中古マンションは、新築マンションを購入するよりもお得に購入でき、購入後に自由にリフォームできることなどを理由として近年ニーズが高まっています。
ただ、築年数が古く劣化が進んでいるマンションであると「建て替え」が実施される可能性も十分にありえます。
建て替えとは、既に建築されている建物を解体・撤去し、新たに住宅を建築することを指します。
建て替えのタイミングで中古マンションを購入すると、建て替え費用の負担や無駄な引っ越し費用など、高額かつ無駄な支出が懸念されます。
はっきり言って、建て替え間近の中古マンションを購入することは全くおすすめできません!!!!
この記事では、主に以下のことについて解説します。
- 建て替えが近い中古マンションをおすすめしない理由
- 建て替えが近い中古マンションを見極めるポイント
- 建て替えにかかる期間と流れ
- 建て替え費用を軽減できる支援制度
これから中古マンションの購入を検討している人、また既に住んでいるマンションの建て替えが決まってしまった人も、是非最後までご覧ください。
建て替えが近い中古マンションをおすすめしない4つの理由
まず、何故建て替えが近い中古マンションがおすすめできないのか、その理由について説明します。
理由① 建て替え費用の負担が高額すぎる
中古マンションの建て替え費用は、入居者も負担する必要があります。
マンションを購入した時点で入居者側もマンションの一部を「資産」として持つことになるからです。
マンションの建て替えにあたって入居者側が負担する費用の相場は近年増加傾向にあり、国土交通省の「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」によると、竣工年が2001年までの物件の場合、一戸あたり平均350万円程の負担額でしたが、2012~2016年には一戸あたり平均1,100万円まで上昇しています。
物件の状況により変動幅が大きい建て替え費用ですが、相場としては1戸1,000万円程度の負担が必要となります。
理由② 修繕積立金は建て替え費用に充てることができない
屋根やベランダの防水加工や、劣化した外壁を整備するための修繕費用を補填するために毎月積み立てている修繕積立金ですが、原則として建て替え時に修繕積立金を使用することは許されていません。
多くのマンションの規約が国土交通省の「マンション標準管理規約」にのっとった形で作られており、こちらで禁止されているのが理由です。
理由③ 建築中の引っ越しで1~2年前後賃貸に住む必要がある
建て替えの工事中、入居者は賃貸で仮住まいをしなければなりません。
どれぐらいの期間かと言うと、建て替えるマンションの規模や階数にもよりますが、着工から竣工までの純粋な建築期間だけで言えば約1年程で、15階建以上のタワーマンションになってくると、建築期間は2年近くまでかかることもあります。
そのため、建築中の引っ越しで賃貸に住む期間は大体1〜2年前後のイメージです。また、引っ越し費用や賃貸の家賃は補償されることはないので注意しましょう。
理由④ 費用が負担できない場合は強制的に「立ち退き」に
マンション全体の入居者の4/5が建て替えに賛同している状況で、建て替えにかかる費用が負担できない、もしくは建て替えに賛同できないときは「立ち退く」という選択肢を必然的に選ぶ必要があります。
1/5の建て替え反対派には「売渡請求権」が行われ、時価で住んでいる部屋を管理組合に売り渡すように催告がされます。
具体的には、
「建て替えは反対です!立ち退きもしたくありません!」というのは通用しないので注意しましょう。ちなみに、立ち退きまでの猶予は立ち退き代金の支払いから1年となっています。
【注意】負担する費用がゼロになるケースもある
旧耐震基準で建築されているマンションの場合、入居者側の建て替え負担額がゼロになるケースも存在します。
そのケースとは、「容積率」に余裕があるマンションです。
容積率とは、敷地面接に対する延べ床面積の割合のことで、建築基準法により決められています。容積率に余裕があるとは、言い換えると増床できる(戸数が増やせる)ことになり、増床して分の部屋を売却することで、建て替え費用に充てることが出来ます。
旧耐震基準かつ、容積率に余裕があるマンションの場合、入居者側が負担する費用がゼロになる可能性は高いです。
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建て替えが近い中古マンションを見極める2つのポイント
