土地の譲渡にかかる譲渡所得税を理解して無駄な税金を回避しよう

土地を譲渡する際に有償で譲渡したい場合は、譲渡した側に税金がかかります。

反対に無償で譲渡した場合は、譲渡された側に税金がかかります。

前者の譲渡は『売却』とみなされ、後者は『贈与』や『遺贈』の場合に限ります。

売却では、場合によっては3,000万円分非課税にする特例制度などが利用できるので、税金を抑えて土地を譲りたい方は一度把握しておきましょう。

この記事では、有償の譲渡を前提として解説を進めていきます。

生前贈与等に関してはこちら。
土地の相続に関してはこちら。

この記事でわかること
  • 譲渡の際にかかる2つの税金
  • 税金をできる限り抑える方法
  • 身内に土地を譲る際に注意すべきこと

土地の譲渡にかかる税金

譲渡の際にかかる税金は以下の2つであり、譲渡した人に納税義務があります。

  • 譲渡所得税
  • 印紙税

譲渡所得税は譲渡の対価として金銭を受け取り利益が発生した場合にのみかかります

贈与とは、無償で財産を与える行為になります。
贈与の際に1円でも受け取っている場合、厳密には売却をしたことと同義で、受け取った金額は譲渡所得税の対象になりえます。また、通常の相場価格よりもかけ離れた安さで売却した場合。
例えば、1000万円の価値のある土地を50万円で売却した場合は、相場価格(またはその土地の評価額など)との差額。この場合は950万円分を、贈与したものと考えられます。
この部分を『みなし贈与』といい、受け取った側に贈与税がかかります。

1.譲渡所得税

譲渡所得税とは、土地を売却した際に発生した利益(譲渡所得)に対して課せられる税金です。
その内訳は住民税所得税(2037年まで復興特別所得税が含まれる)であり、税率が非常に高くなります。

譲渡所得税の税率は、物件の所有期間により異なります。(2章で詳しく解説)

支払いのタイミング

まずは所得税を、土地を売却した次の年に行う確定申告のタイミングで支払います。(売却翌年の2月15日~3月16日。休日などの関係で誤差あり。)
住民税は確定申告後、6月ごろから4期にわたって支払いの通知がきます。一括で納税してしまうことも可能です。

2.印紙税

契約書の作成に対しかかる税金です。
収入印紙を購入し契約書に張り付けることで納税をしたことになります。

印紙税の額は、契約書に書かれている正式な売却金額をもとに決定します。
安くて200円から。土地の売却金額が1億円超えても6万円程度です。

支払いのタイミング

売買契約書を作成する際に発生します。
厳密には収入印紙を購入する際に支払いが発生します。
収入印紙は郵便居で購入することができるので、購入の前にいくらの印紙税を買うべきか不動産会社に聞いておきましょう。

譲渡所得税の計算方法

先ほど記述したように、譲渡所得税は利益によって決まります。
その利益のことを譲渡所得といい、以下のように計算します。

譲渡所得=土地の売却金額ー土地の購入にかかった金額(取得費)ー売却にかかった経費
土地の購入にかかった金額は、土地の購入費と購入のために使った経費で、これを取得費といいます。
この金額がわかる書類が残されていればいいのですが、もし紛失してしまった場合は概算法を利用します。
概算法は、売却金額の5%を取得費として計算する方法で、もし書類で証明できる金額よりも概算法で計算した金額の方が高い場合もこの方法を利用することができます。
譲渡所得に税率をかけると譲渡所得税額を算出することができます。

税率が所有期間により変動する

譲渡所得税の税率は土地の所有期間により変動するので気をつけましょう。
所有期間5年を境に短期譲渡所得、長期譲渡所得と名称と税率が異なります。

所有期間名称税率(所得税には復興特別税を含む)
5年以下短期譲渡所得39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
5年超え長期譲渡所得20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

例えば所有期間6年、譲渡所得1,000万円の土地の場合は以下のような計算となります。

1,000万円×20.315%(長期譲渡所得)=203万1,500円

所有期間10年超えると軽減税率が利用できる

物件の所有期間が10年を超えると軽減税率が適用でき、譲渡所得税を大きく抑えることができます。
ただし、この軽減税率は自己の居住用財産(自分が住んでいるマイホーム)であることが前提とされているため、土地のみの所有や、相続・贈与により取得した土地には適応されません。

