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相続不動産の評価額の調べ方!相続税に関わる計算方法と減額できるケースを紹介

  • 更新日:2023年8月2日
相続不動産の評価額の調べ方!相続税に関わる計算方法と減額できるケースを紹介

相続不動産の評価額の調べ方について考える上で、固定資産税評価額の算出方法や、その他の評価方法について理解するのは難しく、評価額を正しく算出できずに困っている方も多いのではないでしょうか?

また、評価額によって相続税が大きく変動するので、計算方法を知っておくことは節税対策にもつながります。

本記事では、相続不動産の評価額の調べ方が知りたい方に向けて、下記内容を紹介します。

  • 相続不動産における建物の評価額の調べ方
  • 相続不動産における土地の評価額の調べ方
  • 相続不動産の評価額を減額できる小規模宅地等の特例

相続不動産の評価額は相続税の申告の有無に必要

相続税の申告の有無には、相続不動産の評価額を計算する必要があります。

ただし、相続税は基礎控除額以下の場合には申告不要です。

基礎控除は以下の計算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば、法定相続人が2人の場合は「3,000万円 + (600万円 × 2人) = 4,200万円」と求められるため、基礎控除額は 4,200万円です。

不動産を含めた全ての遺産の合計が4,200万円以下であれば相続税を支払う必要がなく、申告も不要となります。

【関連記事】相続した不動産の売却で確定申告は必要?発生する税金や節税ポイントも解説!

相続不動産における建物の評価額の調べ方

相続不動産の評価額を調査するには、いくつかの手順を踏む必要があります。

下記2点について解説します。

  • 固定資産税が建物の評価額
  • 建物の評価額の算出方法

固定資産税が建物の評価額

相続不動産における建物の評価額の調査は、固定資産税評価額を基に行うことが一般的です。

固定資産税評価額は、市町村が算定し、3年に一度見直されるものであり、国税庁の規定に基づいています。

固定資産税評価額と建物の評価額は同じと考えてよいです。

建物の評価額を確認するには課税明細書を参照し、課税明細書の「価格」という項目に記載されています。

課税明細書が手元にない場合でも、役所の固定資産課税台帳を閲覧したり、固定資産評価証明書を取得することで、評価額を確認できます。

これらの手続きにより、相続不動産の建物の評価額を確認し、評価額を基に相続税の計算を行うことが可能となります。

つまり、相続不動産の建物の評価額の調査は固定資産税評価額を基準に行われ、その情報は国税庁の指導の下で市町村が算出して公開しています。

この評価額は、相続税の計算に必要な要素の一つであり、正確な計算のためにはその確認が欠かせません。

建物の評価額の算出方法

相続不動産の建物の評価額の算出方法は、使用目的によって異なります。

まず、自宅として使用していた建物の場合、一般的には固定資産税評価額(建築費の50%から60%程度)を基に評価額が算出されます。

具体的な例を考えてみましょう。

新築時の建築費が1億円だったとしたら、その50%から60%が固定資産税評価額となり、それが建物の評価額となります。

したがって、この場合の評価額は5,000万円から6,000万円となります。

一方、賃貸として建物を使用していた場合は評価額の計算方法が変わり、建物の収益性(賃料収入や空室率など)に基づいて評価額が算出されます。

例えば、同じ1億円の建築費でも月額賃料が100万円で空室率が10%だとすると、年間賃料収入は1,080万円です。

収益性をもとに評価額が計算されるため、自宅として使用していた場合とは異なる評価額となる可能性があります。

建物の評価額は、建物の使用目的や収益性などによって大きく変動することを理解しておきましょう。

相続不動産における土地の評価額の調べ方

相続不動産における土地の評価額の調べ方を2つ紹介します。

  • 路線価方式で評価する方法
  • 倍率方式で評価する方法

調べ方①路線価方式で評価する方法

相続不動産の土地の評価額を調査するには、路線価方式がよく用いられます。

路線価方式は、毎年7月に国税庁が公表する路線価(公示地価)と土地の面積を掛け合わせることで評価額を算出します。

まず国税庁が公表する路線価図から該当する土地の1㎡あたりの価格を探します。

次に、その価格を土地の面積(㎡)で掛けることで、土地の評価額が算出されます。

ただし、土地の評価額は土地の条件によっても変化します。

地勢や形状、前面道路の幅などによって、修正係数が適用されることもあるでしょう。

算出時は、固定資産税の納税通知書、登記簿謄本、路線図が必要です。

納税通知書には該当する土地の面積が、登記簿謄本にはその他の土地情報が記載されています。

これらの情報をもとに、路線価方式での評価額を算出することが可能です。

(参考:「国税庁|財産評価基準書路線価図・評価倍率表(令和4年分)」)

