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空き家売却には税金がかかる?税率や計算方法・3000万円特別控除の条件を解説

  • / 更新日:2022年7月26日
空き家売却には税金がかかる?税率や計算方法・3000万円特別控除の条件を解説

空き家を売却して得た代金は課税対象になるため、税金が発生します。

ですが、一定の条件を満たせば、空き家売却の際に3,000万円の特別控除の特例が適用されるため、節税が可能です。

本記事では、空き家売却に伴う税金の計算方法、控除の特例の要件や申請方法について解説します。

空き家売却で得た収入は課税対象

所有している空き家を売却して利益が発生した場合、利益に対して「譲渡所得税」と「住民税」、そして「復興特別所得税」といった税金が課されます。

ここでは税金の税率と計算式について解説します。

空き家を所有していた期間で税率が変わる

譲渡所得(空き家を売却して得た所得)に対する税金は、所有していた期間で短期譲渡所得・長期譲渡所得に区分され、それぞれに課される税率が異なります

下記の表は、短期・長期の期間で設定される税率をまとめたものです。

短期譲渡所得長期譲渡所得
期間5年以下5年超
譲渡所得税30%15%
復興特別所得税
(基準所得税額の2.1%)
0.63%
(0.63=30×2.1%)
0.315%
(0.315=15×2.1%)
住民税9%5%
合計39.63%20.315%

※復興特別所得税は、東日本大震災復興の財源確保を目的とした税金で、令和19年まで納付が課されます。

譲渡所得税と住民税は、空き家を売却するまでに”所有していた期間が5年以内か、5年超か”によって、譲渡所得税が短期30%・長期15%、住民税が短期9%・長期5%となります。

【算出方法】税率から税額を求める計算式

税金がいくらになるかの計算は、まず課税譲渡所得金額を出し、その金額に税率を掛けることで分かります

課税譲渡所得金額を出す計算式は下記の通りで、短期・長期ともに同じ式です。

具体的なシミュレーションは次項で後述します。

課税譲渡所得金額(短期・長期)の計算式
譲渡金額ー(取得費+譲渡費用)ー特別控除=課税譲渡所得金額(短期・長期)
課される税額を求める計算式
課税譲渡所得金額(短期・長期)×税率(短期39.63%・長期20.315%)=税額

「譲渡金額」とは売却で得た代金のことで、空き家を売却して得た金額です。

次に「取得費」とは、空き家の購入時に伴う代金や手数料などを含めた金額です。取得費に関しては、減価償却費相当額を差し引いて計算します。なお、取得費が分からない場合や譲渡金額の5%より低い場合、譲渡金額の5%(概算取得費)として計算します。

続いて「譲渡費用」とは、空き家の売却時に伴う費用で、主に仲介手数料や測量費、印紙代などです。

最後の「特別控除」とは、空き家を売却した際の特別控除「空き家売却に伴う特別控除の特例」が適用された場合にのみ、最高で3,000万円が控除されます。

空き家売却で得た売却金から、空き家の購入時などの費用や売却時に伴う費用を差し引き、さらに特別控除が適用されれば最高3,000万円を差し引いて、残った金額が「課税譲渡所得金額」です。

この金額に税率を掛けて税額を求めます。

【具体例】実際に税額を求める

それでは、実際に計算してみましょう。下記の金額を設定し、前述の計算式に当てはめて税額をシミュレーションします。

譲渡金額3,000万円
取得費150万円
譲渡費用105万円
特別控除3,000万円
所有期間10年以上

特別控除については、あり・なしのそれぞれの課税譲渡所得金額を計算します。

【特別控除あり】3,000万円ー(150万円+105万円)ー3,000万円=0円
【特別控除なし】3,000万円ー(150万円+105万円)=2,745万円

続いて、税率(長期譲渡所得20.315%)から税額を求めます。

【特別控除あり】0円
【特別控除なし】2,745万円x20.315%=557万6,467円

譲渡金額が3,000万円と仮定した場合の、特別控除がない場合の税額は、約557万円でした。

一方、特別控除がある場合は、課税譲渡所得金額が0円となり、税率対象が無いため非課税となります。

空き家売却の特別控除の対象家屋・申請方法

前述の解説で、特別控除の特例を受けられれば、課税譲渡所得金額から最高3,000万円の控除が適用されることをお伝えしました。

ここでは、空き家売却に伴う特別控除の特例について、創設の背景や対象家屋・申請方法について解説します。

特別控除の特例創設の背景

総務省が公表している「平成30年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家は848万戸です。

平成25年度の調査では820万戸だったため、5年間で約28万戸増えています

空き家が増える主な原因は、少子高齢化に伴う介護施設への移転や、相続した家に住まないこと、新築住宅の増加などです。

空き家は劣化が進むと、倒壊の危険や景観を損ねるなど、周辺環境への悪影響の可能性もあります。

そこで、空き家増加を防止する対策として、平成28年度の税制改正で、空き家の課税譲渡所得金額から、3,000万円の特別控除を受けられる特例制度が創設されました。

ただし、空き家対策の特別控除のため、全ての住宅に適用されるわけではありません。例えば、所有する別荘を売却する場合は、空き家とは異なるため控除の対象外です。

特別控除の特例の対象家屋とは

3,000万円の控除の対象となる家屋の概要は、国税庁HP「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を要約すると、次の通りです。

