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登記簿謄本について知りたい|記載内容や取得方法を詳しく説明

  • 更新日:2022年12月15日
監修者:山本健司
監修山本 健司
東急リバブル株式会社、ソニー不動産株式会社(現SREホールディングス株式会社)で1位を連続受賞。不動産相談件数16,000件以上。ミライアス株式会社を立ち上げ不動産売買仲介、不動産コンサルティング業務を行っている。【URL】ミライアス株式会社
登記簿謄本について知りたい|記載内容や取得方法を詳しく説明

不動産取引をする際には複数の書類が必要であり、登記簿謄本もその一つです。登記簿謄本は日常的に使用するものではないため、取得方法が分からないという人も少なくありません。

滞りなく不動産取引をするには、登記簿謄本についての理解を深めておくことが大切です。登記簿謄本の取得方法や活用方法などを知り、必要な時にスムーズに取得して、不動産取引に活用してください。

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登記簿謄本とは登記簿の情報を証明する書類

そもそも登記簿謄本とはなにかといいますと、簡単にいえば登記簿に記載される情報を証明する書類であり、登記情報を確認するための書類と考えましょう。不動産取引やその下準備では登記情報を確認することがあり、使用頻度も高い書類です。

登記についても理解しておこう

登記簿謄本への理解を深める上では、登記自体のことも知っておく必要があります。登記とは不動産の権利関係の情報であり、法務局で管理されています。登記情報を見ることで現在の所有者が誰かはもちろん、過去にどのような人が所有していたか、どのような不動産取引があったかも確認可能です。

登記はそれぞれの不動産で行われ、例えば土地付きの一戸建てなら土地の情報とその上に立っている一戸建ての物件それぞれの情報が登録されています。そのため、両方の情報を確認するには、土地と建物それぞれの登記簿謄本を取得しなければなりません。

登記簿謄本と登記事項証明書は同じ

不動産取引では登記簿謄本を求められるだけではなく、登記事項証明書を求められることもあります。どちらか一方を用意することになりますが、基本的にはどちらも同じです。登記簿という紙媒体で保存されている情報をコピーしたものが登記簿謄本であり、データ化された情報から印刷したものが登記事項証明書です。

つまり、両方とも同じ情報であるため、登記簿謄本といわれても登記事項証明書を用意しても問題なく、その逆でも構いません。ただし、古い不動産でデータが統合されていないものは、一部登記事項証明書が発行できないこともあります。この場合は原本である登記簿謄本をコピーして、書類として使用します。

登記簿謄本はどんな時に必要なのか

実際にどのような時に登記簿謄本が必要になるか、代表的な例として次のものが挙げられます。

  • 不動産を売買するとき
  • 不動産の所有者が誰かを証明するとき
  • 不動産について過去の情報を調べたいとき
  • 減税措置など制度を利用するとき

これら以外でも登記簿謄本が必要なケースはありますが、基本的には上記4つのケースが多く該当します。

登記簿謄本は最寄りの法務局で取得できる

登記簿謄本のコピーを取得するには、法務局で手続きを行います。法務局は全国にありますが、最寄りの法務局でよく、都合のよい場所を利用しましょう。

ただし、登記簿謄本の中でも閉鎖事項証明書という書類については、不動産所在地の管轄である法務局で取得しなければなりません。基本的には最寄りの法務局で構いませんが、閉鎖事項証明書を取得する場合のみ不動産所在地管轄に行きましょう。

所有者以外の誰でも登記簿謄本は取得可能

登記簿謄本の取得は所有者以外でも可能であり、情報の閲覧や取得は自由に行えます。これはこれから取得する予定の不動産の登記情報を確認する目的も含まれるからです。そのため事前情報として登記の内容を確認できます。取得せずとも閲覧のみの利用も可能であるため、必要に応じて紙ベースの請求や、閲覧のみと使い分けるとよいでしょう。

登記簿謄本(登記事項証明書)は4種類ある

登記簿謄本、あるいは登記事項証明書は4種類あります。

書類名用途
全部事項証明書・公的機関や金融機関などの審査で使う
・不動産売買で使用
現在事項証明書・公的機関や金融機関などの審査で使う
・不動産売買で使用
一部事項証明書・公的機関や金融機関などの審査で使う
・不動産売買で使用
閉鎖事項証明書全部事項や現在事項に記載されない過去の不動産の使用用途などを調べる

