マンションを購入するときには、マンション自体の購入代金のほかに、必要とする費用はどのくらいあるのでしょうか。マンションの価格は高額なため、住宅ローンを組む人がほとんどです。そして、住宅ローンの支払いはそのあとも長い間払い続けることになります。
マンションを購入するときには、この住宅ローンのほかに初期費用がかかります。それらの支払いも高額になることが多く、事前に計算して用意する必要があります。マンションの購入は、事前にこれらの費用を全て考慮して資金計画を立てる必要があります。
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マンション購入時にかかる費用の種類と目安
マンションを購入するときには、たくさんの初期費用がかかります。マンションの購入の前には、初期費用を把握して、資金計画を立てることが重要です。
マンション購入時にかかる費用の目安
マンションを購入するときには、ほとんどの人が住宅ローンを組んで購入しています。この住宅ローンは、高額なケースが多いため、長期間に渡って返済することになります。しかし、マンションの購入のときに支払う費用は購入代金だけではありません。
さまざまな手数料や税金などがかかってきます。マンションの購入時の諸費用はおよそ物件の購入価格の3%から7%と言われています。また、マンション購入後、入居すると管理費や修繕積立金の支払いをしなければなりません。そして、マンションを取得したことで、固定資産税や都市計画税も納税しなければなりません。
このように、物件の購入代金以外にも多くの費用がかかります。資金計画をするときには、これらの費用のことも考えて立てる必要があります。
マンション購入時の初期費用
マンションを購入する際の初期費用には以下のものがあります。
申込証拠金
申込証拠金は、新築マンションを購入するときに不動産会社に支払うお金です。2万円から10万円となることが多いようです。このお金は契約すると手付金の一部になります。また、契約しなかった場合には戻ってくるお金なので、領収書を保管しておきましょう。このお金は、新築マンションの購入時にかかるお金です。中古マンションなどの購入の際にはかかりません。また、最近では新築マンションでもかからない場合があります。
手付金
マンションの売買契約をするときに、買主から売主へ支払うお金のことです。物件の購入代金の5%から10%くらいになることが多いようです。買主は手付金を放棄することで、契約を解除することができます。また、売主から契約を解除する場合には、手付金を買主に返却し、同額の違約金を支払わなければなりません。このお金は最終的には、購入代金の一部となります。
印紙税
売買契約書には、そのマンションの売買価格に合わせて収入印紙を貼付し、税金を納めなければなりません。マンションの購入価格に多い、1,000万円から5,000万円の間の金額は、軽減税率の適用で印紙税は10,000円になります。なお、印紙税の軽減税率の適用は2020年の3月31日までとなります。
仲介手数料
仲介手数料は、中古マンションなどを購入するときに、不動産会社に仲介を依頼したときに支払うお金です。仲介手数料は上限金額が決まっています。
(物件価格 x 3.24% + 64,800円) + 消費税 = 仲介手数料 |
金額は上記の計算式で計算することができます。中古のマンションを購入したときには、不動産会社が仲介するため、仲介手数料が発生し、新築マンションを購入するときよりも諸費用が多くかかります。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産を取得したときに一度だけかかる税金です。建物・土地それぞれの固定資産税評価額の3%になります。令和6年3月31日までは、軽減税率が適用されて3%になりますが、その後は、4%になります。
また、平成30年の3月31日までに取得した中古マンションの建物部分は以下の条件を満たすことで、最大1,200万円の控除を適用することができます。築年数に控除できる金額は変わります。
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なお、土地部分は、45,000円か1平方メートルあたりの固定資産税評価額 x 2分の1 x 建物の床面積の2倍(最大200平方メートル) x 3% を控除することができます。また、不動産取得税はマンションを購入してから、半年から1年後に納税通知書が送られてきます。
固定資産税と都市計画税
固定資産税と都市計画税は、不動産を取得すると支払わなければならない税金です。固定資産税は毎年、1月1日にその不動産を所有している人に支払い義務があります。また、市街化区域に不動産を持っている場合には、都市計画税も支払うことになります。中古のマンションを購入したときには、日割り計算をして売主に支払うことになります。
登記費用
新築のマンションを購入したときには、所有権の保存登記をしなければなりません。また、中古のマンションの場合には、所有権移転登記を行います。また、金融機関で住宅ローンを組むときには、抵当権設定登記を行います。これらの登記を行うときには、登録免許税がかかります。
