家を売ろうと考え始めたけれど、「難しそう…」「何から手をつけていいか分からない…」と不安になっていませんか?
でも大丈夫。全体像を把握して、家を売るためのポイントを抑えれば、誰でもスムーズに進めることができます。
この記事では、売却の流れや方法、かかる費用、必要書類など、家を売る際に知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説しています。
家を売るときに知っておきたい知識まとめ
家を売る方法には、「仲介」「買取」「個人売買」の3種類あります。仲介とは、不動産会社を介して購入希望者に家を売る方法で、最も一般的です。一方で買取は、不動産会社や専門の買取業者に家を直接買い取ってもらう方法です。また個人売買は、業者を介さず、個人間で直接売買する方法です。詳しく2章「家を売る方法」をご覧ください。
家を売る流れは7ステップあり、それぞれ順番に「事前準備」「査定」「不動産会社と契約」「売却活動」「買主と売買契約」「決済・引き渡し」「確定申告」となっています。詳しくは3章「家を売る手順」をご覧ください。
家を売るタイミングには、時期と築年数が関係します。1年の中で、最も適した時期は2~3月です。また築年数は浅ければ浅いほど価値が高く、築20年を超えると相場が大きく下落します。詳しくは4章「家を売るタイミング」をご覧ください。
家を売るときには、仲介手数料や税金がかかります。状況によって様々ですが、ざっくり売却価格の4%程度と見ておくと良いでしょう。詳しくは5章「家を売る時にかかるお金」をご覧ください。
家を売る際には、登記簿謄本や固定資産税納税通知書など、家の情報が記載されている書類が必要となります。基本的には不動産会社が教えてくれますが、早めに把握して準備しておくとスムーズです。詳しくは6章「家を売る時にかかるお金」をご覧ください。
家を上手く売るには、コツやNG行動があります。特に不動産会社とどのように関わるかは、売却価格や完了時期に大きく影響します。詳しくは7章「そのまま使える!家を上手く売るコツ」と8章「家を売るときにやってはいけないこと」をご覧ください。
ローンが残っていたり、相続した家などの場合、それぞれ個別でやるべきことがあります。詳しくは9章「こんな家を売る時はどうすればいい?」をご覧ください。
家を売る方法
家を売却する方法を大まかに分けると、「仲介」「買取」「個人売買」の3つの方法があります。
この章では、それぞれの方法について分かりやすく解説します。
最も一般的な「仲介」
仲介とは、不動産会社に家の買主を探してもらって売却する方法です。家を売る最も一般的な方法で、多くの方が仲介で家を売却しています。
不動産会社は、売却を依頼された物件を「家を購入したい」と不動産会社に訪れる方に紹介したり、チラシやインターネットで宣伝して買主を募集します。また、書類の取得・作成や買主との条件交渉など、不動産の売却全般にわたってサポートをしてくれます。
仲介なら、不動産会社を通じて中古住宅市場で広く買主を募集するため、より高く家を買ってくれる人を探せます。
しかし、買主がいつ見つかるかは見通しが立ちづらく、売却までに時間がかかることもあります。
早く売れる「買取」
買取とは、不動産会社に直接家を売却する方法です。
買取は、不動産会社が直接買主になるため、査定後に提示された価格に納得すれば、家をすぐに売却可能です。売却活動期間がまるまるなくなるため、内覧対応などの手間もかかりません。また、買取では仲介手数料やリフォーム費用などを支払う必要もありません。
ただし、買取の場合は、仲介での市場相場に比べて売却価格が約7~8割になります。そのため、売主の最終的な「手取り額」は、仲介よりも買取の方が安くなりやすいです。
家を買取で売りたい方は「家の買取」の記事をご覧ください。
不動産会社を介さない「個人売買」
個人売買は、不動産会社を介さずに売主と買主の間で直接不動産取引をする方法です。
個人売買では不動産会社が売主と買主の間に入らないため、仲介手数料がかかりません。売主の希望価格で買主を募集するため、買主が見つかりさえすれば、買取よりも高値で売却することも可能です。
