リノベーションとは修復、良くするといった意味があります。最近では中古住宅をリノベーションしてガラッと雰囲気を変えた住宅を多く見かけられますが、中古住宅を購入してリノベーションするにあたってメリットはありますが、デメリットもあります。メリットばかりではなくデメリットにも目を向けて慎重に考える必要はあるでしょう。
そこで今回は、中古住宅のリノベーションは実際どうなのか検討中の方のために詳しく解説していきます。住宅購入は決して安い買い物ではないので、慎重に決めていくためにもぜひ参考にしてみてください。
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中古住宅のリノベーションと新築のどちらが良い?
中古住宅のリノベーションと新築のそれぞれどちらが良いのかは住宅購入しようと考えた時に悩むところです。しかし、中古住宅のリノベーションと新築のどちらがお得かは比較してみることで選択肢も定まってきます。どちらにするか悩んだ時のため、金銭などの観点から比較していきます。
価格から見た中古住宅のリノベーションと新築
住宅を購入するにも肝心要なのがその費用です。中古住宅のリノベーションでも新築でも費用はそれなりにかかりますが、中古住宅のリノベーションの場合は土地代、中古物件の金額、リノベーションする費用、仲介手数料がかかってきます。新築の場合は土地代、上物の工事費、仲介手数料がかかります。
これだけで見ると分かりづらいですが、中古の方が新築よりは断然物件の価格が安いのでリノベーション費用がかかったとしても、新築を建てる時に必要な材料費や工事費などを考えると中古住宅のリノベーションの方が安く済みます。リノベーションは建て直すのではなく基礎などを上手く利用したりするので工期も短く済むでしょう。
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外観や内装から見た中古住宅のリノベーションと新築
外観は言うまでもなく新築の方が綺麗です。注文住宅ならば費用はかかりますが好きなような外観にできます。リノベーションも出来なくはないですがベースを上手く利用するので大きく変えていくことは出来ないでしょう。
内装に関してはリノベーションはかなり自由度が高く、費用も材料費などのコストを抑えれば安く済ませることは出来ます。新築の場合で注文住宅だと費用はかなりかかりますし、想像と違ったなんてことも考えられます。
減税から見た中古住宅のリノベーションと新築
新築を建てる際は住宅ローン減税を受けることで最大で400万円の控除を受けることができます。しかしこれは確定申告をすることで受けることができるという制度です。一方で中古住宅のリノベーションには、リノベーション減税です。簡潔にまとめたものが以下の通りです。
ゼロエネルギーハウス | 太陽光による自家発電システムを所持し、消費したエネルギーよりも発電したエネルギーの方が多い住宅のこと | 最大70万円 |
省エネ・断熱リノベーション | 高性能な断熱材や窓を使ったリフォーム・リノベーションの住宅のこと | 最大120万円 |
長期優良住宅化リフォーム | 耐震・耐久性に優れており、省エネで維持管理しやすい住宅のこと | 最大250万円 |
それぞれ条件があるので条件を満たしていないと補助金を受けることはできません。また条件もいくつかあり、それによって受けられる補助金額も変わります。
自治体の補助金制度を利用
各自治体にもよりますが、中古住宅のリノベーションをするにあたっての補助金制度が用意されています。例えば東京都墨田区の場合だと以下の補助金制度となっています。
- 木造住宅の耐震改修の行った場合、工事費の一部を助成
- 65歳以上の方がバリアフリー改修を行った場合、最大20万円支給
- 地球温暖化防止設備を導入したら工事費の一部を助成
これはほんの一部に過ぎませんが一例としては上記のものとなっています。どのような補助金制度なのかは各自治体のHPなどで確認してみましょう。そして結果的に新築とリノベーションのどちらが良いかと言ったら結局は好き好きではありますが、中古住宅のリノベーションの方が得ではあるでしょう。
知っておくべき中古住宅のリノベーションの知識
ここでは、中古住宅をリノベーションするにあたっての知っておいた方が得なことや注意点について解説していきます。まずはメリット・デメリットをはじめ、知っておくべき知識を紹介していきます。
リノベーションするメリットとは
まずは良い点から紹介していきましょう。
低コストで物件購入ができる
物件というのは年月が経てば経つほど価値が下がっていくため、中古物件は土地柄にもよりますがかなり安く購入できることもあります。戸建ての場合だと新築から15年~20年で価値が下がっていくと言われ、それ以降は価格変動は安定します。つまり、築20年以上も経過している住宅ならほぼ土地代で購入できてしまうほどです。
諦めかけていた土地の選択肢に入れることが出来る
