住宅の購入は人生で何度もあるものではなく、全体の流れが分からずに戸惑うことは少なくなりません。
購入の流れや各手順でのポイントを知らないと、取引で失敗したり、損をしたりすることもあるため注意が必要です。
上手に不動産取引を完了させるためにも、家を購入する際の全体的な流れから、細かいポイントまで解説します。
家の買い替え、どんな進め方が正解?体験談をもとに注意点を解説します
家を購入する時の基本的な流れ
家を購入する際の流れは以下の手順で進めます。
購入住宅のイメージを固めて資金計画を立てる
物件の情報収集を行う
不動産会社へ相談する
物件の見学に行く
物件を絞り込む
購入申し込みをする
住宅ローンの事前審査をする
売買契約を締結する
物件の引き渡しが行われる
引越し後に税金の手続きを行う
それぞれのステップを理解することが、家をスムーズに購入する近道となります。
STEP①:購入住宅のイメージを固めて資金計画を立てる
まずはどのような住宅を購入したいのか、イメージを固めておかなければなりません。
この時に資金計画を立てておくことが大切であり、どれくらいの予算を組むかも考えておきましょう。
立地や住宅のグレードによっても異なりますが、最初に一戸建てかマンションかを決めておくと、ある程度の資金計画は立てやすくなります。
購入する住宅のイメージや予算をある程度決めておかないと選択肢は無限に広がってしまい、絞り込みが難しくなります。
どこがよいか迷っているうちに条件のよい物件は売れてしまうこともあるため、素早く意思決定をするためにも最初にイメージを固めてしまうことが大切です。
STEP②:物件の情報収集を行う
物件のイメージを固めた後は、理想のイメージに合う物件を探していきます。
物件の情報収集を行う際には、住みたいエリアと予算に合う販売価格のものに絞り込むと、より効率的に情報を集められます。
幅広く情報を集めることは大切ですが、エリアや価格を限定しておかないと選択肢があまりにも多く、情報の管理だけで大変になってしまうことも少なくありません。
そのため、スムーズに理想の物件を見つけるには、少しずつ条件を増やし、絞り込みを図ることが大切です。
実際に条件別で絞り込みを行う際には、次の項目を組み込むとよいでしょう。
- 居住エリア
- 販売価格
- 間取り
- 広さ
- 周辺環境・施設
条件を増やし過ぎると今度は選択肢がなくなることもあるため、まずは絶対に外せない条件で調べてみることがおすすめです。
STEP③:不動産会社へ相談する
購入したい物件の情報収集ができたら不動産会社へ相談しましょう。
不動産会社によって取り扱っている物件や取引実績、得意分野などが異なります。
自分の要望を細かく伝えることでより条件の良い物件を紹介してもらえる場合もあるため、価格や間取り、利便性などの物件条件をまとめておくとよいでしょう。
なお、おすすめの不動産会社については以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にご覧ください。
STEP④:物件の見学に行く
条件に合う物件や、詳細を知りたい気になる物件が見つかったなら、見学の申し込みをして実際に物件を見に行きましょう。
データ上は魅力的に見えても、実際に行ってみるとよくないというケースもあるため、必ず現地で詳細部分まで確認しなければなりません。
また、反対にデータ上はそれほどと思っていても、実際に見ることで気に入るケースもあります。
条件に完璧に適合しないとしても、多少は気になる物件なら、時間の許す限り積極的に見学に行ってみることがおすすめです。
物件の見学では外観や内装をチェックしますが、特に次のポイントは念入りにみておいたほうがよいでしょう。
細部までチェックして、各種設備に不具合がないかをチェックしておきます。
また、物件そのものだけではなく、周辺環境についても確認が必要です。
スーパーやコンビニ、病院などの生活に必要な施設はあるか、周囲から騒音はしないか、駅までのアクセスはどうかなど、生活の充実度に関係するものは全て確認しておきましょう。
STEP⑤:物件を絞り込む
いくつかの物件を見学していき、気に入ったものをキープして少しずつ選択肢を絞り込んでいきましょう。
物件の絞り込みの際には環境的に便利そうかどうかはもちろん、実際に物件を目にした時のフィーリングも重要です。
周辺施設が充実していて、外装や内装などに問題がなかったとしても、実際に使ってみると動線が悪かったり、細かい部分に不満を抱えてしまったりすることもあります。
どのような家がよいかは人によって違い、感覚的な部分も大きいため、データとフィーリングの両方を考慮して購入する家を絞り込んでいきましょう。
