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離婚後の住宅ローンは養育費と相殺可能?トラブルや予防法を紹介

  • 更新日:2022年12月26日
離婚後の住宅ローンは養育費と相殺可能?トラブルや予防法を紹介

離婚後の住宅ローンをどうするかで悩む人も多いでしょう。

住宅ローンが夫名義のまま、離婚成立後も妻子だけが持ち家に住み続ける家庭もあります。

しかし夫が住宅ローンと養育費の両方を毎月負担するのは経済的に大変です。
養育費と住宅ローンを相殺してほしいと考える人もいるでしょう。

そこで本記事では、養育費と住宅ローンの相殺が可能なのか紹介します。
相殺で考えられるトラブルを回避する方法も紹介しますので、ぜひご確認ください。

離婚後の住宅ローンは養育費と相殺できる?

相殺について、家に住む人を基準に考えてみましょう。

名義人が夫である場合の、相殺についてのパターンは次の通りです。

名義人家に住む人養育費との相殺
夫のみ不可能
妻子のみ可能

それぞれのパターンについて紹介します。

養育費代わりに住宅ローンを支払うのは可能

状況次第で、離婚後の住宅ローンは養育費と相殺が可能です。

離婚にあたっては持ち家を売却する人もいます。特に問題がないのであれば、家を手放すのがスムーズです。

しかし、事情があって持ち家を残したいと考える人もいます。

相殺できるのは、名義人が夫で家に住む人が妻子のみのパターンです。
その逆となる、名義人が妻で夫と子が家に住む場合にも相殺できます。

一方で、相殺はトラブルにつながりやすいため慎重な検討が必要です。専門家に相談のうえで、手続きを進めましょう。

夫だけが家に住んでいるのなら相殺は不可能

住宅ローンの残債がある家に、夫だけが住むのなら養育費との相殺は不可能になります。なぜなら子どもの養育に返済が影響しないためです。

子どもが持ち家に住んでいないなら、夫は養育費を支払う必要があります。
どちらも負担するのが大変なら、持ち家の売却を考えましょう。

ただし基本的にはローンの残債があると売却できないため、任意売却を選ぶことになるかもしれません。

任意売却は仲介で売るよりも価格が下がりますので注意してください。

片方の意志による相殺は不可能

基本として、相殺に限らず片方の意思だけで養育費は決められません。

法務省のホームページでは、養育費について次のように説明しています。

養育費とは,子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には,子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し,衣食住に必要な経費,教育費,医療費などがこれに当たります。 子どもを監護している親は,他方の親から養育費を受け取ることができます。 なお,離婚によって親権者でなくなった親であっても,子どもの親であることに変わりはありませんので,親として養育費の支払義務を負います。

(引用元:法務省:養育費

養育費とは子どもが自立するまでの衣食住・教育・医療など、生活にかかる経費です。

住む家も経費のひとつにはなりますが、ほかの費用も発生します。

養育費の条件は交渉で決めるものであるため、相手方の了承なく一方的には決められないルールです。

相殺を考えているのなら、まずは配偶者と養育費について話し合い、双方が合意する必要があります。

住宅ローンと養育費の相殺で起こるトラブル

不可能ではないものの、住宅ローンと養育費の相殺は避けるのが無難です。

相殺によって起こり得る代表的なトラブルを紹介します。

代表的なトラブルは次の5つです。

  • ローンの滞納による競売
  • 養育費の減額
  • ローン契約への違反による一括返済
  • 家の売却
  • 養育費の請求

それぞれの内容についても紹介しますので、把握してトラブルの回避に役立てましょう。

ローンの滞納による競売

養育費と住宅ローンの相殺によって起きるトラブルで特に多いのが、ローンの滞納による競売です。

相殺では家を出たローンの名義人が、養育費の代わりとして返済を継続します。
しかしローンの返済が滞ると抵当権が行使され、家が競売にかけられてしまうのです。

住んでいる家族がローンの返済をしていないとしても、競売を避ける理由にはなりません。
ある日いきなり家を失ってしまうリスクがあるため、十分な注意が必要です。

「名義人はキャッシュカードで返済し、家族が通帳を記帳して確認する」などの工夫が求められます。
滞納していないか確認できる状態にしておきましょう。

養育費の減額

住宅ローンとの相殺では、養育費の減額によるトラブルも考えられます。
養育費は状況が変われば減額も可能です。

  • 再婚
  • 子の進学

養育費が減額され、家のローンの返済額よりも低くなることもあります。
その場合は、養育費を受け取る側が不足分を支払う必要があるのです。

将来的に養育費が減額されるなら、相殺は避けるのが良いかもしれません。
減額になるとローンの負担が生じることを把握したうえで、相殺するのかを考えましょう。

ローン契約への違反による一括返済

養育費との相殺では、ローン契約への違反による一括返済も考えられます。

基本的に、住宅ローンでは名義人が持ち家に住んでいるのが前提です。
そこで家を出た名義人が返済を続けていると、契約違反として扱われる可能性があります。

ただし離婚して名義人が家を出る場合でも、絶対に一括返済を求められるわけではありません。
まずは住宅ローンを借りている銀行に相談するとトラブルの回避につながります。

どうしたらよいか、金融機関の担当者に相談してみてください。

家の売却

養育費代わりに住宅ローンを払うと約束していても、名義人が勝手に家を売ってしまうトラブルもあります。

相殺を約束していても、売却されたら家を出なくてはなりません。
売却の手続きを進められるのは名義人のみです。

トラブルを避けるためにも、養育費の取り決めや家の売却について協議しておきましょう。

養育費の請求

相殺では、ローンのほかに養育費を請求されてしまう可能性もあるでしょう。

名義人である夫が家を出て養育費のローンを払っていても、妻や子が養育費を請求する可能性があります。
そんな事態に陥ってしまうのは、相殺の取り決めを明確にしていないケースです。

