不動産取引をする際には複数の書類が必要であり、「登記簿謄本」もそのうちの1つです。
登記簿謄本は日常的に使用するものではないため、取得方法が分からないという人も少なくありません。
滞りなく不動産取引をするには、登記簿謄本についての理解を深めておくことが大切です。
登記簿謄本の取得方法や活用方法を知り、必要な時にスムーズに取得して、不動産取引に活用してください。
不動産売却に必要な書類はこれで全部!重要度や入手方法などわかりやすく解説
登記簿謄本の取得方法
登記簿謄本の取得方法は以下の3つの方法があり、所有者ではなくても取得・閲覧できます。
- 法務局の窓口で申請する方法
- オンラインで申請する方法
- 郵送で申請する方法
どの方法で取得しても問題ないため、利用しやすい方法を選びましょう。
ただし、登記簿謄本の中でも「閉鎖事項証明書」は、不動産所在地の管轄である法務局で取得しなければなりません。
基本的には最寄りの法務局で構いませんが、閉鎖事項証明書を取得する場合は不動産所在地管轄に行きましょう。
法務局の窓口での取得方法
もっともスタンダードな方法は、法務局の窓口で直接申請して取得するやり方です。
法務局の窓口には登記事項証明書を取得するための申請書が設置されているため、これを記入して窓口に提出しましょう。
また、場所によっては自動発行機が設置されていることもあります。
この場合は発行機を操作して、申請を行うことも可能です。
法務局での申請は、平日の8時30分から17時15分までです。
土日祝日は休みのため、注意しなければなりません。
窓口申請は法務局に出向く手間があるものの、申請時間に間に合うなら当日すぐに発行できる点がメリットです。
オンラインでの取得方法
法務局ではオンライン申請のサービスも提供しており、「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスして手続きができます。
サイトで登録を行い、必要事項を入力することで簡単に申請できます。
平日のみの申請可能という点は窓口と同じですが、受付時間は8時30分から21時までとやや長いことが特徴です。
申請時間外でもデータの作成はできるため、時間外に作業をしておき、受付時間にすぐに申請ということもできます。
オンライン申請の場合は郵送か法務局の窓口受け取りかを選べます。
郵送の場合は申請から複数日かかるため、即自取得したいならオンラインで申請して、窓口に受け取りにいきましょう。
ただし、オンラインでは一部事項証明書は発行できないため、これを取得するには法務局の窓口で手続きをしなければなりません。
郵送での取得方法
オンライン申請で郵送指定をするだけではなく、郵送にて発行を依頼し、取得する方法もあります。
法務局のホームページでダウンロードできる「登記事項証明書交付申請書」を印刷し、切手を貼った返信用封筒を同封して送ることで、数日後に登記簿謄本が送られてきます。
申請書はダウンロードだけではなく、法務局の窓口でも取得可能です。
支払いも郵送時に行うため、料金分の収入印紙を銀行やコンビニなどで購入し、申請書に貼り付けて送ります。
参考:登記事項証明書交付申請書
手数料の支払い方法
申請の方法によって手数料の支払い方と料金が異なります。
取得方法 | 費用 | 支払い方法 |
---|---|---|
窓口申請 | 1通600円 | 収入印紙を申請用紙に貼り付ける |
オンライン申請:窓口受け取り | 1通480円 | ・インターネットバンキング ・モバイルバンキング ・電子納付対応のATM |
オンライン申請:郵送受け取り | 1通500円 | ・インターネットバンキング ・モバイルバンキング ・電子納付対応のATM |
郵送申請 | 1通600円 | 収入印紙を登記事項交付申請書に貼って郵送 |
オンライン申請は窓口受け取りと郵送受け取りで、料金が異なるため注意しましょう。
また、発行部数が50以上になる場合は、50枚ごとに100円の料金が上乗せされます。
登記簿謄本を取得するために知っておくべき4つのこと
登記簿謄本をスムーズに取得し活用するには、次の4つのポイントを知っておくとよいでしょう。
- 必要な登記簿謄本(登記事項証明書)の種類
- 地番や家屋番号を調べておく
- 登記簿謄本の閲覧ならネットでも可能
- 登記簿謄本の有効期限
いざ必要になった時に困らないように、細かい点まで把握しておきましょう。
必要な登記簿謄本(登記事項証明書)の種類
登記簿謄本を取得する際には、どの種類が必要なのかを事前に確認しておかなければなりません。
一部どちらでも構わないというものもありますが、例えば全部事項証明書と閉鎖事項証明書では、記載内容が全く異なります。
間違ったものを取得してしまうと、再度使用できるものを取り直しとなって手間がかかるため、注意しなければなりません。
法務局ではどれが必要なのかを判断してもらえないため、必ず提出先に相談して、どの種類を使用するのか問い合わせておく必要があります。
地番や家屋番号を調べておく
登記簿謄本を取得する際には地番や家屋番号が必要なため、それぞれ調べておかなければなりません。
これは不動産の権利書や固定資産税の通知書、売買契約をしている場合はその契約書に記載されています。
普段使用しない情報だからこそ、スムーズに申請するためには事前の確認が必要です。
登記簿謄本の閲覧ならネットでも可能
登記の内容を確認するだけなら、登記簿謄本を発行せずにネットで閲覧するという方法もあります。
「登記情報提供サービス」を利用すると、登記情報の確認が可能であり、発行するよりも費用は安価です。
不動産の所有者を知りたい場合は「所有者事項」を、登記情報のすべてを知りたい場合は「全部事項」を選択して閲覧します。
