マンションを購入や売却をする際には、市場の価格を意識することが大切です。バブル時に高騰していたマンション価格はバブル崩壊とともに急落、その後回復していましたが、リーマンショックや東日本大震災の影響で度々下落、最近では東京オリンピックや大阪万博を見越しての価格上昇など、世界的な出来事や経済界の影響を受けながら市場価格は日々変動しています。
本記事では、近年のマンションの平均価格や首都圏/地方での市場についてや、中古マンション市場、マンション購入時のポイントなどを幅広くご紹介します。マンションを購入する方も数年以内の売却を検討している方も、マンション市場の動向をチェックしておきましょう。
マンション購入で後悔した理由と失敗しない5つのポイントを解説!
マンション平均価格 最高値を更新
近年、マンションの平均価格が上昇していることをご存知ですか。建設費の高騰や地価の上昇の影響、また東京オリンピックを目指して相場が好調なことも相まって、新築、分譲ともにマンション平均価格が上昇しています。
2017年のマンションの平均価格
2017年に発売されたマンションの平均価格は全国平均で4,739万円で、1973年からの調査で過去最高額を更新しています。(2018年2月発表)
また、購入されたマンションの平均額を示す、平均購入価格をみると首都圏で5452万円となっており、購入価格の平均でも首都圏では過去最高額をつけています。
こうした結果をみると、近年はバブル期を超えてマンション価格が高騰していている状態だと言って良いでしょう。
地域別の動向
全国平均価格をみるとマンション価格が高騰しているのですが、実は地域別に結果をみるとそれぞれ少しずつ違った特徴が出ています。首都圏、関西、それ位以外の地方と大きく3つに分けて特徴をご紹介します。
首都圏
東京を筆頭とする首都圏エリア(東京・神奈川・埼玉・千葉)では、販売平均価格、購入平均価格ともに最高値をつけています。背景には、23区を中心に土地の価格自体が上がっていることや、また資産目的での需要が増えていることで億ションに人気があつまっており、販売価格や購入価格を押し上げています。
このように首都圏、主に東京23区内で高額なマンションが売れていることにより日本全体のマンション価格が上昇しているようです。
関西圏
関西圏の平均購入価格をみると4,060万円(2017年)とこちらも市場の中では高い水準で推移していますが、実は関西圏のマンション購入価格は前年度から34万円下がっています。
購入された物件の所在地は大阪市が35.5%で一位ですが、前年の40.2%よりもポイントが下がっており、高額なマンションが多い大阪市の物件の購入が減ったことが34万円の価格下落につながったと見られています。
上記のように関西圏のマンション価格は2017年は少し落ち着いたのですが、この調査の後に大阪万博の開催が決定したため、2018年度以降の結果でまた価格上昇につながる可能性もあるかもしれません。
その他の地方都市
首都圏、関西圏以外の主要都市でも、マンション価格が上昇している都市があります。
仙台市では2017年の新築分譲マンションの平均価格が前年比3.8%上昇の4,497万円となっており、高値をつけています。その他にも、札幌市3958万円(前年比1.2%↑)、福岡市は3,668万円(前年比0.3%↑)と各地方の中心となる利便性の高い都市では価格が高騰しています。
ローンの借入総額も首都圏・関西ともに高値
マンション価格の上昇と比例して、住宅ローンの借入総額の平均額も年々高値になっています。
住宅ローンの借入総額平均
マンションの平均価格と同時に、2017年のローンの借入総額の平均額の数値も出ています。住宅ローンの借入総額の平均は首都圏で4568万円、関西圏では3512万円で2005年の調査開始以降最高額を更新しています。
特徴的な部分をあげると、高額な住宅ローンを借りる人の割合が増えている点です。首都圏では、借入総額が5000万円以上の層が前年の2016年の28%を大きく超え、2017年では35%となっています。関西圏でも借入総額4000万円以上5000万円以下の層が2016年の17.7%より増え、2017年では22.1%となっています。
