日本国内でも時代の流れとともに住宅選びのトレンドが変化しつつあり、以前のように必ずしも新築物件が優先的に選ばれる状況ではなくなりました。中古住宅の購入にあたって参考にすべき情報とチェックポイントについて具体的にお伝えしていきます。
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購入前にチェックすべき体験談
中古住宅の購入にあたっては、事前の情報収集がポイントとなります。特に、実際に中古住宅を購入したユーザーの体験談をチェックすることが重要です。できるかぎりたくさんの体験談を事前にチェックすることで中古住宅購入にあたって絶対にやってはいけないポイントや業者選びの注意点などを具体的に知ることができ、後悔のないマイホーム購入につながります。
中古住宅を選ぶ際の基本や今後のトレンド、リフォームにおける注意点について具体的にお伝えしていきますので、シニア世代になって中古住宅がほしいと考えている方はぜひとも参考になさってください。
家族構成が近い事例を選ぶ
中古住宅購入の体験談をリサーチするにあたって何よりも重要になるのは、「自分たちの状況に近いシチュエーションの事例をピックアップする」ということです。
たとえば、単身世帯と家族世帯ではマイホームにもとめる条件が異なりますし、子ども、という共通点があったとしても子どもの年齢や職業、自立しているか否か、という細かい要素によっても大きく左右されますので、家族構成をふくめてシチュエーションが近い体験談を中心に収集し、「どのようなポイントに注意すべきなのか」という教訓を効率的に蓄積していきましょう。
シチュエーション別に体験談をピックアップするためには、検索のコツも覚えておく必要があります。検索キーワードをピンポイントに絞り込むのはもちろん重要ですが、幅広いタイプ別の購入事例を集めたクチコミサイトなどが増えてきていますので、自分にとって利用しやすい体験談サイトをいくつかキープしておくといざとなった時に便利です。
成功例よりも失敗例をチェック
マイホームの購入前には気分をできるかぎりポジティブにしておきたいという思いから、体験談もついついポジティブなものを参考にしがちですが、成功例ばかりを集めてしまうと注意点がかえってわかりにくくなり、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
成功例よりも失敗例のほうを中心にピックアップすることで、マイホームの購入において想定されるトラブルが具体的にイメージできるようになり、同じようなミスを犯さないようにするためにはどのような点に留意すれば良いか、ということをディテールにいたるまで考えておくことができます。
具体的な予算を把握
中古住宅の購入にあたって最初に取りかかるべきコスト計算。物件そのものの購入費用ばかりでなく、登記手続き費用、購入後のリフォーム費用など、様々な角度からのコストをシミュレーションしておく必要があります。物件購入における諸費用は、下記になります。
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このうち、リフォームコストと成功報酬は工夫次第で節約することが可能です。中古住宅の場合、築年数や物件の保存状況などによっても異なりますが、リフォームのトータルコストはおおよそ50万円~100万円の範囲におさまると言われています。リフォームのプランニングについても不動産業者に相談することができますので、物件の購入前から理想のリフォームデザインについて話し合っておくようにしましょう。
・成功例よりも失敗例
・トータルコストに相談
・リフォームも業者に相談
不動産業者のクチコミのチェックポイント
中古住宅購入をはじめて検討にあたってネットのクチコミサイトを参考にする方も多いのではないでしょうか。ネットのクチコミは有効に活用すればとても参考になりますが、クチコミに振り回されないように注意する必要があります。
クチコミの選定基準
ネットの普及によって情報化社会が進み、誰もが自宅にいながらにして手軽に不動産業者の評価を調べられるようになりました。中古住宅購入は特に周囲に相談しづらい部分が多く、自宅であらゆる情報を手に入れられるクチコミサイト、およびランキングサイトの存在は中古住宅購入で悩む人たちにとって大きな支えとなります。