税率 | 軽減税率 | |
所有者保存登記 | 0.4% | 0.15% |
所有権移転登記(建物) | 2% | 0.3% |
所有権移転登記(土地) | 1.5% | – |
抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% |
所有者が居住用にするための住宅の取得であれば、ほとんどの場合、上記の軽減税率が適用されます。なお、登録免許税の軽減税率は平成32年3月31日までに登記されたものに適用となります。
ローンの契約時にかかる費用
ローン契約時には、印紙税や事務手数料、保証料などの支払いがあります。
印紙税
ローン契約の際の契約書に貼付することによって納める税金です。印紙代はローンの借入金額によって変わります。多くの人が借り入れする金額の1,000万円から5,000万円だと、印紙代は20,000円となります。
事務手数料(融資手数料)
事務手数料は金融機関によって金額が異なります。定率制と定額制の2つの設定があり、定率制なら借り入れの2%くらいになることが多いようです。また、定額制の場合は、32,400円や54,000円といった金額を設定している金融機関が多いようです。
ローン保証料
ローンの保証料は金融機関によって金額が変わります。金融機関によっては、借入金額の1,000万円あたり20万円という設定のところがあります。「フラット35」のように保証料が無料の場合もあります。
団体信用生命保険特約料
民間の金融機関から住宅ローンの借り入れをしている場合には、原則、団体信用生命保険に加入しなければなりません。そして、保険料は金利に含まれています。2017年10月以降からは、フラット35を利用しても、団体信用生命保険に加入が原則となり、保険料は金利に上乗せされることになりました。
火災保険料
火災保険料は保険会社によって異なります。また、保証範囲によっても金額が変わってきます。なお、地震保険に加入するときには、火災保険と一緒に加入することになります。
管理費や修繕積立金と修繕積立基金
マンションに住み始めると、毎月、管理費や修繕積立金を支払います。これは、マンションの管理・維持するためには必要な費用です。この費用を入居月とその翌月分を購入時に払う場合があります。また、新築マンションの場合には、修繕積立基金の支払いがあるものもあります。この修繕積立基金はマンションによって異なりますが、40万円くらいになるところが多いようです。
マンション購入後にかかる費用
マンションを購入後には、住宅ローンの返済が始まります。また、管理費や修繕積立金の支払いも始まります。
住宅ローンの支払い
マンションを購入するときに住宅ローンを組んでいると、返済が始まります。これは、毎月支払うものなので、マンションの購入の前に返済計画をしっかりと立てましょう。変動金利を利用している場合には、支払額が増える可能性があるので、月々の返済額は余裕をもって設定することをおすすめします。
管理費・修繕積立金
マンションに住み始めると、毎月、管理費や修繕積立金の支払いが始まります。これは、マンションの共用部分の清掃や管理、大規模修繕に使われる費用です。マンションの設備やグレードによって、金額は大きく異なります。毎月かかる費用なので、住宅ローンの支払いと併せて、資金計画にしっかりと入れる必要があります。
引越し費用・家具購入費
引越し費用も家族で引っ越すことになると、大きな金額になります。距離や荷物の量にもよりますが高額になることが多いので、資金計画に入れておきましょう。また、新居に合わせて家具を購入する場合には、その購入費用もかかります。そして、引っ越しの際に家具などの大型ごみを処分するには、地区によっては処分費用がかかることがあります。
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マンションの初期費用を抑えるコツ
マンション購入時の初期費用を抑えるには、自己資金を多めに用意することで抑えることができます。また、火災保険の補償内容を見直したり、仲介手数料を値引きしてもらうことでも初期費用を減らすことができます。
自己資金を多めに用意する
マンション購入時の初期費用を抑える一番効果的な方法が、自己資金を用意することです。自己資金を増やせば、ローンの借入金額を減らすことができます。借入金額を減らすと、ローンの保証料も減らすことができます。また、頭金を多く用意することによって、借入金額が減るとその後のローンの支払いも抑えることができます。
物件価格が低いものを選ぶ
物件価格を下げると、それに関わる諸費用は比例して、下がっていきます。中古のマンションを購入する場合には、仲介手数料がかかります。この費用が一番大きくなるのですが、この費用は購入金額に比例して大きくなります。ローンの保証料も借入金額が大きくなるほど、高くなる場合が多いです。諸費用を高く感じるのであれば、物件価格を見直すことで諸費用を下げることができます。
ローンの保証料や事務手数料が安いところを選ぶ
