マンションを手放すなら、仲介による売却だけではなく、不動産会社による買取という選択肢もあります。買取で売却する場合には、さまざまな手数料や税金がかかります。
仲介による売却との違いも多いため、どのような点が異なるのかを知っておくことが大切です。マンションの買取にかかる費用を知り、スムーズに売却を完了させましょう。
マンション買取とは?買取がおすすめな物件・買取業者の選び方まで解説
マンション買取は仲介より費用がかからない
マンション買取は仲介よりも費用がかからないことを知っていましたか?
この章では、なぜマンション買取は仲介よりも費用がかからないのかを解説しています。
マンション買取では仲介手数料がかからない
買取によってマンションを売却する場合は、仲介手数料がかかりません。仲介手数料は不動産会社に仲介を依頼し、個人の買主に売却する場合のみかかります。
買取だと不動産会社と直接契約して取引を行うため、仲介手数料なしで売却できます。
仲介手数料は売却価格によって変動しますが、数十万円から場合によっては100万円を超えることもあるため、金銭的なメリットは大きいでしょう。
マンション買取と仲介の違い
仲介では売買契約が成立した時に不動産会社への報酬として仲介手数料を支払います。
また不動産会社側も高く売却できた方が利益が増えるため、一般的に買取よりも高値でマンションを売却が可能です。
以下の表は仲介と買取の違いを表にまとめたものです。
項目 | 買取 | 不動産仲介 |
---|---|---|
買主 | 不動産会社 | 個人 |
売却までの期間 | 3日~1カ月 | 3~4カ月 |
売却価格 | 市場相場以下(7割~8割になる) | 市場相場以上 |
上記の特徴を踏まえると、買取は安くなっても早く売りたい人に向いていますね。
マンション買取に必要な3つの費用
マンションの買取にかかる費用は、次の通りです。
マンション買取に必要な3つの費用
- 売買契約書の作成にかかる印紙税
- 抵当権抹消にかかる登録免許税
- 引っ越し費用
どのような費用がかかるのか、費用の目安もあわせて知っていきましょう。
売買契約書の作成にかかる印紙税
マンションを売却するには売買契約書の作成が必要であり、契約書には契約金額に応じた収入印紙を貼り付けます。この費用が印紙税であり、契約金額が高くなるほど、印紙税も高くなります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 60,000円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
抵当権抹消にかかる登録免許税
住宅ローンを組んでマンションを購入していた場合、住宅ローンを完済して抵当権を外してから買主に引き渡します。
抵当権の登記は住宅ローンを完済したからといって、自然に消えません。
設定された抵当権の記載を、法務局で抹消してもらう必要があります。これが抵当権抹消登記です。
自分で登記を行うこともできますが、不動産会社や銀行から紹介された司法書士に依頼しておくと代わりに登記を行ってくれます。
抵当権の抹消にかかる費用は、不動産1件につき1,000円です。司法書士に依頼する場合は、平均して15,000円から20,000円の手数料が必要になります。
引っ越し費用
マンションを売却した後は、新居への引っ越しが必要です。引っ越しの費用や時期や人数、荷物の量や引っ越し先への距離によって変動します。
基本的には数十万円程度の費用がかかりますが、業者によっても異なるため、より安く引っ越すには複数の引っ越し業者から見積もりをもらい、金額を比較しておくとよいでしょう。
マンション買取の状況に応じて必要になる2つ費用
買取でマンションを売却する場合は、状況に応じて次の費用がかかることがあります。
マンション買取の状況に応じてかかる2つ費用
- 住宅ローンがある場合は一括返済手数料
- 売却益が出た場合は譲渡所得税
どのようなケースだと、別途費用がかかるのかを知っておきましょう。
住宅ローンの残債がある場合は一括返済手数料
売却時点で住宅ローンの残債がある場合は、売却時に一括返済しなければなりません。一括返済をするには、一括返済手数料がかかります。
一括返済手数料は、返済する金額によって異なるだけではなく、金融機関によっても違います。手数料がいくらかかるのか、事前に金額を調べておきましょう。
売却益が出た場合は譲渡所得税
マンション買取で利益が出た際に、「譲渡所得税」が発生します。
譲渡所得税とは、譲渡所得にかかる所得税・住民税・復興所得税の3つを指しています。
例えば、3,000万円で買ったマンションが5,000万円で売れた場合は、2,000万円が利益となり、利益の金額に応じて所得税や住民税を納める必要があります。
逆に買取価格が購入価格より低い場合は、譲渡所得税は発生しません。
例えば、3,000万円で買ったマンションが2,000万円で売れた場合は利益がマイナスなので、譲渡所得税が発生しません。
所有年数で譲渡所得税は変動する
譲渡所得税はマンションを売却するまでに所有していた期間によってかかる税率が変わります。
具体的には、マンションの所有期間が5年を超えるかどうかで以下のように変わります。
項目 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
なお、譲渡所得に用いる所有期間は、売却した年の1月1日時点が判断基準になります。
所有期間が10年超で一定の条件を満たすと、3000万円控除を越えた譲渡所得について、長期譲渡所得より税率が低い軽減税率の特例を受けられます。
