「不動産買取後に確定申告しないとバレるってホント?」
「確定申告は絶対にしないといけないの?」
不動産買取を検討している方で、このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産買取後に確定申告が必要なケースやバレる理由について解説します。
【バレる理由①】税務署は法務局からの登記簿情報を把握しているから
確定申告は居住地管轄の税務署に対しておこないます。この際、税務署は不動産取引に関する登記簿情報を法務局から取得しています。
つまり、1年間でおこなわれた不動産取引情報をすべて把握しているということです。
そのため、譲渡所得が発生しているにもかかわらず確定申告しなければ当然税務署にバレます。
【バレる理由②】不動産会社が税務署へ取引内容を報告するから
次にバレる理由は、取引した不動産会社が税務署へ取引内容を報告するからです。
売主から不動産を買取った不動産会社は、税務署へ取引内容の報告が義務付けられています。
そのため、取引額や取引した日時、場所、不動産種別などすべて把握されています。
【バレる理由③】税務署は銀行から取引金額の詳細を知らされているから
ほかにも、税務署は銀行から取引金額の詳細も知らされています。
不動産買取にによって売却益を得ている場合は、銀行に振り込まれますが、この明細が税務署へ知らされているのです。
つまり、確定申告をしなかった場合は銀行の明細について税務署から聞かれる可能性が高く、脱税していることがバレる仕組みとなっています。
不動産買取後に確定申告しないとバレるケース
不動産買取後に確定申告しないとバレるケースは次の2パターンです。
- 買った価格よりも高く売れたケース
- 買取価格を問わず控除特例を利用するケース
買った価格よりも高く売れたケース
買った当時の価格よりも高く売れた場合は確定申告が必要です。
買ったときよりも高く売れた場合はその分利益が発生しており、これを譲渡所得といいます。
譲渡所得には住民税と所得税が課され、譲渡所得税として確定申告する必要があります。
買取価格を問わず控除特例を利用するケース
譲渡所得を得ていなくても、税金を抑えるための控除特例を利用する場合も確定申告が必要です。
譲渡所得を得た際に利用できる控除特例には次のようなものがあります。
また、買ったときよりも安く売れて、譲渡所得が発生しなかった場合は、「損益通算・繰り越し控除の特例」を利用できます。
これらの特例を利用することで不動産買取後の税金を大きく抑えられるため、譲渡所得が発生してもしなくても活用しない特例です。
不動産買取後に確定申告しないとどうなるのか
不動産買取後に確定申告が必要にもかかわらず確定申告しなかった場合は、その後に気づいて申告する場合とそのまま申告しない場合によって税率が異なります。
期限後にすぐ申告した場合
確定申告を忘れており、期限後に自ら確定申告した場合は期限後申告として扱われますが「延滞税」のみが課せられます。
延滞税の額は、確定申告の期日の翌日である3月16日~5月15日までの間で「7.3%」、5月16日以降は「14.6%」です。
本来納めるべき税額に対して、上記の税率が加算されることになります。
期限が過ぎても申告しなかった場合
確定申告が必要にもかかわらず、故意に行わなかった場合は期限後申告の「無申告加算税」が課せられます。
税率は納付すべき税額に対して異なり、50万円までの部分は15%増、50万円を超える部分は20%増の税額が課せられます。
また、納期に間に合っていないので延滞税も課せられる場合があり、さらに税金が高くなる恐れもあります。
不動産買取後の確定申告で利用できる控除特例
不動産買取後には以下の控除特例が利用できるケースがあります。
- 3,000万円特別控除
- 軽減税率の特例
- マイホームの買い替え特例
3,000万円特別控除
3,000万円特別控除とは、譲渡所得3,000万円の部分をすべて控除できる特例です。
例えば、3,000万円で買った家が6,000万円で売れて3,000万円の譲渡所得が発生した場合、3,000万円に対して課される税金をすべてゼロにできます。
控除特例のなかでも特に恩恵の大きい特例であり、譲渡所得が発生した際は絶対に利用した方がよいでしょう。
ただし、利用するためには以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 居住中の家や土地、マンションを売却した
- 住まなくなってから3年経過した年の12月31日までに売却している