路線価方式の算出方法

相続不動産における土地の評価額を調べる際に利用する路線価方式の計算方法を解説します。

例として、路線価が10万円、相続予定の土地の面積が300㎡とします。

この場合、基本的な計算方法は「路線価 × 土地の面積」で、評価額は「10万円 × 300㎡ = 3,000万円」です。

ただし、実際の計算には修正係数が適用されることがあります。

例えば、道路に面していない土地や形状が不整な土地は、一般的に価格が下がると考えら、修正係数が適用されると評価額が変動します。

また、路線価は毎年7月に更新されますので、評価額を計算する際は最新の路線価を使用することが重要です。

調べ方②倍率方式で評価する方法

相続不動産の土地の評価額の調査において、倍率方式は一般的な方法の一つです。

倍率方式は、基本的に固定資産税評価額に土地の種類ごとに設定された倍率を掛けることで評価額を算出します。

具体的には、まず固定資産税の納税通知書から該当する土地の固定資産税評価額を調べます。

次に、登記簿謄本を参照して土地の種類(宅地、農地、山林など)を確認しましょう。

その後、国税庁のホームページに掲載されている倍率表を参照し、該当する土地の種類に対応する倍率を探します。

倍率を基に土地の評価額が算出されます。

倍率方式は、路線価方式とは異なり、土地の種類によって評価額が大きく変動する可能性があることを理解しておくことが重要です。

また、評価額を算出する際には最新の倍率を使用しましょう。

(参考:「>国税庁|財産評価基準書路線価図・評価倍率表(令和4年分)」)

倍率方式の算出方法

相続不動産の土地の評価額の調べ方として倍率方式を用いる際の具体的な計算方法についてみていきましょう。

例えば、固定資産税の納税通知書から土地の固定資産税評価額が50万円、登記簿謄本により該当する土地が宅地であることが分かったとします。

そして、国税庁のホームページに掲載されている倍率表から、宅地に対する倍率が2.0であることを確認しました。

評価額は「固定資産税評価額 × 倍率」を計算することで求められます。

つまり「50万円×2.0 = 100万円」となり、評価額は100万円となります。

倍率方式の特徴は、土地の種類によって倍率が変わることです。

このため、農地や山林など、種類の異なる土地についてはそれぞれに適用される倍率を国税庁のホームページで確認してください。

【関連記事】>相続した土地を売るタイミングは?相続税や譲渡所得税、固定資産税を節税するなら

相続不動産の建物が賃貸なら評価額を減額できる

相続不動産の建物が賃貸物件として使用されていた場合、その評価額を減額することが可能です。

賃貸用不動産として使われている建物は、自己使用の建物と比較して、相続税の評価額が低く設定される傾向にあります。

具体的には、賃貸で貸している部分の床面積の割合(賃貸割合)と借家権割合(一般的には建物評価額の30%)を考慮して評価額が減額されます。

この2つの要素は次のような計算式で評価額に反映されます。

相続税評価額(建物)= 建物の固定資産税評価額 × (1 – 借家権割合30% × 賃貸割合)

建物全体の床面積の50%を貸していた場合、相続税評価額は借家権割合の30%と賃貸割合の50%を掛けた15%だけ減額されます。

例えば、建物の固定資産税評価額が5,000万円で賃貸割合が50%とすると、減額対象の金額は「5,000万円 × (1-0.3 × 0.5) = 4,250万円」です。

