マンションの価格は高止まりの状態にあり、特に都内での新築マンションの価格は、手の届きにくいところまで上昇しています。国土交通省の平成30年11月5日公表の「不動産市場動向マンスリーレポート」を見ても、マンションの不動産価格指数は65カ月連続で上昇を続けています。
新築マンションは高すぎて手が届かない。そんな人は、新築の売れ残っている物件をチェックすることで、掘り出し物を見つけることができるかもしれません。ここでは、売れ残ったマンションを購入するときにのメリットや注意点などを調べてみましたので、マンションを購入する際の選択肢の1つとして参考にして頂けたらと思います。
マンションが売れ残る4つの理由
価格設定が間違っていたり、需要と供給が合っていない場合にはマンションは売れ残ることがあります。また、マンション自体の条件が悪いものも売れ残る場合があります。
価格設定が高すぎる場合
マンションを建設するときには、デベロッパーはまず土地を購入します。最近では、土地の価格が高騰しているため、土地の取得費用も高額になっています。マンションの価格は、土地の取得費や建設費、建築資材の費用や人件費等に利益をプラスして価格設定されています。そのため、土地の価格が上がると、マンションの価格も上がります。
デベロッパーは土地の価格などに合わせて、マンションの売出価格を設定しなければならないため、マンションの価格は土地に合わせて高騰します。マンションの価格が上がるにつれ、サラリーマンの手が届く範囲を超え、購入を見合わせる人が増えることでマンションの売れ残りが発生することになります。
立地や部屋の条件が悪い場合
マンションは、立地条件が悪いと売れ行きにも影響します。立地条件はマンションの資産価値に大きく影響するため、将来、マンションの売却を考えている人は、立地条件のよい物件を選びます。そのため、立地条件の悪い物件は人気が出にくく、売れ残ることが多くなります。
また、マンション自体の立地条件はよくても、部屋の向きが悪く日当たりが悪かったり、その部屋のベランダの方向に高層建築物があるとマンションの中の一定の部屋だけ売れ残ることがあります。
ランニングコストが高すぎる場合
最近では、タワーマンションやコンシェルジュが常駐するなどの、設備が豪華なマンションも目立ちます。しかし、設備を充実させると、マンションの管理費や修繕積立金の支払額が大きくなる場合があります。物件購入後のランニングコストが高い物件だと、購入を見合わせる人がでてきます。そのため、どれだけよい設備でも売れ残るという現象が起きます。
需要と供給が合っていない場合
マンションの購入を考えるときには、子供の学校への距離や仕事場への距離、周辺環境を考えて立地を選ぶ人がほとんどだと思います。そのため、マンションが建築された場所でどのくらいのマンションの需要があるのか、ほかに新築のマンションが建設されていないかなどを始めに調べる必要がりあります。
この調査での需要の見極めが正しくないと、供給されるマンションの数が多すぎて、どんなに素晴らしいマンションでも売れ残ってしまう場合があります。
- 立地条件が悪い場合
- 価格が高すぎる場合
- 供給過多の場合
売れ残りのマンションを購入するメリット
売れ残ったマンションには、メリットがたくさんあります。新築でも実際に住む部屋を見学することができますし、マンションの管理状態を確認することができます。また、値引きをしてもらえることがあるので、少しでも購入費用を抑えたい人にはおすすめです。
実際に部屋を見ることができる
完成在庫の最大のメリットは、実際に売りに出ている物件の部屋を見学することができることです。新築マンションの購入のときには、通常はマンションは完成していないのでモデルルームを見て購入を決めることになります。しかし、完成在庫なら、すでに物件は完成しているので、実際に部屋に入って、日当たりを確かめたり、ベランダからの眺望を確認することができます。
管理状態を確認できる
マンションの竣工後、時間がたっているとすでに居住している人がいます。そして、マンションの管理状態を確認することができます。ゴミ捨て場がきれいに使われているかや、駐輪場の状態、共用部の清掃状況などを確認することができます。マンションを購入するときには、マンションの管理状態がよいものを選ぶことが重要になります。
完成後のマンションを購入することで、実際にその状態を確認してから購入できるというメリットがあります。
住宅ローンの金利がわかる
新築でマンションを購入するときに、住宅ローンを組むと、その金利は引き渡し後の支払いが始まったときの金利を適用します。マンションの購入を決めたときには、金利が低くても、完成後には金利が上昇している可能性があります。
完成後のマンションだと、すぐに入居できるため、ローンの支払いもすぐに始まります。そのため、適用される金利を知ってから購入することができます。このことから、資金計画をより正確に立てることにも役立ちますし、リスクを避けることができます。
お得に買えることがある
売れ残っているマンションは、少しでも早く売却したいがために、家具付きで売り出されていたり、オプションのサービスが付いていたり、値引きして販売される場合があります。すでにマンション内で契約している人がいるために、大々的に値引きをしていることを公表して販売活動を行っていることはほとんどありません。
