- 専任媒介契約の特徴
- 不動産会社に積極的に売却に臨んでもらいやすい
- 他の会社とは並行して契約できない
- 不動産売却に不慣れな人におすすめの契約形態
不動産会社に不動産の売却を依頼すると、「専任媒介契約」を勧められる方が多いようですが、専任媒介契約とはどのようなものなのでしょうか? よくわからないまま契約してしまうのは不安ですよね。
この記事では、専任媒介契約について、基礎からわかりやすく解説していきます。
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専任媒介契約とは媒介契約の種類の1つ
「専任媒介契約」とは、不動産会社と依頼主の間で締結する「媒介契約」の種類の1つです。
不動産会社に仲介を依頼して不動産を売却する時、売主はまず不動産会社と「媒介契約」を締結します。
媒介契約では、仲介業務を依頼する上でのトラブルを未然に防ぐために、不動産会社の果たすべき義務や支払う報酬、契約期間などについて取り決めます。
媒介契約には専任媒介契約の他に、一般媒介契約と専属専任媒介契約という契約があり、種類によって契約内容のひな形が決まっています。
以下に、各契約の違いを表にまとめました。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社へ売却依頼 | 〇 | × | × |
売主も買主を探せる | 〇 | 〇 | × |
不動産会社からの活動報告 | 報告義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 | なし | 7営業日以内 | 5営業日以内 |
契約期間 | 規定なし (通常3ヶ月) | 3ヶ月 | 3ヶ月 |
専任媒介契約は、媒介契約の中で最もポピュラーな契約形態です。
売り出し中の不動産の多くが登録されている不動産の指定流通機構(レインズ)では、専任媒介で契約されている物件の登録割合が最も大きく、全体の約3割を占めています。
(不動産流通センター「指定流通機構の活用状況について(2022年度分)」(2023.9.21閲覧)を元にすまいステップ編集部がグラフを作成)
仲介で不動産を売却する人によく選ばれている専任媒介契約ですが、ご自身は専任媒介契約を締結するべきかどうか、契約内容の特徴やメリット・デメリットを確認した上で判断しましょう。
専任媒介契約の特徴
ここからは、専任媒介契約の特徴について詳しく解説していきます。
同時に契約できるのは1社のみ
専任媒介契約は、1社だけに不動産の売却を任せるという契約です。
契約した不動産会社だけが、買主を見つけるための業務を行います。
自分で見つけた買主との直接売買は可能
専任媒介契約は、同時に1社のみとしか契約できない契約形態ですが、自分で見つけた買主と不動産を売買することは可能です。
ただし、契約書の作成など、売買に関する業務を契約している不動産会社に依頼した場合には、既定の手数料の請求を受けます。
契約期間は最長3ヶ月
専任媒介契約の契約期間は、最長3ヶ月までと法律で定められています。
売買が成約しないまま契約期間が過ぎた場合、契約期間を更新するか、契約を終了するか、売主が決めることになります。
2週に1回以上、不動産会社から営業活動報告を受けられる
不動産会社には、専任媒介契約を結んだ売主に対して2週に1回以上の営業活動の報告が義務付けられています。
活動報告は、メールや書面の郵送で送られます。
活動報告書の様式は不動産会社ごとに異なりますが、概ね以下のような内容が記載されています。
- どんな営業活動を行ったか
(広告を出稿した、サイトに物件を掲載した、顧客に紹介を行った、など) - 物件の問い合わせの件数
- 内覧の希望件数
- 実施した内覧の手ごたえや反応
売主は不動産会社から送られる活動報告をもとに、今後の売却の方針の意思決定を行います。
不動産会社にはレインズへの登録義務がある
不動産会社には、専任媒介契約を結んだ物件をレインズに登録する義務があります。
レインズとは、売り出し中の物件情報が登録されているネットワークシステムのことです。
このシステムに物件情報を登録することで、他の不動産会社の担当者も物件情報を検索することができるようになります。
つまり、他の不動産会社の顧客にも紹介することで、より高く物件を買ってくれる購入希望者を、広く集められるのです。
途中解約には制限がある
専任媒介契約は、契約期間の途中での解約に制限があります。
売主の都合で途中解約できるのは、不動産会社側に「契約不履行」が認められる場合に限られます。
売主都合で媒介契約を途中解除する場合には、違約金が発生することがあります。
不動産会社は、違約金として「それまでの売却活動にかかった費用」を売主に請求してもよいとされています。契約を締結する前に、媒介契約書の違約金に関する条項を確認しておきましょう。
手数料の金額はどの契約形態でも変わらない
「不動産会社との契約の種類によって報酬額が変わるのではないか?」と疑問に思っている方もいるかもしれませんが、かかる費用は専任媒介契約でも、それ以外の契約でも変わりません。
不動産会社に支払う報酬は「仲介手数料」といって、不動産の売買が成約した後に「売却価格」に応じた金額を支払うものです。
媒介契約を結んだ時点では、いかなる費用も発生しません。また、契約社数によっても金額は変わりません。
活動報告数の送付数や内覧数など、業務の多寡によっても仲介手数料の金額は変わりません。
そのため、不動産会社との契約は手数料ではなく、契約ごとのメリット・デメリットを参考に決めるとよいでしょう。
専任媒介契約のメリット
「1社としか契約できない」という制限があるため、一見デメリットの大きな専任媒介契約ですが、それを補う大きなメリットも存在しています。
