市街化調整区域の売買はどのようにするのか|確認したい注意点

市街化調整区域は都市部に集中していて、人口が少ない地方都市や町、村などは、「市街化調整区域」と「市街化区域」に分けられていないことが多いです。これを「非線引き都市計画区域」といいます。

また東京23区と大阪市・名古屋市はほとんどが市街化区域ですが、それ以外の都市部では市街化調整区域が意外と多く、川崎市・横浜市・堺市でも市街化区域の比率は80%前後に留まります。仙台市・新潟市・京都市・岡山市・広島市などの名だたる都市部が、市街化区域は50%を切っているのです。

市街化区域は住民が住むように都市計画で推進されているので、人が多く住んでいるのは当然ですが、市街化調整区域内にも少なからぬ人が住んでいます。

それほど多い市街化調整区域の土地を売買したり、建物を建てたりするにはどうすればいいのか、この記事では市街化調整区域の上手な売買や活用方法についてご紹介します。

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市街化調整区域の特徴

市街化調整区域を上手に売買するためには、まず市街化調整区域そのものの特徴をつかまなければなりません。市街化調整区域と市街化区域はどこが違うのか紹介します。

市街化調整区域とは

市街化区域が市街化を推進し人が住みやすくなるように用途地域を定め、都市基盤やインフラの整備などを実施するのに対し、市街化調整区域は市街化を抑制し、建築してよいのは農林漁業を営む人々が建てる住宅などに制限されています。水道やガスが通っていないことも多く、実際に人が住んでいる建物でもトイレは汲み取り式であることも多いのです。

だからといって市街化調整区域は必ずしも住宅を建てることができない土地というわけではありません。都道府県知事による開発許可は原則受けることができませんでしたが、2016年に市街化調整区域における開発許可制度の運用の弾力化を目的として、国土交通省が「開発許可制度運用指針」を一部改正したのです。

政府による空き家対策

市街化調整区域内には空き家が多く、政府の空き家対策として開発許可制度運用指針が改正されることになったのです。空き家対策といっても大規模な開発を許可するものではなく、今ある古家や住宅をその地域の観光振興または既存集落の維持のために、用途変更の許可を得やすくしたのです。このことでわかるように、開発許可は近くに一定の集落があれば下りやすくなっています。

この改正によりその地域に古民家カフェや民泊施設、グループホームなどが増えてくることが期待されています。ただし既存の建物を保全するように制限されているため、グループホームに適した建築物がどれくらいあるのか疑問が生まれます。

また駅から遠いところに古民家カフェを建てても、若者の車離れによる交通の便の悪さを考えると、若者から利用を敬遠される可能性もあります。実際の運用は地域の実情が反映されたものになりそうです。

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郊外の一軒家

建設できる建物の制限

市街化には人が住むための建物が必要です。市街化調整区域は市街化を抑制する地域なので、建物を建てたり、建て替えをしたりするには行政に開発許可を受ける必要があります。そのうえで農林業を営む人たちの住宅を建てるか建て替えるのです。

よって行政の許可を受けていない限り、スーパーやコンビニなどの生活上便利な施設は地域内にありません。通常は商業施設などもないうえ、駅や病院からも離れているため、生活物資の購入には不便さが伴いますが、都会の喧騒から離れた静かな暮らしが期待できます。

建物の建て替え制限

住宅を建て替える際にも制限があります。簡単に用途変更が認められないことや、今ある建物に比べて一定の規模までしか建て替えが認められなかったりするのです。容積率や建ぺい率の制限もあるので、今よりも小さな規模の住宅になってしまうこともあります。

市街化調整区域の評価

市街化調整区域には、インフラの整備が推進されていません。人が住むことを抑制する地域なのですから、当然といえば当然のことです。

下水道が整備されていないため汲み取り式トイレが多いのはまだしも、電気が通っていなければ自分で敷設しなければなりません。水道は太い管が公道を通っていても、その土地にまでは引き込みされていないため、引き込む手続きが必要です。ガスはプロパンガスを利用します。

