不動産売却において「決済」とは、売買契約を完了させる最後の工程として重要な手続きです。
- 不動産売却の「決済」のポイント
- 買主から手付金を差し引いた売却代金が売主へ支払われる
- 一般的に売買契約を結んでから1か月以内に行われる
- 決済と引き渡しは同時に行う
不動産売却が初めての方の中には、決済についてよくわからない方も多いのではないでしょうか。
万が一、決済日に必要書類や準備物に不備があった場合、手続きをスムーズに進めることができずトラブルに発展する可能性もあります。
この記事では、決済から引き渡しをスムーズに進めるために、決済ではどんなことが行われるのか、必要な書類などを順に解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください。
不動産売却の「決済」とは
不動産売却の決済では、買主から売主へ、手付金を差し引いた売却代金の支払いが行われます。
不動産売却の決済は、売買契約の締結から1か月以内に行われることが一般的です。
また、決済と同時に不動産の引き渡しと所有権の移転手続き(登記)が行われ、1時間半から2時間程度で終了します。
決済が終わった後は法務局に書類を提出する必要があるため、余裕をもって午前中から決済を始めることがほとんどです。
決済が終われば不動産売却の手続きは完了し、あとは翌年の確定申告を待つのみです。
不動産売却の決済方法
不動産売却の決済方法は、一般的に「現金で支払う」または「銀行振込」「オンライン振込」の3通りです。
決済方法は売主と買主の間で決められますが、どの決済方法によっても以下のような注意点があります。
- 現金の場合は事前に銀行側に伝えておき現金を用意してもらう必要がある
- 銀行振込をオンラインで行う場合は振込上限額に気を付ける
- 振込には手数料がかかる
当日に現金を用意できないなどのトラブルがないように、買主に希望を聞いて事前にどの決済方法にするのか必ず確認しておきましょう。
現金を受け取る場合、売主は受け取ったらすぐに入金できるようにしておくと安心です。
また、銀行振込は、銀行またはオンラインのどちらで行っても一定の振込手数料がかかるので、どちらが負担するのか決めておくとスムーズです。
不動産売却の決済はどこで行う?
決済が行われる場所は、決済方法によって異なります。
- 現金、オンライン振込の場合は不動産会社や司法書士の事務所
- 銀行振込の場合は金融機関
一般的には買主の指定する場所で行い、買主が住宅ローンを利用する場合は住宅ローンを借り入れる金融機関で行うことが多いです。
決済では、売主・買主だけでなく、不動産会社の担当者と司法書士、金融機関の担当者が立ち合います。
不動産売却の決済で必要なもの
決済当日には、売主が準備して持っていかなければいけないものがいくつかあります。
必要な書類を忘れると決済日が延期になってしまったり、決済日が変更されると「債務不履行」に問われて違約金が発生することもあります。
不備がないように必ず事前にしっかり確認しておきましょう。
決済に必要なもの
決済当日に売主が持っていく必要なものは以下の通りです。
決済日に売主が用意するもの | 詳細 |
---|---|
不動産の権利証 | 登記済証や登記識別情報 |
実印 | 共有名義の場合は名義人全員分 |
印鑑登録証明書 | 発行してから3か月以内のもの |
写真付き本人確認書類 | 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど |
固定資産評価証明書 | 固定資産税の分担金を計算するために必要 |
買主からの入金を確認できるもの | 通帳、キャッシュカードなど |
抵当権抹消書類 | 抵当権が残っている場合のみ |
各手数料と報酬金 | 不動産会社への仲介手数料と司法書士への報酬 |
売却する物件の形態によって必要書類が異なる場合もあるため、どの書類が必要かは不動産会社に必ず確認するようにしましょう。
また、書類によっては準備に時間がかかるものがあるので、売買契約を結んだらできるだけ早めに準備を始めることをおすすめします。
買主に引き渡すもの
売主が用意するものの中で、買主に引き渡すものは以下の通りです。
決済当日に必ず持参しましょう。
買主に引き渡すもの | 詳細 |
---|---|
物件の鍵 | 玄関、郵便ポストなどすべての鍵 |
物件に関する書類 | 物件のパンフレット、設備の取扱説明書・保証書など |
不動産売却の決済前にやっておくこと
決済前にやっておくべきことは以下の4つあります。
怠ってしまうと、決済が延期になるなどのトラブルに繋がる可能性があります。
スムーズに決済するためにも必ず行いましょう。
- 抵当権抹消の準備
- 境界線の確定
- 司法書士の選定
- 引っ越し
抵当権抹消の準備
住宅ローンが残っていて不動産の売却代金で完済させる場合は、抵当権抹消の手続きに必要な書類を準備しましょう。
抵当権抹消の手続きに必要な書類は、金融機関によっては準備できるまでに3週間ほどかかることがあります。
準備を忘れてしまうと決済当日までに書類が揃わず、決済自体を延期しなければならなくなります。
できるだけ早めに金融機関に連絡し、抹消手続きに必要な書類を準備してもらいましょう。
抵当権抹消手続きに必要な書類は以下の記事で詳しく紹介しているので、合わせて読んでみてください。
境界線の確定
隣地境界線が確定していない場合は、決済までに土地家屋調査士に依頼して「確定測量」を実施しましょう。
確定測量とは?
隣地所有者の立ち合いのもと、正確な土地の面積を測って境界線を確定する作業。土地の正確な価値を算出するために行われる。確定測量によって作成される実測図を「確定測量図」「確定実測図」と呼ぶ。
隣地の所有者が立ち合いのもとで行う必要があり、日程調整に時間がかかる場合があります。
売却を決めた時点で、できるだけ早めに手続きしておくことをおすすめします。
司法書士の選定
司法書士は、不動産売却において、登記に関わる重要な役割があります。
不動産売却で依頼する司法書士は、一般的には買主や不動産会社が指定します。
しかし、売主や金融機関が指定する場合もあるので、事前に誰がどの司法書士に依頼するか決めておきましょう。
引っ越し
売却する不動産が戸建てやマンションで、売主がまだ住んでいる場合は、決済当日までに引っ越しを完了させておきましょう。
決済日に所有権移転登記を行うので、その時点で不動産の所有者は売主から買主へと移ります。
決済日には引き渡せる状態にしておきましょう。
電気やガスなどのライフラインの契約解除も忘れず行ってください。
まとめ
住宅やマンションの決済は、できるだけトラブルを回避してスムーズに進めたいと考える人が多いのではないでしょうか。
一度トラブルが発生すると、手続きが滞り、売買契約自体が白紙になりかねません。
また、住宅やマンションの売買をスムーズに行うには、流れや項目を事前に自分でリサーチしておくことも大事です。
しかし、信頼できる不動産業者が仲介してくれているのであれば、打ち合わせも入念に行えるだけでなく、気になったことをすぐに相談することができます。
不動産の売却は、できるだけ高く売却したいと考える人や、できるだけ早く手放したいと考える人など、人によってさまざまです。
また、早く売却したいがために買主の要望全てに応じていると、決済時の振り込み手数料を負担してしまうなど、マイナスになってしまう可能性もあります。
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