1つずつ見ていきましょう。
不動産会社に積極的に売却してもらいやすい
一般的に、不動産会社に専任媒介契約で不動産売却を依頼すると、売却活動に積極的に臨んでもらいやすいと言われています。
これには「不動産会社にとっての専任媒介契約のメリット」が関係しています。
不動産会社の立場からすると、依頼された物件の売却のためにどれだけ時間やお金をかけても、他社で売買が成立してしまうと、不動産会社の儲けはゼロになってしまいます。
しかし専任媒介契約なら、契約期間中は売主は他の不動産会社からの仲介を受けられません。
これはつまり、不動産会社からすると、契約期間中は他の会社に売買契約を取られてしまうリスクがなくなるのです。
そのため、専任媒介契約は一般媒介契約に比べて、売却に本腰を入れて臨んでもらいやすいとされています。
売主へのサポートサービスが充実している
専任媒介契約は不動産会社にとってのメリットが大きいため、不動産会社はできれば「専任」で契約を結んでほしいと考えています。
そこで、特に大手の不動産会社では、専任媒介契約を締結してくれた売主に対して、売却に関するサポートサービスを追加料金なしで提供している企業が多くあります。
例えば、大京穴吹不動産では、専任媒介契約を結んだ売主に対して、以下のようなサービスを提供しています。
- 設備保障サービス
水回りを中心に住宅設備の補修費を最大10万円負担してもらえる - ホームステージングサービス
売却予定の部屋(マンション)がより魅力的に映るように「インテリアの演出」をしてもらえる - バーチャルステージングサービス
CGを活用して、居住中の部屋の家具を消した画像や、空き部屋に家具を設置した画像を作成して、ホームページに掲載してもらえる
(参考:大京穴吹不動産「仲介安心サポート」(2022.5.26閲覧))
提供しているサービスの内容は不動産会社によって様々です。サービスを受ける上で、他にも条件があることもあります。無料サービスの提供を実施していない会社もあるため、契約を結ぶ不動産会社の説明やHPで事前に確認しておきましょう。
窓口を一本化できる
専任媒介契約を結ぶ場合、売却活動は1社のみに任せることになります。
つまり、売却に関してやり取りする相手は、契約した不動産会社の営業担当者のみになります。
窓口が一本化できるため、複数の不動産会社とやり取りをする場合と比べると手間がかかりません。
自分で買主を見つける可能性を残せる
専任媒介契約の場合は専属専任媒介契約とは異なり、自己発見取引は違約金の対象ではありません。
そのため、自分で見つけた買主と売買する可能性を残せます。
良い条件で知人が購入してくれる可能性のある方や、買取への切り替えを視野に入れている方は、専属専任媒介契約よりも専任媒介契約を選ぶメリットが大きいです。
専任媒介契約のデメリット
不動産会社からの手厚い対応を受けながら売却活動に臨める専任媒介契約ですが、知らなければ気づかないデメリットも存在しています。
不動産会社の力量次第で売却が長引いてしまう
繰り返しになりますが、専任媒介契約は契約期間中、1社のみにしか売却活動を任せられません。
そのため、売却力の低い不動産会社と契約してしまうと、売れないまま時間が過ぎてしまうといった事態に陥ります。
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囲い込みを受ける可能性がある
専任媒介契約には、締結した不動産会社に「囲い込み」をされてしまうかもしれないというリスクがあります。
囲い込みとは、売りに出している物件の情報公開に不当に制限をかけたり、他社からの購入に関する問い合わせを断ることで、買主の候補者を自社の顧客に限定する行為です。
買主の候補者が絞り込まれてしまうことは、高く売れる機会や、早く売れる機会を逃してしまう可能性があるため、囲い込みは売主にとっては不利益にしかなりません。
しかし、不動産会社にとっては、自社の顧客が物件を購入すれば1回の売買取引で2倍の仲介手数料を得られるため、囲い込みは「効率のいい営業手法」なのです。
本来は依頼された物件を高く売る努力をするべき担当者が、自社の買主に物件を購入してもらって両手仲介を成立させるために、売主に値下げをさせることもあります。
不動産会社と依頼主は情報の非対称性が大きく、囲い込みに未然に気づくのは難しいです。しかし、売却活動中にレインズや不動産ポータルサイトへの登録状況を確認することで、囲い込みされていないか、ある程度チェックすることができます。
売主都合で途中解約しづらい
専任媒介契約の契約期間中は、不動産会社側に非がある場合を除いて、途中解約はできません。
売主の都合で途中で契約を解除する場合には、これまでにかかった広告費などの実費を請求されることがあります。
また、専任媒介契約を解除しないまま別の不動産会社の仲介で売買取引してしまうと、仲介手数料分の金額を違約金として請求するという契約条件になっているケースがほとんどです。
担当者の対応に不満がある場合は、まずは不動産会社に相談してみましょう。
こっそり売却するのは難しい
専任媒介契約を結んで売りに出された物件は、レインズへの登録義務があります。
レインズに登録された物件は、他の不動産会社の担当者も閲覧できるものなので、不動産を売りに出していることが他の不動産会社などを通じて知人や近隣住民に知られる可能性があります。
もしもレインズに掲載せずに不動産を売却したい場合には、一般媒介契約を選びましょう。
また、レインズの登録以外にも、掲出した広告でもバレてしまうという可能性もあるため、人に知られないように不動産を売却したいという希望がある方は、その旨を不動産会社に相談するのがおすすめです。
一般媒介契約とは?特徴やメリット・デメリット・他の契約との違いをわかりやすく解説
媒介契約の種類はどれがおすすめ?
