マンション売却と築年数の関係を解説します。
「自分のマンションの築年数だと、相場はどれぐらいだろう….」
「築何年ぐらいまでが高く売れるの?」
マンション売却や購入を検討している方で、このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
マンション売却において、築年数は売却価格を左右する大きな要因の一つです。
この記事では、以下のポイントに焦点を当てて詳しく解説します。
マンション売却における築年数と価格の関係
マンション売却において「築年数」は価格にどのような影響を与えるのか解説します。
マンション売却を検討している方は参考にしてみてください。
築年数が経過するほどマンションの売却価格は低下する
マンションの売却価格は築年数が経過するほど低下するのが一般的です。
実際に、どれくらい価格が低下するのか見てみましょう。
REINS TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」を参考にすまいステップ編集部が作成
築0年を100%とすると、築26年以降は43%ほどの価値しかないことがわかります。
築31年以降は33%とかなり価格が下落するため、築年数が価格に大きく影響しているといえます。
このことからも、マンション売却を検討している方はできるだけ早めに売却するのがよいといえるでしょう。
土地は築年数経過しても価値が減少しない
マンションの売却価格と築年数の関係について解説しましたが、上記で示した売却価格はあくまでも参考程度に捉えることが大切です。
理由は、土地の価値によって実際の売却価格が大きく異なるからです。
そもそも、マンションや戸建てなどの不動産は「建物」と「土地」の両方の価値を考慮して売却価格が決定します。
建物の価値は、前述のとおり築年数の経過とともに価値が減少していきますが、土地は「劣化」の概念がないので築年数の影響を受けません。
つまり、マンションの築年数が経過するほど売却価格が低下するのは、建物の劣化や損傷によって価値が減少するからです。
- 近くに商業施設が建てられた
- 近くに学校や病院が建てられた
- 新駅が作られた
- 治安がよくなった
- 利便性が良くなった
このような周辺環境の変化があるとそのエリアの需要が増し、人気エリアとなるので価値も上昇します。
つまり、築古マンションで建物自体の価値はなくなっていたとしても、立地状況がよければ高額で売却できる可能性が十分にあります。
築古マンションを売却しようとしている方は、建物だけでなく周辺環境の変化にも着目するとよいでしょう。
マンションは築47年で価値がゼロになる
マンションの価値は、建物と土地の価値の合計であり、土地の価値は築年数の影響を受けないとお伝えしました。
ここでは、建物自体の価値について解説します。
以下は、建物の構造ごとの耐用年数を表した表です。
構造 | 耐用年数(住宅用の場合) |
---|---|
木造・合成樹脂造のもの | 22年 |
木骨モルタル造のもの | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの | 47年 |
れんが造・石造・ブロック造のもの | 38年 |
(参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)」)
一般的なマンションは鉄骨鉄筋コンクリート造、もしくは鉄筋コンクリート造のため、築47年が耐用年数です。
マンション売却における築年数別の売却価格
マンション売却における築年数別での売却価格をご紹介します。
先ほどご紹介した「築年数ごとの成約価格の表」を使って解説します。
REINS TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」を参考にすまいステップ編集部が作成
築0~5年
築5年までのマンション売却価格は平均6,638万円であり、新築時と比べても外観や室内に劣化が見られにくいため、高い価格で売却できる可能性があります。
また、そこまで築年数が経過していないため、建物としての価値が大きく低下していないのも特徴です。
築5年までの価格を基準として、築6年以降のマンションがどれくらい価格が減少していくのか見てみましょう。
築6~10年
築6~10年のマンション売却価格は平均6,193円万円であり、築5年までのときと比べて440万円ほど安くなっています。
築6年を超えると、築5年までの築浅マンションよりも築年数の影響を受けるため、建物としての価値が減少します。
それでも、人気のエリアや利便性の良い立地であれば、買い手からの需要があるので新築同様の価格で売れる場合もあります。
築11~15年
築11~15年のマンション売却価格は平均5,543万円であり、築5年と比べて1,000万円以上安くなっています。
築11年を超えると、外観や室内状況、設備などに劣化や損傷が見られるケースが多くなり、マンションとしての価値も下がる傾向にあります。
実際、国土交通省の「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」によれば、マンションの大規模修繕は12~15年に1回の頻度で行われると記載されています。
計画修繕では、効率的な工事実施のため、複数の部位や工事項目をまとめて実施することが多く、全面的な外壁塗装等を伴い、修繕積立金を充当して行う計画的な修繕等を大規模修繕と呼び、通常は 12~15 年程度の周期で実施されます。
つまり、築11~15年マンションは新築時と比べて劣化状態が進んでいる時期であり、価値が落ちやすいタイミングといえるでしょう。
築16~20年
