不動産を売却する前に相場を把握しておくことは非常に大切です。
事前に相場価格を把握しておくと、売却価格の交渉を行う際に話し合いを有利に進める事ができます。逆に相場をしっかりと把握していないと、自分が損をしてしまう可能性があるので注意しましょう。
しかし、「不動産の相場価格ってどうやって調べるの?」と疑問に思っている人も多いかと思います。
インターネットにはたくさんの情報が点在しているので、「どの相場情報を信用していいか分からない……」という方もおられるかもしれません。
そこで今回は、「不動産売却の相場の正しい見方」と「不動産売却相場を調べられる信頼性の高いサイト」をご紹介します。

- 監修逆瀬川 勇造
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。新築や土地の仕入れ、不動産売買に携わる。
【保有資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士


あなたの不動産の


不動産の相場価格を見る指標は3種類
「不動産の相場価格」と聞くと、多くの人は不動産の売却価格を思い浮かべると思います。
しかし、不動産の相場価格を確かめるための指標は、実は売却価格だけではありません。
不動産の相場価格は以下の3つの指標で測ることができます。
【不動産の相場価格の指標】
指標 | 内容 |
---|---|
成約価格(売却価格) | 不動産が実際に売却できた価格。 |
地価 | 不動産の所在する土地の価格。実税価格・公示価格・相続税評価額・固定資産税評価額の四種類があるが、不動産の相場を見るときは路線価を指標とすると分かりやすい。 |
売出し価格 | 売り主の設定した不動産の売却希望価格。 |
自分の不動産の正しい相場を調べる方法
ご自身の不動産の正しい相場価格を調べる方法は、どの価格を指標とするかで異なります。
以下でそれぞれ解説していきます。
成約価格(売却価格)で相場を調べる方法
成約価格(売却価格)でご自身の不動産の相場価格を調べるときは、条件の似た不動産の成約価格と平米単価を確認しましょう。
ここでいう条件とは、以下のようなものです。
【成約価格で相場を調べる時に見るべき条件】
- 築年数
- 駅からの徒歩距離
- 不動産の所在するエリア
- 不動産の種類(戸建て/マンション/更地など)
- 間取り
- リフォームまたはリノベーションの実施履歴
これらの条件がご自身の不動産と近い不動産を見つけたら、その不動産の成約価格が相場価格です。
なお、不動産の広さが違って相場価格がよく分からない場合には、平米単価で比較しましょう。
【平米単価の算出方法】
平米単価 = 成約価格 ÷ 不動産の平米数(㎡)
例えば、100㎡の不動産が3500万円で成約した場合、平米単価は35万円です。
この成約価格による相場は、「取引事例から見た、不動産の平均的な売却価格」となります。不動産売却の資金計画を立てるときなどに活用しましょう。
地価で相場を調べる方法
地価で相場を調べる場合は、路線価を参照しましょう。
路線価は国税庁が毎年7月に発表する地価で、日本全国の道路に面する土地ごとに価格が算出されています。
観測地点の限られている公示地価・基準地価と違って道路ごとに地価が出されるので、ご自身の不動産の相場がより分かりやすいです。
路線価で不動産の相場を見るときは、以下のような計算を行います。
【路線価方式による相場の見方】
一方のみが道路に面している不動産の評価額= 路線価 × 奥行価格補正率 × 地積(㎡)
二面が道路に面している不動産の評価額={(正面路線価×奥行価格補正率)+(側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率)}×地積(㎡)
路線価方式の計算は複雑なので、詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
不動産情報や土地売買について調べている時、路線価という言葉を目にする機会は多いはず。路線価は、土地の売却査定額に欠かせないものであり、詳しく知っておいても損はありません。このページでは、路線価の基礎だけではなく、土地の売却価格の調べ方、[…]
路線価で見る相場は実際の取引価格とは異なりますが、公的な地価のため、不動産の評価額として信頼性が高いものになっています。
売出し価格で相場を調べる方法
売出し価格で相場を調べる時の手順は、基本的には成約価格で相場を調べる時の手順と同じです。
ただし、売出し価格の場合、売り主側のみの希望によって価格が決められている点は理解しておくべきです。
「とにかく高額で売りたい!」と成約価格の相場を大きく上回る価格を提示していたり、逆に「早く売りたいから……」と格安で売り出していたりします。
なので、売り出し価格から相場を調べる場合は、できるだけ多くの不動産を参考にして大体の金額を掴みましょう。
不動産の相場を調べられるサイト
ここまでで相場の正しい見方を理解して頂けたと思います。
では次に、不動産の相場を調べられるサイトをみていきましょう。
インターネットではたくさんの相場情報が見られますが、今回は相場を見る指標別に信頼できるサイトのみをご紹介しています。
迷ったらまずは以下のサイトで相場を調べてみてください。
成約価格で相場を調べられるサイト