専任媒介契約の特徴とメリット・デメリットを知った上で、1社に絞って専任媒介契約を結ぶか、専属専任媒介契約を結ぶか、候補の不動産会社から複数社と一般媒介契約を結ぶか、悩まれる方も多いでしょう。
基本的には、専任媒介または専属専任媒介で契約するのがおすすめです。
ここからは、より具体的に、それぞれが向いているのはどんな人か解説します。
専任媒介契約が向いている人
専任媒介契約が向いているのは、以下に当てはまる方です。
- 専任媒介契約が向いている人・ケース
- 不動産売却が初めての人
- 売却にかかる手間を減らしたい人
- 売却期限が決まっている人
- 売れるか不安な物件を売却したい人
不動産売却に不慣れだったりして、適宜必要なサポートを受けながら売却活動に臨みたい方は、専任媒介での契約が向いています。
契約した1社から定期的に連絡を貰いながら売却活動が進むため、売却に関してある程度任せきりにできるのが専任媒介契約です。
他には、専任媒介契約であれば「買取保証」を利用できる会社があったり、自分で買取業者を見つけて売却することも可能なので、絶対にこの日までに売らなければならない売却期限が決まっている方にもおすすめです。
また、売却したい不動産が、郊外の古い戸建てや地方の土地などの場合も専任媒介契約が適しています。
専属専任媒介契約が向いている人
専属専任媒介契約が向いているのは、以下に当てはまる方です。
- 専属専任媒介契約が向いている人
- 不動産売却が初めての人
- 売却にかかる手間を減らしたい人
- 自分で買主を見つける予定がない人
- より頻繁に活動報告を受けたい人
専属専任媒介契約は専任媒介契約と同じように、不動産売却が不慣れだったり、不動産会社にお任せしながら売却を進めたい方に向いています。
特に自分で買主を探す予定のない方は、自己発見取引ができないという契約上のデメリットをほとんど受けないため専属専任媒介契約がおすすめです。
また、専任媒介契約に比べて不動産会社側に義務付けられている活動報告の頻度が高いので、不動産会社と密に連携を取りながら売却に臨みたい方にも適しています。
一般媒介契約が向いている人
一般媒介契約が向いているのは、以下に当てはまる方です。
- 一般媒介契約が向いている人
- 人気物件を売却したい人
- 主体的に売却活動に臨める人
都心エリアのマンションなど、多少リスクを負ってでも販売に乗り出したくなるような高額物件の場合は、一般媒介契約であっても不動産会社が積極的に売却活動してもらえる可能性が高いです。
また、交渉事が得意だったり、調べものや担当者との連絡に時間が取れる人など、ご自身で積極的に不動産売却に臨める方は、一般媒介契約のメリットを活かしやすいです。
たとえば、明示型の一般媒介契約の場合は、不動産会社と契約を結ぶ度に、既に契約している会社に「新たに一般媒介契約を締結した旨」を連絡しなければならないため、手間がかかります。内覧が重ならいように、スケジュールの調整も売主側で行わなければなりません。
不動産会社側からの活動報告の義務もないため、逐次売却の進捗を確認するためには、売主側から連絡して近況を尋ねていく積極性が必要です。
売却プランに関しても、売主主導で決めていかなければならないことが多く、不動産売却に関する知識も求められます。
まとめ
専任媒介契約は、不動産会社の手厚いバックアップを受けながら不動産を売却できる契約形態です。
一方で、契約期間中は他の不動産会社に売却を依頼できないため、契約する不動産会社は「信頼できる不動産会社」を見極める必要があります。
- 不動産会社の選び方の基準
- 営業担当者に高い専門性があるか
- 営業担当者と相性が合うか
- 売りたい物件と同じエリアで売却実績があるか
▼信頼できる不動産会社選びなら、すまいステップがおすすめ
不動産の売却で後悔しないためには、媒介契約の選び方以上に、契約する不動産会社の選び方の方が重要です。
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そのため、不動産売却が初めての方でも、安心して査定依頼ができます。また、利用には一切費用はかかりません。
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