この結果、最終的な相続税評価額は4,250万円となります。

相続不動産の土地の評価額を減額できるケースは6つ

相続不動産の土地の評価額を減額できるケースを6つ紹介します。

  • いびつな形の土地
  • 間口が8m未満
  • 奥行きが長いもしくは短い
  • 土地に私道が含まれている
  • 分譲マンションの土地
  • 借地

ケース①いびつな形の土地

相続不動産の土地の評価額を減額できるケースとして「いびつな形の土地」が挙げられます。

いびつな形の土地は「不整形地」と呼ばれ、形状によって評価額が減額される可能性があります。

不整形地とは、整形地(一般的に四角形の土地)から逸脱した形状の土地を指します。

不整形地の部分が全体に対して占める割合が一定以上であれば減額の対象です。

具体的には、不整形地の部分(いわゆる「かげ地」)が全体の10%以上を占める場合、その部分について評価額が減額されます。

例えば、1,000㎡の土地があり、そのうち200㎡が不整形地(かげ地)である場合を考えてみましょう。

この場合、かげ地の面積割合は「200㎡ ÷ 1000㎡ = 0.2(20%)」となります。

この割合は10%以上なので、評価額は減額の対象となります。

ケース②間口が8m未満

相続不動産の土地の評価額を減額できるケースとして「間口が8m未満の土地」が挙げられます。

間口が狭い土地は利用の制約があり、建物の配置やアクセスに制限が生じるため、評価額を下げることができます。

間口が8m未満の土地に対しては、「間口狭小補正率」と呼ばれる補正率が適用されます。

この補正率は、間口の狭さによって評価額を減額する割合を示しています。

また、計算式には「路線価」「土地面積」などの値も必要で、計算式は下記の通りとなります。

土地評価額 = 路線価 × 間口狭小補正率 × 土地面積

具体的な例を考えてみましょう。

ある土地の路線価が50,000円、土地面積が100㎡、間口が6mで、この間口に対応する間口狭小補正率が0.8とします。

間口狭小補正率は、国税庁の>奥行価格補正率表表を参考に算出します。

計算式は、以下の通りです。

50,000円 × 0.8 × 100㎡= 400万円

したがって、この土地の評価額は 400万円です。

ただし、間口狭小補正率の具体的な値は地域や土地の特性によって変わるため、上記の計算はあくまで一例となります。

ケース③奥行きが長いもしくは短い

相続不動産の土地の評価額は、奥行きが長いもしくは短い場合に減額されるケースがあります。

奥行きは、土地の価値に影響を及ぼす重要な要素です。

奥行きの長さが評価額に与える影響を把握するためには、奥行価格補正率という指標が利用されます。

奥行価格補正率を使うことで、土地の奥行きに応じた減額額を知ることが可能です。

例えば、ある相続不動産の土地の奥行きが非常に長い場合を考えましょう。

奥行価格補正率を適用すると、通常の奥行きと比較して評価額が減額されることが分かります。

この場合、土地の奥行きが不利益となり、評価額が低くなることが予想されます。

逆に、奥行きが短い場合には評価額が増額される可能性があります。

土地の奥行きが狭いことによって、他の土地と比較して価値が高まる場合があるためです。

ケース④地に私道が含まれている

相続不動産の土地の評価額は、土地に私道が含まれている場合に減額されることがあります。

まず、私道の特性によって評価額の減額が変わることがあります。

例えば、私道が特定の人や特定の物件にのみ利用される専用の道路である場合、減額の対象となる可能性があります。

これは、私道が限られた利用者にしか恩恵をもたらさないため、土地の魅力や利便性が低下するからです。

一方、私道が一般の人々によって利用される公共の道路である場合、評価額の減額は少ないかもしれません。

公共の道路は、土地のアクセス性や利便性を高める要素として評価されるためです。

評価額の減額に関して、奥行価格補正率や間口狭小補正率、不整形地補正率などの指標を活用することもあります。

これらの指標は土地の特徴に基づいて評価額を調整するため、私道が含まれている場合にも適用される可能性があります。

ケース⑤分譲マンションの土地

相続不動産の土地の評価額は、分譲マンションの土地である場合に減額されることがあります。

分譲マンションでは、土地が共有されており、各所有者が持分割合を有しています。

この持分割合が相続税の対象となり、評価額の算出に影響を与えます。

相続税の評価額は、通常なら土地の価格を基に算出されますが、分譲マンションでは持分割合が評価の対象です。

具体的には、路線価方式や倍率方式が用いられ、持分割合に応じて土地の評価額が調整されます。

持分割合は、売買契約書や登記簿の「敷地権の割合」を確認することで明確になります。

ケース⑥借地

相続不動産の土地の評価額は、借地の場合には減額されることがあります。

借地とは、土地を借りて建物を所有する形態であり、土地の所有権は地主にある場合です。

借地の評価額は、借地権割合と土地の評価額を基に算出されます。

借地権割合は、路線価図を参照することで確認することができます。

通常、路線価図には借地権割合が示されており、その割合に基づいて土地の評価額を掛け合わせることで、借地の評価額が算出されます。

具体的な例を挙げて説明します。

ある相続不動産が借地であり、土地の評価額が1億円で、借地権割合が50%である場合を考えましょう。

この場合、土地の評価額に借地権割合を掛け合わせることで、借地の評価額は5,000万円です。

つまり、借地の評価額は土地の所有権の割合に応じて減額されることになります。

【関連記事】>相続した土地はすぐ売却したほうがいい?受けられる特例控除やその他のおすすめ理由を解説

相続不動産の評価額を減額できる小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、相続不動産の評価額を減額するための制度です。