成約価格で不動産の相場を調べる場合は、レインズ・マーケット・インフォメーションというサイトがおすすめです。
本サイトは、市場に出回る不動産情報のすべてを管理するレインズが管理しているシステムになる為、非常に規模も大きく安心感のあるサイトになっています。
更にこのサイトでは、成約事例の細かい条件、例えば間取りや築年数、駅からの距離などで絞って検索をかける事が出来るため、より正確な相場を把握する事が可能となります。
また、常に最新の情報を得る事が出来るところも本サイトの魅力です。
細かく正確に相場が知りたい、という人にとっては非常に使い勝手のいいサイトであるといえるでしょう。
地価で相場を調べられるサイト
路線価をもとに不動産の相場を見たい場合には、国税庁の「路線価図・評価倍率表」を参照しましょう。
都道府県のイラストをクリックすることで、その都道府県の路線価図一覧を見ることができ、さらにそこから市区町村、番地……と絞り込んでいくことができます。
参考:令和二年度 北海道旭川市09158(ページ) の路線価図
路線価図は見方がやや分かりにくいですが、上記図で赤く囲ってある「路線価図の説明を見る」の部分で詳しく見方の解説がされているので、参考にして見て下さい。
売り出し価格で相場を調べられるサイト
最後に、売り出し価格で相場を調べられるサイトをご紹介します。
この方法は、自分が売り出す不動産により近い条件のもので、実際に売り出されている不動産の価格を調べる事である程度の相場を見極めるという手法です。
これらの方法で活用できるサイトはいくつもありますが、特にお勧めするのはHome`sです。
このサイトは、価格、建物面積、間取りで絞り込む事が出来、そこから家の売り出し価格を調べる事が出来るのですが、家の外装や内装なども写真で見る事が出来ます。
その為、データ的な情報だけでなく、写真を通してより自分の売り出す物件に近しい物件なのかどうかを知る事が出来るのです。
ただし、売り出し価格は、まだ成約する前の段階の価格、つまりは売主が売却する際に希望している価格です。
買い手が見つかり、買主と価格の交渉を行った後に成約というのが一般的な流れのため、売り出し価格よりも低くなる事を理解しておきましょう。
売り出し価格を知りたいのなら査定依頼もおすすめ
ご自身の不動産の売り出し価格の相場を知りたい場合、不動産会社に査定を依頼するのもおすすめです。
査定とは、実際に不動産会社に物件の情報を伝えて、ある程度の価格を教えてもらうという方法です。
査定には2種類あり、簡易査定と訪問査定があります。
簡易査定とは、物件の簡単な情報をネット上のフォーマットに入力するだけで簡単に査定額を教えてもらえる方法です。
一方の訪問査定とは、実際に不動産会社立ち合いの元、物件を見てもらった上で査定額を教えてもらう方法です。
訪問査定は簡易査定と比べて、より詳しい情報を元に査定してもらえるため、より信憑性の高い相場を知る事が出来ますが、物件のある程度の相場が知りたい、という段階の方は、圧倒的に手間や時間がかからない「簡易査定」をお勧めします。
マンションの売却価格を知るためには、何らかの方法で「査定」を行う必要があります。とはいえ、はじめてのマンションの査定を受ける方は、様々な不安を抱いているかと思います。「マンションの査定ってどこまで見られるんだろう……」「今す[…]
不動産一括査定を活用しよう
査定を依頼する際に非常に便利なシステムが「不動産一括査定」です。
図にある通り、不動産一括査定とはネットで簡単に申し込みを行い、複数の業者に一度に査定を依頼する事が出来る仕組みのサービスです。
後ほど注意点でも記述していますが、不動産会社の査定は1社だけではなく複数社必ず行ってもらう事が大切になります。
その上で、一社一社自分で依頼するよりも、この一括査定サイトを活用すると、非常に効率的にご自身の相場を知る事が出来ます。
この一括査定サイトの中でも特にオススメなのがすまいステップです。
このすまいステップは、全国の厳選された優良業者とのみ提携しているサイトで、一度に最大4社の業者に査定を依頼する事が出来ます。
検討されている方にはぜひ活用していただきたいサービスです。
「不動産一括査定サイトは使った方がいいの?」「一括査定サイトを使ったら不動産会社からたくさん電話が来ないか心配・・」不動産一括査定サイトの利用を迷っている人のなかには、このような悩みを持っている方もいるでしょう。不動産一[…]
まとめ
今回は、不動産の売却相場についてお話してきました。前述の通り、売却をする上で相場を把握しておく事は非常に重要です。
この記事で相場の調べ方を頭に入れて、しっかりと相場を把握し取引を成功させましょう!
また、不動産全般の売却について詳しく知りたい方は不動産売却の抑えるべき基本知識。決断する際に考えるべきポイントを解説しますをご覧ください。
しかし、現時点で国や国税庁が発表している不動産の価格に関する指標を見てみると、また新型コロナウイルスの感染が拡大する前の時期の評価額を対象としており、状況が分かりません。
とはいえ、相場は売主と買主が希望する価格で形成されていくものなので、現況がどうなっているかについては、不動産取引の最前線に立つ不動産会社に聞くのが一番よいでしょう。
売却を検討している不動産がある場合、対象の地域でより豊富な売却実績を持つ不動産会社に相談を持ちかけ、相場について聞いてみることをおすすめします。