それぞれで名称と用途、記載されている情報が異なります。取得時に証明書の種類を間違えないように注意しなければなりません。

全部事項証明書

閉鎖されたもの以外の全ての情報が登録されているのが、全部事項証明書の特徴です。不動産が登記登録された時点から現在に至るまでの権利関係が記載されているため、より詳細な部分まで情報を確認したい際に取得します。

記載事項は所有権の保存登記から移転、抵当権の設定や抹消まで多岐にわたり、情報量はもっとも多いです。多数の情報が記載されているため、官公庁などの公的機関や金融機関からの審査の際に使用されることが多いです。

現在事項証明書

過去の情報は記載せず、現在有効となっている登記情報を確認する際には、現在事項証明書を取得します。現在事項証明書は現在有効になっているものに限られるため、過去の所有権の移動の履歴や、抹消登記となった抵当権などは記載されません。

全部事項証明書と同様に官公庁などの公的機関や金融機関での審査の際に使用されることが多いですが、状況によってどちらを求められるかは異なるため、事前に確認が必要です。

過去の情報を知られたくない時に使用することも多く、例えば差し押さえなどの履歴があった際に、それを隠す際に有効です。過去に差し押さえがあったとしても、現在完済しているならネガティブな情報を提示する必要はなく、悪印象を与えたくない時に使用されることも多いでしょう。

一部事項証明書

ごく一部の情報だけが欲しい場合には、一部事項証明書を取得します。これは共有者の誰か一人に関する権利関係の登記情報を確認する際に用いられます。

例えばマンションのように名義者が多数いる場合は、全部事項証明書を取得すると、情報が多くなり過ぎてしまい、必要な情報の確認が難しいです。

そこで一部事項証明書を用いて該当の部屋の登記情報のみを確認します。一部事項証明書は所有者が多数いる場合に自分の情報だけを抜き取って確認できるため、何区何番事項証明書と呼ばれることもあります。

閉鎖事項証明書

全部事項証明書に記載されない、閉鎖された登記情報を確認する際に、閉鎖事項証明書を使用します。閉鎖された情報とは、例えば土地の合筆をした場合や、建物が取り壊された場合が該当し、過去にどのような用途で使用されていたのか、どのような状態にあったのかを確認するために使うことが多いです。

また、閉鎖事項の記録はいつまでも残るわけではなく、土地で50年、建物で30年という決まりがあります。保存期間内の閉鎖事項のみ確認可能であり、過去の情報を使用したい時に用いましょう。

登記簿謄本の内容と見方

取得した登記簿謄本を上手に扱うには、記載されている内容や見方を把握しておかなければなりません。登記簿謄本は複数の項目に分かれており、それぞれで記載されている内容が異なります。項目ごとの違いを知り、正しい見方を把握しておきましょう。

表題部の見方

表題部という項目では、不動産についての基本情報が記載されています。権利関係以外の情報が記載されているため、不動産そのものについての情報を知りたい場合に確認します。表題部に記載されている内容は、土地と建物で異なるため注意が必要です。

土地の場合

土地の表題部には、次の内容が記載されています。

  • 所在
  • 地番
  • 地目(土地の現況)
  • (土地の面積)
  • 原因及びその日付(登記された日付と理由)

所在や地番は、土地がどこにあるのかや、登記時の場所などを記載しています。地目は現在使用されている土地の用途であり、地積はその面積です。原因の部分では登記が行われた理由と、その日付けが記載されています。

建物の場合

建物の表題部には、次の項目が記載されています。

  • 所在
  • 家屋番号
  • 種類(居宅の他、事務所、店舗、倉庫、共同住宅など)
  • 構造(構成材料 + 屋根の種類 + 階層)
  • 床面積
  • 原因及びその日付(登記された日付と理由)

