建物を解体し、更地にするには費用がかかります。
建物構造にもよりますが、200万円が相場といえます。
解体費用がいくらかかるかによって、更地にすべきか決めようと考えている方もいるでしょう。
この記事では、建物を解体して更地にする際にかかる費用、更地にする基準や更地にするメリットやデメリットを解説します。
更地にする費用はいくら?
土地を更地にするために建物の解体にかかる費用は、木造なら3万~5万円/坪、鉄骨造なら4万~6万円/坪、鉄筋コンクリート造なら6万~8万円/坪が相場になります。(すまいステップ編集部調べ)
また、更地にするには解体費用とは別に廃材処分費用+整地費用(9~16万円)がかかります。
▽30坪の戸建てを更地にする費用(建売住宅における床面積の全国平均は約30坪)
- 木造:90~150万円
- 鉄骨造:120~180万円
- 鉄筋コンクリート造:180~240万円
加えて、廃材処分費用+整地費用(9~14万円)がかかります。
➨建物構造にもよりますが、中央値である200万円が相場といえます。
また、リフォーム会社紹介サービスのヌリカエによる調査によると、戸建解体工事経験者1,339人の平均解体費用は100万~200万となっています。(2022年8月時点)
このことから、解体費用の相場は100万~200万と見積もっておくとよいでしょう。
不動産の売却を考えている人はすまいステップの一括査定サービスがおすすめです。一度に複数の不動産会社から不動産の査定を依頼することができます。完全無料のサービスなので、お気軽にご相談ください。
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
解体工事費用の相場
解体費用は、建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)と面積(坪数)によって異なります。
より頑丈な構造の建物(木造よりも鉄骨)のほうが、取り壊しに時間がかかるので相場が高くなります。
同様に、坪数が大きい建物のほうが小さい建物より解体期間が延びるので費用が高額になります。
構造別の解体工事費用の相場は以下になります。
木造の解体費用
坪数 | 木造 |
---|---|
20坪 | 60万〜100万円 |
30坪 | 90万~150万円 |
40坪 | 120万~200万円 |
60坪 | 180万~300万円 |
80坪 | 240万~400万円 |
鉄骨造の解体費用
坪数 | 鉄骨造 |
---|---|
20坪 | 80万~120万円 |
30坪 | 120万~180万円 |
40坪 | 160万~240万円 |
60坪 | 240万~360万円 |
80坪 | 320万~480万円 |
鉄筋コンクリートの解体費用
坪数 | 鉄筋コンクリート造 |
---|---|
20坪 | 120万~160万円 |
30坪 | 180万~240万円 |
40坪 | 240万〜320万円 |
60坪 | 360万~480万円 |
80坪 | 480万~640万円 |
廃材処分費用の相場
廃材処分費用は地域差がありますが、4tダンプ1台分の処分費用(運搬費用+処分費用)で6万円~8万円、1㎥で3,000円~8,000円が相場となります。
廃材処分費用は、建物構造や残置物(建物内外に残されている不用品の量)によって異なります。鉄骨造のほうがくずが出やすく重量もあるので、木造よりも処分費用は高くなります。また、古家に残されている家具や家電、生活のゴミが多いほど費用がかかります。
自分で不用品を処分しておくことと節約できますが、詳しくは以降の章「更地にする費用を節約する方法」で解説しています。
整地費用の相場
整地費用の相場は1㎡あたり300~600円が一般的です。ですので、30坪の土地では3万~6万円という見積もりになります。
ただし、土地に雑草が生い茂っていたり、庭木の根がはっていたり、廃材が埋設されている場合は、撤去するために費用が別でかかります。例えば庭木の伐採は1本あたり2,000円~7,000円、伐根は1本あたり5,000円程度です。
また、傾斜が強い土地は作業が難しく特殊な技術が必要になるため通常よりも高額になります。1㎡あたり10,000円~20,000円を目安としておきましょう。
更地にすべきか判断する基準
更地にする費用の相場をみて「これだけの金額をかけてでも解体したほうがいいのか?」と迷うひとは多いでしょう。
本章では「本当に更地にしたほうがよいか?」を決めやすいように、判断の基準を解説しています。
▽更地にすべきか判断する基準