数値の参考:リクルート住まいカンパニー「2017年首都圏新築マンション契約者動向調査」「2017年関西圏新築マンション契約者動向調査」
平均年収は増えていないのに高額ローンを借りる世帯が増加
日本人の平均年収は1997年の467万円をピークに近年では400万円代前半を推移しており、増えていません。今後も大きく上昇していく見込みはないと考えている専門家が多く、平均年収が昔のように右肩上がりしていく社会になることはあまり望めない状態です。
このように年収は増えていないにも関わらず、一方で高額な住宅ローンが組まれている背景には、夫婦2人の世帯年収をベースに住宅ローンを組む世帯が増えていることがあげられます。
既婚世帯でも共働きの世帯は首都圏・関西圏共に60%を超えており、この割合は年々高まっています。夫婦2人で世帯年収を1000万円超を目指せば、4~5000万円の住宅ローンを借りることは可能でしょう。
一方で、子育てや介護などで夫婦どちらかが働けなくなってしまった場合、収入が半減してしまうため、借りた住宅ローンが生活の重しになってしまうことも起こり得ます。不測の事態が起こる可能性も見越して人生設計を十分に検討した上で住宅ローンの額を決めることが必要でしょう。
ローンの適正額を考えよう
住宅ローンの借入総額平均は上昇していますが、ローンは数十年間毎月支払い続けるものですので、余裕を持った額で借入することをお勧めします。
目安としては、年に払うローンの額は年収の20%以内、総額はローンを組んだ時の年収の5倍、多くても6倍ほどが無理なく返すことが可能な額と言えそうです。
当たり前ですが、借入ができる最大額がちょうどいいローンの適正額ではありません、また先ほどご紹介したローンの平均借入額があなたにとっての適正額とも限りません。様々な角度からよく検討して自分の適正額を見極めましょう。
中古マンション市場について
ここまでは新築分譲を含めたマンションの平均価格やローンの平均額をご紹介しました。
購入ではなく売却を考えている方や、新築は手が出ないので中古を探していると言う方など、中古マンションのマーケットに特化した情報を探している方も多くいらっしゃると思います。ここでは中古マンションの市場に注目して動向をご紹介します。
中古マンション市場の動向
首都圏の中古マンションの2017年の平均価格は3,257万円で、前年の2016年の平均3155万円から3.2%の上昇となっています。これは4年連続の価格上昇となっています。
また、関西圏でも中古マンションの平均価格は前年度比2.2%アップの2033万円で、2000年以来17年ぶりに平均価格を2000万円代にのせています。首都圏、関西共に中古マンション市場でも価格が上昇していることがわかります。
平均価格の中古マンションはどこに
首都圏の中古マンションの平均価格は3257円、専有面積平均は60.11m2となっています。この条件を当てはめて東京都内で中古マンションを検索すると、墨田区、江戸川区、葛飾区、荒川区、または調布市などで3LDKほどの間取りの物件をたくさん見つけることができます。
このエリアは高級物件が多い都心5区と比べて不動産価格も手頃な上、子育て世帯も多く住みやすく、また交通網にも不便なく都心への通勤にも30分ほどの便利なエリアと言えそうです。
もし、同じ価格で新築マンションを買う場合には、もう少し狭い家か都心から離れた場所を選ばないといけないでしょう。
中古マンションの売り時を考える
中古マンションの価格についてよく耳にするのは、2020年の東京オリンピックまでは価格が高騰し、その後は冷え込んでいくという見方です。
マンションのみならず不動産の売却のタイミングは難しいのですが、価格が上昇していて、グラフが右肩上がりのうちに売ってしまうことがお勧めです。
多くの人は”価格が下落する前に売ってしまいたい”と思いますので、オリンピック開催の2020年まで景気が良かったとしても、それ以前に売ってしまう人が多く2020年には不動産価格がもう下落し始めている可能性が十分にあります。売り時を逃さないように、定期的にマンションを査定してみるなどし情報収集の上、よく検討して売却タイミングを判断しましょう。