STEP⑥:購入申し込みをする
購入する物件を決めたら申し込みをしましょう。
基本的には、依頼先の不動産会社経由で売主へ購入申込書を提出します。
購入希望額や手付金の額、住宅ローンの有無などを記載して提出しましょう。
その後、売主との価格交渉を経て取引に進みます。
STEP⑦:住宅ローンの事前審査をする
家購入にあたり住宅ローンを利用する場合は契約前に事前審査をする必要があります。
仮審査とも呼ばれており、この仮審査を通過することで「家を購入する資金がある」と証明できるようになります。
逆に言えば仮審査を通過できなければ契約できないため、審査に落ちないように気を付けなければなりません。
住宅ローンの審査については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
STEP⑧:売買契約を締結する
見学した家の中からひとつを決め、購入すると決めたなら売主と売買契約を締結します。
売買契約を締結する前には取引の条件を交渉できるため、この時に金額や瑕疵(かし)が見つかった時の補償、契約不履行になった時の対応などを決めておきます。
販売価格は絶対的なものではなく、交渉次第で値下げできることも多いため、割引ができないか交渉してみるとよいでしょう。
実際に不動産取引では値下げ交渉を行うのは当たり前であり、売主も購入希望者が値下げ交渉をすることを見越して、最初から少し高めの金額設定にしていることも少なくありません。
各種交渉や契約情報の確認を行った後は、書面にて合意を記し、契約の締結を行います。売買契約時には、次の書類を用意しなければなりません。
- 実印
- 印鑑登録証明書
- 本人確認書類
印鑑登録証明書は発行から3カ月以内のものと期限が決まっています。本人確認書類は免許証などでも構いません。
また、契約締結時には料金の支払いもあり、売買契約書に添付する印紙税の収入印紙の代金や、仲介手数料の半額、手付金などを用意します。
印紙税は契約価格に応じて決まり、手付金は購入価格の10%程度とすることが多いです。手付金には厳密な決まりはなく、契約書で金額を定めることもあります。
STEP⑨:物件の引き渡しが行われる
売買契約を締結した後は、契約時に定めた日付けに引き渡しを行います。引き渡しの期日は自由に設定できますが、大体売買契約から1カ月後程度になることが多いでしょう。
引き渡しの際には決済を行うことが基本のため、支払いの準備もしておかなければなりません。
引き渡し日と決済日を別々で定めた場合はその日時で行われますが、特別な定めがない場合は「引き渡し日=決済日」となります。
引き渡しの際には、買主は次の書類の準備や、代金の支払いが必要です。
- 実印
- 印鑑登録証明書
- 住民票
- 抵当権等設定書類
- 住宅用家屋証明書
- 本人確認書類
- 購入金額の残金
- 仲介手数料の残金
- 固定資産税等の精算金
不動産会社に確認しながら、どの書類が必要なのか確認しておくことがおすすめです。固定資産税などの清算金は、引き渡しの時期によって金額が異なります。
固定資産税は1月1日に課税され、1年分をまとめて支払います。
そのため、引き渡し時点から年末までの期間分を、購入者が負担するため、月割り計算で精算すると考えましょう。
例えば固定資産税額が12万円とし、10月に引き渡しとなるなら、10~12月分の月割りで30,000円で精算することが多いです。
ただし、精算金はお互いの取り決めによって決まるため、場合によっては年の途中でも売主が全額負担して、割引を図るということもあります。
STEP⑩:引越し後に税金の手続きを行う
引き渡しが完了し、新居に引越して終わりではなく、最後に確定申告のことも考えなければなりません。家の購入でローンを組み、住宅ローン控除を受ける場合は、家を購入した翌年に確定申告をしなければなりません。
確定申告の期間は2月16~3月15日ですが、土日の関係で多少ずれることがあるため、その年の期間を調べておくとよいでしょう。
住宅ローン控除はローンを組むと自動的に適用されるわけではなく、確定申告を行うことで適用条件となります。申告をしていないと控除が適用されず、税制面での優遇が受けられないので注意してください。確定申告は税務署や確定申告会場、e-taxというサービスを使って自宅のパソコンからでも行えます。
家を購入する時の3つの注意点
家を購入する流れを解説しましたが、購入するにあたってはいくつかの注意点があります。
トラブルなく家を購入するために、以下3つの注意点を理解しておきましょう。
- 売買契約後のキャンセルは難しい
- 住宅診断は売買契約前に実施する
