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【2022年改正】マンション売却後の住宅ローン控除は?併用できる節税対策を解説

  • 更新日:2023年5月19日
【2022年改正】マンション売却後の住宅ローン控除は?併用できる節税対策を解説

「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」は、マンションを住宅ローンを借入して購入した時に申請すると、税金の還付が受けられる制度です。

マンションを売却して住み替えする時にも使えるかどうか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、住宅ローン控除はマンション売却後に新居を購入する場合にも利用することができます

ただし、マンション売却時に節税に使えるその他の特例とは併用できないケースが多いです。

この記事で住宅ローン控除の適用条件などをチェックして、住み替え時の節税に是非お役立てください。

【2023年最新】マンション売却にかかる税金とは?計算方法や節税できる控除を解説

住宅ローン控除とは【2022年改正版】

「住宅ローン控除」は、返済期間10年のローンを利用してマイホームを購入した人が、一定の年数の間、年末時点の住宅ローン残高に応じた金額を所得税や住民税から控除できるという制度です。

源泉徴収で納税しているサラリーマンの場合は、所得税の還付を受けられます

正式名称は「住宅借入金等特別控除」で、「住宅ローン減税」とも呼ばれています。

原則、1世帯あたり1軒に適用できるものですが、控除を利用する回数に上限はありません。現在暮らしているマンションを売却後に条件を満たせば、新居購入時に、再び住宅ローン控除を申請できます

住宅ローン控除の控除額

住宅ローン控除によって控除を受けられる金額は「毎年の年末時点における住宅ローン残高の0.7%相当」です。

2022年の税制改正によって、控除率は1.0%から0.7%に引き下げられました。

たとえば、年末時点の住宅ローン残高が2,000万円の場合は「2,000万円かける0.7%=14万円」を所得税から控除できるか、あるいは還付を受けられます。

控除金額がその年の所得税額を上回る場合は、残りの金額を住民税からも差し引けます
(ただし、控除できるのは前年の所得税の課税総所得金額等の5%(上限額97,500円)です。)

また、納税額以上の税金は還付されません。差し引き切れなかった控除額を繰り越すことはできず、消滅します。

更に、控除の対象となる住宅ローン残高の金額にも上限額(借入限度額)があります。

まとめると、住宅ローン控除による控除額は、以下の3つの中から最も金額の低いものが適用されます。

控除額(以下のうち最も金額が低いもの)

  • 年末時点の住宅ローン残高×0.7%
  • 所得税額+住民税(上限額97,500円)
  • 借入限度額×0.7%

借入限度額については、後ほど説明します。

住宅ローン控除の控除期間と借入限度額

住宅ローン控除を受けられる期間は、購入した住宅が新築住宅か中古住宅かによって異なります

また、控除の対象となる年末時点の住宅ローン残高の限度額(借入限度額)は、住宅の性能評価によって異なります

以下の表に、対象の住宅ごとの控除期間と借入限度額をまとめました。

対象住宅控除期間控除の対象となる借入限度額
2022~23年入居2024~25年入居
新築
  • 長期優良住宅
  • 低炭素住宅
13年5,000万円4,500万円
  • ZEH水準省エネ住宅
4,500万円3,500万円
  • 省エネ基準適合住宅
4,000万円3,000万円
  • 一般住宅(上記以外の住宅)
3,000万円0円(※)
中古
  • 長期優良住宅
  • 低炭素住宅
  • ZEH水準省エネ住宅
  • 省エネ基準適合住宅
10年3,000万円
  • 一般住宅(上記以外の住宅)
2,000万円

(横にスクロールしてご覧ください。)

(※認定住宅ではない新築住宅のうち、2023年12月31日までの建築確認を受けた住宅、または2024年6月30日までに建築された住宅は、借入限度額を2,000万円として10年間控除を受けられます。)

2022年の税制改正によって控除率は引き下げられましたが、新築の認定住宅の控除期間は13年間に延長されています。

これから住み替え先を購入する方は、入居する年によって、控除の対象となる年末時点の住宅ローン残高の借入限度額が変わることに留意しましょう。

マンション売却後に住宅ローン控除は受けられるのか

マンション売却後に住宅ローン控除を受けられるかどうかは、マンションの譲渡所得税を軽減する特例を適用するかどうかによって異なります。

マンション売却した時の利益(譲渡所得)は、以下の式で計算します。

譲渡所得=マンションの売却価格-(売却にかかった費用+購入時にかかった費用-減価償却費)
以上の計算式が黒字の時は、譲渡所得税がかかります。

利益がある場合3,000万円控除等と選択適用

マンション売却で利益(譲渡所得)が出ると、その金額に応じて「譲渡所得税」が課税されます。

居住していたマンションを売却した場合、譲渡所得税を軽減できる特例が各種設けられています。そのうち、代表的なものが「3,000万円特別控除」です。

しかしながら、3,000万円特別控除と住宅ローン控除は、併用することができません

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マンションの譲渡所得に対して3,000万円特別控除を適用した場合は、住宅ローン控除の利用を申請できません。
3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるため、旧宅のマンション売却にかかる税金を大幅に節税できます。
売れた価格が買った価格よりも大幅に高くなったケース以外では、課税がなくなることがほとんどです。
また、3,000万円特別控除以外にも、マイホームの買い換え特例所有期間10年超の軽減税率の特例とも併用不可となっています。

