中古マンションを購入する時には多くの諸費用がかかります。また、購入の時には登記を行う必要があります。中古マンション購入の時にしなければならない登記には何があるのでしょうか。そして、それらの費用はどれくらいかかるのかご存知でしょうか。
中古マンションの登記費用は、固定資産税評価額が3,000万円のマンションの場合、約22万円~36万円かかります。
ここでは、中古マンション購入の時にする登記に関する費用や、それ以外にかかる諸費用を調べてみました。マンション購入の際には、高額の諸費用がかかります。ここで、どれくらいの費用がかかるのか把握して、マンション購入の際の資金計画を見直しましょう。
中古マンションの登記費用はいくら?
中古マンションにかかる登記費用はいくらかかるのでしょうか?
不動産を登記するためには、「登録免許税」を支払う必要があります。また、登記を司法書士などの専門家に依頼するのであれば、依頼費用も必要です。
それぞれの相場を確認してみましょう。
かかる費用 | 費用の相場 |
---|---|
登録免許税 | 不動産の固定資産税評価額×税率 例:評価額が3,000万円のマンションを購入した場合は、約21万円 建物部分:2,000万円 ×0.3% = 6万円 土地部分:1,000万円 ×1.5% = 15万円 |
司法書士依頼に登記を依頼 | 1万円~15万円 |
引用:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(2024.2.29閲覧)
中古マンションの登記費用は、固定資産税評価額にもよりますが、評価額3,0000万円のマンションの場合で約22万円~36万円ということがわかります。
次は、登記の詳細を見ていきましょう。
中古マンション購入のときに必要な登記とは
中古マンション購入の際に必要な登記は、「所有者移転登記」と「抵当権設定登記」です。これらの登記は、司法書士に依頼して行う場合が多いです。
所有者移転登記
土地や建物の所有者が変わったときには、その土地や建物の権利をはっきりとさせるために所有者移転登記を行います。そして、この所有権移転登記を行わないと、第三者にその不動産の権利を主張することができません。通常、決済と引き渡しの時に、同時に登記手続きを行います。多くの場合は、司法書士に手続きを依頼して行います。
抵当権設定登記
中古マンションの購入は高額になるため、金融機関で住宅ローンを組んで購入する人がほとんどです。そして住宅ローンを契約すると、購入後は、毎月金融機関にお金を返済することになります。しかし、病気や転職などで住宅ローンの返済ができなくなる人もいます。
金融機関はそのような時に、確実にお金を回収できるようにするために抵当権の設定を行います。抵当権を設定すると、その該当不動産は、住宅ローンの返済ができなくなった時には競売にかけられます。そして、その売却代金で返済を行うことになります。
所有者移転登記と抵当権設定登記の登録免許税
中古マンションを購入の際には、所有者移転登記と抵当権設定登記を行います。これらの手続きの際には登録免許税がかかります。
所有者移転登記の登録免許税
所有者移転登記を行うときには登録免許税を納めなければなりません。所有者移転の登録免許税の税率は土地と建物を分けて計算します。税率は以下のようになります。
税率 | 軽減税率 | |
所有者移転登記(建物) | 2.0% | 0.3% |
所有者移転登記(土地) | 2.0% | 1.5% |
建物の所有権保存登記は2020年3月31日までに登記を申請するものに関しては、住居用家屋で50平方メートル以上であることや、新築または取得後1年以内の登記申請であることなどの適用条件を満たせば、軽減税率が適用されます。また、土地の所有者移転登記は、2019年3月31日までに登記申請を行うものは、軽減税率が適用されます。
所有者移転登記の必要書類
所有者移転登記の際には上記の書類が必要になります。なお、印鑑証明書の住所が登記簿上の住所と異なる場合には、住民票も必要となります。
抵当権設定登記の登録免許税
抵当権の設定登記の登録免許税は、借入金額に税率を乗じて計算することができます。
税率 | 軽減税率 | |
抵当権抹消登記 | 0.4% | 0.1% |
抵当権設定登記を行う時には、以下の要件を満たすことで軽減税率の適用を受けることができます。
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そして、住宅ローンの返済が完了した時には、抵当権の抹消登記が必要になります。
抵当権設定登記の必要書類
抵当権設定登記の時には、3カ月以内に取得した印鑑証明書が必要です。他に、抵当権設定契約書、設定者の登記済権利証、設定者の実印を押した委任状、抵当権者の委任状、抵当権者の資格証明書が必要になります。買主が用意するのは、印鑑証明書で他の書類は金融機関が用意します。そして、手続きは司法書士が行います。なお、この手続きには、実費のほかに司法書士への報酬として、10万円から15万円かかります。
マンション登記の司法書士への依頼費用
マンションの登記を司法書士に依頼すると、登記手続きをする手間を省けたり、相続や名義の相談ができたりといったメリットがあります。
マンションの登記を司法書士に依頼する場合、司法書士への依頼費用がかかります。
司法書士への依頼費用は登記の種類や不動産の購入価格、地域によってことなります。
今回は手続きの内容別に費用の相場を紹介します。
手続き内容 | 費用相場 |
---|---|
売買 | 30,000~90,000 |
相続 | 40.000~100,000 |
所有権保存 | 15,000~50,000 |
中古マンション購入時と売却時の諸費用
マンションを売買する時には、多くの諸費用がかかります。これらの諸費用を把握してから売買を行わないとその後の資金計画に大きく影響します。
中古マンション購入時にかかる諸費用
中古のマンションを購入するときにかかる諸費用です。これらの費用を合わせると、およそ物件価格の7%から8%程度になることが多いようです。
手付金