更地にした方が良い場合 | 更地にしない方がよい場合 |
---|---|
|
|
更地にした方がよい場合
以下に該当する場合、古家つきでは売りにくいため更地にすることがおすすめです。
- 立地が悪い
- 建物の老朽化がひどい
- 古家に雨漏りやシロアリなどの不具合がある
立地が悪い
田舎の土地や交通の便が悪い土地、傾斜が強い土地などは人気がないため、古家付きのままでは売れにくいです。
古家つき土地の場合、古家つき土地でも許容できる買主に購入者が限定されるため、そのぶん売れにくくなってしまいます。しかし、更地にすればより多様な用途を希望する購入者に募集をかけられるので、需要はあがります。
立地が悪い土地はそれだけで購入希望者が少なくなってしまうので、更地にしたほうが売れる可能性が高くなります。
建物の老朽化がひどい
一般的に戸建ての資産価値は築20年を超えとほぼゼロになるといわれています。途中でリフォームなどをしている場合は別ですが、そのまま老朽化して住むことが難しい家の場合、売れ残る可能性が高いです。
また、仮に売れることがあっても、買主は解体前提での購入を検討するため解体費用が差し引かれた金額で売却価格が決まります。よって、土地そのものの相場よりも安く引き渡すことになります。であれば、古家を解体したほうが用途が広がり、土地そのものの相場で売れるため、更地にする方が得策といえます。
古家に雨漏りやシロアリなどの不具合がある
古家に不具合(=瑕疵)がある場合は、更地にして売ることがおススメです。
瑕疵がある古家を売却する場合、買主に対して「契約不適合責任」を負わなくてはいけません。
契約不適合責任とは、物件について契約書内に記載されていない欠陥がみつかった場合、その欠陥に対して保証する責任を売り手は負わなくてはいけないというものです。例えば、雨漏りやシロアリ被害が売却後に判明した場合、修繕や改良の費用を負担をしなければいけません。
更地にする場合、建物は解体されるため、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。よって、買取り手とのトラブルになるリスクを少しでも減らしておきたいという場合は、建物を更地にして売却することがおススメです。
更地にしない方がよい場合
以下に該当する場合、古家つきでも高く売れる、または更地にすると損失が出るリスクがあるので解体は控えましょう。
- 立地が良い
- 費用総額が査定価格より高額
- 再建築不可の土地
立地が良い
立地が土地は、古家つきのままでも高く売れます。
駅や高速道路へのアクセスがよかったり、都心に近い土地、スーパーや学校などの生活利便施設が周りある土地は利便性が高く、そのままでも人気があります。古くからの高級住宅地に位置する土地も需要が高いので、更地にせずとも高く売ることは可能です。
前述のとおり解体には高額な費用がかかるため、そのままでも商品価値が十分ある土地は、更地にせずにまずは売り出してみましょう。
費用総額が査定価格より高額
土地売却全体にかかる費用総額が査定価格を上回る場合は更地にすべきではありません。
前提として、解体費用は売却価格に上乗せはできません。解体費用を上乗せすると相場より高額になってしまう場合でも、相場で売るしかなくなります。
解体費用が加わると売却費用がかさみ、場合によっては赤字になってしまうことがあります。赤字になるかは、解体業者による解体費用と、不動産会社による査定価格と仲介手数料の見積もりを取得することで大まかに予想できます。
収支がマイナスになる場合は、解体せずにそのまま売ったほうが損失を出さずに済みます。自分で計算すると誤る場合が多いので、解体業者の見積もりをもって、不動産会社に更地にしてよいか相談するようにしましょう。
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
再建築不可の土地
再建築不可物件とは、「国や自治体によって新築が禁じられている土地」に建てられている建物のことです。
こうした建物は一度取り壊してしまうと二度と建物が建てられなくなってしまうので、土地の用途が限定されてしまい売り手がつきづらくなります。
高額な解体費用を支払っても売れない場合は損失になってしまうので、この場合は解体しないようにしましょう。再建築不可の土地は再建築不可の土地の売却に詳しい、専門性が高い不動産会社に相談するのがおススメです。
更地にする場合のメリット・デメリット
ここでは、建物を解体し、更地にするかどうか決めかねている人に向けて、更地にする場合のメリットとデメリットを紹介します。
更地にするメリット
