マンションの売り出しを始めても、なかなか買い手が見つからないケースがあります。売れない期間が続くと値下げせざるを得なくなる可能性もあるため、スムーズに高値で売却するには販売開始前にポイントを押さえておくことが大切です。
また、高値での売却を目指すためには、仲介を依頼する不動産会社選びが重要になってきます。この記事ではマンションの売却を成功に導く6つのポイントを解説すると共に、不動産会社選びに欠かせない2つのポイントをご紹介していきます。
マンションを高く早く売却する6つのポイント
マンションが高値で売却できると、売り主の手に入る金額も高くなります。その資金が多いほど住み替え先の資金などに充てられるため、スムーズに高値で売却することは売り手にとっても大きなメリットです。
マンションが高く売れるタイミングを知る
同じ地域で同様な間取りのマンションあったとしても、タイミングを見極めることで高値での売却することができます。なぜなら1年間の中で不動産業界には繁忙期があり、需要が高まる時期は売却に適したタイミングといえるからです。
例えば新学期や新年度がスタートする前の年始から3月まで、夏休みやお盆といった連休に入る前の6月から7月、人事異動による動きがある9月から10月は、マンションが高値で売却しやすいと考えられています。
新年度や人事異動といったライフスタイルの変化に合わせて繁忙期が訪れるため、このようなタイミングを見極めて売り出しをスタートすると高値での売却が期待できます。
事前に相場を把握する
マンションの売却を検討すると、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。しかし、査定を依頼する前にまずはマンションの相場を把握しておくことが大切です。
なぜなら相場から大きくかけ離れた高額な価格で売り出すと、売却までに時間がかかってしまい、希望価格通りに売却できないといったリスクが高まるからです。
相場を知る方法はいくつかありますが、身近な方法では不動産ポータルサイトや新聞の折り込み広告で近隣の類似物件の売り出し価格を参考にする方法が挙げられます。
また、不動産会社から提示される査定額が相場と差がある場合、予め相場を把握しておくことでその根拠を質問し、査定額の正当性を確認する手段として利用できます。
媒介契約を適切に選ぶ
仲介を依頼する不動産会社が決まると、売り手と不動産会社との間で媒介契約を締結します。媒介契約は一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、適切な媒介契約を選ぶことが大切です。
なぜなら媒介契約は以下の表で示すようにそれぞれ特徴が異なるため、自分に合った媒介契約でなければスムーズに高値での売却が期待できないからです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
不動産会社との契約 | 複数社と契約可 | 1社のみ | 1社のみ |
自分で買い手を見つけた場合の取引 | できる | できる | できない |
レインズへの登録 | 登録義務なし | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
販売状況の報告 | 報告義務なし | 2週間に1回以上の頻度 | 1週間に1回以上の頻度 |
契約期間 | 規定なし | 3カ月以内 | 3カ月以内 |
このうち専属専任媒介契約が最も選ばれているものの、専任媒介契約は不動産会社が優先的に売却活動を進めてくれるといったメリットが多いのでおすすめです。
マンションのアピールポイントを整理する
人事異動による転勤や間取りの多いマンションへの住み替えなど、マンションを売却する理由は人によってさまざまです。マンションをスムーズに高値で売却するためには、マンションのアピールポイントを整理しておくことが大切です。
なぜなら立地条件や周辺環境の利便性が良いマンションは、需要が高いからです。例えば立地条件では駅からの距離、周辺環境ではスーパーや学校からの距離の近さなどが挙げられます。
また、ビルトイン食洗機やIHコンロ、セキュリティ面といったマンション独自の設備もアピールポイントになります。実際に住んでみないとわからないこともあるため、住んでいたからこそわかるアピールポイントをまとめて不動産会社の担当者に積極的に伝えておくとよいでしょう。
内覧時の印象を良くする
マンションに住みながら売却を進める場合、購入希望者の内覧を受け入れなければなりません。マンションを売却するためには、内覧時の印象アップを心がけることが大切です。
なぜなら内覧時の印象が悪ければ、売買契約に繋がらない可能性が高まるからです。例えば内覧時の購入希望者への対応、室内の清掃や整理整頓などが挙げられます。特に水回りは汚れやすいため、入念に清掃しておいた方がよいでしょう。
場合によっては、ハウスクリーニングやホームステージングを依頼するのも一つの手段です。ちなみにホームステージングとは、家具や小物を使ってまるでモデルルームのような空間を演出するサービスのことです。
某ホームステージング業者では、ホームステージングを取り入れたことで売却期間が平均で42日短縮したという実績があります。
適切な値下げの金額やタイミングを把握する
売り手と不動産会社が相談した上で設定した売り出し価格は、売却する際の取引価格とイコールになるとは限りません。なぜならマンションを売却する際には購入希望者から値下げ交渉されるケースが多く、売れない期間が続くと値下げせざるを得なくなるからです。
値下げ交渉に応じないと売買契約に繋がらない可能性が高まり、当初の売り出し価格で長期間売り出してもこのまま売れない可能性も高まります。そのためこのような場合は、値下げ額の幅やタイミングを見極めることが大切です。
マンションを高く売る不動産会社選び2つのポイント
マンションをスムーズに高値で売却するためには、仲介を依頼する不動産会社選びが大切です。ここでは、不動産会社選び2つのポイントをご紹介していきます。
複数の不動産会社に査定を依頼して比較する
不動産会社に査定を依頼する際には、一社だけに依頼するのではなく複数社に依頼することをおすすめします。なぜなら不動産会社によって、査定額に差があるからです。
