不動産売却では、売主から買主へ名義変更するための「登記」の手続きを司法書士が代行するケースが多いです。
- この記事のポイント
- 司法書士は決済日の本人確認と各種登記の代理申請を担う
- 司法書士への依頼はほぼ必須
- 売主側が払う費用は1万5,000円~2万円が相場
司法書士に依頼すると当然報酬を支払わなければならなくなるため、可能ならば当事者のみで登記の手続きを済ませたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、あまり知られていない不動産売却における司法書士の役割や、依頼の必要性について解説します。
不動産売却における司法書士の役割とは【依頼は必須?】
不動産売却において、司法書士は「所有権移転登記」という重要な手続きを代行してくれます。
原理原則の上では司法書士に依頼せずに不動産を売却することは可能ですが、実際には司法書士に依頼するケースがほとんどです。
この章では、司法書士の業務と、必ず依頼しなければならないのかどうかについて解説します。
不動産売却では「所有者移転登記」が必須
そもそも不動産の売却は、売主と買主の間で売買契約を結び、代金を授受することで行います。
しかし、両者の間で代金をやり取りしただけでは、法律上の所有権は売主に残ったままです。
不動産を購入した買主が、第三者に対しても所有権を主張するには、登記簿に記録された不動産の名義を変更しなければなりません。この手続きを「所有権移転登記」といいます。
所有権移転登記がきちんと行われなければ、買主はお金を払ったにもかかわらず、不動産の所有権を得られないことになります。
司法書士は登記を代行できる
司法書士は、登記の手続きを業務として代行することが法律で認められている限られた資格者です。
他には弁護士も登記を行うことを認められている資格ですが、弁護士は仕事の範囲が広く、また登記の実務経験や知識は司法書士の方が長けているため、専ら司法書士が登記の代行業務を担っています。
司法書士の資格がなくても登記はできる
登記申請を行うこと自体には資格は要りません。また、知人から委任されて、代わりに登記申請することもできます。
そもそも登記は、登記権利者と登記義務者の共同申請が原則(共同申請主義)です。
つまり、所有権移転登記に関しては、本来は売主と買主が共同で申請するものなのですが、他人同士が一緒に書類を作成して法務局に赴いて申請するのは難しく、手間もかかります。
そのため、実際には多くの場合で司法書士が代理で申請手続きをしています。
司法書士に代行してもらうのが無難
司法書士に依頼せずに、当事者だけで所有権移転登記を行うことは、理論上は可能です。
しかし、他人同士で不動産を売買する時には、司法書士は売主・買主双方の本人確認をするという役割も担っています。
売主がなりすました別人だった場合、買主は代金を支払ったにもかかわらず不動産の所有権を得られないという事態に陥ってしまいます。リスクを回避するためにも、第三者による本人確認は欠かせません。
知人間で売買する場合は、詐欺に遭う恐れはありませんが、素人だけで登記申請をするのはとても難しいです。
準備しなければならない書類の数も多く、少しでも不備があるとやり直しになってしまいます。かかる時間や手間を考えると、司法書士に代行を依頼した方が、負担が少なくなるケースが多いです。
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不動産売却の実務上では司法書士が不可欠である理由
不動産売却の実務上では、ほとんどの場合で司法書士に業務を依頼することになります。
この章では、実務上司法書士がほぼ不可欠である理由を解説します。
不動産会社と司法書士は提携している
ほとんどの不動産会社には、提携している司法書士事務所があります。
不動産会社としても、提携している司法書士に依頼した方が手続きをスムーズに進められるため、こだわりがなければ提携の司法書士に依頼することになります。
司法書士は買主側が手配するのが一般的
さらに、司法書士は買主側が手配するのが一般的です。
売主は、買主側の手配した司法書士にまとめて手続きしてもらうことになります。
ちなみに、売主側が独自に司法書士を立てることも可能ですが、売主と買主でそれぞれ別の人に依頼していると手続きが煩雑になってしまうため、あまり行われません。
ローンの返済・借入を行う場合は司法書士が必須になる
決済日に、売主がローンを売却代金で一括返済したり、買主がローンを利用して不動産を購入する場合には、司法書士への依頼が必須となります。
なぜならば、不動産売買の利害関係者にローンを返済・借入する金融機関が加わるからです。