手付金とは、売買契約の時に支払うお金です。物件価格の5%から10%くらいになることが多いようです。後に購入代金に含まれるお金ですが、契約時に支払うお金のため、事前に現金で用意しなければなりません。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産会社に中古マンションを購入するときに支払うお金です。仲介手数料は、上限金額が決まっています。仲介手数料の支払いは、売買契約時と決済の時の2回に分けて支払われる場合と、決済時にまとめて支払う場合があります。仲介手数料は、物件価格の3.24%プラス64,800円に消費税がかかります。
登記費用
中古マンションを購入した時には、所有者移転登記と抵当権設定登記を行います。通常、司法書士がこの手続きを行います。そのため、登録免許税のほかに、司法書士に支払う報酬が必要になります。報酬は10万円から15万円くらいのところが多いようです。
住宅ローンを借りる時の費用
住宅ローンを契約する時には、事務手数料(融資手数料)やローン保証料がかかります。これらは金融機関によって金額は異なります。事務手数料は定額制なら、大手の都市銀行だと32,400円のところが多いようです。多くの金融機関が3万円から10万円の間になることが多いようです。
また、保証料はネット銀行などではゼロ円を設定している銀行や、融資金額の2%を設定している金融機関など金融機関によって異なります。しかし、保証料をゼロ円に設定して、事務手数料を高額に設定している場合があるので契約前に確認が必要です。
火災保険料や地震保険料
マンションを購入した時には、原則、火災保険に加入しなければなりません。火災保険は補償の範囲によって保険料がことなりますが、保険会社が勧める一般的な補償がセットになったものだと、10年間で15万円程度になることが多いようです。なお、地震保険の加入は任意になります。しかし、地震による火災は、火災保険ではカバーできないので併せて地震保険に加入すると安心です。
固定資産税と都市計画税
固定資産税や都市計画税は、その年の1月1日の時点でその不動産を所有している人に支払い義務があります。そのため、不動産の売買を行うときには、買主は引き渡し日以降の分を日割り計算して、売主に支払います。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産を取得した時に一度だけかかる税金のことです。固定資産税評価額に対して課税されます。この税率は、中古のマンションの場合には、家屋証明書を取得することで一定の条件を満たせば軽減措置を受けることができます。そして、その中古マンションの新築された年に合わせて、最大1,200万円まで控除することができます。
適合証明書
住宅ローンの契約をフラット35で行う場合には、適合証明書の提出が必要です。費用は買主が負担することになり、およそ5万円から7万円になります。また、築25年を超える中古マンションだと「耐震基準適合証明書」も必要になり、この証明書を取得するには約15,000円かかります。費用は依頼する会社によって異なりますので確認が必要です。
団体信用生命保険料
ほとんどの金融機関では、住宅ローンの融資を受ける条件として、団体信用生命保険の加入が求められます。この保険料はほとんどの場合、金利に含まれているので、別途、費用を用意する必要はありません。
管理費などの精算
管理費や修繕積立金は、翌月の分を前の月に支払うケースがほとんどです。そのため、この費用も決済日を境に日割り計算し、決済の時に精算することになります。なお、決済の日の分は通常、買主の負担になります。
中古マンション購入時の諸費用の支払い方法
諸費用は高額になる場合が多いです。諸費用をローンで支払う場合や住宅ローンに組み込む場合には、住宅ローンの契約前に確認する必要があります。
基本は現金払い
マンション購入時にかかる諸費用は、基本的には現金払いになります。中古マンションの場合だと多めに見積もって、物件価格の10%程度を用意しておくと良いでしょう。大きな金額になる場合が多いので、この費用を把握しないで物件購入を決めると、その後の生活が苦しくなる場合があります。
また、諸費用を把握していないと、住宅ローンの返済が難しくなる場合もあります。マンション購入の資金計画をする際には、これらの費用を含めて考える必要があります。
諸費用ローンもある
諸費用は引越しや新居での家具の購入などを考えると、高額になり事前に用意することが難しい人も多くいます。また、その後の生活のために預貯金を手元に残しておきたいという人もいるでしょう。そのため、金融機関では諸費用のためのローンを提供しているところもあります。
諸費用ローンを使うことで、現金の出費を抑えることができます。金融機関によって、諸費用として扱えるものや上限金額が決まっているので確認が必要です。しかし、諸費用ローンの金利は、住宅ローンよりも高めに設定されていることが多いので注意が必要です。
住宅ローンに諸費用も組み込む方法
金融機関によっては、諸費用分の金額も住宅ローンに組み込んで借り入れできる場合があります。その場合には、借り入れ金額が増えるので、月々の支払いが増える可能性があります。この場合も、諸費用をどこまで借り入れすることができるのかは金融機関によって異なります。
多くの銀行では、事務手数料や保証料、登記費用、印紙税を含めることができます。ただし、諸費用ローンを含めることを認めていない金融機関もあるので、借り入れを行う時には、事前に調べてから住宅ローンを契約する必要があります。
中古マンションを購入時には登記費用や諸費用を把握しておこう
中古マンションを購入する時には、多額の諸費用がかかります。この諸費用は基本的には、現金の支払いとなり決済までに用意しなければなりません。そのため、この費用を把握していないと、生活のために残しておいた預貯金を使うことになりかねません。
家の購入は家族が安心して快適に暮らすために購入します。しかし、住宅ローンの返済が家計を圧迫するような状態だと、余裕を持った快適な生活は送れません。したがって、マンションを購入する時には、諸費用も含めて余裕をもった資金計画を立てることが重要です。また、子供の成長やライフイベントに合わせた費用なども念頭に置いて資金計画をすることをおすすめします。