所有しているマンションの売却を考えているなら、当然高く売りたいはずです。現在、マンション価格の高騰は続いているため、価格下落する前のピークを狙いたいところですが、その時期はいつごろなのでしょうか。それにはさまざまな意見がありますが、ここではマンション高騰の理由を知ることで、今後の下落時期を見極めていきたいと思います。
【2023年5月最新】マンションの売却相場はいくら?調べ方や最新の価格動向を解説
マンション価格はいつ下降するのか
マンション価格の高騰が続いているので、売却のタイミングが難しいと思います。そこでマンション価格高騰の理由を知ることで、いつ価格が下降するのかを知っておきましょう。
なぜマンション価格は高騰が続いているのか
マンション価格が高騰している理由はさまざまですが、いくつか主要なものを取り上げます。
金融緩和による低金利
民間の銀行は、国が発行している国債を購入して資産運用をしています。金融緩和は、日銀が新たにお金を刷ってこの国債を購入することで銀行の所有するお金を増やし、市場にお金を出回りやすくする金融政策のことだと考えてください。銀行が所有しているお金が増えると、多くの銀行が融資先を獲得するために金利を下げてくれるので、自然とお金が借りやすくなります。
つまり現在、住宅ローンが低金利になっている理由はこの金融政策が主な要因となっているのです。これによってローンの審査も通りやすくなり、住宅を購入しやすい環境が整いました。そして住宅需要が高まっていけば自然と価格は上がっていき、価格高騰につながるというわけです。
なお、日銀は2018年9月19日の金融政策決定会合で、現在の金融緩和政策の現状維持を決めました。つまりまだしばらくは低金利が続くと考えていいでしょう。
マンション価格を左右する要素
マンション価格は経済などの要因で需要と供給のバランスが変化すると、価格が下がっていくことが分かったと思います。しかしそれ以外にも価格を左右する要素があるので、確認していきましょう。
地域によって値上がりに差がある
不動産は地域によって需要が異なるため、当然価格の値上がりにも差があります。ブランド力のある港区や都心の千代田区、中央区、新宿区、渋谷区、ほかにも再開発が進んでいる川崎市中原区など、地域を選ぶうえで重要なのは、「都心」「ブランド力」「再開発地域」と考えてください。
特に新しい駅ができたり、乗り入れが可能になるといった交通面で利便性が高まると、周辺地域も再開発が進む傾向があり、それによって住宅需要が高まってくるので、今後再開発が行われる地域は大きく値上がりが期待できるでしょう。
築年数
マンション価格を左右するうえで、築年数も重要になります。一般的には築5年以内の築浅物件から10年以内のもの需要があるので買い手が見つかりやすく、築15~20年となると大規模修繕工事によって、管理費や修繕積立金の価格上昇が懸念されることもあり、需要は減ると考えたほうがいいでしょう。築年数が古いマンションを売却するには、価格を下げたり、リノベーションで付加価値をつけるなどの工夫が必要となります。
マンション価格は今後下がる?2023年最新トピックから見る価格推移の予想
・値上がりする地域がある
・再開発地域がおすすめ
・築浅物件は需要高い
金融引き締め
不動産価格高騰の原因ともいえる金融緩和ですが、価格が高騰しすぎてなかなか新築マンションが売れ残るといった状況も発生しており、金融緩和の出口を現在は探している状況ともいえます。明確には分かりませんが、遠くない将来に金融引き締め政策がとられると考えておいたほうがいいでしょう。
金融引き締めとは、日銀が景気の過熱や物価上昇(インフレ)を抑えるために行う金融政策のことです。主に政策金利を引き上げたり、国債を売却することで市場でのお金の供給量を減らし、投資や消費などを抑制します。
これによって、住宅ローンの金利が高くなり、ローンの審査も通りづらくなるでしょう。しかし、高金利なので住宅ローンの支払いが困難になる人が物件売却を考えます。しかし購入希望者がローンで借入できる金額は少なくなっているため、これまでの市場価格では売却することができません。すると価格競争が起こり、不動産価格が急落することが予想されます。
デフレになるとどうなるのか
物価が下がっていくデフレになるということは、そもそも消費者の財布に余っているお金がないということです。消費者に合わせて、後追いで物価は下がっていくと考えておくといいかもしれません。さまざまな要因でデフレになることが予想されますが、ではそのなかで不動産をどのように売却すればいいのでしょうか。
一般的にデフレになった場合、本当に価値があるものだけが残る傾向があると聞いたことはないでしょうか。つまり財布の紐は固くなっていたとしても、消費をしないことには生きていけません。
衣食住は生きていくうえで不可欠なものなので、住宅も需要があることに変わりはないでしょう。ただお客さんのニーズを本当に理解し、それを提供できる場合に限って売れるということになるのです。もしそれができない場合は、早めの売却をおすすめします。
・収入が減り、消費も減る
・金融引き締めで価格競争
・デフレになる
高く売って余計な出費を抑える
価格高騰のピークを狙ってマンションを売却することも大切ですが、それ以外にも高く売却するコツがあります。また余計な出費を抑えて、多くの利益を上げるために税金や控除制度についても知っておきましょう。
