マンションを売却するには、不動産会社を選んで査定を依頼すると同時に、手続きや税金についての知識をつける必要があります。
この記事では、はじめてマンション売却をする人でもスムーズに売却を進めるのに役立つ、マンション売却の流れや注意点をわかりやすく紹介します。

- 監修吉崎 誠二
- 社団住宅法人・不動産総合研究所 理事長。㈱船井総合研究所上席コンサルタント、(株)ディーサイン、不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行う。【保有資格】宅地建物取引主任士【URL】不動産エコノミスト 吉崎誠二



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マンション売却の流れ
マンションが売却できるには4カ月~半年の期間がかかるため、引き渡し希望日の半年前には売却の準備を始めましょう。 マンション売却の流れは大きく以下の8つのステップに分けられます。
▼ マンション売却の流れ
- 事前準備をする
- 査定依頼をする
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- マンション売却の付帯設備表を記入する
- 売却活動・内覧対応する
- 売買契約を結ぶ
- 家を引き渡す
- 確定申告をする
それでは1つずつ解説していきます。
事前準備
マンション売却の事前準備でやることは主に3つです。
- 売却のスケジュールを決める
- マンションの相場を把握しておく
- 必要書類を準備しておく
事前準備の段階で、自分でマンションの相場を調べておくとスムーズに売却を進めることができます。
自分のマンションが大体いくらで売れるのかを把握しておくことで、新居選びや売却費用の計算の役立てることができます。
また不動産会社に査定を依頼する場合、査定額が高いのか、低いのかを判断することができます。
マンションをできるだけ高く売るには、売却時期を考えて準備を始めるのがおすすめです。
具体的には、新生活による引っ越し需要が高まる1~3月に売却するのがおすすめです。
売却の事前準備(書類集めや査定など)は、2週間~1カ月程度かかりますので、1~3月の売却を狙うなら12月ごろから準備を始めましょう。
マンションの査定を受ける
次にマンションの査定を受けましょう。
査定は以下2つの種類に分かれるため、自分の目的に合った方法で依頼しましょう。
査定方法 | 特徴 |
訪問査定 | ・担当者が実際に家を訪れて査定 ・査定精度が高い ・査定額がわかるまで1週間前後かかる |
机上査定 | ・物件の築年数やエリアなどの情報から査定する簡易査定 ・査定精度が訪問査定より低い ・1~3日以内で査定額がわかる |
査定を受けることでマンションがいくらで売れるか見当がつき、資金計画が立てやすくなります。
査定を受ける際は以下の流れで進みます。
不動産会社へ査定依頼する
査定日を調整する
実際に査定してもらう
査定額を算出してもらう
査定はマンション売却に強い不動産会社から、必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。
1社のみだと、査定結果が高いのか安いのかの判断が難しく、「本当はもっと高く売れたのかも…」と後悔することになりかねません。
マンションに強い会社を選べば、多くのノウハウを活かして高額売却を実現してくれるでしょう。
3~4社へ査定依頼するのがおすすめです。
査定額を比較でき、相場に見合った価格かどうかを判断しやすくなります。



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不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定を受けたら不動産会社と媒介契約を結びましょう。
不動産会社と結ぶ契約で、売主に代わって不動産会社が買主を探す契約
媒介契約には3種類あり、それぞれで特徴が異なります。
媒介契約の種類 | 複数の不動産会社と締結できる | サポートの充実度 | 特徴 |
---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | × | ◎ |
|
専任媒介契約 | × | 〇 |
|
一般媒介契約 | 〇 | △ | 複数の不動産会社と媒介契約を結べる |
それぞれメリット・デメリットがありますが、マンション売却がはじめての場合はサポートが手厚い「専属専任媒介契約」がおすすめです。
ただし、ほかの不動産会社へ同時に依頼できないため、専属専任媒介契約を結ぶ不動産会社は慎重に選びましょう。
不動産売却は一般的に3ヶ月程度かかるため、売却希望日の3ヶ月前には媒介契約を結びましょう。
媒介契約については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
マンションの付帯設備表を記載する
マンションの売却では、不動産会社との契約前に、付帯設備表が求められます。