例えば最初に依頼した不動産会社が安めの査定額を提示した場合、相場よりも安く売却してしまう可能性があります。一方で相場とかけ離れた高い査定額を提示した場合、売り出し価格を決定する際に大幅に値下げするといった悪徳業者の可能性も考えられます。
そのため売却を有利に進められる不動産会社を選ぶためには、複数の不動産会社の査定額を比較してみる必要があります。その際一括査定サイトを利用すれば、一度に複数の不動産会社に査定を依頼することができて便利です。
すまいステップは、インターネットで複数の不動産会社に査定を依頼できる一括査定サイトです。厳選された全国各地の不動産会社と提携し、最大4社に査定を依頼できます。
不動産会社の得意分野を見極める
不動産会社を選ぶ際には、不動産会社の得意分野を見極めることが大切です。なぜなら不動産会社の規模に関わらず、不動産会社によって得意分野が異なるからです。
例えば戸建ての売買を得意としている不動産会社もあれば、特定のエリアの売買実績が豊富な不動産会社もあります。したがってマンションを売却したい場合は、マンションの売買実績が豊富な不動産会社を選ぶとよいでしょう。
媒介契約を締結する前に、各不動産会社の取り扱い業務や実績について確認しておくと安心です。
マンション売却の流れ
マンションの売却を進める前に、まずは売却までの流れを確認しておきましょう。
- 情報収集
- 査定
- 媒介契約
- 売却活動
- 売買契約
- 手付金受領
- 引き渡し
- 残代金受領
まずはマンションの相場を把握するなど、売却に関する情報を収集します。次に不動産会社に査定を依頼し、査定額を算出してもらいます。仲介を依頼する不動産会社が決まると、媒介契約を締結します。
不動産会社が買い手を見つけるために売却活動を行い、購入希望者が現れたら内覧を受け入れます。購入希望者が購入の意思を固めると、売買契約に進みます。
売買契約の際に売却価格の一部を手付金として受領し、引き渡しと決算を行う日にちを取り決めます。その日を迎えると物件の引き渡しを行い、残代金を受領してマンションの売却は完了です。
マンションの売却にかかる費用
マンションを売却すると、売却価格がそのまま手に入ると考えがちです。しかし、売却にはさまざまな費用がかかりますので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
住宅ローン返済にかかる費用
売却するマンションの住宅ローンが残っている場合、売却と同時に完済する必要があります。なぜなら住宅ローンを組む際には、抵当権が設定されているからです。
予め住宅ローンの残債を確認し、売却時に完済できなければ自己資金などを充てなければなりません。無事に住宅ローンが完済できても抵当権抹消手続きに諸費用がかかりますが、以下の章で詳しく解説していきます。
不動産会社に支払う仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼する場合、仲介手数料を支払わなければなりません。なぜなら仲介手数料は成功報酬であるため、無事に売買契約が成立すれば支払い義務が生じるからです。
仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、売買価格が400万円を超える場合は以下のような速算法で算出できます。
仲介手数料=売却価格×(3%+6万円)+消費税(10%)
例えば売却価格が2,000万円の場合、上記の計算式に当てはめると仲介手数料は税込みで72万6,000円になります。仲介手数料は決して安い金額ではなく、売却価格が高いほど仲介手数料も高くなります。
売却に掛かる税金
マンションの売却には、以下のような税金がかかります。
売買契約書に掛かる印紙税
売買契約書は課税文書の対象となっているため、契約金額に応じた印紙税を納付する必要があります。印紙税は以下のように契約金額に応じて高くなるものの、令和2年3月31日までに作成された売買契約書には軽減税率が適用されます。
契約金額 | 通常の税率 | 軽減税率適用後 |
500万超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
利益が出れば譲渡所得税が掛かる
マンションを売却して利益が出た場合、譲渡所得税の課税対象となります。譲渡所得税は所得税と住民税から構成されており、以下のように所有期間によって異なる税率が設定されています。
所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
5年以下 | 30% | 9% | 39% |
5年超 | 15% | 5% | 20% |
抵当権抹消に掛かる費用
マンションの売却と同時に住宅ローンを完済する場合、抵当権抹消手続きに伴う登録免許税がかかります。たとえ住宅ローンを完済していても抵当権抹消手続きを行っていなければ、マンションを売却できないので注意が必要です。手続きは自分でも行えますが、司法書士に依頼する場合は2~3万円程度の報酬を支払う必要があります。
他に費用がかかるケースもある
これまでにご紹介してきた費用の他に、新居への引っ越し費用やハウスクリーニングに費用がかかる場合もあります。買い手が個人の場合はハウスクリーニングを求められるケースが多いものの、買い手が不動産会社の場合はハウスクリーニングは不要です。
また、買い手との取り決めによって引き渡しまでにリフォームを求められるケースもあります。
売却に掛かる費用を節約するには?
マンションの売却には、税金や仲介手数料といったさまざまな費用がかかります。例えハウスクリーニングは一部であれば数千円から数万円程度で済むものの、室内全体となると高額になりがちです。
リフォーム費用は数百万円単位の高額になるケースが多いため、これらの費用を節約することで売却にかかる費用を抑えられます。売却にかかる費用のうち仲介手数料は大部分を占めるため、仲介手数料の値引き交渉を依頼するといった工夫次第で節約できる可能性も高まります。
一括査定サイトを利用してマンションを高く売却しよう
マンションの売却を成功に導くためには、予め相場を調べたり売り出すタイミングを見極めるといったポイントを押さえておくことが大切です。これに加えてスムーズに高値での売却を目指すためには、仲介を依頼する不動産会社の力量にかかっていると言っても過言ではありません。
一括査定サイトを利用するなどしてマンションの売買実績が豊富な不動産会社を見つけ、信頼できる担当者に売却活動を任せましょう。