不動産業者のスキルを評価するための基準としては、取引実績、仲介手数料の水準、スタッフとの相性などが挙げられます。不動産業者にはそれぞれに強みがありますので、業者ごとのおおよその個性をクチコミサイトで調べたうえで、自分に合ったところを選ぶ方が効率的であると言えます。
ただし、クチコミの過信は非常に危険です。クチコミサイトに掲載されたレビューはあくまでも主観に基づいており、不動産業者の実際の力量を必ずしも正確に反映しているとはかぎりません。可能であれば、クチコミサイトの情報だけで不動産業者を選択するのではなく、実際に店舗の雰囲気などを感じ取ったうえで最終的に判断するようにしましょう。
クチコミはネットだけではない
信頼できる不動産業者を探すうえで、実際に物件を購入した人のクチコミほど貴重な情報はありません。より参考になるクチコミをあつめる場合は、サイト内でできるだけ具体的な質問をするようにしましょう。質問の趣旨がぼやけていると、相手側は答えにくく、ぼんやりとした回答しか返ってこない可能性があります。
ネット上の情報だけでは心もとないという場合は、中古住宅購入経験者のサークルのようなものに加入し、生の体験談を直接聞くこともひとつの方法です。
ただし、ネットでの情報とは異なり対面での意見交換はどうしても気恥ずかしさがともなうものですし、まして中古住宅購入となると非常にプライベートな領域になりますので、はじめのうちは思うように情報が集められないかもしれません。場合によっては興味本位だと思われて、かえって相手に警戒されてしまう可能性さえあります。情報収集は根気が命、と心得ておきましょう。
匿名性に注意
その手軽さから、信頼できる不動産業者を探すツールとして多くの人がランキングサイトを参照しているようです。確かにネット上には多くの有益な情報がありますが、鵜呑みにすると予期せぬ落とし穴に巻き込まれる危険性があります。
ランキングサイトの注意点のひとつは、高い匿名性です。本名を明らかにせずに意見や情報を発信できることはネットの大きな利点ですが、この種のクチコミでは匿名性が予期せぬ誤解と危険につながる可能性があります。
ネット上の誰もが真実を伝えているわけではありません。少し怖い話ですが、根拠のない無責任なクチコミを流すことで、不動産業者の評判を意図的に落とそうとしている可能性さえあるのです。もちろん、ほとんどのレビューは、実際の経験に基づいているもので信頼できるものですが、悪意のあるレビューも実際にまぎれていることも理解する必要があります。
不動産業者のスキルについて知りたいなら、CMやウェブサイトなどの外部広告も有益なツールですが、その種のPRをチェックする際にはおさえておくべきポイントがあります。まず第一に、サイト上で極端に魅力的なキャッチフレーズばかりを並べたてているような不動産業者は注しましょう。特に、仲介手数料の安さばかりを喧伝しているところはスキルの低さを安さでカバーしようとしている可能性があるため、選択肢からはずしたほうが良いかもしれません。反対に手数料が高額であっても、その理由についてきちんとわかりやすく説明している不動産業者は、良心的だと言えます。
・複数のサイトを活用
・CMなどもチェック
購入後のリフォームで注意したいこと
購入した中古住宅をより住みやすいかたちに変えていくためにはリフォームが不可欠です。中古住宅のリフォームポイントにはいくつかありますが、ここでは毎日使う機会の多いトイレを中心にリフォームの注意点をお伝えしていきます。
トイレリフォームの費用相場
キッチンやお風呂とならんでリフォーム需要が高いトイレ。毎日使う空間のため汚れやすく、なおかつにおいもつきやすいために定期的なリフォームを検討する必要があります。一般的な中古住宅の場合、トイレリフォームの費用相場はおよそ30万円から50万円程度だと言われています。
実際のトイレリフォームでは、トイレ全体の広さや奥行き、排水芯の長さなどによってトータルの費用が変わってくるため一概には言えませんが、100万円かければある程度豪華で理想を詰め込んだトイレリフォームが可能になると言われています。
トイレリフォームにあたって大切なのは、あらかじめコンセプトをきっちりと決めておくことです。機能性を重視したいのか、開放感を優先させたいのか、あるいは趣味の空間としてデザインしたいのか。