引き渡し時点のマンションの状態を買主に知らせる書類
これは、契約時に買主へ渡す書類であり、物件内にある不動産設備の有無や故障の有無等などを記載します。
記載するのは「物件の今の状態」ではなく「物件を引き渡す時の状態」です。
例えば、引き渡し時に家具を外したい場合は付帯設備表に「無」と記載しましょう。もし「有」と記載してしまった場合、家具を付けたまま引き渡さなけさばなりません。
また、付帯設備表には物件を引き渡す際の状態を書きますので、売却活動を開始する前に作成しておくのがおすすめです。
- 買主へ早めに物件の状態を伝える
- 営業担当者が物件の状態を正しく把握した上で売却活動を行える
このようなメリットがあるので早めに記載しておきましょう。もし、売買契約時に相違する点があれば、この時点で修正できます。
マンションの内覧対応する
不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよマンションの売り出しが始まります。
購入希望者が現れたら、室内を実際に見てもらう内覧が行われます。
内覧は、購入希望者の決断に大きな影響を及ぼすため、しっかりと対応することが大切です。
- 室内の広さ・間取り
- 室内の綺麗さ
- 設備の充実度
- 水回り
内覧者はこれらのポイントを見たうえで購入するかどうかを判断します。
室内が散らかっていたり水回りが汚れていたりする場合は、内覧までに綺麗にしておくとよいでしょう。
*掃除をする時間がない
*汚れがひどくて自分でできない
*面倒だから自分で掃除したくない
マンションの売買契約を結ぶ
内覧が上手く行ったら購入希望者と売買契約を結びます。
売買契約時は主に以下の事項を行います。
- 告知事項の確認
- 売買契約書のチェック
- 売買契約書への署名
基本的には、不動産会社の担当者が進めてくれるので売主は担当者のアドバイスにしたがって進めていくだけ問題ありません。
ただし、売買契約書は自分でしっかり確認しておきましょう。
これは「契約不適合責任」という制度であり、買主を守るルールが設けられています。
例えば以下のようなケースが契約後に発覚すると売主責任となる可能性があります。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 構造耐力上主要な部分(柱や梁)などに不具合や欠陥が見つかった場合
このような「瑕疵」は告知事項であり、契約後に見つかった場合は事前に把握していなくても責任追及される場合があります。
事前にホームインスペクションを実施するなどして、家に欠陥がないかチェックしておくのがよいでしょう。
契約書の内容に問題なければ、契約書への署名・捺印をし、契約がまとまれば買主から売却価格の5~10%程度の手付金が支払われます。
最後に、売買契約を結んで引き渡し日が決まったら、マンションの管理組合に売却する旨の連絡を入れましょう。
ローン一括返済をする場合は事前の手続きが必要なため、融資を受けている金融機関にマンションを売る旨と引き渡し日を申告しましょう。
マンションを決済・引き渡しを行う
売買契約で定めた日程で物件の決済と引き渡しをします。
引渡し時は以下のポイントを理解しておきましょう。
マンションの売却が成立したら、引き渡し日までに必ずマンションを渡せる状態にしておかなければいけません。
片付けや引っ越しのトラブルにより期日に引き渡しができないとなると、買主に対して違約金を支払わなければいけません。
引き渡し日が決まったら、早めに引っ越しや片付けの段取りを済ませておきましょう。
売買契約を結んだらすぐに引っ越し業者を手配し、引き渡し日までにマンションを空室にしましょう。
引き渡しの当日は売主と買主に加え、不動産会社、司法書士、売主買主と双方の銀行担当者(住宅ローンを使用する場合)が一堂に会して代金の決済や鍵の受け渡しが行われます。
住宅ローン残債が残ったままマンションを売却する場合は、代金を受けとった後すぐにローンを一括返済します。
これで売却は完了ですが、最後に登記情報の変更が必要です。
登記変更手続きが終わったら、不動産会社への仲介手数料の残り半分を支払って、マンションの売却が完了します。
確定申告をする
マンション売却で利益が発生したら確定申告が必要です。
【確定申告が必要なケース】
- マンションが買ったときより高く売れた場合
- 控除特例を利用する場合
確定申告しないと追加での課税が発生したり、節税のための控除や特例が使えなかったりするデメリットが発生します。
マンション売却によって利益を得た場合は必ず確定申告をしましょう。
マンション売却でかかる費用
マンション売却では、代金がそのまま手元に入ってくる訳ではありません。 費用を把握しておかないと、資金計画が狂って新居の購入などに影響が出ることもあります。 マンションを売却するには、売却代金の5~7%ほどの費用がかかります。 どんな費用がかかるか把握して、手取り額を最大化しましょう。
仲介手数料
