マンションの価値は年々上昇しており、高値で売却したい方が増えています。
しかし、マンションの売買は人生で一度あるかないかの大きな取引のため、悩みや不安を抱いている人も少なくありません。
「マンションは今年売った方がいいの?」
「マンションの価値は下落しないの?」
このような疑問を持っている方も多くいます。
結論として、マンションの売却価格は今後も上昇していく可能性が高いです。
この記事では、その理由や今後の動向を詳しく解説します。
- この記事でわかること
- 2023年最新のマンション価格推移
- 過去10年間の売却価格推移
- 東京都のマンション売却価格の推移
- マンション価格は今後下落するのか
- 築年数での違い
マンションの売却や購入を検討している方は、ぜひ最後まで読んでください。
2023年最新のマンション価格推移
まずは、2023年最新のマンション価格推移を確認しましょう。
以下のグラフは、国土交通省が発表した不動産価格指数の推移です。
年間約30万件におよぶ実際の取引価格をベースにしており、2010年の平均を100としたうえでの数値を表示しています。
不動産価格の動向を指数化した統計データをまとめた数値です。
国土交通省「不動産価格指数(住宅)」を参考にすまいステップ編集部が作成
マンションの指数を見ると、2013年までは土地や戸建ての数値とほぼ同じですが、2013年の途中から安定して右肩上がりなのがわかります。
これは、日銀による『異次元の金融緩和』が影響しているといわれています。
資金提供量を増やしてデフレ(株価下落)の解消を目的とした政策
2013年に黒田東彦総裁が行った政策のことで、日銀が大量の国債を市場から買い入れ、その資金を利用して企業や個人が投資や消費をしやすくするのが目的です。
この政策によって銀行から個人への融資が超低金利で行われるようになり、不動産購入者が増加している傾向にあります。
その結果、2013年以降は安定して価格指数が上昇していると想定できます。
また、新型コロナウイルスによる影響が少なかったのも要因で、全国的に見てもマンションの価値が上がってきているといえます。



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過去10年間のマンション売却価格推移
過去10年間の価格推移を見てみましょう。
以下のグラフは、首都圏におけるマンション成約価格の推移です。
公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」を参考にすまいステップ編集部が作成
2012年と比べると2022年は約1,700万円も上昇しているのがわかります。
それだけ首都圏のマンション需要は高くなり、高騰し続けているといえます。
コロナ禍である2020年も価格が減少していなかったことから、今後も上昇する可能性は高いです。
東京都のマンション売却価格推移
続いて東京都のマンション成約価格の推移を見てみましょう。
※公益財団法人 東日本不動産流通機構「Market Watch」※2016~2023年それぞれ参照を参考にすまいステップ編集部が作成
東京都の成約価格は平均的に高いのが特徴です。
2014年と2023年では約1,900万円もの差があり、特に2021年からの3年間で約740万円も成約価格が上がっています。
価格高騰の原因としては以下の点が挙げられます。
- 新築マンションの減少
- 金融緩和政策による低金利時代
- 工事費・材料費の増加
新築マンションは人気があり需要があります。
しかし、首都圏の新築マンション供給数は年々減少しているのが現状です。
年度 | 新築マンション供給数 |
---|---|
2016年度 | 14,931 |
2017年度 | 16,393 |
2018年度 | 15,452 |
2019年度 | 13,131 |
2020年度 | 11,131 |
2021年度 | 13,169 |
2022年度 | 10,692 |
※株式会社不動産経済研究所 首都圏 新築分譲マンション市場動向2022 年度(2022 年 4 月~2023 年 3 月)を参考にすまいステップ編集部が作成
このように需要に対して供給が少ないのが原因で価格が高騰していると考えられます。
その他にも金融緩和政策により低金利で住宅ローンを組めるようになったため、マンション購入が増えたのも原因でしょう。
工事費や材料費もリーマンショック以降上昇し続けており、ひとつのマンションを建築するのに費用がかかるため、自ずと成約価格にも影響しているといえます。
マンション売却価格の推移は今後下落する?