トイレリフォームだけでも多様なバリエーションがあります。オプションの組み合わせをくわえれば、考慮に入れるべき要素はさらに広がるでしょう。コンセプトに沿ったかたちで費用をシミュレーションすれば見通しが立てやすくなり、トータルの予算がふくれあがることもなくなるはずです。
中古住宅のトイレリフォームは一戸建てよりも自由度が低く、選択肢がかぎられているイメージがあるかもしれません。しかしながら、最近では中古住宅でもかなり自由にトイレリフォームが可能になっており、なおかつトータルの費用相場も年々低くなっています。
トイレのリフォームで重要なのはバリアフリーの発想であり、その家に長いスパンで暮らすつもりであれば体が元気なうちからバリアフリー設計のトイレにリフォームしておいたほうが老後も安心して住みつづけることができます。バリアフリー工事はオプションの範囲なのでその分費用が割り増しになりますが、トイレは毎日使うものであり、年齢を重ねても快適に暮らせる生活空間を手に入れるためには必要な投資だと考え、トータルの予算に組み入れておくことが大切です。
リフォームでかかる費用が知りたい|工事費の相場や削減する方法
オプション工事もチェック
トイレのリフォームでは基礎工事以外に、トイレをより快適な空間にするためのオプション工事を依頼することもできます。オプション工事でわかりやすいものとしてはウォシュレットがあり、これは既存の便器にウォシュレット専用の設備を増設するだけなので非常に手軽であり、費用相場も決して高くはありません。
高齢者世帯ではトイレに床暖房をとりつけるケースも増えてきており、冬場の早朝にリスクが高まる脳梗塞や心筋梗塞などを防ぐ意味でも効果があります。高齢化にともないバリアフリーリフォームの需要も高まっており、便器の左右に安全のための手すりをつけたり、トイレ入り口の段差をなくしたりと体が不自由でも問題なく使えるようにする工事も人気のようです。
より高度なところでは、微粒子による脱臭機能を搭載した装置を導入するなどの工事も増えており、トイレという空間そのものが日本人にとってより重要さを増していることがうかがえます。キッチンや浴室にくらべ、トイレのリフォームは比較的安い費用相場で工事がすませられる特徴があります。
ただ、オプション工事をいろいろと組み合わせていくうちに当初の予定よりもトータルの予算がふくらんでしまうことは充分にあり得るので、必要以上にオプションをつけて予算オーバーになることのないように注意しましょう。
・トイレリフォームは50万円
・バリアフリーも重要
・オプションも要チェック
中古住宅だけが選択肢ではない
日本ではこれまで、「現役時代からマイホームを購入して終の棲家にする」というのが理想のモデルケースとされてきました。その流れに乗るように中古住宅の需要も順調に伸びてきた経緯がありますが、ここ数年は住まいの選択肢も多様化しつつあり、中古住宅以外のパターンも広がりつつあります。
シニア世代向け賃貸物件
「リタイア後は中古住宅」というパターンが出来上がった背景には、高齢になるほど賃貸物件を借りにくくなる、という日本特有の事情があります。
しかしながら、ここ数年はライフスタイルの多様化に合わせて賃貸物件の間口も広がっており、単身の高齢者でも保証人なしで借りられる賃貸が都市部でも主流になりつつあります。
登記手続きや相続などの面では賃貸物件のほうがメリットが大きくなる場合がありますので、必ずしも中古住宅にこだわらず、賃貸物件という選択肢を視野に入れておくと老後の生活設計の自由度がさらに高まります。
共同シェアハウス
住まいのニーズが細分化されているなかで、ここ数年でますます注目度を高めつつあるのが「共同シェアハウス」です。近隣の大学に通う学生とお年寄りがひとつ屋根の下で生活することで世代間交流を深め、お年寄りは知識と経験、若者はエネルギーと活気を与えあう、という理想的な関係を構築することができます。
「多世代共生型シェアハウス」が今後地方都市でも増えていくことにより高齢化社会をささえる一種の起爆剤であると期待されています。
中古住宅選びは情報収集が肝心
中古住宅を選ぶポイントとしては購入価格以外にも、リフォームコスト、立地、不動産業者との相性などがあります。中古住宅以外の選択肢も視野に入れつつ、リタイア後のライフスタイルに合った住まいをデザインしましょう。