マンション売却にかかる仲介手数料は、マンション売却が売却できたら不動産会社に成功報酬として支払います。 仲介手数料の金額は、最大でマンションの売却価格×3%+6万円かかります。(※ マンションの売却価格が400万円以上の場合。) 例えば、マンションが4,000万円で売却できた場合、仲介手数料は126万円になります。
抹消登記費用
不動産に抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消登記が必要です。 抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。 例えば一戸建ての場合、抵当権抹消費用は建物1個と土地1個の合計2個で計算するため、2,000円になります。 また、抵当権抹消を司法書士に依頼する場合は、1本につきおよそ1万円~2万円の手数料がかかります。 住宅ローン完済後の抵当権抹消手続きは、自分でも行うことができます。 具体的な抹消手続きの方法については、こちらの記事をご覧ください。
マンション売却でかかる税金
マンション売却では、代金がそのまま手元に入ってくる訳ではありません。
譲渡所得税
マンション売却で利益が発生すると、その利益に譲渡所得税が課されます。 利益にかかる税金であるため、購入時よりマンションの価格が大幅に下がるようなケースでは譲渡所得税がかかりません。 譲渡所得税の税率は、マンションを所有していた期間によって変わります。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 合計税率 |
---|---|---|---|
所有期間5年未満 | 30.63% | 9% | 39.63% |
所有期間5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
印紙税
印紙税は、マンションの売買契約書に張り付ける収入印紙の購入にかかる費用です。 印紙税は、売買契約書に記載するマンションの売却価格によって変わります。
マンションの売却価格 | 税額 |
---|---|
10万円を超え50万円以下のもの | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 1000円 |
500万円を超え1000万円以下のもの | 5000円 |
1000万円を超え5000万円以下のもの | 10000円 |
5000万円を超え1億円以下のもの | 30000円 |
例えば、4,000万円でマンションを売却したら印紙税は10,000円です。 売買契約書は売主保管用と買主保管用で通常2通作成します。売主・買主それぞれが1通分の印紙税を支払うのが慣習です。 マンション売却後の手取り額は、こちらのシミュレーターで計算することができます。
マンション売却の10つの注意点
全体の流れと必要な費用が分かれば、マンションを売却することは誰にでもできます。 しかしマンションは単に売れればいい訳ではありません。 マンションを少しでも高く売却して、これからの生活のための資金を確保することこそが重要です。 この章では業者の言いなりになって知らないうちに損をしないための注意点を紹介します。
注意点①:マンションの売却相場を調べる
まずは、自分でマンションの売却相場を調べてみましょう。 マンションの売却相場を知るには、同じマンションから売り出された部屋の売却価格や近隣エリアの売却価格をことがおすすめです。 すまいステップには、自分のマンションの名前を入力するだけで過去の売却価格が分かる「マンションデータベース」ページがあるので活用してください。
【2025年版】マンション売却相場はいくら?主要エリア・築年数別の価格相場を解説
注意点②:自分に合ったマンション売却の方法を選ぶ
マンションを売却するには、仲介と買取の2つの方法があります。
- 仲介 マンションを高く売却したい人におすすめ
- 買取 マンションを早く売却したい人におすすめ
それぞれメリット・デメリットが異なるので、希望する売却価格や売却時期に合わせて自分に合った売却方法を選びましょう。
マンションを高く売却したい人には「仲介」がおすすめ
マンションを高く売却したい人は、「仲介」での売却がおすすめです。 仲介では、不動産会社がエージェントとなってマンションを買いたい人を探します。 売主はマンションが売却できたら「売却価格の〇%」といった形で不動産会社に仲介手数料を支払います。 不動産会社は基本的にマンションを高く売却するほど利益が多く出るため、マンションが高く売れやすいです。
マンションを早く売却したい人には「買取」がおすすめ
マンションを早く売却したい方は「買取」でマンションを売却することをおすすめします。
買取とは、不動産会社がマンションを購入する方法のことです。
手続きに慣れた不動産会社が直接マンションを購入するため、マンションを売却して代金を受け取るまで数週間~2カ月とスピーディーな点が魅力です。
ただし、買取での売却相場は仲介でした場合の8~9割程度に留まります。 仲介で売りに出していては希望の引き渡し日までには売れなさそうなケースでは買取を検討しても良いでしょう。
コラム:囲い込みに注意!