このようにインフラの整備がされていないと、近代的で便利な生活に慣れた現代人は市街化調整区域の購入をためらいます。よって市街化調整区域の評価は低下します。通常固定資産税評価で、近隣の市街化区域の土地に比べて3割ほどは評価が低くなっています。

・市街化を抑制する制度
・建築物に対し制限がある
・調整区域は評価が低い

確認しておきたい注意点

これから市街化調整区域内の住宅を売ろうとするか、買おうと思っている人に共通して確認が必要なことがあります。次にあげるポイントを紹介します。

自治体の区域指定を確認する

まずは条例によってその土地が区域指定されていないかどうか確認しましょう。区域指定されていれば、市街化調整区域でも開発が許可されている地域ということです。この場合土地の利用度が高くなり、売買には有利に働きます。許可は必要ですが、だれでも住宅を建てられます。

区域指定される条件には、近隣が宅地で50戸以上の集落がある、上下水道が整備されている、公道に接しているなどさまざまなものがあります。そしてこれらの条件は市町村の運用次第で変わります。ここでも地域の実情が反映されることになります。

また都市計画事業や土地区画整理事業など、事業として開発された地域であれば建築行為への許可が不要です。要件が緩和された地域ということになるので、やはり売買には有利に働きます。

土地の地目を確認する

次に土地の地目がどうなっているかを確認しましょう。土地の地目には、田・畑・宅地・山林・雑種地など23種類に区分されています。

宅地ならベスト

地目が宅地になっていれば、造成は不要です。許可は必要ですが住宅を建てる最低限の準備が整っていることになるからです。ただし登記上の地目が宅地になっていても、市街化区域と市街化調整区域に線引きされる前から宅地になっていることが重要です。

線引き前から宅地であり、現在も宅地であり続けているのなら、開発許可や建築許可の対象です。条件次第では市街化調整区域でも住宅が建てることができます。条件については次のとおりです。

  • 線引き前宅地であること
  • 前面道路の幅員が42条1項道路以上であること
  • 敷地面積が原則200㎡以上であること

農地なら要注意

地目が農地になっていたなら、売却先の範囲が狭まってしまいます。営農ができる買主でないと購入ができないのです。農地以外の用途で使用できるように転用許可の申請をしなければならなくなり、許可が下りるかどうかは不透明になってしまいます。

開発許可が下りない利用目的だと、転用許可も下りないため、宅地として使用することができなくなります。結局農家に売却することになるのです。

線引き前の建物か線引き後の建物か

線引き前の建物なのか線引き後の建物なのかは、固定資産税課税台帳を確認すればわかります。市街化調整区域が線引きされたのは、昭和45年頃が多いので建築年月日がその前なのか後なのかを確認しましょう。県や市の宅地課に問い合わせられたれば、線引きの時期がわかります。前か後かで、建築許可に対する要件が異なってきます。

線引き前の建物

線引き前に建てられた建物は、もともとそこにあったわけで、行政の都合で後から市街化調整区域という規制をかけていることになります。そのため所有権移転する場合に許可は必要としません。居住者の権利を考えると当然のことといえるでしょう。

買主が建て替えや増改築をする場合にも、条件が整えば許可は必要ありません。条件については次のとおりです。

  • 用途が同じ
  • 敷地面積が同じ
  • 延べ床面積が1.5倍まで

線引き前に建てられた建物なら建て替えができるのですから、これも売買には有利に働きます。ただし線引き前の建物と違い、線引き後に建て替え等を行っていないことが要件となっています。線引き後に建て替えを行っていれば線引き後の建物として取り扱われるので注意が必要です。

線引き後の建物

線引き後に建てられた建物の場合は、市街化調整区域として開発許可を受けて建設されています。この権利を引き継げるのは、相続人や近親者だけです。新たに購入しようとする買主は許可が下りなければ購入できません。

さらに所有者変更の許可が下りても、建て替えや増改築をしてもよいという許可が下りるかは不透明です。そのようなリスクを買主が負うことになるので、線引き後の建物は売買するのに有利な条件とはいえなくなってきます。