マンションを高く売却するコツ
マンションを高く売却するには、業者を探す段階から行っておくことがあります。ほかにも契約の種類によっては、高値で短期売却も可能になるでしょう。また成約させるコツや、売却できない対策についても理解していってください。
複数業者に査定依頼をする
一般的にマンションを売却する場合、不動産業者に販売を仲介してもらうことになるでしょう。この際、複数の業者に査定を依頼してください。すると物件相場が分かってきます。その相場からかけ離れた査定金額を提示してくる業者とは、付き合わないようにしてください。必ず、相場内で良心的な価格を提示している業者と付き合うようにしましょう。
あまりに高額な金額を提示している業者は、専任媒介契約を結んでほかの業者と契約できないようにしてくる可能性があります。また安い金額を提示している業者は、単純に適切な相場知識がなく、そのマンションが得意分野でないかもしれません。
一般媒介契約を利用する
業者に販売活動をしてもらうためには、媒介契約を結びます。媒介契約は「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類がありますが、高値で短期売却したいのであれば一般媒介契約にしてみるといいでしょう。
業者は物件が成約しないと、仲介手数料を報酬としてもらうことができません。そのため複数業者と契約することで、業者間に販売競争をしてもらい、高値で短期売却をするのです。一般媒介契約以外では、約3カ月間はほかの業者と契約することができないので注意しましょう。
内見準備は丁寧に行う
内見の成功が、物件売却を成功させる秘訣となります。売れなければ意味はないので、内見の準備は丁寧に行いましょう。部屋をきれに掃除しておくことはもちろんですが、汚れが気になる水回りは特に念入りに掃除しておきます。
カーテンは全てあけ、電気も全てつけ、可能な限り部屋を明るくしてください。ほかにもタバコやペットのニオイは良い印象を与えないので、必ず消臭をしておきます。購入希望者が実際の生活をイメージできるような部屋作りを心掛けてみてください。
買取も視野に入れておく
もし売却がなかなか決まらないのであれば、業者に買取ってもらうことも視野に入れておきましょう。特に築年数が古いマンションであれば、価格を下げても買い手が見つからない可能性があります。リノベーションして付加価値をつけるにしても、それなりの費用がかかってしまうことは避けられません。
しかし買取であれば、時価の6~7割の値段になってしまいますが、リノベーション費用は業者が負担します。仲介手数料もかからないので、長期間に渡って販売活動をすることで、余計なマンション維持費用をかけてしまうよりも、思い切って買い取ってもらうことがおすすめです。
税金、諸費用
マンション売却ではさまざまな税金や諸費用がかかりますが、ここでは主要なものを紹介しておきます。
仲介手数料
無事に成約が決まった場合、不動産会社に仲介手数料を支払わなければいけません。この手数料は法律で上限金額が決まっており、売却金額が400万円を超える場合は以下の式で算出することができます。
売却代金×3%+6万円+消費税 |
上記はあくまでも上限金額となるので、交渉次第で仲介手数料を抑えることは可能になります。しかし、販売活動に必要な費用なども加味されているので、交渉するのであれば販売活動前に行うようにしましょう。
譲渡所得税
マンション売却によって譲渡所得が出た場合、譲渡所得税が課せられます。譲渡所得とは、不動産の売却金額から購入金額と売却時諸費用を差し引いたもののことです。税額はマンションの所有年数によって異なるので、以下を確認してください。
所有期間 | 税額 |
住宅の所有5年以下の短期譲渡所得 | 所得税率3%、住民税率9% |
所有5年超の長期譲渡所得 | 所得税率15%、住民税率5% |
なお、上記に復興所得税として所得税×2.1%も必要になります。
3,000万円の特例控除の特例
個人が居住用不動産を売却しやすくするため、3,000万円の特例控除の特例が用意されています。つまり3,000万以上の課税譲渡所得が出なければ、所得税は発生しないので、必ず利用をしてください。ただし以下の条件を満たしている必要があります。
- 自分が居住していた不動産であること
- 売却した年をさかのぼって、2年間に特例控除や他の譲渡損失の特例を受けていいないこと
- 買主との関係は夫婦や親子など特別な間柄でないこと
投資用のマンションでは、この控除制度は利用できないので注意してください。
・業者選びが重要
・税金を把握する
・控除制度を利用する
マンション売却で損をしないためには需要を把握する
マンション売却で損をしないためには、金融政策やオリンピックなどの大きなイベント、そういったものが経済にどのように影響するのかを理解しておくことが大切です。それによって消費者の支出がどうなるのかを理解し、マンションの需要がこの先も続くのかを見極めてください。
おそらく近い将来、マンション価格は下落していくことが予想され、デフレによる消費の落ち込みなどもありますので、高値で売却を検討しているのであれば今がピークかもしれません。特に2020年を過ぎてからの売却は、難しいと考えたほうがいいでしょう。