所有期間名称税率
10年超え10年超え軽減税率の特例14.21%(所得税10.21%、住民税4%)
*譲渡所得6,000万円以上の部分は20.315%

譲渡所得税の計算方法

3つのステップに分けて実際に計算していきましょう。

step1:計算に必要な金額を確認する

計算するために必要な各種の金額を確認しましょう。

  • 譲渡金額(売買契約書に記載されている)
  • 取得費(取得費を証明する書類がなければ概算法)
  • 譲渡に際しかかった金額(交通費や仲介手数料などの経費)
  • 所有期間(相続している場合は親の所有期間を含める)

今回すぐに確認できない場合は、覚えている限りのおおよその数字と概算法で進めていきましょう。

ここでは、譲渡金額4,000万円取得費2,500万円譲渡にかかった経費300万円。所有期間15年の土地でシミュレーションしていきます。

step2:譲渡所得を計算する

まずは譲渡所得(利益)を求めます。

譲渡所得=譲渡金額取得費譲渡に際しかかった金額
譲渡所得=4,000万円2,500万円300万円=1,200万円

step3:譲渡所得税額を計算する

ここでは所有期間を15年としているので、長期譲渡所得(20.315%)で計算します。
また、土地のみなので先ほど紹介した「所有期間10年越え軽減税率」は適用されません。

譲渡所得税額=譲渡所得×譲渡所得税率
譲渡所得税額=1,200万円×20.315%=243万7,800円

土地を譲渡する際に使える特別控除

土地譲渡には大きな税金が発生することがわかりました。

ここからは、この大きな税金を大幅に減らすことができる特別控除を解説いたします。

マイホームの土地譲渡にも適用される3,000万円特別控除

3,000万円特別控除とは、居住用財産を売却した時に譲渡所得額から3,000万円分差し引いて計算することができる特例です。

この特例は居住用財産(主な住居として使用している家)であることが前提ではありますが、条件を満たせば土地のみの売却にも適用することができます

1.家屋が災害により滅失し土地だけを譲渡

災害などにより家屋が滅失していた場合は、災害のあった日から3年後の12月31日までにその敷地だけ譲渡することで3,000万円の特別控除を受けることができます。

2.居住用の家屋を取り壊してから譲渡

家屋を取り壊してから土地部分だけを売却する場合は以下2つの条件を満たすことで適用されます。

  1. 家屋を取り壊してから1年以内に譲渡契約を締結され、すまなくなってから3年後の12月31日以内に譲渡したもの
  2. 家屋の取り壊し後、譲渡契約が結ばれるまでに貸付その他に使用していない土地であること

土地を取り壊してからの1年という期間は、土地を譲渡するために十分な期間だとされているからです。
あくまでも譲渡のために取り壊し敷地に適用されるので、期間に成約があることは仕方ないでしょう。

3.譲渡契約後に居住用の家屋を取り壊して譲渡

買主の要望により、譲渡契約の際に取り壊しの約束がされることはよくあります。
この場合、実際に取り壊すのは譲渡契約後になるため先ほどと同等に扱われるか難しいところではありますが、3,000万円特別控除を利用することは可能だと考えられます。

4.相続した居住用の家屋を取り壊して譲渡

相続した家である場合、相続以前にあなた自身がその場を居住用として使用していたかが重要です。
相続した場合でも、居住用の家屋と判断されれば、取り壊してから敷地を譲渡しても問題ありません。

条件は『2.居住用の家屋を取り壊してから譲渡』と同様です。

もし、居住用としていない家を相続した場合は、別の控除を利用します。

相続した空き家に適用される3,000万円特別控除

あなたが居住用に使用していない家を相続したのなら、その家が相続後空き家となる(被相続人が相続開始まで一人暮らしをしていた被相続人の居住用財産)場合に3,000万円の特別控除を利用することができます。

この場合も、先ほどのマイホームで受けられる3,000万円特別控除と同様、譲渡のために取り壊しを行い更地として譲渡することで、土地のみでも控除を受けることができます。

その他詳しくはこちらをご参照ください。
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10年超所有軽減税率

その家を10年以上所有していた場合に、譲渡所得6,000万円以下の部分に関して譲渡所得税率が低くくなる特例です。

5年以上所有している場合は、長期譲渡所得で計算されるため、税率20.315%が通常です。
この特例を使用することで、譲渡所得6,000万円以下の部分は 税率14.21%なります。

通常3,000万円特別控除は他の特例と併用することができませんが、この『10年超所有軽減税率』は同時に適用することができます。
どちらも、適用するには確定申告が必須になります。