築16~20年のマンション売却価格は平均5,250万円であり、築11~15年までのマンションよりも300万円ほど安くなっています。
これまでの売却価格の低下率と比べると緩やかな低下となっており、築11年と20年マンションの価値に大きな差はないといえます。
築16年マンションは大規模修繕を完了した直後であり、買い手の需要も再度上昇するタイミングでもあります。
そのため、価値を大きく下がることなく売却できる可能性が高いでしょう。
築21~25年
築21~25年のマンション売却価格は平均4,290万円であり、築16~20年マンションよりも1,000万円ほど安くなっています。
この築年数を迎えると、マンションによっては2回目の大規模修繕を行うタイミングであり、マンション自体の劣化状況も進んでいるケースが多くあります。
築11~15年で価格が大きく下がったのと同様に、築21~25年も大規模修繕の影響でマンション価格が大きく下がる時期といえるでしょう。
築26~30年
築26~30年のマンション売却価格は平均2,832万円であり、さらに1,400万円ほど安くなっています。
築30年を迎えると、建物の外観や室内状況はかなり経年劣化しており、建物としての価値も大きく下がる傾向にあります。
また、建物が古く、買い手の需要もなくなってきているのも売却価格が低下している原因でしょう。
新築と同様の価格で売却するのは難しいですが、リフォームをしたり周辺の利便性が向上したりすれば高い価格での売却も可能です。
築31年~
築31年以降のマンション売却価格は平均2,193万円であり、さらに630万円ほど安くなっています。
築31年を超えると「築古マンション」と一般的に扱われるため、築浅マンションと比べて大きく価格が低下します。
また、設備が古いままだったり共用部分の利便性が低かったりするのも価値低下の原因でしょう。
それでも前述のとおり、周辺の利便性や治安などの周辺環境の良さがあれば、高い価格での売却も可能です。
マンション売却は築年数で見るといつがいい?
下のグラフは、マンションの築年数と成約率の関係です。
東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏不動産流通市場(2019)」を参考にすまいステップ編集部が作成
築6年~10年の成約率が最も高くなっており、築20年以降は下降していくことが分かります。
売り出し価格が高いこともあり、必ずしも築年数が浅いほど売れやすいとは限らないことが分かります。
上記のデータから、すまいステップがおすすめするマンションの一番の売り時は築15~25年目です。
この章では、その理由を詳しく解説していきます。
①手持ちの資金を使わずにマンションを売却できるから
後ほど詳しく説明しますが、住宅ローンの残高よりもマンションの売却価格が安くなった場合(=オーバーローンになった場合)、売り主は不足額を支払わなければなりません。
株式会社価値総研の試算によると、ローンの残高よりもマンションの売却価格が高くなるのは、新築から15年目ごろからです。
手持ちの資金を使わずにマンションを売却したい場合は、築15年以降に売却することをおすすめします。
②築25年を過ぎると「住宅ローン控除」が使えなくなり、買い主からの人気が下がるから
住宅ローンがある場合に所得税が控除される「住宅ローン控除」が受けられるのは、築25年までの物件です。
マンションの買い主も当然「住宅ローン控除」が受けられる物件を求めます。
そのため、築25年を過ぎた物件は購入希望者が減少します。
③資産価値の減退が急であるため、なるべく早く売ったほうが得だから
マンションの資産価値が急激に減退するのは、新築15~25年目です。
この期間のマンションを所有している場合は、景気の状況を見て売却時期を決めるよりも、なるべく早く売却してしまったほうがお得です。
マンションの売却価格は築年数だけでなく立地や間取りにも左右されるため、まずは不動産一括査定で売却価格をシミュレーションしてみることをおすすめします。
→築15~25年のマンションの売却価格をシミュレーションする
マンション売却における築年数別の売却ポイント
売却を考えているマンションの築年数により、売る時の注意点は異なります。ここでは、築年数別の売却時の注意点を紹介していきます。
築10年以下の築浅マンションの売却はオーバーローンに注意
築年数が浅いマンションを売却する場合、住宅ローンの残高よりもマンションの売却価格が安くなる「オーバーローン」が発生する場合があります。
下の図は、住宅ローン残高とマンションの住宅の資産価値をシミュレーションしたグラフです。
築15年より前は、オーバーローンとなっていることが分かります。
オーバーローンになった場合、売り主は「住み替えローン」を借りたり、手持ちの資金を使ったりして不足分を支払わなければなりません。
とはいえ、築年数が浅いマンションは、「キレイでお手頃なマンションを買いたい」と考えている購入者からの人気が根強く、買い手が見つかりやすいです。
まずはどのぐらいの売却価格になるのか試算し、住宅ローンの残高と見比べてみるとよいでしょう。
築10年~20年のマンションは売却におすすめ
築年数が10~20年のマンションは、新築の物件よりもリーズナブルな価格で購入できるため根強い人気を誇っています。
しかし、建てられてから10年以上が経っているため、マンションの見栄えが悪くなってくる時期でもあります。
また、管理体制が整っていないと「古い」イメージを買主に与えてしまう恐れもあります。
また、築15年ほど経ったマンションでは一度目の大規模な補修工事を行うところが多くあります。
その結果、住民の支払う月額の「修繕積立金」が値上げされるケースが多いため、その時期の購入を渋る買主も多いようです。