所在は登記されている住所であり、家屋番号は登記登録における番号です。種類はどのような目的で使用されているかが記載されています。

構造では木造や鉄筋コンクリートといった造りの部分から、屋根の種類や何階建てかなどが記載されています。床面積は建物の面積であり、原因は土地と同じで登記の理由とそれが行われた日付が書いてあると考えましょう。

権利部の見方

権利部はさらに甲区と乙区の2つがあり、それぞれ記載内容が異なります。甲区では所有権に関する情報が、乙区は所有権以外の情報が記載されています。所有権について知りたいなら甲区を、それ以外の権利関係を知りたいなら乙区を確認しましょう。

甲区

所有権についての記載がされている甲区は、現在の所有者はもちろん、これまでの所有権の移動履歴なども記載されています。いつ誰がどのように所有権を持ったかが記載されており、購入以外に相続での取得もここに記載されます。また、所有権の仮登記や差し押さえ、仮処分などの事実も甲区の記載事項です。

乙区

乙区に記載される所有権以外の権利は、次のものが挙げられます。

  • 抵当権
  • 貸借権
  • 地上権

抵当権は住宅ローンを組む際に設定されるものであり、担保についての記載です。貸借権は賃貸利用についての権利です。地上権とはその土地の上で工作物や竹木などを所有する権利であり、土地利用の権利ではありますが、所有権とは異なります。

共同担保目録の見方

不動産によっては、共同担保目録というものが記載されることがあります。これは抵当権についての項目であり、担保にする際に複数の不動産を同時に使用している場合が該当します。

土地や建物などひとつの不動産を担保に設定する場合は抵当権の部分に記載されますが、複数になると共同担保目録という項目で、一箇所にまとめて記載されると考えましょう。

登記簿謄本(登記事項証明書)の取り方

実際に登記簿謄本や登記事項証明書が必要になった場合に備えて、取得方法を知っておくことが大切です。登記簿謄本の取得方法は、次の3つがあります。

  • 法務局の窓口で申請する方法
  • オンラインで申請する方法
  • 郵送で申請する方法

どの方法で取得しても問題ないため、より利用しやすい方法を選びましょう。

法務局の窓口で申請する方法

もっともスタンダードな方法は、法務局の窓口で直接申請して取得するやり方です。法務局の窓口には登記事項証明書を取得するための申請書が設置されているため、これを記入して窓口に提出しましょう。また、場所によっては自動発行機が設置されていることもあります。

この場合は発行機を操作して、申請を行うことも可能です。法務局での申請は、平日の8時30分から17時15分までです。土日祝日は休みのため、注意しなければなりません。窓口申請は法務局に出向く手間があるものの、申請時間に間に合うなら当日すぐに発行できる点がメリットです。

オンラインで申請する方法

法務局ではオンライン申請のサービスも提供しており、「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスして手続きができます。サイトで登録を行い、必要事項を入力することで簡単に申請できます。平日のみの申請可能という点は窓口と同じですが、受付時間は8時30分から21時までとやや長いことが特徴です。

申請時間外でもデータの作成はできるため、時間外に作業をしておき、受付時間にすぐに申請ということもできます。オンライン申請の場合は郵送か法務局の窓口受け取りかを選べます。

郵送の場合は申請から複数日かかるため、即自取得したいならオンラインで申請して、窓口に受け取りにいきましょう。ただし、オンラインでは一部事項証明書は発行できないため、これを取得するには法務局の窓口で手続きをしなければなりません。

参考:登記・供託オンライン申請システム

郵送で申請する方法

オンライン申請で郵送指定をするだけではなく、郵送にて発行を依頼し、取得する方法もあります。法務局のホームページでダウンロードできる「登記事項証明書交付申請書」を印刷し、切手を貼った返信用封筒を同封して送ることで、数日後に登記簿謄本が送られてきます。

申請書はダウンロードだけではなく、法務局の窓口でも取得可能です。支払いも郵送時に行うため、料金分の収入印紙を銀行やコンビニなどで購入し、申請書に貼り付けて送ります。