取得費加算の特例

取得費加算の特例は相続した不動産などに生じた相続税の一部を、譲渡する際の取得費に加算することができる特例です。
相続税を支払った人が、譲渡所得税も支払うとあまりにも負担が大きすぎるのでこの特例が用意されています。
譲渡所得の計算で出てきた取得費ですが、この額が大きくなればその分、課税される譲渡所得を小さくすることができます。

複雑な計算式にはなってしまいますが、もろもろの数字が決まったら実際に計算してみましょう。

相続税額×{相続税の課税価格の計算の基礎とされた譲渡した財産の価額÷(相続税の課税価格+債務控除額)}=取得費に加算する相続税額

その他譲渡した状況に応じて利用できる控除

公共事業などのために土地を売却した場合

道路の建設や河川の工事など、公共事業のために土地を売却した場合は、5,000万円の特別控除の対象となります。適用にあたっては、土地が固定資産であることや買取の申し出から6カ月以内に売却するなど、いくつかの条件を満たす必要があります。

平成21年および平成22年に取得した土地を売却した場合

平成21年に取得した土地を平成27年以降に売却する場合、または平成22年に取得した土地を平成28年以降に売却する場合は、譲渡所得の金額から1,000万円を控除することが可能です。ただしこちらの特例にも、親子間や夫婦間などの取引の場合は適用されないなど、ケースによっては適用されない場合があるので注意しましょう。

特定土地区画整理事業のために土地を売却した場合

国土交通省がが実施する土地区画整理事業において土地を売却した場合、最大2,000万円の特別控除の対象になります。

特定住宅地造成事業のために土地を売却した場合

国や地方公共団体、独立行政法人などが特定事業の用地を買収する場合、最大1,500万円の特別控除の対象になります。

農地保有の合理化のために土地を売却した場合

農業振興地域内における農地を農業委員会の斡旋により売却した場合、最大800万円の特別控除の対象になります。

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親子などの親族間で譲渡する際の注意点

著しく安い価格で譲渡すると『みなし贈与』になる

例えば子どもに土地を譲りたい場合、実際は2000万円程度で売れる土地を50万円で譲ったとします。
この場合、譲渡所得税が課税されるのは50万円の部分のみになります。
一見、税を逃れることができる良きアイデアに感じますが、この場合は差分1,950万円の部分を贈与したとみなされてしまいます。

これらはみなし贈与と呼ばれ、贈与税が発生します。

みなし贈与とされる基準は正式に決まっておらず、「社会通念上著しく低い価格」だった場合と定義されています。

その土地の価値に見合った価格で売却をしなければ、税率の高い贈与税によって逆に損をしてしまうことも。

親族間の売買はローンが通りにくい

親族間の売買では住宅ローンの審査が通りにくくなっています。
その際は、分割払いを利用することを考えましょう。
分割払いを利用する際は、支払い方法等を売買契約書に明記する必要があります。

3,000万円特別控除が利用できない

3,000万円特別控除は「親子や夫婦などの特別な関係でない」人への譲渡での際に利用することができます。
要するに、親族間の売却では3,000万円特別控除を利用することができません。

他に、10年超所有軽減税率の特例なども利用することができません。

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記事のおさらい

土地の譲渡にかかる税金は?

土地の譲渡、売却にかかる税金は主に譲渡所得税と印紙税です。相続した土地を売却する場合は、譲渡の前に相続登記を行うのですが、その際に登録免許税が発生します。詳しく知りたい方は土地の譲渡にかかる税金をご覧ください。

譲渡所得税ってどのくらいかかるの?

譲渡所得税は、土地の所有期間により税率が変動します。所有期間5年以下の場合は39.63%。所有期間5年越えの場合は20.315%となります。所有期間が10年を超え、なおかつ諸条件を満たすと軽減税率が適用され14.21%となります。詳しくは譲渡所得税を詳しく解説をご覧ください。

土地を譲渡する際に3,000万円特別控除は利用できる?

不動産売却においてよく利用される3,000万円の特別控除は居住用の家が対象になります。今日重要に供したマイホーム、被相続人が相続の開始まで居住用とし一人暮らしをしていた場合が原則になります。もともと家がなく居住用ではなかった土地ではこの控除を利用することはできません。詳しく知りたい方は土地を譲渡する際に使える特別控除をご覧下さい。

確定申告は必ずしないといけないの?

譲渡による利益がでなかった場合は確定申告の必要性はありません。逆に譲渡による利益がある場合は確定申告をし納税を行う義務があります。確定申告をすることで、経費の計上や各種特別控除を利用することができるなど私たちにもメリットがあります。詳しくは土地を譲渡する際に使える特別控除をご覧ください。


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