囲い込みは、不動産会社が不動産の売買仲介を依頼された時、他の不動産会社からの問い合わせを受け付けずに自社で買主を探そうとする行為のことです。
自社のみで買主を見つけようとすると、売却期間が長くなる、売却額が低くなるといった可能性が高まるため、売主にとってはデメリットばかりです。
囲い込みされていないか確認するには、他の不動産会社を通じて売出し状況を問い合わせてみましょう。また、一般媒介で複数の会社に依頼する場合は、囲い込みのリスクが低くなります。
注意点③:買い替えではマンションを売ってから新居を探す
マンションを買い替える時は、マンションを売ってからマンションを買う「売り先行」とマンションを買ってからマンションを売却する「買い先行」があります。 買い替え資金に余裕がないなら、マンションを売ってから新居を探す「売り先行」がおすすめです。 一方売り先行で先にマンションを売却すれば、売却代金を頭金などに充てられます。 初期費用を抑えたい人にはオススメです。
一方、「買い先行」では今のマンションの売却価格が決まる前に新居を買うので、予算オーバーになるケースも。
もしどうしても購入したいマンションが決まっていて、「買い先行」になる場合は資金計画をしっかり立てましょう。
マンション買い替えの基礎知識!タイミングや流れ、費用について
注意点④:査定額=売却価格ではない
マンションは査定額通りに売却できるとは限りません。
マンションの査定額は「そのマンションを直近3カ月以内に売り切るとしたらいくらで売却できるか」を不動産会社が直近の市況や売買実績から算出した価格です。
ブランドバッグのように査定額通りに業者が買い取るケースと異なり、マンションは査定額を不動産会社が算出し、その価格に納得した消費者が購入します。 つまり不動産会社が出した査定額が高すぎると、査定額通りに売れない可能性があります。 マンションの査定を受けたら査定額の高さだけではなく、査定額が根拠あるものなのか確認しましょう。
マンション査定のポイントは?高く評価されるポイントを大公開!
注意点⑤:マンションの売り出し価格は少し高めに
不動産会社と媒介契約を結んだら、査定額を参考にマンションの売り出し価格を決めます。 マンションの売り出し価格は売主が自由に決めることができますが、適正な売り出し価格を設定することが大切です。
すまいステップが不動産売却の経験者に行ったアンケートでは、9割の人が「査定額と売却価格(=成約価格)の差が10%未満だった」と答えているからです。 ※引用:すまいステップ「『不動産売却に関するアンケート』の調査結果(2022年6月8日閲覧)」より
3ヶ月経っても買主が現れない場合は、価格設定が高すぎる可能性があるため、見直してみることをおすすめします。
注意点⑥:物件の写真はきれいに撮る
購入希望者を広く集めるためにSUUMOやホームズなどのポータルサイトへ掲載するマンションの物件写真を撮影します。
通常は、不動産会社の担当者が訪れて室内の写真を撮影します。 室内写真は以下のポイントに注意して、購入希望者によい印象を持ってもらえるように工夫しましょう。
- バルコニーの洗濯物、キッチンや洗面所のタオルや洗剤などを片付け生活感を極力排除する
- 掃除を徹底する
- 晴れた日の午前中など日当たりのよい時間に撮影する
不動産会社によっては、CG加工などで家具などを消してくれる企業もあるため不安な場合は相談すると良いでしょう。
注意点⑦:告知書は正直に書く
マンションの売り出し時には、不動産会社から受け取る雛型を元に物件の状態を詳しく記載する「告知書」を作成します。
買主にとってマンションの購入は大きな金額が動くイベントであるため、売主には現在の物件の状況をきちんと伝える義務があります。 告知書には以下のような項目を記載しています。
- 雨漏りの有無
- シロアリ被害の有無
- 給排水管や電気設備の故障の有無
- リフォームの履歴
- エアコンなどを持っていくか・設置したまま売却するか