マンションの建て替えのタイミングはさまざまで、建て替えが近い中古マンションの見極めが必要です。しかし、ただ建て替えが近いだけでは、入居してすぐに建て替えに伴う費用や仮住まいへの転居に伴う費用が必要となります。
① 敷地面積を確認する
複合型ビルとは、居住用だけでなく店舗やオフィス、ホテルなどのさまざまな機能を兼ね備えたビルのことを言います。そのため、既存のマンションを複合型ビルなどに建て替えるためには、ある程度の敷地面積が必要となります。
例えば、階数は高くても敷地面積が狭いマンションの場合は、複合型ビルとしての機能を果たすことができず、複合型ビルの対象となる土地として排除される可能性が高いと言えるでしょう。
従って、前述したように首都圏の人気エリアで立地条件が良いことは前提ですが、マンションの敷地面積の広さを確認することも大切です。
② 管理組合の機能を確認する
マンションの建て替えについては、マンションが建てられる際に定期的な修繕や大規模修繕などの計画が協議され、そのために必要な費用を住人から月々徴収しているケースがほとんどで、管理組合が結成されています。
しかし、管理組合がきちんと機能していないマンションでは、毎月の管理費や修繕積立金の管理がされておらず、滞納している住人への対処も行われていないケースもあります。
また、複合型ビルへの建て替えをデベロッパーから提案されたとしても、管理組合が機能していなければ、計画が上手く進まずに建て替えへと繋がりにくいと言えるでしょう。従って、管理組合の機能についてきちんと確認することも大切です。
中古マンションの建て替えの期間と流れ
中古マンションを建て替えるとなった場合、おおよそ建て替えの話が上がってから竣工まで、全体で5〜10年ほどの膨大な期間がかかると言われています。
中には建て替えの計画を進めている最中でお亡くなりになったオーナーもいると言います(計画は息子さんにバトンタッチされたとのこと)
建て替えの大まかな流れとしては、以下の流れとなっています。
順序 | 流れ | 内容 |
---|---|---|
1 | 建て替えの検討 | 建て替えか修繕の検討を専門家が耐震性などを見ながら実施 |
2 | 建て替え組合の結成 | 理事会に議題として取り上げ、管理組合全体の問題として議論 |
3 | 住民の賛成決議 | 住人から建て替えに対する合意を得る |
4 | 施工会社とプラン作成 | 施工会社と実際の建て替え計画を作成 |
5 | 権利関係の移転 | 抵当権や賃借権等の権利の移行を国に許可してもらう |
6 | 着工 | 取り壊し開始(居住者は仮住まい先へと転居) |
7 | 入居 | 入居者が仮住まいから戻ってくる |
上記の流れの中で入居者側が関係してくるのは組合が入居者側に建て替えに対する合意を得るた「住民の賛成決議」と「着工」「入居」の際の引っ越しとなります。
住人による賛成決議は進まない場合が多い
国土交通省が2016年に実施したマンションの築年数に関する調査では、築50年以上のマンションは4.1万戸もあり、国土交通省が2017年に実施したマンションの建て替え状況に関する調査では、全国で234件と少ない結果が浮き彫りになっています。
このように建て替えがなかなか進まない理由の一つに、住人の同意が得られないことが挙げられます。
というのも、マンションの建て替えの実施は高額な費用を徴収するケースが多い上に、住人の三分の四の同意が必要とされます。
場合によっては、建て替えが必要であるにも関わらず、住人の同意が得られないために、十数年もの期間を要しているケースもあります。
「仲介による売却」も選択肢に入れよう
建て替えまで1年以上の期間がある場合は仲介による売却も選択肢に入れましょう。仲介による売却とは、不動産会社に買主を探してもらい、一般の個人のお客様にマンションを売却する方法です。
購入希望者がいつ現れるか分からないので、マンションが必ず売れる保証ができません。しかし、売却価格が高くできる可能性が高いです。
ここで気を付けておきたいポイントが、不動産会社によって査定の際に見る点や査定方法が異なるため査定額に差が生じる、ということです。
複数の会社に査定依頼をしておけばより高く買い取ってくれる会社に出会えるチャンスが増えるでしょう。また、複数社を比較することで競争原理が働き、買取価格を上げてもらえる可能性も出てきます。
しかし、自分で買取をしてくれる不動産業者を探すのは、難しいと感じるでしょう。
そこで、活用できるのが一括査定サイトすまいステップです。複数業者へ査定依頼は、すまいステップを使うことで解決できます。すまいステップであれば、あなたが売りた物件の売却を得意とする複数の不動産会社にインターネットで簡単に査定依頼ができます。