住宅ローンについて

土地を購入したり建て替えをしたりするに際し、少なからぬ金額が必要となるため、手持ち現金で賄えるなら話は別ですが、通常は住宅ローンを利用することが多いです。しか、市街化調整区域については、だれでもが建物の建築をすることができるわけではないため、担保価値が低くなり金融機関は担保物件としては敬遠します。

ただし開発許可が下りた土地であれば、金融機関のハードルも低くなるので、金額次第では別途追加担保を用意しなくても住宅ローンを利用しやすくすることが出来ます。買主側にとっては、金融機関からの住宅ローンを受けられなかった場合に、手付金を返してもらえる住宅ローン特約が契約上にあるかどうかも重要になってきます。

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・農地には転用許可が必要
・線引き前の建物であること
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売買しやすい物件と売買しづらい物件

市街化調整区域の物件に関しては、売り主にはデメリットが多いのですが、買主には魅力的な部分もあります。買主が積極的に欲しがる物件と、消極的になる物件について紹介します。

買主が購入したい理由とは

買主が市街化調整区域を購入したい理由はさまざまあるでしょうが、主な理由は次のとおりです。

購入価格が安い

まずは土地の値段が市街化区域と比べて安いことが挙げられます。市街化調整区域は、ライフラインが積極的に施設されない地域のため、不動産市場の流通量も少なく、流通していても市街化区域の宅地と比べると値段が安いです。

そのため買主が市街化区域で購入しようとしていた同じ金額で、広い土地が入手できるのです。一般的には、市街化調整区域は市街化区域の5割~7割程度の値段なので、少なくても1.5倍の土地を手に入れることができます。

環境がよい

グループホームなどの施設を除き、基本的に周囲に大型商業施設が建つことはありませんので、静かな環境が確保されます。市街化調整区域は市街化を抑制しているため緑が多く、将来的にも大型開発が許可されることが考えづらく、静かな環境が続くものと考えられます。都会の喧騒から逃れて、田園地帯のゆったりとした雰囲気を求める人には最高の環境といえます。

税金が安い

税金に関しては圧倒的な安さなのも魅力の一つです。そもそも市街化調整区域には都市計画がないため、都市計画税自体がありません。

また市場に流通しづらい性格の地域であるため、公示価格が安く、公示価格の70%が基準となる固定資産税価格も低くなるのです。線引き前に建物が建っているのであれば、建物の評価も同様に低いものと考えられます。都市計画税がなく、固定資産税が安いのですから、買主にとっては大きなメリットになります。

宅地以外の利用用途がある

市街化調整区域で開発許可が受けられないとしても、住宅として以外の使い道があります。代表的なものでは、「資材置き場」「駐車場」「家庭菜園」などが挙げられます。特に最近の省エネブームでその推進が期待されている「太陽光発電システム」の設置にも、広く土地を購入することが可能な市街化調整区域は最適といえます。

売買しやすい物件とは

市街化調整区域であっても、利用価値があれば売買しやすいです。

開発許可を取って建てられた物件

市街化調整区域には、工場や倉庫などが見受けられることが多いです。開発許可を取って建てられた建物は、同じ用途で同規模の大きさであれば、取得後に建て替えができます。もちろん同じ用途ということは、取得者が同業者であることが対象です。

市街化調整区域内では、新たな開発許可を取ること自体が難しいので、すでに開発許可がとってある建物は相対的に価値が高まります。売買のしやすい物件といえます。

開発許可が受けられる土地

今は更地で果樹園などにしているが、将来的に開発許可が受けられて宅地に地目変更ができる土地であれば、売買がしやすくなります。市街化区域に隣接・近接している地域ほど、開発許可が下りやすくなっています。各市区町村の都市計画課や町づくり推進課で確認すれば、開発許可が受けられる土地かどうかがわかります。

用途地域内にある土地

原則からは外れますが、かつて大規模開発がされた時代には、市街化調整区域内に用途地域が定められていたことがあります。市街化調整区域内では、第一種低層住居専用地域がそれです。