ただし、売り出す物件の調査から買主の募集、条件交渉、契約書の作成など全ての手続きを個人でこなさなければならないため、不動産売却に関する専門的な知識は不可欠です。
家を個人売買したい方は「不動産の個人売買について」の記事をご覧ください。
この章のまとめ
売却方法 | 仲介 | 買取 | 個人売買 |
---|---|---|---|
売却する相手 | 個人または法人 | 不動産会社 | 個人 |
メリット | ・家を高く売りやすい ・不動産会社のサポートを受けながら家を売却できる | ・最短数日から1ヶ月程度で家を売れる ・売却にかかる費用が安い | ・仲介手数料がかからない |
デメリット | ・売却に時間がかかることがある | ・売却価格が仲介の約7割になる | ・買主募集から条件交渉・契約書類の作成といった全ての手続きを売主が行わなければならない |
家を売る手順
仲介で家を売る手順は、大まかに以下の7ステップに分けられます。
不動産会社に相談する
不動産会社の査定を受ける
不動産会社と媒介契約を結ぶ
売却活動を開始する
買主と売買契約を結ぶ
決済・家の引き渡しをする
確定申告する
売却にかかる期間は物件や売り出し方によって異なりますが、一般的に一戸建てなら平均6ヶ月、マンションなら平均4ヶ月かかると言われています。
ここからは、それぞれのステップごとに売主のやることを解説していきます。
手順①:事前準備をする
家を売却する事前準備としては、不動産会社への問い合わせ前に、以下のことを家族と話し合いながら決めておくとよいでしょう。
- どのくらいの価格で売却したいか
- いつまでに売却したいか
また、住宅ローンの残高を「返済予定表」や「残高証明書」で確認しておきましょう。
手順②:不動産会社の査定を受ける
事前準備が整ったら、不動産会社の査定を受けます。
査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類がありますが、まずはおおよその査定額を聞いて本当に売却するか決めたい方は机上査定から、既に家を売却することを決めているなら訪問査定を受けましょう。
査定額次第で家を売却するかどうか決めたい | ⇒まずは机上査定がおすすめ |
---|---|
家の売却準備を進めていきたい、具体的な資金計画を立てたい | ⇒初めから訪問査定を申し込むとスムーズ |
査定までにやるべきこと
- 住宅ローン残高の確認
査定額を見てローンを返済できるかどうか判断するために必要です。
- 売却時期と目標金額の設定
査定時に不動産会社に伝えることで、「いつまでに売るならいくら」というように詳しく査定してもらえます。
- 修繕履歴の確認(戸建ての方)
査定額に影響するため、正確な査定をしてもらうために必要です。
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
手順③:不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産会社から査定結果を受け取って、家を売却することを決めたら、売却を依頼する不動産会社を選んで「媒介契約」を結びます。
媒介契約を結ぶ前にやるべきこと
- 必要書類の準備
詳しくは5章「家を売るときに必要な書類」をご覧ください。
- 媒介契約についてざっくりと理解しておく
媒介契約には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります。それぞれの違いを把握しておきましょう。
- 物件の不具合・欠陥をまとめて不動産会社に伝える
不具合を隠したまま売却を進めると、契約解除や損害賠償に発展する可能性もあります。あらかじめ伝えておきましょう。
手順④:売却活動を開始する
売却の準備が整ったら、いよいよ家の売却活動が始まります。
売却活動中の物件の宣伝や広告は、基本的に不動産会社の担当者が行います。
不動産ポータルサイトやチラシで物件を見たり、不動産会社の営業担当者から物件を紹介された購入希望者が現われたら、家の内覧を行います。