マンションに欠陥(瑕疵)がある場合、その事実を隠してマンションを売却すると売主から損害賠償などを求められる可能性があります。
瑕疵がある場合でも、売買契約書にきちんと記載していれば契約不適合責任には問われません。 後に修繕費などを支払わずに済むよう、瑕疵を把握しているなら隠さずに申告することをオススメします。
注意点⑧:手付金を受け取ってすぐに使い込まない
マンションの売買契約を結ぶと買主から手付金を受け取れますが、できるかぎり引き渡し時までに使わずに取っておきましょう。
買主が見つかり売買契約を結んだ後でも、やむを得ない理由でキャンセル(=契約解除)となるケースがあります。
買主の有責でなく売買契約が解除される場合、売主は預かった手付金を返還しなければなりません。
しかし手付金を使いこんでしまい、買主へ返還できずにトラブルになることがあります。 特に「住宅ローン特約」を結ぶ場合は、買主は住宅ローンの審査に落ちたらペナルティなしで契約解除ができます。
手付金を返還できるように、買主が住宅ローンの審査に通るまで使わずに取っておきましょう。 不動産売却は途中でキャンセルできる?違約金と解除方法について解説
注意点⑨:売却益が出たら控除を使う
マンション売却で利益が出たら、控税金の特例や控除を利用することで譲渡所得税の納税額を抑えることができます。
マンション売却で出た利益(=譲渡所得)に対しては、最大で40%近くもの税金がかかることは先に述べた通りです。
しかし、例えばマンションの売却時によく使われる控除・特例の一つである「居住用財産3,000万円特別控除の特例」を使うと、譲渡所得税を最大で約1,200万円(※譲渡所得額3,000万円、所有期間5年未満として計算)節約できます。
控除や特例には適用条件が設けられているので、自分のマンションでも使えるものがあるか調べておきましょう。
注意点⑩:確定申告を必ずする
マンションを売却したら、確定申告が必要です。
マンション売却で利益が出た場合は制度上必ず確定申告をしなけなりません。
期限内に確定申告がされなかった場合は、延滞税として最大14%も多く譲渡所得税が徴収されてしまいます。
また利益が出てない方でも、確定申告をすることで控除が適用され所得税や住民税の支払い額を減額することができます。
普段自分で確定申告をする必要のない会社員の人でも、給与所得とは別に申告が必要です。 マンション売却を売却した翌年の2月16日~3月5日の間に忘れずに申告しましょう。
マンション売却における確定申告の基礎知識を徹底解説!不要なケースや必要書類など
マンション売却の失敗事例
こちらは、売却者295人に「自宅の売却価格には、満足していますか?」というアンケート調査を行ったときの結果です。 (※アットホーム調べ「中古物件の“売り手”と“買い手”のキモチ調査」を元にすまいステップ編集部がグラフを作成) この結果から、全体の39%の人が売却に満足していない、つまり後悔していると回答していることがわかります。
この章では、マンション売却の失敗事例や、後悔したという体験談をご紹介します。事前に失敗や対策を把握することで、後悔のない売却活動を目指しましょう。
安易に大手不動産会社に頼んで失敗
神奈川県 (60代・男性) 最初にお願いした業者は大手の不動産会社でしたが全くの期待はずれで結果的には大失敗でした。 今回、お願いした会社は実績の無いところで正直不安でもありましたが本当に良く対応して頂きました。 知名度に捉われずに会社選びされることをお勧めします。
神奈川県横浜市神奈川区 / 60代 / 住み替え / マンション / 築10年~15年 / 2LDK
査定額7,600万円→売却価格7,750万円
不動産会社 | 株式会社すむたす本社(担当者:佐々木 研斗) |
---|---|
不動産会社の決め手 | 査定額が高かった |
担当者の特徴 | こまめに連絡をもらえた |
満足度 | 4.7 |
大手は多くのクライアントを抱えているため、個別の取引においては細かな情報やサポートが行き届かないことがあります。