- 住宅ローンの審査に通らなければ最悪解約になる
問題なくスムーズに家を買うためにも、細部のポイントまで把握しておきましょう。
売買契約後のキャンセルは難しい
購入意思の撤回は簡単にできますが、売買契約を締結すると原則できなくなるため注意しなければなりません。
売買契約後に買主の勝手な都合でキャンセルを申し出ると、事前に支払った手付金が違約金として徴収されます。
また、契約時に不履行の場合の違約金を定めていた場合は、手付金の放棄に加えて別途費用の支払いを求められることもありますので注意してください。
契約を結んでしまうと法的な拘束力が発揮されるため、簡単にキャンセルができなくなることは覚えておきましょう。
住宅診断は売買契約前に実施する
中古住宅の購入を検討していて、物件の状態を詳細に知りたいなら、契約締結前に住宅診断を行うことをおすすめします。
売主が事前に住宅診断をしており、その結果を表示していることもありますが、簡易的な診断結果であることも少なくありません。
そのため診断内容を確認し、チェック項目が少ないと感じるなら、不動産会社に相談してより詳細な住宅診断ができないか依頼してみるとよいでしょう。
詳細な診断は50,000~70,000円程度の費用がかかるものの、家の信頼度をしっかりと確認できるため、安全な取引を望むなら必要経費と考えましょう。
住宅ローンの審査に通らなければ最悪解約になる
審査に落ちると融資がまったく出なかったり、予定していた金額から減額されたりすることもあります。住宅ローンの審査状況が原因で支払いが難しくなった時は、最悪の場合は解約となります。当然この時も手付金は放棄し、必要に応じて違約金を支払わなければなりません。
住宅ローンの審査はスムーズに家を購入するための重要なステップのため、無理のないプランで申し込んだり、日頃から料金の滞納や借入をしないよう金融履歴をクリアにしておくことが大切です。
家の購入までにかかる期間
家購入までの流れを解説しましたが、実際にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
ここでは、物件種別ごとにかかる期間を解説します。
注文住宅の場合
家を始めからオーダーし、こだわって作る注文住宅では1年以上かかることも多く、場合によっては2~3年以上かかることもあります。
注文住宅を作るには、まずは土地を購入し、そこから施工会社にオーダーをして建築を開始します。
オーダーしてすぐに建築が始まるわけではなく、どのような家にするか綿密に相談したり、場合によっては土地の地盤調査などが必要だったりするため時間がかかります。
家の構造やディテールによっても建築期間は異なり、着工してからも通常の物件よりは時間がかかりやすいことは覚えておきましょう。
新築マンションの場合
新築のマンションは、物件が完成しているかどうかで購入までの期間が異なります。
完成予定は立っているものの、まだ工事中という場合は完成までの期間がそのまま待ち時間となります。建設中でも募集を出すケースは多く、購入を決めてから住むまで1年待ちということも少なくありません。
また、予定通りに工事が完了するとも限らず、なんらかのトラブルによって建設期間が長引き、入居できるまでに時間がかかってしまうこともあるでしょう。
それに対してすでに完成している新築物件なら、契約を交わして引越すだけで入居できるため、早い場合は1~2カ月程度で住み始められます。
中古の一戸建てやマンションの場合
一戸建てでもマンションでも、すでに建っている中古物件の場合は、売主との交渉次第ではスムーズに入居することができます。
話さえまとまれば数週間程度でも入居は可能であり、通常でも1~2カ月程度とみておいてよいでしょう。
どれくらいの期間になるかは交渉にもよりますが、双方合意の妥協点がすぐに見つかるなら、引き渡しまでの期間も短くすみます。
現在の住居を売却する場合はまず一括査定サイトを利用しよう
新しい家の購入にともない現在の家を売却するなら、一括査定サイトで相場価格を調べておくことをおすすめします。一度に複数社の査定結果を比較することで、現在の家の価値が判断でき、それを元に資金計画も立てやすくなります。
すまいステップは最大4社の査定結果を表示できるため、より多くの情報を比較できます。選択肢も広いため、好条件で売却できる不動産会社を見つけやすい点が魅力です。
家を購入する流れを把握してスムーズに進めよう
家の購入には数多くのステップがありますが、流れを正しく把握しているなら各種手順はスムーズに進められます。ステップごとになにをすべきか、どのような点に気をつけるべきかを頭に入れ、細部までこだわって取引をし、理想の家を購入しましょう。