更地にすることで得られるメリットは以下の通りです。
流動性が高く買い手が見つかりやすい
更地は、建物を解体する手間なく、すぐに着工できるため、流動性が高く、買い手が付きやすくなります。
また、買い手が見つかるまでの間、暫定利用として駐車場経営を行い収益を得ることも可能です。
土地の状態が確認しやすい
更地は、地中埋没物の確認、土壌調査、地盤調査などが容易な状態となります。
事前に地盤調査を行うことで、買い手に土地の詳しい情報を提供できます。
買い手が前もって土地の情報を知ることで購入後のリスクを減らせるため、売買契約に繋がりやすくなります。
維持管理コストがかからない
更地の場合、建物を維持・管理するための費用がかかりません。
ただし、減税措置が適用されないため、建物が建っている場合に比べて更地は固定資産税が高くなります。
更地にするデメリット
更地にすることで生じるデメリットは以下の通りです。
解体費用がかかる
更地にする最大のデメリットは解体するのにコストがかかることです。
構造や条件によって異なりますが、一軒家を解体するのにおおよそ100万円~300万円の費用がかります。
建物が建っている時に比べて税金が高い
更地にすると、土地の上に建物が建っている場合と比べて、固定資産税が2~3倍高くなります。
固定資産税が高くなる理由は、土地の上に建物が建っていることにより適用される軽減措置が、更地の場合、適用されないためです。
更地にすることで、維持管理コストはかかりませんが、固定資産税が高くなることを覚えておきましょう。
解体費用はローンが組めない場合もある
解体費用は、ローンを組むことができますが、必ず組めると保証できるものではありません。ローンを組めない場合は、自己資金で解体費用を捻出する必要があり、負担は大きくなります。
住宅ローンや解体ローンを利用できない場合、フリーローン利用する方法もあります。ただし、フリーローンは金利が高いうえ、審査も厳しいため、借入できない可能性が高いです。
更地にする費用を節約する方法
更地にする費用は高額なので、どうにか安くできないかは、考えものですよね。
本章では更地にする費用を節約する方法をお伝えします。
▼更地にする費用を節約する方法
- 解体業者に直接依頼する
- 複数の解体業者から見積もりをとる
- 自分で処分できる廃材は処分しておく
- 自治体の補助金を利用する
- 解体業者の繁忙期(12月~3月)を避ける
- 解体費用を買主と折半する
解体業者に直接依頼する
解体業者を選ぶ際は、ハウスメーカーや不動産会社に仲介を経由せず、自分から直接依頼するようにしましょう。
ハウスメーカーや不動産会社から紹介された場合、解体業者は仲介した業者に仲介手数料を支払っています。よって、仲介手数料が発生するぶん、自分で直接解体を依頼するよりも、2割~3割費用が高くなります。
しかし、自分で直接解体業者に依頼すると、仲介手数料をカットできるため、解体業者から請求される費用総額を抑えられます。
複数の解体業者から見積もりをとる
更地にする費用の見積もりは解体業者によって異なります。
複数の解体業者に見積りを依頼することで、より安い費用で請け負ってくれる解体業者に依頼できます。
解体業者によって更地にする費用を200万円以上抑えることができるケースもあります。
●所在地:高知県
●物件条件:木造二階建て(27坪)
自宅と同じ条件のご近所が300万円で持ち家を解体していました。同じように300万円かかるかなと思っていたら、建て替えのハウスメーカーさんからは170万円、高知の解体業者さんからは108万円の見積もりが提示されました。結局、108万円の一番安い解体業者に依頼をしました。「安すぎて大丈夫?」と不安もありましたが、無事に解体工事を終えることができました。
※「解体業者のスタッフブログ」より
一つの解体業者に依頼すると高額な解体費用を提示されることに気づけないため、必ず複数社から見積もりをとりましょう。
自分でできる廃材は処分しておく
前述したとおり、更地にする費用には、解体時に放置されていた家庭ごみや不用品などの廃材処分費用が含まれます。これらの処分費用は、一般的な家庭ゴミの処分費用よりも高く設定されており、廃材が多いほど解体費用が高くなるため注意が必要です。
費用を安く抑えるためには、家庭ゴミや不用品はできる限り自分で処分しておくことがおススメですす。
一戸建てあたりの木造使用料の平均は約24㎥といわれています。よって、廃材処分費用が3,000円~8,000円/㎥であることを基準にすると、屋内の不用品を自己処分することで、7万円~20万円相当分の費用は節約できるといえます。