昭和56年5月以前に建てた家屋に、被相続人(亡くなった人)が1人で住み、相続してから売却までの期間に1度も事業や賃貸利用をせず、2023年の年末までに一定の耐震基準を満たして売却、または解体して得た譲渡金額が1億円以下の家屋」です。

前提となるのは、相続されるまで被相続人が1人で居住していた家屋です。

被相続人に関しては、要介護認定を受けている場合や、相続されるまで介護施設に入居していた場合でも適用されます。

また、敷地内に母家と離れがあった場合、被相続人が居住している方が控除対象となります。

空き家売却に伴う特別控除の特例の申請方法

画像:3.jpg

空き家売却に伴う控除の特例を受けるには、譲渡した翌年の3月までに、所轄税務署に書類を準備した上で確定申告をすることが必要です。

ここでは、確定申告に必要な書類と入手方法について解説します。

家屋または家屋と敷地を譲渡した場合、下記の書類が必要となります。

なお、相続後に家屋を取り壊し、敷地のみを譲渡した場合は、4の書類が不要となります。

  1. 譲渡所得の内訳書
  2. 登記事項証明書等で3つの事項を明らかにするもの
    1・被相続人から相続または遺贈されたこと
    2・対象家屋が昭和56年5月31日以前に建てられたこと
    3・区分所有建物登記されていないこと
  3. 被相続人居住用家屋等確認書
  4. 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
  5. 売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの
    (売買契約書の写しなど)

入手方法については、「譲渡所得の内訳書」(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】は、譲渡所得金額の計算に使われる書類で、国税庁のサイトからダウンロードできます。また、税務署にも置いてあります。

登記事項等証明書」は、法務局が管轄しオンライン請求が可能です。

「被相続人居住用家屋等確認書」とは、被相続人が居住していたことや、相続後に事業・賃貸を目的として利用されていないことを証明する書類で、申請は対象家屋の所在地を管轄する役場で行えます。

「耐震基準適合証明書」は、各種検査機関や建築士に申請し発行してもらうもので、ひな形は国土交通省のサイトからダウンロードができます。

また、売買契約書を紛失した場合は再発行が必要となるため、その際は不動産仲介会社に問い合わせましょう。

空き家売却に伴う控除の特例と注意すべきその他の特例

空き家の売却に伴う特別控除の特例の他にも、家屋に伴う控除の特例は複数あるため、混同しないように注意が必要です。

ここでは、その他の控除の特例をご紹介します。

マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例

マイホーム(自己居住用財産)を譲渡した場合にも3,000万円の特別控除の特例が適用されることがあります

この場合、空き家を売った場合とは控除の適用要件が異なります。

  1. 自分が居住していた家屋であること
  2. 住まなくなってから3年目の日に属する12月31日までに売ること
  3. 家屋を取り壊してから譲渡するまでの間、駐車場などに利用していないこと
  4. 売った年の前年、前々年に、3,000万円の特別控除や居住用財産の買換えに伴う特例措置、マイホーム譲渡損失に伴う損益通算や繰越控除の特例を受けていないこと
  5. マイホーム購入に伴う住宅ローン等の控除を受けていないこと
  6. 売り手と買い手が他人(親族ではない)であること

空き家の売却に伴う控除と、マイホーム売却に伴う特別控除は併用できます。

ただし、2つの特別を併せて、3,000万円が控除の限度額となるため、注意が必要です。

引用元:国税庁HP「​​マイホームを売ったときの特例」

国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」他の税制との適用関係

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、土地や家屋を相続した際、相続税の申告期限から3年以内に売却した場合に、相続税額の一定額を譲渡金額の取得費に加算することで所得税を減税できる特例です。

ただしこの特例は、空き家売却の控除の特例とは併用できないため、どちらかを選ぶ必要があります。

空き家売却の知見を深め上手に節税しよう

相続した空き家を売却して利益を得た場合、譲渡所得税や住民税が課税されます。

税額は安い金額とは言えず、空き家の放置を選択してしまう人も、これまでは多くいました。

ですが、空き家の特別控除の特例が適用されることで、最高3,000万円までの控除を得られます。

控除が適用されれば、空き家問題と節税問題を同時に解決できる場合もあるため、空き家を相続した方や所有している方は確認してみましょう。

なお、空き家を売却する際には、不動産の売買を専門にする不動産会社への依頼が必要です。

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