新築で建てるとなると人気のエリアの土地はなかなか手に入れることが出来ないなど、諦めないといけなかったということがありますが、中古物件をリノベーションする目的で中古物件を探すことになれば、たとえ諦めかけていたエリアの土地でも選択肢に加わることが出来るので視野に入れることができるのです。
自由度が高い
リノベーションの良いところは自由度の高さです。柱や基礎などはそのままで、不要な壁を壊して広々とさせても良し、壁の色も好きな色に自由です。中古住宅の状態から後は好きなように自由なので、必ず気に入るリノベーション住宅になるでしょう。費用が嵩みますが外壁や屋根も塗り直してもOKです。
リノベーションするデメリットとは
続いては、良くない点を紹介していきます。良い点ばかりに目を向けず、良くない点も念頭に入れておきましょう。
耐震基準などを守るための補強費用がかかる場合もある
新築よりは費用は抑えられますが、例えば古い築年数の場合に耐震基準を守るために基礎工事を行なったり補強などするための費用がかかる場合があります。思っていたよりも高額費用となってしまうケースも考えられるでしょう。
新築と変わらないような費用になってしまうこともあるため、そうなると中古住宅を選んだ意味があまりなくなるということは覚えておきましょう。
実際に住むまでにそれなりの期間を要する
中古住宅のリノベーションとなると、まず設計から始めて実際に住み始めるまでに4カ月~6か月はかかるとされています。新築だと購入してから引き渡しまではそこまで時間はかかりません。
また、引き渡しまでの間は違う家で暮らすことになるので賃貸なら家賃もかかり、住宅ローンがあればローンも払うといった経済的に余裕が無ければ苦しい思いをしてしまう可能性があります。今すぐに引っ越しを考えている人には向いていないでしょう。
リノベーションのために中古住宅の購入前チェックポイント
簡単に中古住宅の購入を決めないようにしましょう。購入前のチェックポイントを知り、クリアしているならば慎重に考えた上で踏み切っても良いでしょう。チェックポイントは以下の通りです。
- 住宅の構造を知っておく(場合によってはお好みの間取りにできない)
- 新耐震基準に沿っているか(沿っていなければ基準に合わせた工事が必要)
- 基礎や土台の状態は良好か(白アリ対策などの補修や駆除は費用がかかる)
- 欠陥住宅ではないか
- 違法建築ではないか(違法建築だとローンが通らない)
- 住宅の図面が必要(リノベーションするなら必ず必要)
- 家の外側の状態が良好か(悪ければ外壁や屋根なども補修は必要)
- 庭や外構スタイル
- 前住人のものがないかどうか(あれば処分)
大まかにまとめましたが、上記のポイントをチェックすると良いでしょう。特にリノベーションなので図面や構造のチェックは必要です。欠陥・違法建築でないかどうか、耐震基準に関しても重要な部分ですので忘れずにチェックしましょう。
リノベーションのことはリノベーション会社に相談しよう
チェックポイントを踏まえて、困ったことがあったり分からないことがあればリノベーション会社に相談してみましょう。リノベーションの知識に長けた専門業者なので分からないことは解決できるはずです。中古物件のリノベーションにはリスクもあります。そのリスクを避けるためには相談してみることで希望通りにリノベーションできるかどうかを知ることができるのです。
リノベーションした成功事例と失敗事例を紹介
続いては、中古住宅をリノベーションした成功事例と失敗事例を紹介していきます。成功もあれば失敗もあるように、どのような感じで成功となったのか失敗となったのか、失敗事例に加わらないっためにも見ておきましょう。
リノベーション住宅の成功事例から学ぶ
2つの成功事例を紹介していきます。一例ではありますが、成功事例では空間をどのように作るのか、どのようなアイデアがあるのかを知ることができます。
1階部分を改修したことにより、明るい空間を作ることが出来た
築16年~20年の戸建て住宅 | 全体価格2,750万円 | 3か月以上の工期 |
1つ目のこちらの事例では中古物件を全面改修し、家族のライフスタイルに合わせた間取りに変えています。リビングに面していた和室を壊してLDKが一体型となった空間スペースを作って階段や廊下をLDK内に入れることで、帰宅すると必ずリビングを通って各々の部屋に入るという流れにしています。自然と家族がコミュニケーション取れるような設計です。
水回りの設備交換や配置を見直し、風通しの良い空間に出来た
築16年~20年の戸建て住宅 | 全体価格1,480万円 | 2か月の工期 |
築年数がかなり経過していたために水回りの老朽化が進んでいたので戸建て住宅を一新させました。一新していくと共には配置関係も見直し、薄暗い場所にあった洗面は明るい場所に移すなどをしています。窓を増やしたことで風通しの良い空間を演出しています。
リノベーション住宅の失敗事例から学ぶ
自由度が高いリノベーションですが、成功事例もありながら反対に失敗事例も多くあります。失敗事例を踏まえてリノベーションをどうするか慎重に考えましょう。一例ではありますが失敗事例から学べることもあるので参考にしましょう。
予算ぎりぎりのためのリノベーションの予算が足りなくなった