売却活動を始める前にやるべきこと
- 家の掃除・不用品の処分
内覧は第一印象が大切なので、あらかじめ家を綺麗に保っておきましょう。また、広告用に部屋の写真を撮る場合もあります。
- 物件のアピールポイントをまとめる
内覧時に購入希望者に伝えたり、広告に使用したりすると効果的です。
手順⑤:売買契約を結ぶ
売却活動や内覧を通じて現れた買主と売買条件の交渉がまとまったら、売主・買主双方立ち会いのもと「売買契約」を結びます。
売買契約を結ぶまでにやるべきこと
- 契約書の内容確認
契約書が合意した内容になっているかどうか、入念に確認しましょう。
- 仲介手数料の確認
売買契約時に仲介手数料の半金を支払うため、いくらになるのか確認しておきましょう。
手順⑥:決済・引き渡しをする
売買契約から1~3ヶ月後に、残りの売却代金の決済と家の引き渡しを同日に行います。
決済・引き渡し日の流れ
- 司法書士による本人確認
- 残代金の決済(入金確認)
- 未経過の固定資産税の清算
- 鍵や書類の引き継ぎ
- 司法書士への報酬支払い
- 仲介手数料の半金の支払い
決済・引き渡しまでにやること
- 買主に渡す書類の準備
登記関連書類や管理規約、建築確認書など買主へ引継ぐべきものをまとめて用意します。
- 引っ越し
引き渡し日には家が空になっている必要があります。あらかじめ引っ越しを済ませておきましょう。
- 公共料金の精算
公共料金を精算し、支払い証明のために領収書が必要になります。
手順⑦:確定申告する
家を売却して譲渡所得(売却益)があれば、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告して、所得税を納付します。
家売却時の税金や確定申告についてわからないことがある方は、税理士や自治体の相談会、税務署の窓口等に相談できます。
一括査定サイトの「すまいステップ」は、厳選された優良不動産会社のみに無料で査定依頼を送れるので、お家の売却を安心して任せられます。
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
確定申告までにやるべきこと
- 使える税金の控除があるか調べる
特に、家を売って利益が出た場合(購入価格よりも高く売れた場合)は、控除を使って税金を抑えましょう。
家を売るタイミングは?
家を売るタイミングには、時期と築年数が関係しています。
時期から見るタイミング
一戸建てやマンションは、1年のうち2月から3月にかけた時期が最も活発に取引されます。
これは、4月からの新年度に間に合うように引っ越しをする人が多いからです。子供が進学したり、転勤したりするタイミングで新居に住み替える人が多く、中古住宅の購入需要が高まります。
2~3月に中古住宅市場に売りに出されている状態にするためには、遅くても1~2月には不動産査定を済ませておきましょう。
反対に、家が売れにくいのは4月~5月です。
直前の2~3月は家の売買が活発に行われますが、4月になると新年度が始めるため需要が一旦落ち着きます。
もちろん全く売れないわけではなく、ご自身の都合に合うのであれば4~5月に売り出しても問題ありません。しかし、家の購入需要が落ち込む時期なので、思うように売れない可能性もあるということを把握しておきましょう。
築年数から見るタイミング
家は、基本的に築年数が浅ければ浅いほど売れやすいです。
家の価値は、築年数ごとに下がって行くからです。以下は、首都圏の戸建てについて築年数ごとの売却相場をグラフに表したものです。
新しい家は需要が多く、その分高い価格で売り出しても成約します。一方で築年数が経つごとに需要が少しずつ落ちていくため、その分成約価格も落ちるのです。
家を売る時にかかるお金
家を売却する際には、手元に売却代金が入ってくるだけでなく、支払わなければならない出費もあります。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産売却の成約後に不動産会社に支払う、成功報酬型の料金です。
不動産を売却するのにかかった実費と不動産会社への報酬を「仲介手数料」としてまとめて支払います。