住宅ローンを組んでマンションを購入するときには、ローンの事務手数料やローンの保証料がかかります。これは金融機関によって金額はかわりますが、中にはローンの保証料が0円というところもあります。フラット35やソニー銀行を利用すると、保証料が無料です。しかし、保証料を無料にする代わりに、融資手数料が高額になる場合があるので注意が必要です。
なお、ローンの保証料は契約期間終了前に、一括返済や繰り上げ返済をすると残りの保証期間の分の保証料は返金されます。しかし、融資手数料は返金されません。借り換えや一括返済などを予定している人は損をしないように選ぶ必要があります。
火災保険の補償範囲を選ぶ
火災保険はマンションを購入すると、原則加入しなければなりません。火災保険には、さまざまな補償がついていて、勧められるがままに加入してしまうと、たくさんの補償がついていて高額になる場合があります。そのため、自分のマンションの所在地のハザードマップを確認しながら、補償範囲を選ぶことで火災保険の保険料を抑えることができます。
仲介手数料の値引きを交渉する
中古マンションを購入するときには、不動産会社に仲介手数料を支払います。この手数料はマンションの購入価格に対して3.24%プラス64,800万円に消費税がかかります。そのため、高額になることが多いです。しかし、これは不動産会社が請求してもよい上限金額です。そのため、両手仲介(自社の顧客である売り手の物件を、自社の顧客の買い手に仲介すること。)などのケースの場合には、交渉次第では値引きしてもらえる可能性があります。
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マンションの初期費用を払うときの注意点
初期費用の支払いは基本的には現金払いになります。また、諸費用ローンや住宅ローンに組み込む方法もあります。
基本は現金払い
マンションを購入するときには、マンション本体の購入代金のほかに初期費用がかかります。この初期費用は100万円を超えることも多く高額になることがほとんどです。これらの費用は基本的には現金払いになります。契約や決済の前に用意する必要があります。マンションの購入の際には、これらの諸費用を事前に用意してから購入を決めることをおすすめします。
諸費用ローンを利用する
金融機関によっては、マンション購入のときにかかる諸費用のためのローンを提供しているところもあります。例えば、りそな銀行なら、住宅購入に関わる仲介手数料や火災保険料、保証料、引っ越し費用などの支払いのためにローンを組むことができます。
りそな銀行での諸費用ローンは500万円まで借り入れすることができます。この場合には、住宅ローンよりも金利の設定が高くなる場合が多いです。借り入れには、りそな銀行での住宅ローンをすることなどの条件があるので、詳細は問い合わせが必要です。
住宅ローンの借入金額に初期費用を上乗せして借り入れる
マンション購入にかかる初期費用は、住宅ローンに上乗せして借り入れすることも可能です。頭金なしで、物件価格全額を借り入れすることができる金融機関もあり、それに諸費用を加えて住宅ローンを組むことも可能です。しかし、住宅ローンは借入金額が大きくなればなるほど、月々の返済金額が大きくなります。そのため、月々の返済が余裕をもってできる金額であるかを確認してから借り入れることをおすすめします。
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・住宅ローンに組み込む
マンションを購入するときはタイミングも大事
マンションを購入するときにはタイミングも大切です。引っ越しのタイミングや、購入のタイミングを調整できるのであれば、諸費用を抑えることができます。今なら、新築マンションの購入のときや課税業者が保有する中古マンションの購入には消費税がかかるので、増税前に購入するのも1つの節約の方法です。
マンションを購入するときには、ほかにも印紙税や登録免許税、不動産取得税が発生します。これらはその税金を支払う時期や登記を行う時期によって、軽減措置が適用されることもあります。マンションの購入代金は高額になるので、少しでも税率が低い時期に購入すると、税金の支払いを抑えることができます。
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マンションを購入するときには生活にゆとりをもった資金計画を
マンションの購入は一生に一度あるかないかの大きな買い物になる人も多いと思います。後悔しないためにも、慎重にじっくりと選びたいものです。そして、マンションを購入するときには、マンションの購入代金のほかにもたくさんの諸費用がかかります。また、購入後にも、住宅ローンのほかに管理費や修繕積立金の支払いがあります。
このように、事前に用意する金額も多額ですが、その後に毎月、支払続けなければならないお金もあります。したがって、マンションの購入を検討するときには、すべてのお金を考慮に入れて資金計画をする必要があります。そして、無理のない返済計画を立てることで、ゆとりのある生活を送ることができます。