また、優秀な営業マンは必ずしも大手にいるとは限りません。 大手だけでなく、地域密着型の中小規模の不動産会社数も含めて査定を依頼しましょう。
これによって、異なる視点からの販売戦略や提案内容を聞くことができるため、適切な選択がしやすくなります。
大手の不動産会社と中小の不動産会社でマンション売却を迷っている方は、こちらの記事もご参考ください。
不動産売却は「大手」「中小」どちらがいい?売却を有利に進める不動産会社の選び方
複数社に査定依頼せずに失敗
東京都 (50代・女性) 先ずは、今回私がお願いした方を紹介します。 以前、住み替えでマンションを売って失敗した事もあります。 その失敗は、不動産会社1社しか見積もりしなかったから、言いなりになってしまいました。 今回は、それを踏まえ何社も見積もりお願いしました。 低価格の会社は切って行き、最後は担当者の方と話をして、より売り手側にも利益が出るように話をしてくれる方に決めました。
当たり前の金額じゃなく、お互いより利益を出しましょうよ。 って言う感じの方、物件をより高く売ってくれる方をお勧めします。
東京都葛飾区 / 50代 / 相続 / マンション / 築36年~40年 / 3LDK
査定額16,000万円→売却価格21,000万円
不動産会社 | 不動産売却サポート関東株式会社(担当者:山田さん) |
---|---|
不動産会社の決め手 | 販売戦略が優れていた |
担当者の特徴 | 積極的に販売活動を実施 |
満足度 | 5 |
これでは市場全体の価値や需要に関する情報を得ることが難しく、正確な査定が難しいです。 複数の不動産業者に査定を依頼し、それぞれの査定結果を比較しましょう。
査定結果だけでなく、各不動産会社の信頼性や実績も一緒に確認することをおすすめします。
その会社の口コミや評判を見ておけば、信頼できる会社を選ぶ手助けになります。
複数社への査定依頼は、「不動産一括査定サイト」を利用して申し込むのが便利です。 一括査定サイトの「すまいステップ」は、厳選された優良不動産会社のみに無料で査定依頼を送れるので、お家の売却を安心して任せられます。
繁忙期を意識せず失敗
大阪府 (40代・男性) 6ヶ月で売却完了を目指していたので、8ヵ月かかったのは想定外であった。ただ売り切ることができて安心はしている。もう少し不動産の繁忙期を意識して売り出せばよかったと少し後悔は残る。
大阪府大阪市西区 / 40代 / 不要物件の処分 / マンション / 築6年~10年 / 2LDK
査定額3,780万円→売却価格3,700万円
不動産会社 | 東急リバブル心斎橋(担当者:松井さん) |
---|---|
不動産会社の決め手 | 信頼できる担当者だった |
担当者の特徴 | 説明が丁寧 |
満足度 | 3 |
この時期に物件が出ている状態にするために、遅くとも12月~1月から売り出すことをおすすめします。
また、繁忙期には需要が増える傾向があるため、価格戦略を見直して需要に合わせた適正な価格で物件を提示することが成功の鍵となります。査定額や市場動向を考慮して戦略的に価格を設定しましょう。
不動産会社におまかせにしてなかなか売れず失敗
神奈川県 (50代・女性) 当初提示された期間よりなかなか売れず、新規ローンのお金に充てられず大変でした。銀行も許可してくださったのでまさかここまで売れないとは…。大変でした。 協議はせずかなりおまかせな部分が多かったように思います。何社ともやり取りするのが大変なため一社だけとやりとりしてしまいました。なかなか売れず大変でした。
神奈川県横浜市西区 / 50代 / 住み替え / マンション / 築31年~35年 / 3DK
査定額2,200万円→売却価格2万円
不動産会社 | 東急リバブル横浜(担当者:忘れました) |
---|---|
不動産会社の決め手 | 知名度が高い会社だった |
担当者の特徴 | 該当なし |
満足度 | 1.7 |
- 確認するポイント
- 掲載されている写真は魅力的か?
- 物件の魅力が伝わる説明文になっているか?