思わぬ追加の請求がないよう、相殺するのなら必ず証拠となる書類を残しておいてください。

相殺によるトラブルを防ぐ方法

トラブルを回避するのなら、相殺は避けておくと安心です。しかし、どうしても家を残したくて相殺を考える人もいるでしょう。

そこで住宅ローンと養育費の相殺によるトラブルを防ぐ方法を紹介します。

どのような方法があるのか、参考としてチェックしてみてください。

内容について双方で協議する

相殺でのトラブルを防ぐには、まず内容について双方で十分な協議を行いましょう。

養育費では、お互いの認識にズレがあるとトラブルに発展しがちです。冷静に協議して、その結果を書面に残しましょう。

相殺にするのなら、養育費が減額になったときの対応についても話し合っておくと安心です。

話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の家事調停手続きも利用できます。

専門家に相談する

離婚をするのなら、まず専門家に相談するのもおすすめの方法です。

相殺に限らず、離婚後の養育費はトラブルが起こりやすい傾向にあります。
弁護士に相談すると、適正な養育費の金額や支払いの方法などをアドバイスしてくれるでしょう。その結果として、相殺以外の方法を提案されるかもしれません。

弁護士への依頼は有料ですが、初回相談を無料で行っている法律事務所もあります。

また養育費と住宅ローンの相殺を考えているのなら、金融機関への相談も必要です。
忘れずに、住宅ローンの借り入れをした金融機関に相談してみましょう。

協議して内容が決まったら公正証書を作成しておく

養育費の協議をしてどうするのか内容が決まったら、必ず公正証書を作成しておきましょう。

公正証書の作成には手数料が発生するものの、養育費が滞ったなら強制執行での解決も可能です。
「養育費が支払われない」といった事態の回避に役立てられます。

財産分与や慰謝料も発生していると、支払いは高額になるものです。

言った・言わないでトラブルになるよりも、公正証書を作成しておきましょう。

公正証書とは?

公正証書とは、嘱託によって公証人が作成する公文書です。

金銭の支払いを目的とした公正証書は「執行力」を持っているのが大きな特徴となります。

執行力とは、債務者が債務を履行しないときに強制執行できる効力です。
通常なら、執行力は裁判所での訴えで勝訴が言い渡され、判決が確定してから発生します。

しかし執行力を持つ公正証書を作成しておくと、ただちに強制執行が可能になるという仕組みです。

養育費や慰謝料の取り決めでは公正証書を活用してください。

公正証書を作成する方法

公正証書の作成は最寄りの公証役場で相談しましょう。

公証人への相談は無料です。全国には約300の公証役場があり、公証人約500名が業務にあたっています。

記載する内容を協議で決めたら、申し込みに必要な書類を用意してください。
そのうえで公証役場に内容を伝えて予約を入れます。

予約をした日になったら夫婦で公証役場に行き、公正証書を作成します。

公正証書の作成にかかる費用

公証人が公正証書を作成したときの手数料は、公証人手数料令によって決められています。

原則として交付時に現金で支払うものですが、資力によっては支払いの猶予も可能です。

公正証書の作成に必要となる手数料は、目的の価額によって変わります。

【法律行為に係る証書作成の手数料】(公証人手数料令第9条別表)
目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

(引用:10 手数料 | 日本公証人連合会

実際にかかる手数料については、公証役場で事前に相談しておくと安心です。

住宅ローンが残った家を売る方法

住宅ローンと養育費の相殺は双方にとってリスクがある方法です。

もし住宅ローンと養育費の両方を支払うのが大変であれば、家の売却も視野に入れてみましょう。

家を売るためには、ローンを完済して抵当権を抹消しなくてはなりません。
ただし実際には、ローンの残債があっても売却を進められます。

住宅ローンが残った家を売る方法もについても解説しますので、ぜひご確認ください。

一括返済して売却する

住宅ローンが残っているのなら、一括返済して抵当権を抹消してから売却するのが基本的なパターンです。

しかし住宅ローンは自己資金で一括返済するのが難しい人も多いでしょう。
特に購入から日が浅いのであれば、残っているローンも高額なはずです。

一括返却が難しいときは、売却によって得た資金を使ってローンを完済できます。

このとき、売却価格が残債より低くなるのが「オーバーローン」と呼ばれる状態です。

オーバーローンの場合は、金額の不足分を自己資金で充填することもできます。

まずは家の売却価格を調べて、返済が可能なのか計算してみましょう。

任意売却をする

自己資金を充填しても返済することが難しい場合は、任意売却をするという方法もあります。

任意売却とは、住宅ローンが残った状態で、金融機関の合意を得て不動産を売却する方法です。

離婚・病気・収入の減少などにより、住宅ローンが払えないのなら、任意売却が活用できます。

ただし任意売却の場合は、自分で売却価格を決められません。債権者である金融機関が提示した価格で家を売却することになります。
競売は回避できるものの、仲介での売却よりも価格は下がるのが一般的です。

そこで査定を活用し、仲介で高く売れないかを確認してから任意売却を検討してみましょう。

家の売却は一括査定サイトの利用がおすすめ

離婚にあたっては、双方の合意があれば養育費と住宅ローンを相殺できます。

トラブルを回避するために、協議の結果は口約束ではなく公正証書で残しましょう。

また、住宅ローンが残っている家でも、相殺をするよりは売却する方が適している可能性があります。よく検討してみましょう。

住宅ローンを返済するために家を売却するなら、できる限り高く売ることが重要です。

不動産会社によって、家の売却価格は大きく左右されます。

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