【専門家監修】不動産売却メディア「すまいステップ」

離婚時の財産分与で家はどうする?住宅ローンがある場合も徹底解説

  • 更新日:2023年9月5日
監修齋藤 健博

数多くの離婚・不倫事件を扱う。今日も離婚調停や離婚協議で全国を飛び回る弁護士。ラインで連絡先を公開し、ただちに連絡を取り合うLINE弁護士の先駆け的存在。

【保有資格】弁護士

【URL】銀座さいとう法律事務所
離婚時の財産分与で家はどうする?住宅ローンがある場合も徹底解説

「離婚したら家はどっちのものになるの・・?」「財産分与する時に気を付けた方がいい事ってなんだろう?」

やむを得ない理由で離婚しなければならない状況になった時、大きな不安の1つに「財産分与」があるでしょう。

離婚時の財産分与は何度も経験するものではなく、いざその状況になると分からないことが多く悩んでしまう方が多いと思います。

しかし、よく分からないまま話を進めてしまうと、手続きの途中でトラブルが起きたり、離婚しているのに財産関連で相手との関係性が切れないなど、様々な問題が起きる危険性があります。

今回は、財産分与とはどういうものなのか、財産分与の方法、財産分与の際の注意点など、財産分与を行う上で知っておくべき情報を解説していきます。

離婚で家を売却する方法。財産分与の方法や注意点を解説

離婚で不動産は売却すべき?住宅ローンのある家の処理方法

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離婚時の財産分与とは

離婚すると様々な手続きがあり、その中でも「財産分与」を行う夫婦は多くいることでしょう。

財産分与とは、「婚姻中に築いた夫婦の共有財産を分けること」を言います。

法律上、婚姻期間中に形成した財産は夫婦の共有のものであるとされ、離婚時には夫婦で2分の1ずつ折半することが原則です。

ただし、お互いの合意があれば2分の1とは限らず、分与の割合は夫婦間で自由に決めることができます。

財産分与は離婚してから2年以内に行わなければならず、夫・妻ともに相手に請求でき、離婚の原因を作った側であっても請求可能です。

もし夫婦間で話し合いがうまくまとまらない場合は、家庭裁判所などで調停をとって話し合う必要があります。

調停の場合は、2年が過ぎてしまっても手続きが完了するまでは請求権が保たれます。

離婚時の財産分与は、主に以下の3つあります。

  • 清算的財産分与
  • 不要的財産分与
  • 慰謝料的財産分与

「清算的財産分与」とは、婚姻中に築いた財産を夫婦それぞれの貢献度に応じて分ける、最も一般的な財産分与です。

離婚時の財産分与というと、ほとんどがこの清算的財産分与に当たり、婚姻中に専業主婦(夫)で収入がなかったとしても公平に財産を受け取ることができます。

「扶養的財産分与」とは、離婚後に、経済的な理由で生活が困難になる相手を扶養する目的で行われる財産分与です。

例えば、どちらかが専業主婦(夫)で今後の収入が不安定、病気で働けないなどの場合に行われます。

「慰謝料的財産分与」とは、離婚の原因が相手の不倫やDVなどだった場合、慰謝料の意味も含ませて行う財産分与です。

慰謝料が金銭の支払いで行われるのに対し、慰謝料的財産分与であれば、金銭以外の家などの財産を慰謝料の代わりとして分与できます。

本来なら財産分与と慰謝料は別々に算出するので、家を財産分与されたとしても慰謝料は別で請求することが可能です。

ただし、十分な慰謝料が含まれた財産分与であれば、それ以上の慰謝料の請求はできないでしょう。

離婚時に家は財産分与の対象になる?

離婚時、家は財産分与の対象なのでしょうか?

離婚時に財産分与の対象となるものは、例えば以下のようなものが含まれます。

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 保険

婚姻中に得た家は対象

婚姻中に築いた財産は、原則としてすべて離婚時の財産分与の対象です。

そのため、婚姻中に夫婦で得た家も財産分与の対象なので、どのように分与するか話し合う必要があります。

また、夫が妻に内緒で購入していた家や土地なども、結婚後に購入している場合は夫婦の共有財産として認識されます。

誰が名義人かは問わずに財産分与の対象であることをしっかり把握しておきましょう。

相続や贈与で得た家は対象外

夫婦のどちらかが相続や贈与で得た家は「特有財産」と呼ばれ、たとえ婚姻中に得たとしても財産分与の対象ではありません。

また、夫婦のどちらかが結婚前に購入した家も、離婚時の財産分与では対象外の財産です。

特有財産は家以外にもあり、以下のようなものが含まれます。

  • 結婚前に貯めた貯金
  • 持参した嫁入り道具
  • 別居後に築いた財産

特有財産は、夫婦の協力で得た財産とは言えないので、財産分与の対象外ということを覚えておきましょう。

マイナスの財産も対象

基本的には、結婚後に共有した財産は全て財産分与の対象です。

そのため、結婚後に夫婦の家計から出た、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も分与の対象です。