- 似たような条件の物件と比較して、高すぎ/安すぎないか?
値下げを断らなかったことを後悔
兵庫県 (30代・男性) 思っていたより査定金額も高く、実際売却した金額も予想より高かったので納得できました。 ただ、値下げをされたので、今思えば値下げを断ればよかったかなと後悔しています。売れなかったらと焦りがあり、値下げ交渉に応じてしまったが値下げしなくても売却できてた物件だったのかなと今となっては思います。
神奈川県横浜市神奈川区 / 60代 / 住み替え / マンション / 築10年~15年 / 2LDK
査定額7,600万円→売却価格7,750万円
不動産会社 | 株式会社すむたす本社(担当者:佐々木 研斗) |
---|---|
不動産会社の決め手 | 査定額が高かった |
担当者の特徴 | こまめに連絡をもらえた |
満足度 | 4.7 |
値下げはタイミングが重要です。後悔しないためにも、「半年以内に売れなかったら値下げする」「◯円までだったら値下げする」など、あらかじめ値下げの許容額を決めておきましょう。
マンション売却でよくある質問
Q1:マンション売却の必要書類書類は何ですか?
- 本人確認書
- 印鑑登録証明書
- 権利書または登記識別情報
- 固定資産税納付通知書
- 管理に係る重要事項調査報告書
- マンションの管理規約・長期修繕計画・総会議事録等
もし書類を紛失していることがわかったら、査定時などに不動産会社に相談しましょう。 代わりに使える書類を教えてもらえたり、場合によっては不動産会社が手配してくれることもあります。
Q2:マンション売却前にリフォームは必要ですか?
マンションの売却前のリフォームは基本的に不要です。 費用がかさむだけでなく買主の趣味に合わずマンションが売れない可能性があります。 また、リフォームにかけた金額を売却価格に上乗せできることも稀です。 相場4,000万円のマンションが、100万円かけてリフォームしたため4,100万円で売れるとは限らないということです。 事実、市場に売り出せるマンションのうち売主がリフォームした物件が売りに出されることは滅多にありません。 ※不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査」を元にすまいステップ編集部が作成 また、リフォームせずともハウスクリーニングをすることで解決する場合もあります。 損をしないためにも、独断でリフォームせずに不動産会社に相談して決めることをおすすめします。
マンション売却ではリフォーム不要?判断基準と高くうるコツも解説
Q3:ローンがあるマンションでも売却できますか?
ローンがあるマンションでも、売却代金などでローンを一括返済し抵当権を抹消すれば売却できます。
しかし稀に、マンションの売却価格がローン残債を下回ることがあります。 この場合、手持ち資金などからローンの残債を返済しなければなりません。
資金の持ち出しを避けるにも、マンションのローン残債を調べ、最低いくらでマンションを売ればいいのか把握しましょう。
マンション売却のローン残債は一括返済が基本!完済できない時の対処法も解説
Q4.相続したマンションを売却する際の注意点はありますか?
相続したマンションを売却する前に、以下の2つを完了させましょう。
- マンションの相続登記
- マンションの相続税の納付
マンションを売却できるのは、マンションの所有者本人です。 マンションの所有者が被相続人(亡くなった方)のままだとマンションを売却できないため、名義人を変更しておきましょう。
また、相続税の支払いも必要です。マンションの相続税額は、国が定めた「評価額」によって決められます。 マンションの相続手続きや相続税・評価額について詳しく知りたい方は下記を読んでみてください。
マンションを相続する手続きと流れ!必要書類や相続税の計算方法を解説
まとめ
マンションの売却は非常に大きなライフイベントです。 高いお金を出して購入したマンションの売却を成功させたいのは誰しも同じでしょう。
この記事でご紹介した留意して、マンション売却を成功に導きましょう。 なお、マンション売却の成功に一番大事なのは、信頼できる不動産会社を選ぶことです。
「どの不動産会社に依頼していいか分からない……」という方は、一度すまいステップの利用を検討してみてください。
すまいステップなら、「累計100件以上の不動産売買仲介の実績あり」「市場相場よりも高値での不動産売却の実績あり」などの条件を満たした優良不動産会社のみを厳選して紹介します。