しかし、売れ残りの期間が長くなるほど値引きしている可能性があります。そのため、自分が探している物件と条件が合うのであれば、とてもお買い得に家を購入することができる可能性があります。
すぐに入居することができる
通常の新築物件の場合は、販売が始まって契約しても引き渡しが1年後など、マンションの完成までの時間が長い場合が多いです。そのため、契約後、完成を待つ間に転勤が決まってしまうということも起こりかねません。
しかし、売れ残ったマンションであれば、すでにマンションは完成しているので、契約と決済が終わればすぐに引き渡してもらえます。そのため、入居までの期間を待つことがないので状況の変化などによるリスクを考える必要がなくなります。
- 室内を見学できる
- すぐに入居できる
- 管理状態を見れる
売れ残りのマンションを購入するときのチェックポイント
売れ残り件数が多い場合には、マンション自体に問題がある場合があります。また、将来の売却のことを考えるのなら資産価値のあるマンションを選ぶとよいでしょう。
売れ残りの件数を見る
売れ残りのマンションを購入するときに、気をつけたいのが売れ残りの戸数がそのマンションにどれだけあるのかということです。通常では、売れ残りの分の住居の管理費や修繕積立金は、分譲業者が所有者となるため、分譲業者に支払い義務があります。
しかし、その支払い義務を免除する条項を盛り込んでいる場合があり、管理組合で売れ残り住居の分の管理費や修繕積立金を負担する場合もあります。そのため、売れ残り件数が多い場合には、誰がその分の管理費等を支払うのかを前もって確認することが必要になります。
資産価値があるかを確認する
売れ残るマンションには理由があります。その理由には、いくつかあって物件自体の設備や立地条件が悪い場合。価格設定を間違えて高すぎる設定のため売れない場合。条件の悪い部屋だけが売れ残る場合。また、マンション自体がよい物件であっても、戸数が多い巨大マンションの場合は、販売期間が長引くことがあります。
マンションを購入して、将来、売却する予定があるのであれば、売れ残っている理由をしっかりと調査して、その理由が売却のときのマイナスの材料にならないかを確認しましょう。立地条件が悪い場合や設備が乏しい場合など、売却の際に大きな値崩れを起こすことがあるので注意が必要です。
- 売れ残り件数をみる
- 立地条件をみる
- 売却のことも考える
売れ残りマンションを賢く購入するタイミングとは
賢く売れ残ったマンションを購入するには、タイミングも大切です。タイミングを見計らうことで、値引きしてもらえる可能性が上がります。
不動産会社の決算期をねらう
不動産会社にも決算の時期があって、多くの不動産会社は3月に決算のところが多いです。そのため、その年度の売り上げを増やしたい営業マンは、決算前の契約の場合、値引きしてくれる可能性があります。マンションの契約から引き渡しまでは、住宅ローンの審査の関係もあり1カ月程度の余裕をみて、交渉をするとよいでしょう。
つまり、2月の末頃から3月の始め頃の契約なら、完成在庫を少しでも消化したい不動産会社に値引きをしてもらえる可能性があります。
残り戸数が少ないときをねらう
売れ残ったマンションの販売は、マンション内の部屋をモデルルームにして販売活動をしていることも少なくありません。不動産会社はモデルルームを設置していると、光熱費や人件費などがかかり続けます。そのため、残り戸数が少なくなると少しでも早く売ってしまいたいと考えています。
売れ残ったマンションが数件になるときに、内覧に行って交渉を持ち掛けると大きく値引きしてもらえる可能性があります。その場合には、ひやかしではなく本気で購入を考えていることを知ってもらうために、住宅ローンの事前審査をすませておくとよいでしょう。事前審査を済ませておくことによって、本気で家を探していることを理解してもらえますし、価格交渉にも具体的な数字を出しやすくなります。
建築費や土地の価格が高騰しているときには注意
マンションを建設するときには、土地の価格や建築費などが販売価格に大きく影響します。マンションは高すぎると売れないため、土地や建築費が高騰している時期には、販売価格を抑えるためにどこかで費用を削らなければなりません。
販売価格を抑えるために、部屋の間取りを少し小さくしたり、設備をグレードの低いものに変えることがあります。そのため、同じような新築マンションでも、建設された時期により販売価格には大きな差がでることがあります。このように、設備内容と価格がつりあっていないために売れ残っている場合もあるので、値引きしてもらっても、結局は損をしている場合があるので注意が必要です。
- 決算期の前が狙い目
- 残戸数が少ない時
- 建築時期にも注意
マンションが売れ残っている場合にはチェックしてみよう
マンションが売れ残るにはさまざまな理由があります。その理由に納得できて、自分の探している条件と合う物件が売れ残っている場合には、とてもお得に家を購入できる場合があります。家はとても高額になるため、少しでも費用を抑えるためには、上手く売れ残り物件を見つけることも1つの方法です。
しかし、売れ残り物件には条件のよくないものも含まれています。そのため、売れ残りのマンションを購入するときには、慎重に検討する必要があります。家は一生に一度の買い物になる人がほとんどだと思います。後悔しないためにも、じっくりと考えて家を選ぶことをおすすめします。