補修工事後に売却を進めるようにすれば、スムーズに買主を見つけることができる可能性は上がりそうです。
築20年~30年のマンション売却
築20年を過ぎてしまうと、流行の間取りとは外れていたりキッチンやお風呂などの設備が劣化してきたりと、古さが目立ち始めてしまうという問題が出てきます。
そのため、売却を考えるのであれば、リフォームを行い最新設備を導入するなどの工夫が必要でしょう。
リフォームなどにお金を投資するのが難しいという場合は、買主が購入後にリフォームを行いやすくするように、売却価格を下げるという手もあります。
需要が低くなる築年数のため、なにかアピールポイントを作ることが大事です。
→現在の売却価格を調べる
築年数が30年以上のマンション
築30年を超えた物件の売却を考えるのであれば、部屋内のほとんどのものを交換する必要があると言えるでしょう。
築30年超えの建物は劣化や損傷が大きくなっているケースがあり、大規模修繕やリフォームが必要となる場合があります。
大規模修繕が必要な場合、それまでにマンション管理自治体が修繕積立金を積み上げてきたのかが問題となります。
売り出す際は現在の修繕積立金の額を確認しておきましょう。
なお、修繕積立金が既に集まっているかどうかを買主は直接確認することができるため、積み上げてきていなかったという場合は大幅な値下げを要求される可能性もあります。
マンションが売れる限界は「新耐震基準であるか」
築年数が古くても、新耐震基準のマンションであれば売れる可能性があります。
新耐震基準のマンションとは、「建築確認証が1981年6月1日以降に発行されたマンション」を指します。
新耐震基準でない場合、買い主は耐震基準などの安全性に対する懸念を持つ可能性があります。
また、長期固定金利住宅ローンである「フラット35」などの一部金融商品も使えません。
築年数が古いマンションが売れるかどうかは、新耐震基準であるが境目となるようです。
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マンション売却において築年数が経過していても売れるケース
築30年以上など、築年数が古いマンションが一概に売れないかというとそうではありません。
以下では築年数が古いマンションが売れるケースやタイミングについて解説します。
また、売れ残って維持管理に限界が訪れてしまったマンションについては「限界マンションとは?スラム化で悲惨な結末を迎えるマンションの実情」でご紹介しています。
大規模修繕が集中するタイミング
中古のマンションの購入希望者は、大規模修繕が実施された後のマンションに対して好印象を抱く傾向があります。
大規修繕とは、マンションの老朽化や経年劣化による重大な不具合を防ぐために、管理組合が主体となって長期修繕計画に基づいて行われる修繕工事です。
大規模修繕は築15年目や30年目あたりに工事が集中することが多く、外壁塗装やエレベーターの入れ替えなどが行われるのが一般的です。
マンションのチラシに「大規模修繕実施済み」と記載してあるだけで、アピール力が段違いと言われています。物件の価値を向上させる大規模修繕が近い場合は、修繕が完了した後に売却を行えば上手くいく可能性が高いです。
人気エリアに立地しているマンション
中古マンションの中には、売却価格が下がりにくい例外もあります。
下がりにくい例外として挙げられるのが、東京の一部人気エリアにある、デザイナーズマンションであるなど、築年数に左右されにくい物件も存在します。
建物は年を経るごとに価値を下げていきますが、土地の資産価値は下がることはありません。さらには土地の査定額が値上がりすることで予想よりも少ない価格の減少で売却できるなんてことも。
しかし、このように築年数に左右されずらいデザイナーズマンションは稀で、多くは築年数に従って価値は下落すると考えてよいでしょう。
【注意】リフォームすれば売れるわけではない
築年数のかさんだマンションをリフォームすることが必ずしも売却につながるわけではありません。
なぜなら、築年数の古いマンションの買い手には、マンションを安く買い入れ、自身の好きなようにリフォームしたいと考える層が一定数いるからです。このような買い手は、リフォーム費用を考え、なるべく安くマンションを購入したいと考えています。
マンションを安く買い取って好ましいリフォームをしたいと考えている買主にとって、売主によるリフォームは購入の候補から外す原因となります。売れないのではないかと不安に思う気持ちは山々ですが、そこはぐっと我慢しなるべくリフォームしない方がよいといえるでしょう。
また、古いからといってマンションをリフォームしたとしても、かけたリフォーム費用ほどマンションの価値が上がるわけではありません。
物件の価格はおおむね相場で決まってしまうため、リフォームしたからといって買主がリフォームに価値を見出さなければ相場の価格で売ることになります。
高いリフォーム費用をかけて相場の価格で売るのは売主にあまりメリットのあるものではないといえるでしょう。
まとめ
都市部では特に根強い人気を誇るマンションですが、人気の間取りでも築年数が経つにつれて売却価格も減少していきます。築15年を目安にその売却価格は大幅に下がるため、マンションの売却を考えているのであれば、15年までに行うとよいでしょう。より高値で売却を行うことができれば、次の不動産を購入する際に役に立つはずです。マンションの売却を行う際は、今回紹介した高値で売るコツやタイミングを参考にしてみてはいかがでしょうか。
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