金融機関は、抵当権を抹消したのに売却代金がきちんと振り込まれなかったり、融資を行ったのに抵当権が設定できなかったりすると、損害を被ります。
そのため融資を行う金融機関は、司法書士の立ち会いなしでは不動産の売買を許可してくれません。
司法書士の費用相場はほぼ一律
司法書士の報酬額は、各事務所が自由に設定できることになっています。
しかし実際には、報酬額はその地域の相場に合った金額になっていることがほとんどです。
細かい金額の差はありますが、所有権移転登記なら4~6万円、抵当権抹消登記や住所変更登記ならそれぞれ1万5,000円~2万円が相場です。
所有権移転登記の費用は、基本的に買主が負担するものです。
抵当権抹消などの前提登記は必要がある場合のみ売主が費用を負担しますが、売却にかかる他の費用に比べるとあまり高額ではないため、あっせんされた司法書士にそのまま任せてしまうことが多いようです。
司法書士に依頼するメリット
不動産売却では、実際はほとんどのケースで司法書士に業務を依頼することになります。
依頼に費用はかかってしまいますが、メリットも沢山あります。
この章では、不動産売却時に司法書士に依頼するメリットについて解説します。
所有権移転登記の「前提登記」も任せられる
司法書士は、所有権移転登記だけでなく、所有権移転登記に必要な「前提登記」も代行してくれます。
前提登記とは、売主から買主への所有権移転登記を行う前に、先に行わなければならない登記の総称です。
以下の登記は前提登記として、所有権移転登記を依頼した司法書士にまとめて代理申請してもらうことができます。
前提登記が必要なケース
- 引っ越し等で住所が変わったら「住所変更登記」
- 結婚・離婚等で氏名が変わったら「氏名変更登記」
- ローンを借りていた不動産なら「抵当権抹消登記」
売主の氏名・住所と登記簿に記載されている名義人の氏名・住所が不一致の場合は、まずは登記簿上の氏名・住所を売主本人のものに変更する必要があります。
また、不動産に抵当権が残ったままでも、不動産の名義を変更できません。そのため、まずは不動産に設定されている抵当権を外す「抵当権抹消登記」をする必要があります。
抵当権抹消登記については、ローンを売却代金で全額繰り上げ返済する場合には司法書士への依頼が必須ですが、既に完済していた場合に残ったままの抵当権を抹消する場合や、住所変更登記・氏名変更登記は決済日の前に自分で行うこともできます。
詐欺トラブルを回避できる
不動産売買では詐欺被害も多く、多額のお金を騙しられるケースもあります。
個人間で売買すると詐欺に合う可能性も高く危険ですが、司法書士に代行してもらうことで、被害を未然に防ぐことができます。
これは登記時に司法書士が「権利関係の調査」「本人確認」「必要書類の収集」などを行っているからです。
仮に詐欺師に引っかかった場合でも、司法書士を利用することで登記前の段階にリスクを回避できます。
費用はかかるものの、多額の損失を防げるため、司法書士は不動産売却を安全に進めるための保険のような存在と言えるでしょう。
契約不履行を抑止できる
売買契約を結んだからといって、安心できるわけではなく、買主がお金を支払わず、債務不履行になる場合もあります。
これは故意にお金を払わないケースと、やむを得ず支払えなくなったケースの2つが考えられますが、司法書士を利用することで、これら両方のケースに対処できます。
不動産売買では、多くの買主が金融機関から融資を受けて不動産を購入します。
司法書士は売主と買主の双方と手続きを進め、お互いの意志や支払い能力などを確認した上で契約を進め、融資の実行を許可します。
いわば司法書士がゴーサインを出さないと、融資が受けられず支払いもストップするため、司法書士の許可が出た段階で支払いが確約されたも同然と言えるでしょう。
万が一支払い義務が不履行になった場合、売主は司法書士に対して損害賠償を請求することも可能です。司法書士は売買代金と金融機関の融資のすべての責任を負うため、司法書士を介することで、金銭リスクを回避して土地が売却できます。
安全に不動産売却したいなら司法書士は欠かせない
不動産売却では、司法書士は必ず依頼しなければならないわけではありませんが、実際はほとんどのケースで業務を依頼することになります。
費用を削減しようと個人で手続きを行うことも可能ですが、司法書士を介さないことでトラブルが起こるリスクもあります。
より安全かつスムーズに不動産を売却したいなら、司法書士の利用は欠かせません。
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