかけ
離婚を考えた時に家の査定をして、家がいくら位で売れるのか、財産分与の為。ローンの残高より高く売れるか、思った時期までに早く売れるかが心配だった。
不動産会社を選んだ際の決め手
担当の職員さんが、年配の方で経験値があり何でも詳しく説明してくれ頼れると思ったから。対応が優しく連絡がまめだった。信頼できそうだった。感じが良かった
長崎県長崎市 / 40代 / 離婚 / 一戸建て / 築21年~25年 / 4LDK
査定額1,780万円→売却価格1,650万円
不動産会社 | 株式会社創和ハウジング(担当者:山田) |
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不動産会社の決め手 | 信頼できる担当者だった |
担当者の特徴 | 不動産の知識が豊富 |
満足度 | 4 |
離婚時にローンが残っている場合の売却方法
売却時にローンが残っている場合、状況によって売却方法が異なります。
売却前には必ず金融機関にローン残高を確認しておきましょう。
→離婚時にローンがない場合の売却方法
ローンの残債によって売却方法が変わる
売却方法の説明の前にローンの残債状況で以下の2パターンに区別されることを覚えておきましょう。
- 売却後に残債が残らないアンダーローン
- 売却後残債が残るオーバーローン
パターン1.売却後に残債が残らないアンダーローン
ローンの残高が売却額より小さい場合、売却で発生した利益でローンを完済することができます。
このような状況をアンダーローンといいます。
アンダーローンの場合は、ローンがない場合と同様通常の売却方法が利用できるので次の章にお進みください。
パターン2.売却後に残債が残るオーバーローン
ローンの残高が売却額より大きい場合は、売却後も残債が払いきれず残ります。
このような状況をオーバーローンといいますが、その後残債を自己資金などで支払えるのであれば問題はありません。
もし、残債を支払うことができないのならば通常の売却手段を使うことはできません。
この場合は金融機関の承諾を得たうえで任意売却を行いましょう。
オーバーローンの場合任意売却を利用する
任意売却は金融機関の合意がある場合にのみ、ローンが払えない状態や売却後ローンを完済できない状態でも売却することができる仕組みです。
どうしても売らなければいけない事情がある場合にのみ検討してみましょう。
なお任意売却は、ローンを滞納していることが条件となりますので、利用する時点で「信用情報に傷がついた状態」になってしまいます。
そのため、今後数年間は借入ができなくなる等、多くのデメリットが考えられます。
詳しくは『5章: 離婚時に任意売却を利用するメリット・デメリット』
任意売却の場合は売却価格が安くなってしまうことに注意しましょう。
マンションであれば、相場価格の9割ほどまで価格を下げることがあります。
任意売却用の売却価格を査定してもらったうえで、再度金融機関に相談しましょう。
任意売却が利用できない場合があるので注意
任意売却は申請すれば必ず受けられるわけではありません。
例えば以下のような場合は任意売却を行うのは難しいでしょう。
- ローンを滞納したことがない
- 住宅ローンを借り入れてから日が浅い
金融機関側は、今後ローンを支払うことが困難と判断した場合に任意売却を検討します。
ローンを滞納したことがない。十分な返済能力がある方に対しては基本任意売却の許可を出しません。
離婚時にローンがない場合の売却方法
離婚時にマンションを売却するにはどのような方法を使えばいいのでしょうか。
ここでは2つの売却方法をご紹介します。
不動産会社に仲介してもらい売却
一般的な売却方法で、不動産会社に購入希望者との仲介をしてもらい売却します。
SUUMOのようなポータルサイトへの広告も不動産が担当してくれます。
まずは査定から始まり、売却価格がわかったら信頼のおける不動産と契約を結びます。
売却までは6カ月以上かかると考えておきましょう。
売却の肝は、最初の査定。
より良い条件で売却するには、複数の不動産会社からの査定を受けるようにしましょう。
近所だからという理由で不動産会社を選ぶのはやめましょう。
「もっと高く売れたはずなのに…」と、百万円単位の後悔をしかねません。
査定の際は、すまいステップのような一括査定サイトを利用すると便利です。すまいステップは、独自の厳しい基準で提携した優良企業の中から一度に4社までまとめて査定依頼することができるサービスです。
完全無料で査定を依頼できるので、ぜひ利用してみましょう。
不動産会社に買い取ってもらう
売却に即効性を求めるなら不動産会社に買い取ってもらうのがおすすめです。
不動産会社による物件の買取は早くて1週間で完了することができます。
大きなメリットではありますが、その分売却価格が落ちてしまうので注意しましょう。
不動産会社による買取は、通常の売却価格相場の約7割程度になります。
この際も、一度査定を受けてみるのがいいでしょう。
そこで実際に売却の決断をする必要はありません。方向性をつかむ程度の気持ちで、一括査定サイトを気軽に利用してみましょう。
離婚時に任意売却を利用するメリット・デメリット
オーバーローンの状態でもマンションを売却することができる「任意売却」。
ただし、誰でも気軽に使えるわけではありません。
売却できるだけでも大きなメリットですが、それに相応するデメリットがあることも覚えておきましょう。
任意売却のメリット
1.売却し現金化できる
「ローンが残っていては売却できない」これが基本ですが、任意売却はそれを可能にします。
売却し現金化することで、財産分与を問題なく終わらせ、離婚のトラブルリスクから解放されます。
2.競売を避けることができる
記事序盤ではマンションを売却しないことで起こるトラブルの事例を紹介しました。
支払い義務者がローンを滞納し、マンションに残ったもう一方に金融機関からの督促が来ることも。
この督促から、それでも支払いができない場合は「競売」によりマンションを強制的に売りに出されてしまいます。
金融機関側が債務者の家を強制的に売却することができ、オークションの形式で取引されます。
3.リースバックという選択肢もある
リースバックとは、売却した家に賃貸として再度住む方法です。
もし、「どうしてもその家に住み続けたい」と片方が思うのであれば、任意売却を下のちにリースバックを利用することができます。
通常の賃貸同様の賃料がかかりますが、その場所を大切にしたいと思うのであればこの方法も考えてみましょう。
ただし、その家を購入し賃貸としてくれる協力者(投資家や両親など)が必要です。
任意売却のデメリット
1.ブラックリストに載る可能性がある?