具体例として、「家族や生活費のための借金」「家族で使用していた家や車のローン」などがあります。

ただし、夫婦のどちらかが個人的な目的で作った借金に関しては対象外です。

例えば片方がギャンブルなどで個人的に作った借金は財産分与の対象にならないマイナスの財産に当てはまります。

あくまで「共有のものに対する借金が財産分与の対象」と覚えておきましょう。

離婚時に家を財産分与する方法

離婚した場合、最も大きな財産分与の対象となるのが「家」だと思います。

住宅ローンを支払い続けているかもしれませんが、当然、人生でいちばん大きな買い物といわれる「家」はやはり大きな財産です。

家の財産分与は、以下の2つから方法を選択して行います。

  • 家を売却して現金を財産分与
  • 家を残して見込み価値の半分を現金で支払って財産分与

下記のグラフは、「離婚後の不動産をどうしてるのか」をすまいステップでアンケートした集計結果です。

離婚財産分与家

アンケートの集計結果は「住み続けている」が5割以上を占めていました。

「住み続ける」理由としては、「子供の生活環境を変えたくない」といった環境を理由に挙げる人が多かったです。

「売却」理由として、新しいライフスタイルの移行や「思い出ある家に住みたくない」などの感情的な理由を挙げる傾向にありました。

この章では、それぞれの方法について詳しく解説します。

家を売却して現金を分ける

1つ目の方法としてあげられるのは、家を売却して現金化してから現金を半分に分け合う方法です。

平等に資産を分けられる点、そして住宅ローンが絡んだトラブルなどが発生するリスクを無くせる点が大きなメリットです。

家を現金化することで明確になり、きっちり半分に分けて後腐れなく財産分与できます。

しかし、離婚時に家を売却すると決めた時、住宅ローンがまだ残っている場合もあるでしょう。

基本的に家を売却するには、住宅ローンを完済させる必要があります。

住宅ローンの残債が家の売却代金を下回る状態(アンダーローン)であれば、住宅ローンが残っていても家の売却代金だけで残債を完済できます。

住宅ローンを完済して残った現金を夫婦2人で分け合えば財産分与が完了するので、最もトラブルが少なく済むスムーズな方法です。

反対に、住宅ローンの残債が家の売却代金を上回る状態(オーバーローン)なら、原則として家を売却することはできません。

家を売却するには、家の売却代金だけでは足りない分を、自己資金や貯蓄などから用意する必要があります。

どのような割合で残債を支払うのかを夫婦で話し合い、残債を支払う資金力がなければ、家を売却するかどうかも合わせて検討し直す必要があるでしょう。

しかし、住宅ローンを返済できないけど、どうしても家を売却したい場合は「任意売却」という選択肢もあります。

任意売却とは、住宅ローンを借り入れている金融機関の合意を得る事が出来れば、残債がある状態でも売却できる制度です。

任意売却について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみましょう。

任意売却とは?通常売却と比較して流れやメリット・デメリットを解説!

まずは査定を受けて、家の市場価値を確認することが大切です。

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家を売却せずに片方が住み続けて片方に現金を支払う

2つ目の方法は、家を残して片方が引き取り、もう片方に現金で見込みの価値の半分をキャッシュバックする方法です。

家が共有である場合、すなわち所有権を夫婦の双方が持ち合っている場合や、家を残しておくことにたいして夫婦間での一定の一致を見ている場合には、多く取られる方法です。

この方法は、これまでと住む環境を変える必要がないことがメリットです。

例えば、子供が近所の学校に通っている場合などは、極力住む場所を変えたくないですよね。

また、家を一度売却して新たに購入するとなると、時間や手間も相当かかってきます。

時間や資金に余裕がない方にとっては、そのまま家を引き継ぐ事が出来るのは大きなメリットになると言えるでしょう。

しかし、ローンなどの関係で揉める事もしばしばあります。

そのため、注意すべきポイント(本記事の6章)などをしっかり確認してトラブルに発展しないように注意しましょう。

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離婚時に家を売却せずにどちらかが住み続けるには?