自治体の補助金を利用する
解体費に対して、補助金を出す自治体は多くありませんが、補助金を用意している自治体も複数あります。補助金の支給要件や支給額は自治体ごとに異なります。
以下にいくつかの市区町村の例を紹介しています。
市町村 | 補助金額 | 上限 |
---|---|---|
北海道札幌市 | 工事費用の3分の1 | 50万円 |
群馬県高崎市 | 工事費用の5分の4 | 100万円 |
愛知県名古屋市 | 工事費用の2分の1 | 60万円 |
兵庫県神戸市 | 工事費用または補助対象基準額の低い方の3分の1 | 100万円 |
福岡県福岡市 | 一律20万円 | 20万円 |
自治体によっては20万~50万の補助金が得られることがわかります。
補助金額は自治体によって異なりますので、該当エリアにおける自治体の補助金制度を確認してみましょう。
解体業者の繁忙期(12月~2月)を避ける
解体業者の繁忙期(12月~2月)は解体工事の依頼が難しく、相場も高くなるので避けましょう。
12月~2月の年末年始は公共工事が多くなるなどの事情から、通常の時期に比べて非常に忙しいのです。 工事を請け負ってもらえない可能性もありますし、忙しいぶん費用も高額になります。
逆に閑散期(11月~12月、2月~5月)であれば対応してくれる業者も多く、費用を安く抑えられます。解体を急いでいない場合や、解体時期を調整できる場合は、解体業者の繁忙期は避け、閑散期を狙って見積もりを依頼してみましょう。
解体費用を買主と折半する
解体費用の一部を買主に支払ってもらうというのも、節約方法のひとつです。
古家つき土地の状態で「解体費用応相談」と売りに出し、買主とどう折半するか交渉しながら成約を結びましょう。
古家付きの土地の方が売れやすいのか、更地の方が売れやすいのかは家の状態や買主の状況で変わります。よって、いったん家を残したまま「解体費用応相談」とすることで、解体費用を折半する交渉がしやすくなるだけでなく、家があった方がよいという買主を逃すこともなくなります。
更地にする際の注意点
「いろいろ考えると、やっぱり更地にした方がいいのかも」そう考えている方は、更地にする際の注意点を抑えておきましょう。
実際に更地にする場合、税金や近隣への配慮などを考える必要があります。
▼更地にする際の注意点
- 解体工事期間中は近隣とトラブルがおこりやすい
- 瑕疵担保責任は土地にもかかる
解体工事期間中は近隣とトラブルがおこりやすい
解体工事をすすめる前に、近隣住民に挨拶まわりを済ませておきましょう。
解体工事期間中は、騒音や振動が発生するため近隣住民に迷惑がかかる可能性が高いです。近隣住民からのクレームや騒動がおこると、工事が予定どおりすすまなかったり、売主が住みにくくなったりするかもしれません。
もともと親の持ち家で、自分が近隣と関わりがなかったとしても、トラブルを未然に防ぐために挨拶をし、関係を良好にしておきましょう。
瑕疵担保責任は土地にもかかる
古家にシロアリや雨漏りなどの瑕疵がある場合、解体して更地にすることで、建物の瑕疵担保責任はなくなります。
しかし、実は土地にも瑕疵担保責任はあります。
更地にして埋設物が発見された場合、買主に告知してそれでも成約できないか交渉するか、撤去作業の費用を自分で負担して取り除く等しなくてはいけません。
ただし、売主が個人である場合、瑕疵担保責任には保証期間が設定できます。一般的には2~3カ月で設定されるケースが多いです。成約前に買主に交渉するなどして、できる限り期間を短めに設定してもらうことをおススメします。
更地にするか迷ったら不動産会社に相談
更地にする費用は、木造なら3万~5万円/坪、鉄骨造なら4万~6万円/坪、鉄筋コンクリート造なら6万~8万円/坪が相場になります。(すまいステップ編集部調べ)
建物構造にもよりますが、200万円が相場といえます。
更地にすべきかは自分で判断するのは難しいため、プロである不動産会社に対処方法を相談しましょう。
不動産会社に相談する際には、まずは査定を受けて家や土地にどれくらいの価値があるかを調べます。査定を受けることで、よりよい選択肢を提案してもらえますが、査定結果は不動産会社によって異なるため、必ず複数社を比較しましょう
複数社から効率的に査定を受けるには、一括査定サイトの利用がおすすめです。不動産一括査定サイトのすまいステップは、一度で最大4社から査定を受けることができるため、効率的に土地の価値を把握できます。
さまざまな地域の不動産会社から査定を受けられるため、古家の処分に困った際は利用してみることがおススメです。