「任意売却時にブラックリストに載るのか。」
さまざな記事でこう書かれているので、あえてデメリットの項目で記載しました。
しかし、任意売却が理由でブラックリストに載ることはありません。
ブラックリストに載る原因は住宅ローン滞納によるものです。
任意売却を行う人の多くが住宅ローンをすでに滞納しています。
ゆえに、「任意売却=ブラックリスト」と誤った判断をされてしまうのです。
2.債権者との交渉次第では利用できない
通常の売却では、不動産会社に査定を依頼し、媒介契約を結び売却活動を開始します。
一方任意売却の場合は、ローン借入先の金融機関との交渉が必須であり、金融機関側の承諾が得られない場合は利用することができません。
3.債権者が売却金額を決める
任意売却では、あなたのマンションの売却金額を債権者。つまり金融機関側が決定します。
そのほかにも、もろもろ売却に債権者がかかわることになります。
任意売却では、債権者が売却に対して意欲的であるかが重要であり、実際にアドバイスや売却活動を行う不動産会社はさらに重要です。
任意売却の実績があり、対応のいい不動産会社を選びましょう。
売却金額を自分で決められなかったりと、何かと不自由の多い任意売却では、信頼できる不動産パートナーを見つけることが鉄則です。
複数の優良な不動産会社に査定を依頼し、実際にあなたの目で判断してみましょう。
離婚時にマンションを売却する上での注意点
離婚時のマンション売却は財産分与の関係から、下手をすると無駄にお金がかかってしまいます。
売却の前に注意すべき点を把握しておき、失敗を回避していきましょう。
名義人が一人でも財産分与は行われる
不動産の名義が夫のみである場合は珍しくありません。
こうした場合も、財産分与の基本的なルールは「結婚中に築いた財産は半分半分!」であることに注意しましょう。
名義人が1人であっても、売却益は基本的に折半となります。
ですが、これはあくまでも原則ですので例外もあります。
財産構築の貢献度によっては、その取り分が変動する可能性があります。
売却後の財産分与時に贈与税がかかることも
売却したのち現金で行う財産分与には基本的に税金がかかりません。
ただし、一方があまりに多くの額を受けとる場合は贈与税がかかる場合があるので注意しましょう。
記事のおさらい
名義人がローン払わなくなった場合はどうなるの?
ローン名義人がローン滞納し続けると、返済義務は保証人へと移行します。夫婦関係であった場合、夫が名義人で妻を保証人としている家庭が多くいます。詳しく知りたい方は売却しないリスクとトラブル事例をご覧ください。
オーバーローンとは?売却できるの?
オーバーローンとは、ローンの残債が売却価格よりも大きい状態です。現時点で不動産を売却しても、売却益でローンの完済ができない状態です。この場合は任意売却を利用することで売却することができます詳しくはローンが残っている場合の売却方法をご覧ください。
マンションを最短で売却するにはどうすればいい?
不動産会社に買取を依頼するのが最短の売却方法です。最短では1週間ほどで買取がおこなわれます。詳しく知りたい方は離婚時にマンションを売却する方法をご覧下さい。
夫名義の家を売った場合の財産分与はどうなるの?
名義人が夫1人であった場合も、基本的には両者50%ずつ分け合います。しかし、あくまでも原則であるため例外が存在します。詳しくは離婚時にマンションを売却する注意点をご覧ください。
離婚時は、今後の方針を考えたり離婚の協議をしたり、肉体的にも精神的にも大変な時間となります。
そんなとき、売却を手伝ってくれる不動産会社は非常に心強いパートナーとなります。
しかし、不動産会社の中には売却に対するノウハウを持っていなかったり、自社の利益のためにあなたにとって不利な売り方を行う会社もあります。
今後の売却成功のためにも査定の際にいろんな会社を見定めて選びましょう。
売却に強い会社か。担当者のスキルは十分か。担当者は親身になって相談に乗ってくれる信頼のおける人か。
これらを基準に査定を受けてみてください。
不動産一括査定サービスのすまいステップは、「宅地建物取引士の資格保有者」「売買仲介営業経験が5年以上」「累計100件以上の売買仲介実績」などの資格や実績をもつ不動産担当者に一括で依頼することができるサービスです。
もちろん査定依頼をするのにお金はかかりません。