マンションを相続する時、「売却すべきか」「住み続ける」「賃貸に出す」など様々な選択肢があります。
自分がどの選択肢が正解なのか、分からない方が多いのではないのでしょうか。
この記事では、相続するマンションを売却すべきかを紹介しています。ほかにも、相続の基礎知識なども解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
マンションの相続税申告は10ヶ月以内に
マンションなどの不動産を相続した時は、10カ月以内に税務署に相続税の申告と納税手続きをする必要があります。
相続人が亡くなってからではなく、被相続人が相続があることを知った日から、10ヶ月以内です。負債額や相続税額が高くて相続したくない場合は、相続が判明してから3ヶ月以内に相続放棄することができます。
相続税が課税されるのは「基礎控除額」を超えた場合のみ
基礎控除は、相続をする人全員が受けれる控除です。マンションでかかる相続税が基礎控除額を下回っていれば、相続税は発生しません。
相続税の基礎控除は以下のように算出します。
例えば、相続人が妻と長男次男の3人だった場合は、以下のように求めることができます。
マンションを含む相続する財産が基礎控除額を超えていない場合は、相続税の申告をする必要はありません。
相続するマンションの評価額の求め方
マンションは、評価額を算出した価値に基づいて相続税の金額が決まります。
この章では、相続するマンション評価額の求め方について解説しています。
マンション評価額の求め方は以下の通りです。
建物部分の評価額の求め方
建物部分の評価額は、「固定資産税評価額」を確認すれば求めることが可能です。
固定資産税評価額は、毎年4月に送られてくる「課税証明書」に記載されています。
土地部分の評価額の求め方
土地部分の評価額の求め方は以下の通りです。
- 路線価方式
- 倍率方式
路線価方式
路線価が定められてる市街地のマンションは、「路線価方式」によって求めることができます。
路線価方式で求める場合、以下によって算出できます。
倍率方式
郊外に建てられたマンションは、「倍率方式」によって求めることが可能です。
倍率方式で求める場合、以下によって算出できます。
マンションの相続税を節税する制度
マンションなどの不動産を相続した時に、控除が使えるケースがあります。
控除を利用することで、相続税がかからなくなったり、支払う額を軽減ができます。
相続でかかる負担を少しでも軽減できるので、使える控除は使っておきましょう。
小規模宅地の特例
小規模宅地の特例は、「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」、つまり故人の住居として利用されていた戸建てやマンションについて、故人と同居の親族が相続する場合に受けられる特例です。
マンションが建っている土地の面積が330㎡以下の部分に対して、評価額の80%が減額されます。
住居ではなく、事業用として使われていた場合は、土地の面積が400㎡以下の部分に対して、評価額の80%が減額されます。
また、事業の中でも貸付事業用として使われていた場合は、土地の面積が200㎡以下の部分に対して、評価額の50%が減額されます。
(参考:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例))
配偶者控除
配偶者がマンションなどの財産を相続した場合、対象の財産が1億6000万円までは相続税が課税されません。
配偶者は相続税がかからないケースが多いので、利用できる控除は使っておきましょう!
ただし、配偶者控除を受けるためには、確定申告をする必要ががあります。申告期限から3年以内に遺産を分割した場合は、税額軽減の対象になります。3年以内に申告するように注意しましょう。
(参考:No.4158 配偶者の税額の軽減)
マンション相続でかかる税金
マンションを相続すると以下の税金が発生します。
- 登録免許税
- 相続税
この章では、マンション相続でかかる税金と相続税を抑える方法について解説しています。
登録免許税
登録免許税は、相続するマンションの名義変更(相続登記)をする際にかかる税金です。
相続登記にかかる登録免許税は、以下のように算出します。
相続税
マンションなどの財産を相続した場合、相続税がかることがあります。相続税の計算は以下の通りです。
▶マンション相続でかかる税金について詳しく知りたい方はこちら
相続したマンションを売却する時の注意点
相続したマンションは、相続税の申告をする必要があります。ここでは相続税の節税の観点から、売却のタイミングについて解説します。
相続税の申告期限から3年以内に売却する
マンションを相続すると、相続税がかかります。またこのマンションを売却すると譲渡所得税を支払う義務も発生し、多くの税金を取られてしまいます。
しかし税制度の特例を活用すると、この税負担を軽減することが可能です。相続したマンションを売却する際に関わる特例には、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」があります。
これは相続税の申告期限から3年以内に物件を売却すれば相続税を費用として差し引けるというもので、譲渡所得税を安く抑えることができます。相続人の負担を減らす目的で作られた特例なので、上手に活用しましょう。
小規模宅地の特例なら相続税の申告期限後に売却する
相続税評価額の減額幅が大きい特例に、「小規模宅地等の特例」があります。この特例の要件に該当すると、相続した土地にかかる相続税を最大80%に減額できます。
この特例はあくまで「土地」の相続評価額が減額される制度ですが、マンションの土地に対しても行えます。しかし一般のサラリーマンは適用要件から外れやすいので、注意が必要です。
大前提として、亡くなった人や生計を一にする人が居住していた土地でなければなりません。さらに、相続人が「配偶者」「同居親族」「家なき子」に該当する必要があります。
つまり親と子どもで別居および生計を一にしないで生活していた場合には、適応から外れてしまうのです。小規模宅地等の特例に該当するかどうか不安がある場合には、専門家に相談するとよいでしょう。
また相続税の申告期限は相続を知った翌日から10ヶ月以内ですが、申告期限以前に売却をすると小規模宅地等の特例が適用されないので注意してください。
相続したマンションの売却は慎重に検討することが大切
相続税や、相続したマンションの維持費は決して安くありません。そのため相続したマンションの売却までの流れを知らないと損をしてしまうことがあります。
納税のポイントを押さえること、そして売却を仲介してくれる不動産会社選びは重要です。不動産会社を選択する際には査定先を一社に絞らず、一括査定サービスを活用したり複数の不動産会社を回って、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
自分自身でも情報収集を行い、売却まで慎重に進めていくことが相続マンション売却の秘訣です。