住宅ローン控除と譲渡所得税の特例のどちらを適用するかどうかは、節税効果を天秤にかけて判断する必要があります。

損失があった場合は適用可能

譲渡所得の計算式で、譲渡所得が0円を下回って赤字になると「譲渡損失があった」ことになります。
譲渡所得税が課税されず、住宅ローン控除と併用できない特例を申請することもないため、譲渡損失があった場合は、支障なく住宅ローン控除を申請できます

マンション売却後に住宅ローン控除を利用する条件

マンション売却後に住宅ローン控除を利用するためには、いくつかの条件をクリアしなければいけません。条件を詳しく解説します。

一定期間内に居住している

マンションを売却した後に住宅ローン控除を適用させるには、新しい住居に一定期間居住していなければいけません。その際、住み始めるタイミングも重要です。

必ず新しい住居の引き渡しから6ヶ月以内に住み始めてください。6ヶ月以上経ってからでは、住宅ローン控除の適用外になります。また、控除を受ける年の12月31日時点に住んでいることも条件のひとつです。

一般的に新しい住宅で居住を開始した日は、住民票の異動日で判断されるため、期間内に住民票を移しておきましょう。

床面積が40平方メートル以上ある

住宅ローン控除は、床面積も条件のひとつです。2021年度の税制改正の大網において、床面積の条件が緩和されました。これまでは、50平方メートル以上が適用条件でしたが、40平方メートル以上に変更になっています。

床面積50平方メートルの場合、ファミリー向けの部屋なら床面積が50平方メートルをクリアしていることが多いですが、単身やカップル向けの部屋の場合は条件を満たせないこともありました。しかし、40平方メートルであれば、単身やカップル向けの部屋でも条件を満たせる広さです。

ただし、床面積に広さに応じて所得金額に制限を設けています。

床面積所得制限
50平方メートル以上年間3,000万円以下
40平方メートル以上50平方メートル未満年間1,000万円以下

参考:国土交通省

40平方メートル以上50平方メートル未満は、所得金額が年間1,000万円以下と対象を狭めているので注意してください。

また、マンションの床面積の計測方法が、戸建てとは異なることを理解しておきましょう。マンションの床面積の算出方法は、壁の内側で計測する「内法」を用います。

一般的にマンションのパンフレットなどに掲載されている専有面積は、壁の厚みの中心から計測する「壁芯」の値なので、内法より面積がやや広くなります。壁芯の値が住宅ローン控除の床面積をクリアしていても、内法の値ではクリアできない可能性があるので、必ず内法で面積を計測してください。

耐震性能を満たしている

対象の住宅が現行の耐震基準を満たしているかも条件になります。現行の耐震基準は1981年に改正されたもので、新耐震基準と呼ばれています。

旧耐震基準は、中規模地震(震度5強程度)に対して倒壊しない住宅でしたが、新耐震基準では、中規模地震で損傷せず、大規模地震(震度6強から7程度)に対して倒壊・崩壊しない住宅に改正されました。

中古住宅の場合は建築した年代によっては現行の耐震基準を満たしていない可能性があります。耐震基準をクリアしているかは、いくつかの条件で判断されます。

ひとつが、築年数です。鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建築物は築25年以内、木造などの耐火建築物以外は築20年以内なら控除の対象です。一般的なマンションは、耐火建築物に該当します。

もし前述の築年数を超えている場合は、以下のいずれかが必須になります。

  • 耐震基準適合証明書がある
  • 既存住宅性能評価書(耐震等級1級以上)がある
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入している

なお、新築住宅の場合は現在の建築基準法に基づき設計されているため、耐震性能の適用条件をクリアしています。

住宅ローン控除と併用できる特例・控除

ここまでは、住宅ローン控除について説明してきましたが、マンション売却時に損益が発生した場合は、住宅ローン控除と併用できる特例があります。

マンションの売却は、損益が発生する可能性が高いです。そのため、多くの方が下記の制度を利用することになります。紹介する特例は、救済措置でもあり、住宅売却を促し中古不動産市場を活性化するための制度でもあります。

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

この特例の対象は、5年以上暮らしていたマンションを売却し、新しい居住用の不動産に買換えた方で、なおかつ譲渡損失が生じた方が大前提です。また、買換えた住宅で償還期間10年以上の住宅ローンを利用していることも必須です。

売却したマンションの損失額が全額戻ってきます。基本的には、その年の他の所得と損益通算できますが、控除しきれなかった譲渡損失は、翌年以降3年間繰り越して所得から控除されます。

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

買換えをしなくても、マンション売却の損失分を損益通算および繰越控除できる特例もあります。対象は、所有期間が5年を超えていたマンションを売却したときに譲渡損益が発生した方の中で、売買契約が締結した日の前日時点で売却するマンションに償還期間10年以上の住宅ローンの残高がある方です。

