空き家を解体するには、さまざまな費用がかかります。スムーズに解体を終えるためにも、解体費用がどれくらいかかるかは、事前に把握しておくことが大切です。
空き家の解体には高額な費用がかかることもありますが、方法次第で節約もできます。解体費用の目安や節約の方法を知り、空き家の処分に役立てましょう。
空き家の解体費用の基本
空き家の解体費用の基本として、覚えておくべきなのは次の点です。
- 空き家の解体費用の内訳
- 空き家の解体費用の支払いのタイミング
それぞれについて理解を深め、解体費用の詳細について知っていきましょう。
空き家の解体費用の内訳
空き家の解体ではさまざまな点で費用がかかっており、その内訳は次の通りです。
- 仮設工事
- 内装解体
- 屋根解体
- 重機解体
- 基礎撤去
- 人件費
- 廃棄物処理
- 樹木除去
- ブロック塀除去
- その他付帯物の除去
- 重機の運搬費用
解体では周辺に家の破片やほこりなどが飛び散らないように、養生をしてから行います。養生を行うための仮設工事にも、費用がかかると考えましょう。
また、内装や屋根の解体にはコストがかかり、重機を利用する場合はさらに重機解体の費用が加算されます。基礎も撤去して更地にする場合は、基礎撤去の費用がかかります。
他にも重機を使用する場合は重機の運搬費用がかかり、樹木やブロック塀がある場合は、それらの解体費用も支払わなければなりません。解体によって出た廃棄物を処理してもらう場合にも、費用がかかります。
解体には人手が必要であるため、解体作業を行う人数分だけ、人件費がかかります。さまざまな費用がかかるため、解体費用は高額になりやすいです。
空き家の解体費用の支払いのタイミング
解体費用の支払いのタイミングは、利用する業者によって異なります。基本的には、解体工事完了後に全額まとめて支払うか、分割払いの2つのケースです。
解体完了後に支払う場合は、全額まとめて支払うため、一度にかかる費用が多くなります。ただし、工事が完了してから料金を支払うため、正しく解体工事をしてもらってから費用が発生するという点において、施主にとってはメリットとなります。
分割払いでは、基本的には着手金と中間金、最終金の3つのタイミングで支払うことが可能です。分割で支払うことにより、一度に多額の資金を用意せずに済みますが、着工の段階で費用を捻出しなければならない点は覚えておきましょう。また、業者によっては着手金と最終金の2回で分割払いを行うこともあります。
解体費用が高額になりやすい空き家の特徴
空き家の特徴によっては、解体費用が高額になるケースもあります。
- アスベストの除去が必要
- 空き家がある地中に問題
- 空き家が解体に向かない立地
上記3つのうち、いずれかの特徴があると、解体費用は高額になりやすいです。
アスベストの除去が必要
アスベストの除去が必要な空き家は、解体費用が高額になりやすいです。アスベストは天然繊維の石綿であり、除去する際に粉塵を吸い込むと、健康被害が発生することがあります。
アスベストを含む家を安全に解体するには、対応している業者を探さなければなりません。対応業者が必須であるため、業者の選択肢が狭まる点や、アスベスト除去に別途費用がかかる点から、解体費用は高額になります。
空き家がある地中に問題
解体する空き家の地中に問題があると、解体費用は高額になります。たとえば空き家の地中に埋設物があったり、土壌が汚染されていたりすると、問題解決のために別途費用がかかると考えましょう。
埋設物が複数あったり、土壌汚染が深刻に進行していたりすると、別途かかる費用も高くなりやすく、解体費用の総額は増えやすいです。
空き家が解体に向かない立地
空き家の立地が解体に適さない場所である場合は、解体費用は高くなりやすいです。たとえば重機の搬入が難しい狭い路地に空き家がある場合は、手作業で解体しなければなりません。重機が使えないことで人件費は高くなり、結果として解体費用そのものが高額になります。
空き家の解体費用を節約する4つの方法
空き家の解体にかかる費用を節約するには、4つの方法があります。
- 複数の業者で解体費用の見積もりを比較
- 空き家内の不要物をリサイクル
- 費用が安くなる時期を見計らい解体を依頼
- 適用可能な補助金・助成金の申請
4つの方法を駆使して、少しでもお得に空き家を解体しましょう。
複数の業者で解体費用の見積もりを比較
同じ空き家を解体する場合でも、依頼する業者によってかかる費用が異なることは多いです。そのため、最初に依頼した業者に解体をしてもらうと、相場よりも高額になるケースもあるため、複数社から見積もりをもらい、金額を比較して業者を決めましょう。
空き家の解体業者を選ぶ際には、複数社に一括で見積もりを依頼できる比較サイトを利用することがおすすめです。一括見積もりを受けることで、より好条件で解体してくれる業者を探すことができ、解体費用を節約しやすくなります。
空き家内の不要物をリサイクル
不要物が多く残っているほど、廃棄物撤去の費用は高くなります。そのため、不要物はリサイクルして、少しでも廃棄物撤去にかかる費用を節約しましょう。
まだ使える家財道具は自宅に移動させたり、リサイクルショップなどで売却したりすることで、廃棄物撤去費用は抑えられます。また、売却が難しいものでも、家財道具の無料引き取りサービスを利用したり、友人や知人に譲ったりすることでも、処分はできます。
費用が安くなる時期を見計らい解体を依頼
解体業者は年末の12月から年度末の3月にかけて忙しくなりやすいです。繁忙期に依頼すると、通常よりも高い相場の料金を提示されることが多いため、繁忙期を避けて解体をすると費用を節約できるでしょう。
また、解体には天候も重要であり、雨や雪の影響で工事がストップすることもあります。天候の影響を受けやすい時期だと、解体完了までの期間が長くなってしまい、その分人件費が高くなります。