マンション価格の推移をお伝えしましたが、「いつかは下落するんでしょ?」と思っている方も多いでしょう。
ここでは、マンション価格の下落について解説します。
今後数年下落しないと想定
以下のグラフは、レインズが発表している、首都圏における中古マンションの成約価格と新規登録価格(新規で売り出した価格)の推移です。
※公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」|公益財団法人東日本不動産流通機構「季報 Market Watch サマリーレポート <2023 年 4~6 月期>」を参考にすまいステップ編集部が作成
成約価格と新規登録価格の差は2016年までは横ばい、もしくは成約価格が新規登録価格を下回っていました。
しかし、2017年からは成約価格の方が上回っている傾向が強く、最初に売り出した価格よりも高値で売却できているのがわかります。
つまり、売主が想定した価格よりも実際は高く売れている状況なのです。
これまでは、コロナ禍や東京オリンピックの閉幕により2020年以降のマンション価格は下落するのではないかといわれていました。
しかし、2020年以降も成約価格は下落しておらず、むしろ上昇し続けています。
この推移から予想すると、今後もマンションの価格はあがっていくのではないかと思われます。
日経平均株価との相関関係
マンション価格と日経平均株価との関係を解説します。
以下のグラフは日経平均株価の推移を表したものです。
上下の波はあるものの、2014年から年数を重ねるごとに株価が上昇しているのがわかります。
そして、このグラフを先ほどの『首都圏における中古マンションの成約価格の推移』のグラフに重ねてみましょう。
※日本経済新聞「日経平均株価」を参考にすまいステップ編集部が作成
株価とマンション成約価格の動きが似ているのがわかります。
株価は上下の波があるものの、2014年と比べると上昇してきています。
全く同じ動きをしているわけではありませんが、株価の動きが不動産市場にも影響していると考えられるでしょう。
そして2023年の株価では、4月に一時3万3,762円まで上昇し、バブル崩壊後の高値を33年ぶりに更新するなど好調です。
この調子で株価が安定して上昇すれば、マンション価格も同じように上昇する可能性が高いといえます。
築年数別でのマンション売却価格推移
築年数によってマンション価格は異なります。
以下はマンション成約価格の推移を築年数別で表したグラフです。
※REINS TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」を参考にすまいステップ編集部が作成
築年数の経過とともに価格も下落しているのがわかります。
特に築26年以降になると価格は大きく減少し、新築時の43%ほどの価値しか残っていません。
次に表で数値を確認しましょう。
築年数 | 成約価格 | 面積 | ㎡単価 | 価格下落率 |
---|---|---|---|---|
新築~築5年 | 6,638 | 63.09 | 105.21 | ー |
築6~10年 | 6,193 | 66.05 | 93.76 | 10.9% |
築11~15年 | 5,543 | 69.41 | 79.86 | 14.8% |
築16~20年 | 5,250 | 70.94 | 74.01 | 7.3% |
築21~25年 | 4,290 | 69.29 | 61.91 | 16.3% |
築26~30年 | 2,832 | 63.54 | 44.57 | 28% |
築31年~ | 2,193 | 56.25 | 38.98 | 12.5% |
価格下落率を見ると、築26~30年での下落率が最も大きいのがわかります。
そもそも物件は、1秒でも誰かが住むと新築ではなくなり、その瞬間に建物としての価値が大きく減少します。
これを『新築プレミアム』とよび、新築時の1~3割ほどまで価値が減少します。
さらに築年数が経過すれば価値は減少していき、成約価格も減少していきます。
このことから、築26年以降の築年数が経過したマンションは価値が下落しやすいといえるでしょう。
まとめ:マンションの売却価格は今後も高い
マンションの売却価格の推移を解説しました。
首都圏におけるマンションの価格は上昇しており、10年前と比べると約1,700万円も上昇しています。
理由としては、以下が挙げられます。
- 異次元の金融緩和
- 新築マンション供給数の減少
- 工事費・材料費の高騰
また、コロナ禍も影響せず2023年現在もマンションは売り手市場といえます。
マンション売却を検討している方は、今後の動向を随時チェックして売却するかどうかを判断しましょう。