この特例は、居住用の宅地や農地などの一定の条件を満たす土地に適用されます。

特例を使用する場合、一般には申告が必要です。

相続税申告書に特例適用の欄があり、該当する特例の適用を申告する必要があります。

適用には、詳細な情報や証明書類の提出が求められる場合もありますので、専門家の助言を受けながら正確に申告することが重要です。

特例の具体例について、以下で詳しく解説します。

居住用の土地

相続不動産の評価額を減額できる特例の一つに「居住用の土地」の特例があります。

この特例は、相続された土地が居住用であり、特定の要件を満たす場合に適用されます。

ある相続不動産が居住用の土地であり、相続人がその土地に居住していた場合を考えましょう。

この場合、特例の要件が満たされることで、評価額の80%の減額が受けられます。

特例の要件としては、居住用の土地であること、相続人がその土地に居住していた期間が一定の年数以上であることなどがあります。

詳細な要件は法律や税務当局の指針に基づいて確認する必要があります。

例えば、相続不動産の居住用の土地の評価額が1億円で、特例の要件を満たす場合、評価額の80%が特例適用額となります。

つまり、特例適用額は8,000万円です。

ただし、特例が適用されるには、限度面積があるので注意が必要です。具体的な面積は法律や税務当局の指針によって異なる場合がありますが、例えば200㎡が限度面積とされている場合、それ以上の土地に対しては特例適用が制限されることになります。

事業用の土地

特例は、事業用の土地にも適用されます。

ある相続不動産が事業用の土地であり、相続人がその土地でお店を営んでいた場合を考えましょう。

この場合、特例の要件が満たされることで、評価額の80%の減額が受けられます。

特例の要件としては、事業用の土地であること、相続人がその土地で一定の期間にわたって事業を営んでいたことなどがあります。

具体的な要件や期間は法律や税務当局の指針によって異なる場合がありますので、詳細を確認してください。

例えば、相続不動産の事業用の土地の評価額が1億円で、特例の要件を満たす場合、評価額の80%が特例適用額となります。

つまり、特例適用額は8,000万円となります。

ただし、特例が適用されるには、限度面積があるので注意が必要です。

具体的な面積は法律や税務当局の指針によって異なる場合がありますが、例えば500㎡が限度面積とされている場合、それ以上の土地に対しては特例適用が制限されることになります。

貸付事業用の土地

特例は、貸付事業用の土地にも適用されます。

ある相続不動産が貸付事業用の土地であり、相続人がその土地でマンション、アパート、駐車場などの貸し物件を経営していた場合を考えましょう。

この場合、特例の要件が満たされることで、評価額の50%の減額が受けられます。</b>

特例の要件としては、貸付事業用の土地であること、相続人がその土地で一定の期間にわたって貸し物件を経営していたことなどがあります。

具体的な要件や期間は、法律や税務当局の指針によって異なる場合がありますので、詳細を確認する必要があります。

例えば、相続不動産の貸付事業用の土地の評価額が1億円で、特例の要件を満たす場合、評価額の50%が特例適用額となります。

つまり、特例適用額は5,000万円となります。

ただし、貸付事業用の土地の評価額は、特例が適用される限度面積(200㎡)を考慮に入れた上で計算されます。そのため、特例が適用される土地の面積が200㎡を超える場合、超過部分は特例の適用を受けません。

【関連記事】>相続したマンションの売却にかかる税金は?節税方法も解説!

相続不動産の評価額から相続税を確認して売却も視野に検討しよう【まとめ】

相続不動産の評価額は、相続税の申告が必要かどうかを判断するうえで重要な役割を果たします。

その評価額に基づいて基礎控除額が算出され、その額によって相続税の有無が決まるからです。

本記事の内容を参考に建物の評価額を算出してみましょう。

また、相続不動産における土地の評価額は「路線価方式」と「倍率方式」の2つの方法があります。

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