参考:登記事項証明書交付申請書

手数料の支払い方法

申請の方法によって手数料の支払い方と料金が異なります。

申請方法費用支払い方法
窓口申請1通600円収入印紙を申請用紙に貼り付ける
オンライン申請:窓口受け取り1通480円・インターネットバンキング
・モバイルバンキング
・電子納付対応のATM
オンライン申請:郵送受け取り1通500円・インターネットバンキング
・モバイルバンキング
・電子納付対応のATM
郵送申請1通600円収入印紙を登記事項交付申請書に貼って郵送

オンライン申請は窓口受け取りと郵送受け取りで、料金が異なるため注意しましょう。また、発行部数が50以上になる場合は、50枚ごとに100円の料金が上乗せされます。

登記簿謄本を取得するために知っておくべき4つのこと

登記簿謄本をスムーズに取得し活用するには、次の4つのポイントを知っておくとよいでしょう。

  • 必要な登記簿謄本(登記事項証明書)の種類
  • 地番や家屋番号を調べておく
  • 登記簿謄本の閲覧ならネットでも可能
  • 登記簿謄本の有効期限

いざ必要になった時に困らないように、細かい点まで把握しておきましょう。

必要な登記簿謄本(登記事項証明書)の種類

登記簿謄本を取得する際には、どの種類が必要なのかを事前に確認しておかなければなりません。一部どちらでも構わないというものもありますが、例えば全部事項証明書と閉鎖事項証明書では、記載内容が全く異なります。

間違ったものを取得してしまうと、再度使用できるものを取り直しとなって手間がかかるため、注意しなければなりません。法務局ではどれが必要なのかを判断してもらえないため、必ず提出先に相談して、どの種類を使用するのか問い合わせておく必要があります。

地番や家屋番号を調べておく

登記簿謄本を取得する際には地番や家屋番号が必要なため、それぞれ調べておかなければなりません。これは不動産の権利書や固定資産税の通知書、売買契約をしている場合はその契約書に記載されています。普段使用しない情報だからこそ、スムーズに申請するためには事前の確認が必要です。

登記簿謄本の閲覧ならネットでも可能

登記の内容を確認するだけなら、登記簿謄本を発行せずにネットで閲覧するという方法もあります。「登記情報提供サービス」を利用すると、登記情報の確認が可能であり、発行するよりも費用は安価です。

不動産の所有者を知りたい場合は「所有者事項」を、登記情報のすべてを知りたい場合は「全部事項」を選択して閲覧します。所有者事項は144円、全部事項は334円で閲覧可能であり、費用はクレジットカードで支払えます。

PDFでダウンロードしてデータで確認もできますが、印刷しても実際の不動産取引では使用できないため注意が必要です。証明書としての効力を持つのはあくまで登記簿謄本であり、ダウンロードしたデータは個人での閲覧のみに限られます。

参考:登記情報提供サービス

登記簿謄本の有効期限

明確に有効期限が定められているわけではありませんが、審査や契約の際に用いる場合は、提出先ごとに期限が設定されていることもあるため、注意しなければなりません。基本的には3カ月以内に取得したものなら使用可能であり、有効期限を過ぎると再度取得し直しとなります。

これは古い登記簿謄本では、取得して以降に登記情報が変更されている可能性があるからです。古すぎるものは証明書としての効力を発揮できないため、最新のものを取得しておきましょう。早めに準備することも大切ですが、期限切れを起こさないためには必要になってから取得することをおすすめします。

不動産売却を検討している場合はまず一括査定サイトを利用する

不動産の売却を検討しているなら、一括査定サイトを利用し、信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。不動産会社によってサポート体制は異なり、丁寧に対応してくれる業者なら、登記簿謄本を含め、各種書類の取得もバックアップしてくれることでしょう。

一括査定サイトならすまいステップがおすすめです。全国の優良業者が登録されているため、安心して利用できます。また一度に最大4社の同時査定が可能であり、より好条件で売却できる不動産会社も見つけられるメリットがあります。

登記簿謄本は必要な種類を調べて法務局で取得する

各種不動産取引で使用する登記簿謄本は、なにが必要なのかを調べてから申請することが大切です。種類によっては管轄の法務局でしか発行できないものもあります。取得に不安な場合は、窓口で相談のうえ申請することをおすすめします。その時々に合った登記簿謄本を取得し、素早く提出して不動産取引をスムーズに進めましょう。

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