売却価格×3%+6万円+消費税
税金
家の売却時には、税金がかかります。
売買契約書の作成にかかる印紙税、抵当権抹消登記にかかる登録免許税、利益が出た場合にかかる譲渡所得税などがあります。
特に家を購入価格よりも高く売った場合は、譲渡所得税が高額となるケースもありますので注意が必要です。
家の売却時にかかる税金について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
その他の費用
その他かかる費用として、司法書士への支払い、住宅ローンの一括返済手数料、引っ越し代などがかかります。
なお、売却する家が相続した家で、まだ相続登記を済ませていない場合には、別途相続登記の費用がかかります。
不動産の売却にかかる費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
費用総額シミュレーターで売却にかかる費用を算出してみよう
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
家を売る時に必要な書類
家を売るときには、登記簿謄本や固定資産税納税通知書など、それぞれのタイミングで必要になる書類があります。
タイミングごとに不動産会社が必要な書類を教えてくれますが、ここでは予め全て把握しておきたい方向けに、主な必要書類をご紹介します。
家売却の相談時に必要な書類
- 購入当時のパンフレットや売買契約書
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 固定資産税納税通知書
- 間取り図や測量図など
- 建築確認通知書(戸建ての場合)
- マンションの管理規約など(マンションの場合)
売買契約時に必要な書類・もの
- 登記済証(権利証)または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 実印
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
引き渡し時に必要な書類
- 登記済証(権利証)または登記識別情報
- 住民票(登記簿上の住所と現住所が異なる場合)
- 実印
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
- 家の評価証明書など買主に引き継ぐ書類・鍵一式
そのまま使える!家を上手く売るコツ
家を上手く売るために重要なのが、不動産会社とのやり取りです。
ここでは、不動産会社と契約する前のあなたに向けて、今すぐ実践できるコツを紹介します。
査定結果を受け取ったら過去の事例を見せてもらう
家を査定してもらったら、必ず根拠として過去の事例を見せてもらうようにしましょう。
査定額は不動産会社や担当者によって異なりますが、おおむね相場の範囲内に収まります。しかし中には、早く成約させたいがために本来の価値よりも安く査定したり、契約を取るためだけに売れるはずのない高額査定をしたりする不動産会社もあります。このような不動産会社と契約するのは避けたいですが、査定額を見るだけで判断するのは難しいです。
そこで、担当者に「同じエリアの過去の成約事例を見せて欲しい」と伝えましょう。相場と比較することで、査定額が適正価格なのかどうかを見極めることができます。
成約事例をちゃんと見せてくれる不動産会社であれば、査定の根拠もしっかりしており信頼できる会社でしょう。一方で、「成約事例は見せられない」などと断られた場合、根拠のない査定額を提示されている可能性があるので注意しましょう。
売り出し価格は自分で決めるつもりで
売り出し価格は、不動産会社の提案を参考にしつつも、最終的には自分で決める気持ちが大切です。
もちろん、不動産会社と相談しながら決めるのも大事です。一方であまりにも任せっきりにしてしまうと、できるだけ早く成約させたい不動産会社の意向に沿って、売り出し価格を本来の価値よりも安くされてしまうかもしれません。そのため、自分でも相場を調べて希望価格を決めておくことが大切です。