所有者事項は144円、全部事項は334円で閲覧可能であり、費用はクレジットカードで支払えます。
PDFでダウンロードしてデータで確認もできますが、印刷しても実際の不動産取引では使用できないため注意が必要です。
証明書としての効力を持つのはあくまで登記簿謄本であり、ダウンロードしたデータは個人での閲覧のみに限られます。
参考:登記情報提供サービス
登記簿謄本の有効期限
明確に有効期限が定められているわけではありませんが、審査や契約の際に用いる場合は、提出先ごとに期限が設定されていることもあるため、注意しなければなりません。
基本的には3カ月以内に取得したものなら使用可能であり、有効期限を過ぎると再度取得し直しとなります。
これは古い登記簿謄本では、取得して以降に登記情報が変更されている可能性があるからです。
古すぎるものは証明書としての効力を発揮できないため、最新のものを取得しておきましょう。
早めに準備することも大切ですが、期限切れを起こさないためには必要になってから取得することをおすすめします。
登記簿謄本とは登記簿の情報を証明する書類
そもそも登記簿謄本(登記事項証明書)とは、簡単にいえば登記簿に記載される情報を証明する書類であり、登記情報を確認するための書類と考えましょう。
登記とは、不動産の所有権を第三者に主張するために必要な手続きです。
登記簿謄本に記載されているのは、この登記した不動産の権利関係の情報であり、法務局で管理されています。
登記簿謄本は、主に不動産取引で必要になる場面が多いです。
登記情報を見ることで現在の所有者が誰かはもちろん、過去にどのような人が所有していたか、どのような不動産取引があったかも確認可能です。
登記はそれぞれの不動産で行われ、例えば土地付きの一戸建てなら土地の情報とその上に立っている一戸建ての物件それぞれの情報が登録されています。
そのため、両方の情報を確認するには、土地と建物それぞれの登記簿謄本を取得しなければなりません。
また、登記簿謄本(登記事項証明書)は、以下の4種類あります。
書類名 | 用途 |
---|---|
全部事項証明書 | ・公的機関や金融機関などの審査で使う ・不動産売買で使用 |
現在事項証明書 | ・公的機関や金融機関などの審査で使う ・不動産売買で使用 |
一部事項証明書 | ・公的機関や金融機関などの審査で使う ・不動産売買で使用 |
閉鎖事項証明書 | 全部事項や現在事項に記載されない過去の不動産の使用用途などを調べる |
それぞれで名称と用途、記載されている情報が異なります。
取得時に証明書の種類を間違えないように注意しなければなりません。
登記簿謄本の内容と見方
取得した登記簿謄本を上手に扱うには、記載されている内容や見方を把握しておかなければなりません。
登記簿謄本は複数の項目に分かれており、それぞれで記載されている内容が異なります。
項目ごとの違いを知り、正しい見方を把握しておきましょう。
表題部の見方
表題部という項目では、不動産についての基本情報が記載されています。
権利関係以外の情報が記載されているため、不動産そのものについての情報を知りたい場合に確認します。
表題部に記載されている内容は、土地と建物で異なるため注意が必要です。
土地の場合 | 建物の場合 |
---|---|
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権利部の見方
権利部はさらに甲区と乙区の2つがあり、それぞれ記載内容が異なります。
甲区では所有権に関する情報が、乙区は所有権以外の情報が記載されています。
所有権について知りたいなら甲区を、それ以外の権利関係を知りたいなら乙区を確認しましょう。
甲区 | 乙区 |
|
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所有権についての記載されている甲区は、現在の所有者はもちろん、これまでの所有権の移動履歴なども記載されています。
いつ誰がどのように所有権を持ったかが記載されており、購入以外に相続での取得もここに記載されます。
また、所有権の仮登記や差し押さえ、仮処分などの事実も甲区の記載事項です。
乙区に記載される所有権以外の権利は3つあり、抵当権は住宅ローンを組む際に設定されるものであり、担保についての記載です。
貸借権は賃貸利用についての権利です。
地上権とはその土地の上で工作物や竹木などを所有する権利であり、土地利用の権利ではありますが、所有権とは異なります。
共同担保目録の見方
不動産によっては、共同担保目録というものが記載されることがあります。
これは抵当権についての項目であり、担保にする際に複数の不動産を同時に使用している場合が該当します。
土地や建物などひとつの不動産を担保に設定する場合は抵当権の部分に記載されますが、複数になると共同担保目録という項目で、一箇所にまとめて記載されると考えましょう。
登記簿謄本は必要な種類を調べて法務局で取得する
各種不動産取引で使用する登記簿謄本は、なにが必要なのかを調べてから申請することが大切です。
種類によっては管轄の法務局でしか発行できないものもあります。取得に不安な場合は、窓口で相談のうえ申請することをおすすめします。
その時々に合った登記簿謄本を取得し、素早く提出して不動産取引をスムーズに進めましょう。
不動産の売却を検討しているなら、一括査定サイトを利用し、信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。
不動産会社によってサポート体制は異なり、丁寧に対応してくれる業者なら、登記簿謄本を含め、各種書類の取得もバックアップしてくれることでしょう。
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