また季節的には、秋口以降年度末にかけてが中古マンションの価格が上がりやすい傾向があります。日本では、4月からの新生活を意識し3月頃が引越しや住み替えのピークです。その時期の入居を見越し、半年前の秋口から売却活動を始めると良いでしょう。
年収別マンション購入金額の目安
マンション選びは、近年のマンション市場やマンション平均価格を知った上で、自分の収入や世帯状況を鑑みて判断をしていくことが大切です。
年収はマンション購入に大きく影響する
マンションを購入する際には、多くの人は金融機関で住宅ローンを借りることになります。住宅ローンの審査では、年齢や健康状態と合わせて年収が大きく関わってきます。
現年収によって、借入可能額が変わりますので、年収はマンション購入に大きく影響があると言えます。
マンション購入金額の目安
先ほどもご紹介しましたが、年に払う住宅ローンの額は年収の20%以内に収め、住宅ローン総額は年収の5〜6倍ほどに設定することが無理なく住宅ローンを返していくために大切です。
世帯年収とマンション価格の目安
頭金500万円で35年ローンで借入れを行うと推定して年収の目安は以下の通りです。
世帯年収400万円/2000万円 |
世帯年収500万円/2500万円 |
世帯年収800万円/4100万円 |
世帯年収1000万円/5700万円 |
頭金がいくら準備できるのか、子供を何人持つ予定なのかなど、その他の要素も考慮する必要がありますが、まずは年収を目安にだいたいのマンション購入金額を考えてみましょう。
マンションを購入する時の検討ポイント
マンションを購入する際には、市場動向を知っておくと同時に、事前に自分達にあったマンションのイメージや条件を固めておくことが大切です。
ここを明確にせずにマンションを探し始めてしまうと、営業の人に勧められたがまま、自分で判断ができない状態で購入してしまい、結果として自分たちに合わないマンションに何十年と住み続けることになりかねません。ぜひ、ご家族で話し合ってみましょう。
購入する地域を検討する
一番大切なのは地域です。まずは購入エリアを絞って考えましょう。
判断ポイントとして、子供の学校の環境はどうか、また通勤の利便性はどうかを鑑みてまずは検討をすると良いでしょう。自治体によっては子育て支援が充実している場所もありますので、そういった観点から判断をしても良いかもしれません。
家族構成や年齢、仕事の仕方などの基本的な生活スタイルから自分たちに会うエリアを特定しましょう。
明確に予算を決める
予算についてもマンションを探し始める前に、事前に決めておきましょう。最新の設備がついていたり、駅から近く人気のエリアにあるようなマンションは、多くの人が憧れますので当然価格が高いです。予算を決める前に探しに行ってしまうと、適正価格よりも高すぎるマンションばかり気に入って検討してしまい、購入後に住宅ローンで苦しんでしまうことになりかねません。
今の年収だけではなく、今後数十年の年収の推移や、子供の教育や親の介護など含めた家族計画を考えることが大切です。また、教育資金が一番高く家計を圧迫するであろう時期を基準にして、月々の支払いに本当に余裕を持てるかを計算してみましょう。できるだけ詳細にシュミレーションをして予算を決めることをお勧めします。
ライフスタイルからイメージを決める
予算とエリアを決めたら、あとは自分たちらしいライフスタイルにあったマンションを探しましょう。
例えば、海が好きなら海が見える湾岸エリアに、ガーデニングが趣味ならベランダでのガーデニングが可能なマンションを探す、本に囲まれて暮らしたいなら書斎として一部屋を確保できる間取りを選ぶなど。
通勤や通学の利便性や予算だけで決めるよりも、このように自分たちならではのお気に入りのライフスタイルができるかどうかの視点を持ちマンションを選ぶことにより、日常生活をより充実させることにつながります。
マンション平均価格を参考に賢く購入や売却しよう
マンションの平均価格の最新情報と併せて、マンションの購入や売却に役に立つ情報を幅広くご紹介しました。
繰り返しになりますがマンション購入・売却の際には、市場動向や価格を知ってから動くことが大切です。購入であっても売却であっても、大きなお金が動く家族にとってとても大事な取引です。
後悔がないようにしっかり情報を収集して、理想的なマンションライフを送れるようにしていきたいですね。