離婚時に家を売却せず、夫婦のどちらかが住み続ける場合もあるでしょう。

以下の名義人別に解説します。

  • 家と住宅ローンの名義人が住む場合
  • 家と住宅ローンの名義人ではない方が住む場合
  • 共有名義の場合

家の名義人が住む場合

家の名義人と住宅ローンの名義人が夫婦のどちらか一方で、名義人がそのまま家に残って住み続ける場合は最もリスクが少ないでしょう。

住宅ローンの支払いをこれまで通りできれば特に問題はなく、家の名義変更も必要ありません。

しかし、連帯保証人が夫婦のどちらかになっている場合は注意が必要です。

住宅ローンの支払いは、基本的には名義人に義務がありますが、名義人が支払いできない状態になると連帯保証人が一括返済しなければならなくなります。

こんなトラブルを避けるためにも、名義人側の親族などに連帯保証人を変更する手続きを行いましょう。

以下の記事では、住宅ローンの残る家に「夫が住む場合」はどうなるのかを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

離婚後に住宅ローンが残る家に夫が住むとどうなる?財産分与の例や注意点を解説

家の名義人ではない方が住む場合

家の名義人と住宅ローンの名義人が夫婦のどちらか一方で、名義人ではない方が家に住む場合は、トラブルが起きやすいので注意が必要です。

名義人ではない方が家に住み続けることは可能です。

しかし、この場合は住宅ローンの支払いは名義人に義務があるので、家の名義人ではないほうが住む場合は以下のようなリスクが考えられます。

  • 住宅ローンの返済を滞納する
  • 滞納が続くと競売にかけられて突然家に住めなくなる
  • 勝手に家を売却される可能性がある

名義人が住宅ローンの返済を滞納してしまうと、家を競売にかけられて退去を命じられて、突然家を失うことになる大きなリスクがあります。

また、家の名義人であれば、家の売却手続きを1人で進められるので、相談もなく勝手に家を売却されてしまう恐れもあります。

トラブルを避けるためには、住宅ローンの支払いに関する条件を記載した「公正証書」を作成しておきましょう。

共有名義の場合

離婚時に家を財産分与する時、家が夫婦の共有名義である場合もあるでしょう。

共有名義の場合は、家に住み続ける方の単独名義に変更しておくことをおすすめします。

以下の記事では、離婚時に共有名義を変更しなかった場合にどうなるのか詳しく解説しているので、合わせて参考にしてみてください。

離婚して不動産の共有名義変更しないとどうなる?変更方法とは?

また、住宅ローンを夫婦の共有名義で組んでいる場合は、どちらかが家を出ていくと契約違反になることがあります。

そこで「共有名義から単独名義に変更したい」と思う夫婦もいるのではないのでしょうか。

しかし、住宅ローンの返済中は、共有名義から単独名義への変更は原則認めらないので、住宅ローンの借り換えを検討してみましょう。

ローンの借り換え…新たな金融機関で住宅ローンを組みなおし、現在借りているローンを一括で返済すること。

しかし、新しくローンを組む場合は審査に通りにくい傾向があります。

名義変更する際、借入時よりも収入が安定している、またはローン残債が少額であれば名義変更できる可能性が高いので、事前に確認しておきましょう。

離婚時に住宅ローンが残っている家の売却に関して詳しくはこちら

リースバックを利用する

生活環境は変えたくないけど、資金がなく住宅ローンの支払いが難しい、という場合もあるでしょう。

そんな時、リースバックを行えば、家を売却した後も、現在の家に賃貸としてそのまま住むことができます。

リースバックとは、不動産会社に家を売却した後、不動産会社と賃貸契約を結ぶことで、そのまま家に住み続けられるサービスです。

毎月の賃料は発生しますが、まとまった資金を得られ、固定資産税やマンションの管理費・修繕費などの負担がなくなります。

たとえば、離婚後に夫が住宅ローンの支払いを続け、妻が子供と一緒にこれからも家に住み続ける場合は、様々なリスクが伴います。

夫が住宅ローンの支払いを滞納したり、勝手に家を売却してしまうと、妻と子供は強制的に退去を命じられます。

リースバックを行えば、家を現金化して財産分与できるので、離婚後に夫とトラブルになることは避けられるでしょう。

リースバックについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

まとめ

家は人が持つ資産の中でも非常に大きなものの1つであり、金額が大きい分財産分与する際はトラブルが起きやすいです。

離婚時の財産分与は決して簡単ではなく、最終的に両者の折り合いがつかないケースがあります。

その場合、離婚裁判を提起して財産分与の決着を付けることもあります。

裁判をする場合は、時間だけでなくお金もかかることから弁護士などの専門家に相談しながら進めることが大切です。

今回お伝えした情報を活かして、揉める事なく話し合いをスムーズに終える事を目指しましょう。

記事のおさらい

離婚時の財産分与とは?

離婚時の財産分与とは、結婚をしてから築いた2人の共有財産を分けることで、共有財産は2人で折半することが原則です。

詳しく知りたい方は離婚時の財産分与とはをご覧ください。

家を財産分与する方法は?

“離婚時の家を財産分与する方法は大きく分けて2つあります。

  • 売却して現金化
  • 家を残し、見込み価値の半分を現金で支払う方法

詳しくは家を財産分与する方法をご覧ください。

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