不動産会社に流され過ぎず、最終決定権は売主にあることを忘れないでください。
媒介契約後に「レインズを見たい」と伝える
媒介契約を結んだ後、不動産会社の担当者に「レインズを見たいので売主用のパスワードを教えて欲しい」と伝えましょう。
レインズは、不動産物件の情報を共有するシステムで、多くの不動産会社が利用しています。普段は一般の人は見られませんが、売主になると自分の物件がどのように登録されているか確認することができます。
一方で、不動産会社の中にはわざとレインズに登録しない会社もあります。自社が抱える買主だけに売る「囲い込み」という行為をしたいがために、物件情報を流通させないということが起こりえるのです。そうなると買主に中々情報が行き渡らず、売却が思うように進みません。
あらかじめ「レインズを見たい」と伝えることで、不動産会社へのけん制になるのです。
売り出し広告を定期的にチェックする
自分の物件がどのように宣伝されているか、定期的にチェックするようにしましょう。
不動産情報サイトや新聞の広告などを確認し、物件の魅力が十分に伝わる内容になっているかどうかを見極めます。改善点があれば、不動産会社の担当者にフィードバックを行い、より効果的な広告になるよう働きかけましょう。
売却活動は不動産会社に任せっきりにするのではなく、自ら積極的に参加することが大切です。
家を売るときにやってはいけないこと
家を売るときに、特に不動産会社とのやり取りでやってはいけないことを紹介します。
査定額の高さだけで不動産会社を決めてしまう
査定額の高さは重要な要素ですが、それだけで不動産会社を決めるのは危険です。
査定額が高すぎる場合、売却が思うように進まない可能性があります。家が売れる価格というのは、基本的には相場の範囲に収まります。そのため明らかに高額な場合は、売れるはずのない額を提示して契約を迫ろうとしている可能性があります。
査定額が高い会社が必ずしも売却活動に熱心とは限りません。不動産会社が売れる確証があるから高いのか、ただ契約を取りたいだけなのかは慎重に判断する必要があります。不動産会社の実績や信頼性、担当者の対応なども総合的に判断しましょう。
焦っていることを担当者に伝えてしまう
特別売却を急いでいる事情がない場合、不動産会社の担当者に焦っていることを伝えるのは得策ではありません。
売主が急いでいることを知れば、不動産会社側は安く売ろうとする可能性があります。不動産会社からすると、早く成約して仲介手数料をもらうのが最も利益が出るためです。
売却期限については、明確に決まっていない場合は伏せておき、冷静に交渉を進めることが大切です。
「おとり広告」を鵜呑みにしてしまう
「買いたい人がいます!」という文言のチラシは、基本的にはおとり広告だと思って良いでしょう。
おとり広告とは、契約を取るために、実際には存在しない人をあたかも存在するかのように宣伝する広告です。
ほとんどの場合、実際には買いたい人がおらず売却活動が長引くことになります。このような広告は鵜吞みにせずに、正攻法で売却を進めることが大切です。
買取を強く勧めてくる業者を選んでしまう
仲介ではなく買取を強く勧めてくる不動産業者には注意が必要です。
買取は、不動産会社が直接物件を購入するため、売主にとっては仲介よりも安い価格になりがちです。買取を提案する業者の中には、優良な物件を安く仕入れようとする業者もいます。安易に買取に応じるのは避けましょう。
仲介手数料無料の業者を選んでしまう
「仲介手数料無料」という言葉は一見魅力的ですが、実際はあまりおすすめしません。
仲介手数料無料をうたう不動産会社もありますが、その多くは売却価格を低めに設定していることが少なくありません。仲介手数料分を売却価格から差し引いていることが多いため、結局売主の手取り額は減ってしまうのです。
また、仲介手数料無料の不動産会社の場合、前述した「囲い込み」をされる可能性が高いです。売主から手数料を受け取らない場合、買主からもらうことで利益を得ることになるので、どうしても自社の買主に売ろうとするのです。
仲介手数料無料に惹かれず、適正な価格で売却できる業者を選ぶことが賢明です。
こんな家を売る時はどうすればいい?