短期間でスムーズに解体できるほど費用は節約しやすいため、悪天候になりやすい時期を避けて解体を依頼することも大切です。
適用可能な補助金・助成金の申請
空き家の解体では、自治体が補助金や助成金を出していることもあるため、これを活用することもおすすめです。自治体によって適用条件は異なりますが、基本的には次の3つを満たすことで、補助金や助成金を利用できます。
- 空き家の所有者であること
- 対象となる地域で対象業者に依頼すること
- 税金の滞納がないこと
条件を満たして申請することで、数十万円の補助金が受けられたり、工事費の何分の1かの費用を援助してもらえたりします。
たとえば北海道の札幌市なら工事費用の3分の1で、上限を50万円として援助してもらうことが可能です。自治体ごとに条件は異なるものの、利用することで費用を大幅に節約できるでしょう。
空き家を解体する前に検討するべきこと
空き家になったからといってすぐに解体せずに、事前に検討したいことがいくつかあります。
- 空き家を解体しないで売却
- 解体後に再建築不可になる可能性
- 空き家の解体後にかかる土地の維持費
どのようなことを検討すべきかを知り、よく考えた上で解体工事を依頼しましょう。
空き家を解体しないで売却
空き家は解体せずに、そのまま売却するという方法もあります。空き家のまま売却することで解体費用がかからないだけではなく、売却によって現金化も可能です。
解体してしまうと土地のみの売却となり、場合によっては売却価格が下がることがあります。また、一度壊してしまったものは元には戻せないため、解体を依頼する場合はよく考えてから行いましょう。
空き家の売却先探しに一括査定を活用
空き家を売却するなら、一括査定の利用がおすすめです。一括査定を利用することで、複数の不動産会社からまとめて査定を受けることができ、より好条件で売却できる業者を探せます。
一括査定のすまいステップは、簡単な登録のみで査定を受けることができ、無料で利用できます。登録業者は優良企業ばかりであるため、信頼できる不動産会社を見つけやすいこともメリットでしょう。
解体後に再建築不可になる可能性
空き家を解体した場合、土地の条件によっては建物の再建築ができなくなる可能性があります。建物の間口が、道路と2m以上接していない土地の場合は、再建築ができません。
建築基準法の改正により、過去に建築できた土地でも、解体後の再建築が不可になる場合があることは理解しておきましょう。再建築不可な土地だと、建物を建築したい人にとっては大きなデメリットとなり、更地にしてから売却を検討している場合に、売りづらくなってしまいます。
また、自身で土地活用を検討している場合でも、再建築が不可だと選択肢が狭まってしまい、やりたい土地活用ができなくなってしまうケースもあります。
空き家の解体後にかかる土地の維持費
空き家を解体すると建物にかかる固定資産税はなくなりますが、その分土地にかかる固定資産税が高くなるケースが多いです。土地の固定資産税は建物があることにより、最大6分の1に減額されます。
空き家を解体すると、土地にかかる固定資産税の軽減措置を受けられなくなるため、場合によっては納税額が高くなってしまうケースもあります。
費用を捻出し空き家を解体する流れ
解体費用を捻出して空き家を解体するまでの流れは、大まかに次の通りです。
- 厳選した業者へ解体を依頼
- ライフラインを解約し解体工事
- 空き家の解体後に各種手続き
全体の流れを把握して、スムーズに空き家の解体を終えましょう。
厳選した業者へ解体を依頼
空き家の解体を依頼するなら、複数の業者から見積もりをもらい、依頼先を厳選することが大切です。業者を選ぶ際には解体費用の総額だけではなく、次の点も確認しておきましょう。
- 建築業や解体業の許可を受けているか
- 見積もり内容が見やすく適切であるか
- 口コミなどの評判に問題がないか
- 各種保険に加入していて安全に利用できるか
悪徳業者だと無許可で営業していたり、必要な保険に加入していなかったりするケースもあります。また、見積もり内容がわかりづらく、相場以上の費用を請求されることもあるため、注意しなければなりません。
細かいポイントを確認するだけではなく、評判もチェックして信頼できる業者を選んで空き家の解体を依頼しましょう。
ライフラインを解約し解体工事
解体工事を行ってもらうには、各種ライフラインを事前に解約しておく必要があります。電気やガス、インターネットなどの契約は、工事前に解約しておきましょう。ただし、ライフラインの中でも水道は解体工事で必要になるケースが多いため、最後まで残しておかなければなりません。
建物規模や立地条件などによって異なりますが、仮設工事や廃棄物の撤去なども含めて10日から2週間程度で工事は完了します。大規模な建物を解体する場合は、長くて1ヶ月程度かかることもあります。
空き家の解体後に各種の手続き
空き家の解体が完了した後は、各種手続きを行います。
- 建物滅失登記:法務局にて滅失した建物についての登記登録
- 水道の停止:ライフラインの停止
空き家を解体した後は、法務局で登記手続きを行い、登記上の建物が滅失したことを登録しなければなりません。また、最後まで残している水道も、解体工事が完了した後に停止しておきましょう。
登記登録は自身で行うだけではなく、司法書士などのプロに依頼して、手続きを代行してもらうことも可能です。
空き家の解体は検討してから決めよう
空き家の解体にかかる費用は高額であるため、解体以外の選択肢がないか検討しておくことが大切です。解体せずに売却したほうがよいのか、解体してから活用したほうがよいのかは、事前に考えておく必要があります。
もし解体するなら、少しでも費用を節約する方法を考えることが重要です。方法次第で解体費用は安くできるため、費用節約の方法を正しく知り、少しでもお得に空き家を解体しましょう。