所有期間に関係なくマンションを売った時は、譲渡所得から最高3000万円まで控除が可能です。
マンション買取で費用を抑えるには
マンションの買取にはさまざまな費用がかかりますが、方法次第ではコストを削減することも可能です。
マンション買取で費用を抑えるには
- 所有期間が5年過ぎてから買取をする
- 特別控除を利用する
上記のポイントを押さえて、買取にかかる費用を上手に抑えましょう。
所有期間が5年過ぎてから買取をする
マンションは所有期間によって、売却益に対する所得税と住民税の税率が異なります。所有期間が5年を超えてから売却することで、長期譲渡所得となり、税率は大幅に下がります。
5年以下で売却すると、税率が約2倍程度に上がってしまうため、売却時期を調整できるなら、5年を超えるのを待ってから売るとよいでしょう。
特別控除を活用する
居住用に使用していたマンションなら、特別控除を適用して節税ができます。たとえば3,000万円の特別控除なら、売却益から3,000万円の控除ができるため、大幅な節税が可能です。適用条件は、次の通りです。
- 現在主に居住している住宅の売却
- 取り壊した場合は1年以内に売却
- 空き家の場合は住まなくなってから3年以内の売却
- 家族など特別な関係の人への売却ではないこと
- 前年や前々年に同じ特例を受けていないこと
基本的には住んでいた家を売却し、かつ前年や前々年に同じ特例を受けていないなら、3,000万円の特別控除は適用できます。
マンション買取のメリット
買取でマンションを売却するメリットは、次の3つです。
マンション買取のメリット
- 1カ月以内で売却できる
- 掃除や修繕を行う必要がない
- 周囲の人に知られることなく売却できる
仲介との違いを知り、買取ならではのメリットを理解していきましょう。
1カ月以内で売却できる
マンション買取の売却期間は平均1週間から1か月です。しかし、仲介だと約3カ月程度かかります。
下記の図は、すまいステップ編集部がマンションを仲介で売却したユーザー1,675人に、売却完了までの期間についてアンケート調査した結果です。
上記の画像の通り、仲介の場合は半分以上は3カ月以上かかっています。
買取の場合は不動産会社がマンションを直接買い取るので、不動産会社がマンションを買い取った時点で現金化ができるので、仲介よりも早く売却ができるのです。
掃除や修繕を行う必要がない
買取はそのままの状態で不動産会社に引き渡しができるため、掃除や修繕を行う必要がありません。仲介による売却だと、マンションの状態によってはハウスクリーニングやリフォームが必要となり、売却までに手間や費用がかかることもあります。
買取の場合は不動産会社がリフォームなどで手を加えて再販することが前提であるため、売主は手を加えずに売却できます。
周囲の人に知られることなく売却できる
不動産会社との直接取引で売却できる買取は、仲介のように物件広告を出す必要がありません。そのため、周囲の人に知られることなく売却ができ、これも買取ならではのメリットです。売却することを周囲に知られたくないなら、仲介よりも買取を選ぶとよいでしょう。
マンションの買取相場を調べる方法
マンションを買い取ってもらうなら、買取相場を調べておくことが大切です。
マンションの買取相場を調べる方法
- レインズマーケットインフォメーションをン参考にする
- 土地総合情報システムを利用する
- 一括査定サイトのすまいステップを利用する
上記3つの方法で相場を調べ、損のない金額でマンションを買い取ってもらいましょう。
レインズマーケットインフォメーションを参考にする
不動産取引価格の情報提供サイトである、レインズマーケットインフォメーションを参考にすることで、買取価格の相場は調べられます。レインズマーケットインフォメーションは、成約価格をもとにした不動産取引価格が掲載されています。
売却予定のマンションと似た条件の取引事例を参考にすることで、住んでいるマンションがどれくらいで売れるのか、相場を判断できるでしょう。
土地総合情報システムを利用する
国土交通省が運営している土地総合情報システムでは、過去の取引事例を検索できます。取引事例を確認することで、住んでいるマンションがどれくらいで売れるのか、おおよその予測を立てられます。また、運営元が国土交通省であり、情報の信頼性が高いことも大きな魅力でしょう。
参考:土地総合情報システム
一括査定サイトのすまいステップを利用する
不動産会社による査定を利用して、相場価格を調べることも可能です。
一括査定サイトのすまいステップなら、一度に複数社から査定を受けられます。各社の査定結果を比較することで、最新の相場価格を調べられるでしょう。
またすまいステップは、厳正な審査を通過した不動産会社のみが登録されているため、優良業者を見つけやすく、信頼できる査定額を提示してもらいやすい点も魅力です。



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マンションの買取にかかる費用を把握しておこう
マンションを業者に買い取ってもらう際には、さまざまな費用がかかります。売却によって現金は得られるものの、売却までにコストがかかることは理解しておかなければなりません。
費用を正しく把握しておくことで、買取を依頼するのにいくら必要なのかが理解でき、スムーズに売却できます。不動産会社による買取を成功させるためにも、マンションの買取にかかる費用を詳細まで把握しておきましょう。
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