該当する方は、売却したときの損失額、または住宅ローン残高から売却額を引いた残額のどちらか金額が小さい方の額を控除してもらえます。その年に損益通算しても控除しきれない場合は、翌年3年間に繰り越して控除されます。

住宅ローン控除を受けるときの注意点

説明してきた通り、マンション売却時も条件を満たせば、住宅ローン控除を受けられます。ただし、特例と併用できない場合や手続きを怠ると控除自体が受けられない場合もあります。ここでは、住宅ローン控除を受けるときの注意点をまとめました。

売却益が出たときの特例と併用できない

住宅ローン控除は、マンション売却時に利益が出た場合に使用する特例と併用できません。売却益があった場合に利用できる特例は、以下の通りです。

  • 3,000万円の特例控除
  • 所有期間10年超えの場合の軽減税率
  • マイホームの買い替え特例

上記の特例よりも住宅ローン控除が良いという方は、住宅ローン控除を選択してください。ただし、どちらを選んだ方が得かをしっかりとシミュレーションしてから判断しましょう。

特例と住宅ローン控除、どちらが適しているかは、新たに購入する住宅が長期優良住宅かや、マンションの売却額など条件によって大きく変わります。正確な節税額を知ることが大切です。そのため、自己判断せず不動産会社に相談してみることをおすすめします。

確定申告を忘れない

住宅ローン控除を受けるためには、確定申告が必須です。注意すべきは、申告するタイミングです。買換えで購入した新居に入居した“翌年”に確定申告を行います

会社員などの給与所得者は、翌年1月1日から3月15日まで、個人事業主など毎年確定申告をしている方は、2月16日から3月15日(期間より前に提出した場合も、2月16日の提出とみなされます)の期間内に行ってください。還付金がある場合は、申告後1ヶ月から2ヶ月ほどで指定した銀行口座に振り込まれます。

会社員の場合は、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を受けることになります。通常の年末調整の書類に加えて「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特例控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(残高証明書)」を提出してください。個人事業主や年収2,000万円以上の会社員などは、2年目以降も確定申告を行います。

もし申告期限を過ぎてから確定申告をしていないと気づいた場合、その翌年から5年以内なら申告できます。確定申告をしない限り、住宅ローン控除は適用されません。

マンションを高く売却するコツ

今あるマンションの売却額によって、新しい住宅への住み替え資金などに充てられる金額も変わってきます。ここでは、マンション売却を成功させるためのコツをご紹介します。

複数の不動産会社に査定を出す

マンション売却時は、はじめに所有しているマンションがいくらくらいで売れそうか、不動産会社に査定を依頼します。そのとき、1社の不動産会社のみに査定を頼んでも、提示された価格がマンションの価値や相場を踏まえた上での適正価格かの見極めが困難です

査定額は、不動産会社ごとに異なります。場合によっては、数十万円から数百万円の差が出ることもあるため、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し比較してみることをおすすめします。

査定額に大きな差が出た場合は、なぜ提示された金額になったのか根拠を聞いてみるとよいです。根拠を明確に答えられる会社は、信頼性が高いと判断できます。

しかし、複数といってもどの不動産会社に査定を依頼するか悩んでしまう方も多いはずです。そんなときは、一括査定サイトを利用しましょう。いくつかの情報を入力するだけで、複数の会社から査定を受けられます。

信頼できる不動産会社を見つける

信頼できる不動産会社を見つけるのも、マンションを高く売るために欠かせません。実際に買主と交渉をしてマンションを販売するのは、不動産会社です。自分のマンションの価値を理解し、魅力的にアピールしてもらえれば買主の購買意欲も高まります。高値で売却するために、不動産選びは慎重に行いましょう。

信頼できる不動産会社を見つけるポイントは、以下の通りです。

マンション売却の実績が豊富

一口に不動産会社と言っても、会社ごとに得意分野があります。売却の中にも、マンション・戸建・土地と種類があるので、マンションの売却実績が豊富な会社を選びましょう。どの種類が得意かは、取り扱っている商品の多さで判断できます。また、口コミや評判を検索してみるのもアリです。

対応の良さ

対応の良し悪しは、メールの文面や電話の受け答えでも判断できます。実際に担当者に会ったときは、清潔感や立ち居振る舞いもチェックしましょう。

また、専門用語など難しい言葉ばかり使わず、わかりやすい言葉を使って説明をしてくれるかも大切です。聞き慣れない専門用語ばかりで説明されても、素人には理解できません。

実際にマンション売却の仲介を依頼する場合、何度も担当者とやりとりが発生します。意思の疎通を図るためにも、丁寧な対応をしてくれる担当者かどうか見極めましょう。

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住宅ローン控除を利用して賢くマンションを売却しよう

マンション売却後も、いくつかの条件を満たせば住宅ローン控除を利用できます。さらに、もしマンションの売却で損益が出た場合、特例を併用すれば損失した分の全額が控除されることもあります。今回ご紹介した住宅ローン控除や特例の適用条件を把握し、節税しましょう。

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