売りたい家の状況によって、売主が不安に思うことや適切な売却方法は変わってきます。
この章では、以下のケースにおける売却の工夫や注意点をご紹介します。
住宅ローンの残っている家を売りたい
住宅ローンが残っている家には抵当権が設定されているため、通常そのままでは売却できません。
しかしながら、売却代金を充てて住宅ローンを完済できるのであれば、引き渡し日に抵当権を抹消してもらうことで家を売却できます。
相続した家・相続する予定の家を売りたい
家を売却するには、売主と登記簿上の名義人が一致していなければなりません。
そのため、買主へ所有権を変更する前に、まず「相続登記」をする必要があります。
相続登記とは、不動産の名義を亡くなった被相続人から相続人へと変更する手続きのことです。法務局に申請して行います。
相続登記には数週間ほど時間がかかるため、売却を決めた時点で早めに手続きをしておきましょう。
相続登記の手続きは自分で行う他に、司法書士に代行してもらうこともできます。
相続人の人数が多かったり、被相続人の転居が多かったりする場合には、役所で取得しなければならない書類が多くなり、手続きが煩雑になるため、司法書士に依頼するのがおすすめです。
古い家を売りたい
古い家を売却する場合、事前にリフォームしたり、建物を解体して更地にしなければ売れないのではないかと考える方も多いでしょう。
結論から申し上げますと、リフォーム工事や解体工事を実施してから売却するかどうかは、事前に不動産会社に相談した上で判断するのがおすすめです。
リフォームや更地化によって買主が見つかりやすくなることはありますが、家の売却相場は立地や築年数が基準となるため、工事にかかった代金を上乗せして売却することは難しいです。
場合によっては、古くなった家屋を残した状態で「古家付き土地」として土地のみの価格で売却した方が、最終的な手取り額が多くなることもあります。
また、そのままの状態で不動産会社の買取で売却するという方法もあります。
最適な売却方法は、売りたい家の状況や売主側の売却の希望条件によって変わるため、まずは不動産会社に相談して見解を聞いてみましょう。
認知症の親の家を売りたい
認知症の親の家を相続前に売却したい場合には、「成年後見制度」を利用する必要があります。
そもそも不動産の売買は、「委任状」を作成すれば、本人以外が代理で行えます。
しかし、認知症によって「意思能力」が失われていると判断される場合には、委任状を作成していても、本人の立ち会いがあっても、売買契約自体が無効になってしまいます。
法律行為の結果、どのようなことが起こるかを判断・認知する能力のこと。
離婚で家を売りたい
離婚が原因で家を売りたい場合には、まず家の名義と住宅ローンの名義を確認しましょう。
家は夫婦どちらの名義でも、共有名義であっても、財産分与の対象です。
ただし、家が共有名義の場合は、双方立ち会いのもとで売却を進めていかなければなりません。
また、住宅ローンの返済義務は住宅ローンの名義人に残ります。
住宅ローンを完済して家を売却するにあたって、実際に負担する金額の割合に関しては、双方で話し合って決める必要があります。
住み替えのために家を売りたい
住み替え目的で家を売却するなら、家を先に売却してから、住み替え先を購入する「売り先行」での住み替えがおすすめです。
売却代金が手元に入ってきた状態で住み替え先を購入するため、無理のない資金計画を立てやすいです。一方で、売却のタイミングによっては一時的な仮住まいが必要になることがあります。
反対に、家の売却前に住み替え先の住宅を購入する「買い先行」での住み替えは、想定よりも売却価格が安くなってしまったり、住み替えに売却が間に合わず二重ローン状態になってしまうリスクを負います。ただし、住み替え先の住宅選びにじっくり時間をかけられます。
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
一括査定であなたの家の適正価格が分かる
今の価格が届く!
無料診断スタート
まとめ
この記事では、家を売るための基礎知識について解説してきました。
まずは家を売る手順や必要な書類・かかる費用について押さえましょう。その次に、大切なお家の売却で後悔しないために、コツや注意点もチェックしておきましょう。
家の売却に関して不安のある方は、まずは不動産会社に相談してみるのもおすすめです。
不動産会社は不動産売買のプロなので、あなたの家や土地の状態を見た上で、いくらで売れそうか、どうやったら早く売れるのか、適切なアドバイスを受けられます。
どの不動産会社に相談すればいいか分からないという方は、不動産一括査定サイトを利用して、複数の会社に査定依頼してみるのがおすすめです。
一括査定サイトの「すまいステップ」では、売りたい家やマンションのあるエリアで、売買経験と知識が豊富な担当者が在籍している不動産会社を一度に最大4社までご紹介しています。
信頼できる不動産会社を探したい方は、是非ご利用ください。
- 監修蔭山 達也
- 大学卒業後、大手不動産流通会社に入社。売買仲介をメインに実務経験を積む。その後、株式会社ノヴェルに入社。著書に「条件難物件でも低予算で満室になるおもてなしビル管理経営」がある。
- 【保有資格】宅地建物取引士、ビル経営管理士、CPM(米国不動産経営管理士)、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター
- 【URL】株式会社ノヴェル、YouTubeチャンネル