第一種低層住居専用地域となっていれば、その規制の中で建て替えも十分可能ですので、最も売却がしやすい物件といえます。

売買しづらい物件とは

反対に特に売買のしづらい物件があります。その条件を紹介します。

農地

農地は農地法の規制を受けています。国の施策としては、これ以上農家を減らしたくないため、農家をやる気のない人に農地を転売したくないのです。農地法では、農地の売却にも許可が必要になっています。

また農地以外にするための売却にも許可が必要です。この場合農地法と都市計画法でダブルの規制がかかってしまいますので、売買しづらい物件の筆頭といえます。

無許可の建物

市街化調整区域内では、農家の住宅や温室などは許可がなくても建てることができます。その反面、通常の住宅などには行政の許可が必要なのですが、無許可の建物も見受けられることがあります。

市街化調整区域が線引きされた当初は、手続きもあやふやな時期があって、手続き上の混乱に紛れて建ててしまった建物も少なくないのです。このような物件は建て替えすることができないため、市場価値が大きく下がり売却しづらくなってしまいます。

開発許可が受けられない土地

多くの市街化調整区域では開発許可が受けられないことが多く、基本的に市街化調整区域内には建物が建ちません。そうなってくると利用者は資材置き場や駐車場として利用するなどの制限がかかってしまいます。

もともとそのような目的で土地を購入するのならばともかく、住宅を建てることができないのであれば一気に利用価値が下がります。売却できても低い金額が予想され、売却しづらい物件といえます。

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・価格が安く税金も安い
・開発許可次第で売買が可能
・農地法と都市計画法の規制

市街化調整区域の物件を売買・活用するには

市街化調整区域の物件を売買・活用するには、専門業者への依頼やオークション、個人売買や売買以外の方法があります。

専門の仲介業者へ依頼する

一般の不動産業者の手数料は、通常売買価格の3%です。市街化調整区域は流通価格が低いため、たとえうまく売却できたとしても不動産業者の利益は少なく、郊外にあることが多い物件の現地調査や顧客の案内などの手間を考えると、経費ばかりがかかり赤字になることすらあり得ます。

そんな中でも市街化調整区域の物件の売買専門の仲介業者がいます。このような業者は市街化調整区域を売買する実績があり、ノウハウにも長けています。土地の活用方法についても相談ができます。

オークションに参加する

ヤフーオークションでも土地の売買が行われています。ヤフオクで、「土地」と入力すると数千件がヒットします。出品をする際には、「市街化調整区域である」とはっきり明示する必要があります。

個人的に売買する

知人に個人として土地を売買する方法もあります。メリットは手数料等がかからないことですが、契約書や重要事項説明書などの書類を自分で作成しなくてはなりません。さらに市場が狭くなってしまい、自分で購入希望者を探してこなければならないのが一番のデメリットでしょう。あまりおすすめできない手法です。

売買以外の方法

売却をしないで賃貸に出すという方法もあります。たとえ古い家だとしても、手入れが行き届いていれば、通常の家賃より安い市街化調整区域内の住居を好む人はいるはずです。また更地でも資材置き場や駐車場として貸し出すこともできます。

仲介業者に売却を依頼して、なかなか売れずに手数料を支払い続けることを思えば、たとえ賃貸料は安くても固定資産税を支払って利益が出るのであればよしとしましょう。月に6万円の賃貸料でも、10年で720万円もの収入になるのです。

・専門の仲介業者が強い
・個人売買は間口を狭める
・賃貸も一つの手法

市街化調整区域を上手に売買しよう

市街化調整区域は、通常家を建てることができない地域なので売却しづらいといわれます。もちろん開発許可が下りなければ住宅は建ちませんので、開発許可が下りるまで気長に売却活動をしましょう。開発許可が下りる可能性が出てくれば、売却もしやすくなってきます。

また開発許可を受けられない市街化調整区域でも、資材置き場などでその土地を利用したい人たちもいるはずです。このような市街化調整区域の売買を得意にしている不動産業者もいますので、土地の売却を依頼してもよいでしょう。まずは自分の持っている市街化調整区域の物件が、どのような状態にあるのかを知っておくことが先決です。

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