- この特例を受けることだけを目的として入居した家ではない
- 別荘やセカンドハウス、仮住まい目的の住宅ではない
- 3年以内に3,000万円の特別控除やその他の特例を受けていない
- 買主が配偶者や兄弟、親族および法人ではない
このように条件が多くあるため、必ず利用できるわけではありません。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
軽減税率の特例
軽減税率の特例とは、3,000万円特別控除によって控除しきれなかった部分に対して税率を軽減できる特例です。
例えば、6,000万円の譲渡所得が発生した際、3,000万円特別控除によって3,000万円までは控除できますが、残りの3,000万円までは控除できません。
このときに利用できるのが軽減税率の特例で、以下のように譲渡所得額に対して税率を軽減できます。
6,000万円以下の部分 | 6,000万円超の部分 | |
---|---|---|
所得税 | 10.21% | 15.315% |
住民税 | 4% | 5% |
合計 | 14.21% | 20.315% |
このように、3,000万円特別控除だけでは賄いきれないほどの高額な譲渡所得を得た際にも、軽減税率の特例を使えば大きく節税できます。
マイホームの買い替え特例
マイホームの買い替え特例とは、マイホームを売って新たに家を購入した際に発生する税金の支払いを将来に繰り延べできる制度です。
家を買い替える場合は譲渡所得税が発生したり登記費用が発生したりするため、なにかと支出が多くなりがちです。
ただでさえ家の買い替えで費用がかかっているにもかかわらず、これら税金の支払いも重なれば大きな負担となるでしょう。
そんなときに利用できるのがマイホームの買い替え特例であり、買い替え時に発生する税金の支払いを買い替えた家を再度売却する際まで繰り延べられるのです。
「買い替え時の費用を抑えたい」という方は利用してみましょう。
ただし、利用するには以下すべての条件を満たす必要があります。
- 居住年数10年以上
- 転居後3年以内
- 家屋と敷地・借地権両方の売却
- 特例を受けていない
- 国内の不動産が対象
- 売却代金1億円以下
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
不動産買取における確定申告に関するよくある質問
不動産買取において確定申告に関するよくある質問をいくつかご紹介します。
- いつまでに確定申告すればいいの?
- 確定申告が面倒くさい場合はどうすればいい?
いつまでに確定申告すればいいの?
確定申告は毎年2月16日~3月15日までに行う必要があります。
この期日を過ぎてしまうと期限後申告として扱われ、ペナルティを受ける可能性があります。
なお、確定申告にはさまざまな書類が必要だったり税務署が混んでいたりするため、期間前から準備しておいた方がよいでしょう。
確定申告が面倒くさい場合はどうすればいい?
確定申告が面倒な場合は税理士へ依頼するのがおすすめです。
税理士は税金の専門家であり、複雑な確定申告を代わりに進めてくれます。
ただし、依頼するには費用が発生するため、自分の状況に合わせて依頼するかどうか決めるのがよいでしょう。
不動産売却にかかる譲渡所得 | 税理士に支払う費用の相場 |
---|---|
1,000万円未満 | 3万円~6万円 |
1,000万円以上3,000万円未満 | 6万円~12万円 |
3,000万円以上5,000万円未満 | 12万円~15万円 |
5,000万円以上8,000万円未満 | 15万円~24万円 |
8,000万円以上 | 24万円~ |
まとめ:不動産買取後に譲渡所得が発生したら確定申告は必須
不動産買取後の確定申告について解説しました。
買取りによって譲渡所得を得た際は譲渡所得税が発生するため、確定申告が必要です。
「確定申告しなくてもバレない」と思っていても、税務署は法務局や不動産会社、銀行などから不動産取引情報を得ており、バレずに過ごすのはほぼ不可能といえます。
また、確定申告時期を過ぎると「期限後申告」として扱われ、「無申告加算税」や「延滞税」などが課される可能性があります。
余計な税金を払わないためにも、決められた期日までに確定申告しておいた方がよいでしょう。
これから不動産買取を検討している方や買取によって譲渡所得を得た方は、ぜひこの記事を参考に確定申告を進めてみましょう。