中古住宅でリノベーションをと考えているならば、物件の購入費用だけではなくリノベーションの費用のことも考えて費用の工面をしないといけません。リノベーションのの費用もどこをリノベーションするのかによっても金額はさまざまですが、1,000万円は用意しておくと良いでしょう。
長期での住宅ローンが組められなかった
金融機関にもよるのですが、築年数が古いマンションの場合だと担保価値が認められずに住宅ローンを長期で組むことができないということがあります。ローンの借り入れ期間が短くなればその分月々の返済額に響きます。金融機関を相談し、住宅ローンはどうなるのか確認しましょう。
・アイデアを得られる
・リノベ予算も考えておく
・ローンが組めない可能性
リノベーションとリフォームでは何が違うのか
一般的にはリフォームは老朽化したとされる建物を新築の状態に戻すことを指し、リノベーションは既に建てられた建物に大規模工事を行い、性能などを新築の状態よりもよくさせたり価値を高めさせることを指しています。確固たる定義は実は無いのですが、もう少し具体的に2つを比べてみましょう。
リノベーションとリフォームの費用の差
所謂リノベーションは「新しく作り変える」といった意味合いを持ちます。間取りや設備、そして内装なども全て自由に変えられるのがリノベーションの良いところ。戸建て住宅だけではなく、マンションなどのリノベーションできるところもあります。
例えばマンションをフルリノベーションする場合、費用の相場は1㎡あたり10万円~15万円なので、60㎡のマンションなら600万円~900万円を目安として考えます。しかしあくまで目安なので鵜呑みにはしないよう注意しましょう。
そして戸建て住宅のリノベーション費用は、マンションと違って増築できたり外壁などの塗装をする可能性もあるため具体的な費用の目安は算出しにくいのが現状です。工事費用に関しては業者に見積もりを取ってもらうのをおすすめします。
リフォーム費用は施工内容によって変わる
リフォームはどこを工事するのかによって費用が変わります。キッチンをガスコンロからIHに変えるという工事の場合は約25万円からかかります。キッチンのみならずリビングなどの内装を一新するとなればそれ以上にかかるでしょう。キッチンの施工内容で見比べてみましょう。
ビルトインオーブン・コンロ等の交換 | 10万円~ |
システムキッチン交換 | 50万円~ |
レイアウト変更・システムキッチン交換 | 150万円~ |
あくまで目安ではありますが、大体このような相場となっています。キッチンだけで比べてみましたが、他にも浴室や部屋などのリフォームも一緒にするならもっと金額はかかってきます。例えばフルリフォームをする場合、70㎡なら700万円~1,000万円はかかるとされています。
・元に戻すリフォーム
・一新するリノベーション
・目安は1,000万前後
リノベーションした中古住宅は高値で売却できる?
続いては、中古住宅をリノベーションしてその後に高く売却するためにはどうしたら良いのかについて解説していきます。
売却前にリノベーションしても売れない可能性がある
中古住宅を検討していて、少しでも安く購入したいという買い手の気持ちを考えれば、あまり大規模なリノベーションをしない方が良いという場合もあります。リノベーションでかかった費用分だけを差し引いて売却ということも出来ますが、売り出し価格から買い手が値引き交渉してくることもあるので結果的に損になってしまうこともあります。
リノベーションするかどうかは不動産会社に相談する
リノベーションして高く売却できるかはその住宅の条件にもよるので明言はできません。そういった時は不動産会社に相談してみることをおすすめします。リノベーションした方が良いのかしない方が良いのか、不動産会社ならアドバイスをしてくれるはずです。
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少しでも高く売りたいなら一括査定をしよう
リノベーションしてからの中古住宅の売却では、結論から言えばそんなに高くは売れないという可能性があります。しかしほんの少しでも高く売りたいという場合は不動産売却の一括査定サイトを利用しましょう。一括査定サイトでは信頼できる仲介不動産会社に査定を依頼することができ、複数社に見積もりを取ってもらうことができます。
・高くは売れにくい
・一新する前に相談する
・一括査定を利用する
リノベーションをする前に買い手の気持ちを考えよう
リノベーションをすることで中古住宅は綺麗に新しく生まれ変わります。リノベーションは自由度が高いため好きなように変えていくことができるのがメリットの1つ。しかし、リノベーションされた中古住宅を仮に売りに出した時、確実に売れるかどうかは分かりません。
もしかしたら売れずに残ってしまう可能性もあるのです。リノベーションは家主の好みが反映されるので、買い手からしたら好みではないことも有り得ます。
中古住宅をリノベーションしようと決断してしまう前に、必ず不動産会社に相談してみましょう。そして、買い手がどのような気持ちで購入をしようとするのかも考えて行動しましょう。